青、緑、紫、はたまた赤。
カラフルな髪に、黒い学ラン。
「…なに? あの集団…」
「…あ…、もう そんな季節なんだ」
「ああ! リョーショーの体育祭か!」
電車の中でそんな声が交わされる時期。
私の通う陵湘高校は、期末試験が終わると一気に体育祭ムード 一色となる。
「おお、わりと似合うな」
「だろ〜? 竜もしようぜ!」
「ぜってぇ嫌だ」
竜くんはニッコリ笑って断った。
川原先輩は似合うと思うのになーと赤く染めた自分の髪を引っ張る。
「川原ぁ〜、西田は?」
ひょい、と顔を出していうのは青い髪をした広山先輩。
「会計のヤツらと職員室行った」
「げー、じゃあ後でブルーまで来るように言っといて」
「了解〜」
わー…、すごい頭…。
ここ陵湘高校では、体育祭の時期になると色々面白い現象が起こることになっている。
自分の組のカラーに髪を染めるのも その一端。
色分けを説明すると、
一組…レッド ( 団長 : 西田 ) 竜くん、私はここ。
二組…ホワイト ( 団長 : 大里 )
三組…イエロー
四組…グリーン
五組…オレンジ
六組…ブルー ( 団長 : 広山 )
七組…パープル
陵湘では、何組、と言わずに ほとんど色で組を言う。
つまり、さっき広山先輩がブルーに来て と言ったのは、六組に来て、ということになる。
「大里がさぁ、ホワイトだろ? 白髪になるからってさ」
ぷぷっと川原先輩が笑い、由希先輩がニヤリとした。
「ドレッドにしただろ。 見たぞ」
「え、マジ?」
見てぇー、と竜くんが言う。
隣りに居た同級生の里佳(リカ)も笑って、
「私も見ましたー。 白いドレッドで…体育祭 終わったら丸刈りにするって言ってましたよ」
と言った。
根元の方は黒で…と身振りの説明まで付け加える。
大里先輩は里佳の剣道部の先輩だ。
「丸刈り…それも似合いすぎじゃねぇ?」
「俺 山本にCD返すついでに見てこよーっと」
竜くんは そう言って立ち上がると、教室を出て行った。
「竜くんって、お友達 多いですよね…」
そう、この学校に来て驚いた。
しかも……男子限定。
「部活もしてないのに」
「竜は誰とでも気楽に話すからね」
川原先輩が言う。
「えー、話し掛け辛いですよー」
里佳が不満そうに言った。
「そう?」
川原先輩が驚いた顔をした。
それに対して、高岡先輩は冷めた目で川原先輩を見た。
高岡先輩の髪は一見 黒いけれど、光にあたると深紅といえる赤い色が浮かび上がる。
とっても綺麗。(どうやって色入れるのかな?)
「話しやすいのは男だけでしょ。 アイツ、女嫌いだから」
「え? 嫌い? そう?」
「女が苦手、とか そういうんじゃないわね。 嫌いなのよ」
うーん、それは私も思ったことが…。
無愛想だし、たまに凄くイヤそうな顔するし。
だから桐香ちゃんのときはショックだった。
「でも高岡 普通に話してるじゃん」
「お互い嫌い合ってるから、それはそれでイイ関係なのよ」
ふん、と鼻を鳴らす。
高岡先輩がすると、それも またサマになる。
「そんなこと言ったって、真琴ちゃん だって…」
川原先輩は言い掛けて、止まった。
ハイ、 私、 しっかり嫌われていました…。
つづく
同じ、または似た高校名があっても
こちらは全くの架空のものです
関係ありません
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