護衛、というものが、私を庇うことだとして。
それは、護衛についている人が、例えどうなっても、私を護るってことで。
幼かった私は納得が出来ずに護衛してくれる山谷さんにいつも怒っていた。
そういうものなのだと割り切ることは難しかった。
ささやかな抵抗として、自分を守る術を身に付けた。
私は、竜くんに護ってもらいたいと思うだろうか?
私が、竜くんを護りたいくらいなのに?
………でも、竜くんは、私なんて庇わないって。
そう、思っていた。
思って、安心していた。
……いつか、言ってたっけ。
兄さまや、由希様が。
アイツって、本能なんだよ。
本能で動くの。
竜くんは。
結局。
体が、勝手に反応してしまったんだ。
きっと私ではなく兄さまだったとしても、それは変わらなかっただろう。
無意識に。
ただ、それだけ。
私は、祖父へプレゼントを渡そうと、竜くんから離れた。
用意して貰っていたものを受け取ろうと、祖父を囲んだ集団から、離れた。
突 然 の 殺 気 。
気が付いたときには、竜くんが目の前にいた。
突き飛ばすようにして、竜くんの身体が覆い被さってきた。
血が散って。
ゆっくりと赤い 色が、舞った。
どうしてだろう、初めて出逢った、そのときのことを思い出していた。
桜が降って。
竜くんは、大樹の下で眠っていた。
広がる花びらのように、赤い血が床に広がった。
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