1999年9月中旬の日常

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1999年9月11日(土)

 ご指摘を受けて、HP全体を画像がロードできなくても読めるように修整しました。結構詰まらない見落としをしていたものだ。有り難う御座います>河内実加様。言って下さらなかったら永遠に気付かなかったかも。危ない。

 久々に土曜の御仕事。密度的にはここ最近で一番よく働いた、と言える――書けば書くほど情けなくなってくるが。
 作業を終えて本屋に行く。すっかり危機的状況が世間に浸透してしまったらしい『コミックビーム』10月号に、お待ちかねの小松左京『くだんのはは』(ハルキ文庫)を購入。しかし桜玉吉さんは、もうどこまでが芸なんだか解らない……金平正人はいい加減鬱陶しくなってきた。あの「快感に酔いしれながら人を斬り歩く少女」(題名忘れた)の話とか、数ヶ月前のメタフィクション的な作品に垣間見せた才気は僥倖みたいなものだったのか。いやまあこういう芸風だということは百も承知で言ってる訳ですが。ビーム読んでない方、訳解らないでしょうね。ごめん。
 京極夏彦『巷説百物語』(角川書店)読了。キャラクターが固まっていくに従って短篇連作型・時代背景を異にする『京極堂シリーズ』という印象が強まってしまったが、相変わらず読み応えはあり。読み始める前に『百鬼夜行-陰-』と似たようなコンセプトか? などと疑っておりましたが、大いなる誤解でした。詳しくは後日書評をアップするつもりですのでそちらを参照下さい。さー次は『夢幻巡礼』だ。……また厚い。
 で帰宅後、宿題になっていた殊能将之『ハサミ男』(講談社ノベルス)の評を書き上げる。もともと作品を貶しすぎないように、という方針でいますがそれにしても誉めすぎだろうか。しかしやはり面白い作品である、と再確認。でも私のバイト先ではあんまり動いていなかった……営業努力が足りないのか(私のですよ版元でなくて)。

 みゅー……どういうわけか自分のHPの日記が一部見られません。ケーブルネット内のページを見るときにぼつぼつ障害が発生するのは何となく察していたのですが、もしかして他の方も見られないんじゃないかな、と疑心暗鬼です。私のところでは9月上旬と6月上旬の表示が出来ない。御覧になってる方も何かお気付きでしたらメールでも掲示板でも構いませんので報告下さい。……と書いてもここが見られなくなってたら何の意味もないよな。

 某所に「鮎川哲也の『死びとの座』が手に入りません〜」などと泣き言を書き込んでおいたところ、何と単行本初版帯付きのオファーがあった。いやー言ってみるもんだ。これで『白の恐怖』以外の全長篇読破の夢が叶う。『白の恐怖』はいいんです、全面改稿版の『白樺荘事件』を待ちますから。……待ちますから(切ない)。


1999年9月12日(日)

 バイクで行きつけの蕎麦屋まで行き、とろろうどんの大盛りを食った。……多い。そして夕飯用に生蕎麦のおみやげ五人前買う。いいんだよ美味いんだから。場所は秘密。どーしても知りたければメールで訊ねて下さい。

 バイト先から借りてきた来月の文庫・コミック発売予定表をチェックしていて、ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』が文庫化することを初めて知る。しかも他三作(全て上下巻)と共にダニエル・キイス文庫なる新たな受け皿を用意しての刊行だ。『アルジャーノン〜』は文庫落ちをずっと待っていたので買うとしても、他の作品はどうしようか。最近作の『眠り姫』が、物語として出来のいいものではなかった(と深川は判断した)ので、ちょっと悩む。キイス文庫について、詳しくはこちらを参照のこと。

 色々やろうと思ったのだがHPの立ち上げだ何だで気力を消耗したのでだらだら一日過ごす。だから今日はイラスト関連のリンクページを立ち上げただけ。今回からバナーを相手方のサーバから直接お借りする形式に変えたので、読み込みが若干手間取るかも知れません。でも掲示板を設置したために持ち容量が半分になってしまったが故の窮余の措置です。御了承を。

 リンクした旨、メールで連絡差し上げた方々からぽつぽつと返信が来る。リンクについて承諾を戴けたことより、ネットを始めた頃から読んでいた作家さんとかホームページ作者の皆さんからのメールだということの方が嬉しい。うふふふ。しかし皆さん結構私の名前を御存知のようで……ちょっとあっちこっちに顔出しすぎてるんだろうか。趣味だから仕方ないんだけど。


1999年9月13日(月)

