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LOVELY、LOVELY、HAPPY !

 体育祭編






陵湘の体育祭は、恋の季節でもある。
普段お近付きになれない先輩と接する機会を得られるからだ。

「竜センパーイ」
きゃっきゃ、という笑い声と、一年生の女の子たち。
竜くんは一応レッドの競技リーダー (応援、競技、BB(バックボード)などを担当するリーダーが 居る) なので、珍しい競技に参加する子たちに説明していた。

「…あーあ、一年は恐いもの知らずだから」
坂井先輩が苦笑いをした。

「竜センパイ、これ わからないんですけど〜」
「こっちは、竜センパイ」
「…あのさあ」
これ以上ないくらい不機嫌な竜くんの顔。

「慣れ慣れしいんだけど」

冷めた声に、一瞬、シーンと教室が静まった。

スパーン!
「いてっ」
高岡先輩が後ろから素早い一撃。
「ごめんねー。コイツ名前 呼ばれるの嫌いだからさ、一宮って呼んで」
あ、先輩とか付けなくていいよ、こんなヤツ。
そう言って、高岡先輩は また丸めた資料で竜くんの頭を はたいた。
「おまっ、止めろよ、俺の天才的頭脳に!」
「ああ、天才的にアホな頭ね」
「暴力ハンターイ!」
「ったく、馬鹿なこと言ってないで、ちゃっちゃと説明!」
「ハイハイ」
竜くんは、また普通に説明を始める。
合間に高岡先輩がなにかを言って、竜くんが笑う。
その様子に、固まっていた一年生もホッと息をついた。

「…あれ、去年 先輩にも やったんだよ〜…」
呆れた声で烏山先輩が言った。
烏山先輩は小道具(応援に使う小道具を作る)のリーダー。
ほやん と柔らかい物腰の可愛い人。
「男は みんな名前で呼んでるわけでしょ? 一年生だって名前の方を先に覚えるわよね」
応援に使うペットボトルを持って、坂井先輩が言う。
「そう考えると、やっぱり真琴ちゃんは特別なんだね〜」
にこ〜と烏山先輩が笑った。
その笑顔に、私は曖昧な表情で応える。

教室の端で、竜くんと高岡先輩が仲良く笑い合っている姿が見えた。







つづく












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