韓国の冠婚喪祭
日本でもそうだが、韓国でも冠婚喪祭に関しては、実に伝統的な文化が生きている。もちろん長い年月の間には、特に近年に至っては合理化の波にもまれて、古い伝統が失なわれつつある部分があることは否定できない。しかし、根源的な部分は受け継がれ、独特の文化を見ることができる。

韓国における[관혼상제]は、漢字で[冠婚葬祭]ではなく、[冠婚喪祭]と書く。
관례(成年の禮)、혼례(婚禮)、상례(喪禮)、そして제례(祭禮)の4つの禮を言う。
日本の[冠婚葬祭]と比較して、韓国の[冠婚喪祭]に最も特徴的なものは、そのいずれにも儒教的思想が強く散りばめられていることである。
中でも顕著な要素は、先祖に対する尊敬・感謝・弔いなどの気持ちの表れであろう。
だが、それでも朝鮮王朝時代と比較すると、随分簡略化され合理化されてきているようである。

韓国でも近年家族の形態が大分変化してきている。
子供たちがソウルなどの大都会に出て進学・就職・結婚と辿り、いわゆる核家族化が進行している。田舎には年老いた両親だけが残され、伝統的な手間暇かかる儀式を行うことが大きな負担になり、変化せざるを得ないのである。
もともと儀式そのものは、韓国の中でも地方により独特の風習があって、やり方がさまざまである。だから、一概にどのように変化を遂げているかを語ることは難しい。
しかし、根底に流れる儒教精神の幹だけは、しっかりと生き残っていることは忘れてはならない。
 
冠婚喪祭の禮
韓国における[관혼상제](冠婚喪祭)が何を意味するのか、簡単に説明しておきたい。
 
まず、관례(成年の禮)であるが、これは、日本でいう[成人式]の意味である。日本と違って、しかるべき装いで厳粛な儀式を執り行う。
 
혼례(婚禮)は結婚式である。韓国の結婚式は、昔と今では、大分変わってきているという。現代でも、独特の儀式があって、日本の結婚式とはまったく異なるものがある。
 
상례(喪禮)は、いわゆる葬儀である。日本の葬儀とは違って、実際に臨終のときから、すべての儀式が終了するまでのプロセスは大変なもので、韓国ならではの、儒教精神が今なお根深く生きている典型的な儀式である。
故人を敬い、弔う気持ちが強くにじみ出ている。
 
제례(祭禮)は、基本的には、先祖を祀る儀式である。何代も前に遡って命日ごとに行われてきたものだが、近代、簡略化されているものの一つである。
祭壇に祀る儀式、墓参の儀式がある。

それぞれの儀式がどのように執り行われるものであるか、簡単にまとめてみた。
右のメニューをクリックしていただくと、その説明が下の部分に表示されるので、ご一読いただきたい。
 
冠婚喪祭の禮
 
成年の禮(관례)
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韓国の成年の禮(성년의례)はいつからはじまったのか定かではないが、少なくとも今から1000年以上前の高麗時代にはすでに存在していたと言われている。
 
婚禮(혼례)
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혼례(婚禮)とは言うまでもなく「結婚の儀」のことである。しかし、単に男女の個人的な儀式というより、儒教の影響を色濃く受けた家族の結びつきに力点をおいた儀式が営まれてきた。
 
喪禮(상례)
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韓国の伝統的な喪禮は朝鮮時代から伝わるものとされている。
多分に儒教的な思想に溢れたものであり、丁寧で荘厳である。
 
祭禮(제례)
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韓国の제례(祭禮)には、제사(チェサ:祭祀)と차례(チャレ:茶禮)の2種類がある。 目的が異なるだけであって、제례(祭禮)そのものの形式や手順、決まり、しきたりには大差がない。
 
 
 
 
 
 
韓国のことわざ
 
 
発行 : 韓国文化研究所
(発行:2013-10-01)
(改訂:2013-10-13)