 いやー漸く出ましたか竹本健治『入神』(南雲堂)。未だ『風刃迷宮』(カッパノベルス)が未読なので、読むのはそれからにしようと考えているのだが……耐えきれずに数ページ見てしまう。絵のタッチにちょっと吾妻ひでおを思い出した。如何にも「おーぜいで描いてます」なモブで、誰がどの絵を描いているのか想像するのが楽しい。P22の四コマ目、類子の隣にいるのはおむっちゃん(from我孫子武丸・原作/河内実加・画『人形シリーズ』)だなとか。しかし速水果月ってこんな濃い顔だったのか。
 ざっと見た処、演出のセンスはそこらの専業漫画家などより遙かに優れていると思う。やや台詞が多いのが気に懸かるが面白そうです。コミックですが読了した際には特例で書評挙げてみようかな。いや、その前に類ちゃんの絵が描きたい。と言い切ってしまうと変態くさいな。でも描く。
 入神をバイト先で購入したあと、近隣で最大の書店を訪れて資料を探す。やっぱり一番欲しかったのは見付からなかったが、懐に若干ゆとりがあったので学術文庫を二冊。仕事が来る予定だったので早めに戻ったがまだ宅配便は来ない。一方深川は風邪の症状を自覚する。

 午後。薬の影響もあるのだろうが集中力に乏しい。取り敢えず短篇をちょっとだけ進めた。当初予想していた枚数の、どうも半分ぐらいで済みそうな気配がある。ならば今日一日ぐらいさぼっても15日には間に合うだろうと適当に切り上げた。応募はメール送信だから大丈夫ですよね、ね、ね? ――本当は京極の書評も今日中に仕上げるつもりだったんだが脳味噌がヨーグルト状になっているのでこっちも明日以降。うーん、あっちこっち更新する予定だったんだがなー。

 で、その代わり、という訳でもないですが、猫写真がかわちみかさんに受けたようなんで、多分他の方も好きではないかという推測のもと、突然猫写真館はじめました。日記に貼ろうかとも思ったのですが、写真だから貼り込むと重い。恐らくここを訪れる人はまず日記を見る筈で、だとすると読み込みにあんまり負担を掛けるのも拙い、といった訳で、暫くは日記のメニューに入口を設けておきます。好評でしたら近所の猫も撮影して、トップ及び画面下メニューから移動できるよう別枠に移すつもりです。もっと見たい! と仰言る病的な猫好きの方は、深川に穏当な脅し文句をかけて下さい。掲示板でもメールでも可。せっつかないと更新しません怠け者だから。
 但し今後極端に増量することはないと思います。何故かというと今日だけでHPの総データ量が1.5Mに達したから。うわああああ。


1999年9月14日(火)

 風邪で朦朧としているのに、いつもは暇な癖にこういう日に限って仕事量が多いのは一体どういう訳だ。原稿に写真のデータが添付されていない、と思ったら数日前に廻ってきたMOにちゃっかり収まってるし、昨日予告があって今日やっと届いたデータは重要な文章がアウトライン化してなくて結局こっちで適当にフォントを当てはめて修整する羽目になるし、……とにかくしんどかった。午後、私の受け持ちが片付いた処で夕方まで爆睡。

 それにしてもどうして持ってる『魍魎の匣』をわざわざ文庫でまた買ってしまうんだか。都合三冊目(新書が二冊)。ばか?
 一緒にロバート・ゴダード『閉じられた環(上)(下)』(講談社文庫)も購入した。二分冊で何故京極より薄い。ゴダードについては後日旧作も含めて一挙に読むつもり。

 CHAGE & ASKAの楽曲の中で好きなものは何か、と問われて貴方はどう答えますか? 『SAY YES』と応える人は却って珍しいような気がする。『万里の河』『指輪が泣いた』、『モーニングムーン』といった初期のもの、『SAY YES』前後でも『僕はこの瞳で嘘をつく』とか『太陽と埃の中で』といった『SAY YES』以上の佳作がある。けれどいざ自分自身に同じ問いを投げかけてみると、この辺りの所謂代表作は挙がらない。友人は毛嫌いしていたが私には様々思い入れのある『WALK』、「何本ヴォーカルを吹き込んだか解らない」と当時のチャゲが宣った『恋人はワイン色』、更にはシングル曲ですらない『迷宮のレプリカント』(こういう題名のSF短篇のネタを持ってるんだがいつ放出しよう……)といったマイナーなものばかりである。私が音楽を聴く場合、よくこういうパターンに陥るのである。一応ヒット曲を取っ掛かりにアルバムを購入するのだが、肝心のヒット曲よりもアルバム中に潜んだ渋みの一曲を何度も何度も聴いてしまう。私はそうまで好きだというのに、ベスト盤などには収録されることは稀。例を挙げると大江千里『これから』とか矢野顕子『スナオになりたい。[I WANT TO BE SUNAO]』とか。槇原敬之『PENGUIN』はそういう意味では珍しい例だったが、ベスト盤から更に選りすぐったCDでは当然のように省かれていた(はよ復帰しなさい)。結局、嗜好がマイナーすぎるのかも知れない。で結局何が言いたいのかというと、最新アルバムでは『この愛のために』より『higher ground』のほうが好きだぞ、ということなのである。何て無駄な前置き。

 風邪は夕飯にお粥もどきをたらふく啜って昼夜と薬を飲んだら大分治った。まだくらくらしておりますがまあいつものことだ。

 そんなこんなで結局今日も短篇は仕上がらず。一応これを書き終え次第もう少し進めてみるつもりだが……うーむ。
 で、短篇が上がったら読書とお絵かきに専念するのである。ゲーム評もかかりたいがそちらは来週から。さあ腹括って下さい>一部の方。


1999年9月15日(水)

 今日が某公募の締め切り日なんだが、取り敢えず完成する見通しは立ったし焦っても仕方ないと開き直ってしまい、何となくすがやみつるさんのHPにある炎のコマで遊んでしまう。あはははははははははははははははは(崩壊)。

 で、すがやさんにリンクした旨お伝えしたら即座に返信がありまして、実は炎のコマゲームはそもそもすがやさんの処からして既に余所への無断リンクだったと判明。……黙っててね皆さん。しかし僅か八分でレスがくる辺りやっぱりすがやさんて。

 問題の短篇は、締切一分前に脱稿しました
 ……投稿用のメールを書いている間に過ぎてしまったさしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく………………

 かなり脱力したが取り敢えず懸念は解消した、という訳で取り急ぎ京極夏彦『巷説百物語』(角川書店)の書評を書き上げる。風邪の所為と言うより明らかに疲れで朦朧としているから多分明日明後日ぐらいに修整する羽目になるとは思うのだが兎に角アップしてしまう。あんまりミステリから遠離ってしまうのも何だし。

 上記以外の更新部分:イラスト関連リンクに閂夜明さんのHP『ねこバナナ』へのリンクを追加。


1999年9月16日(木)

 また、一日で一万円以上も本を買ってしまった……

 日中、仕事の合間を縫って一気呵成に西澤保彦『夢幻巡礼』(講談社ノベルス)を読了。早速書評をアップしてみた。やや長めだが長いが故の変化というのは特に感じません。面白いは間違いなく面白いんだが、感慨はノンシリーズもの佳作程度、といったところ。しかしこの内容は、もし神麻シリーズだけ読んでいるという人が居たら驚くだろうね。深川個人としてはエディプス関連の考察と由美がツボ。そしてどんどん変態ぶりを露呈する深川であった。
 しかし書評に費やす時間をもう少し短縮できないものだろうか。考え込んでしまうのがいけないのか。一本毎に二時間も三時間もかけているのでは肝心の読書時間が削られてしまう……

 私のバイト時刻は夕方六時から十時半というのが基本である。四時間半というのは言うほど短くはなく、夕方晴れていても天気予報が雨というならとりあえず傘を持った方が安心だし、天気予報を見ていなくとも空模様が怪しければ用心をする。だが、私がバイト先に畳んだままの傘を携えていくと、降らない。80%ぐらいの割で、本当に降らないのだ。夜半に荒れ模様になるでしょうと天気予報が言っても、台風のなれの果てが関東を掠めようと、降らない。お陰で私は畳んだまま乾いたままの傘を自転車に引っかけて帰る羽目になる。降られないだけいいじゃないか、という御意見もあろうが、降られもしないのに傘を持ち歩くことがどんなに間抜けかお解りかあなた。でちょっと崩れそうな天気でも傘を持たずにバイトに行けば……推して知るべし。行きの段階で既に降っている場合はその限りではないが、何だかなーな気分である。深川が畳み傘を持ってバイトに来ると社長以下みんなが喜ぶ。しかしここに落とし穴一つ。
 私がバイトしている間は降るのだ

 今日は小雨だったが合羽を着るほどでもなくそのままバイクで帰宅(自転車は中継地点に置いてあるのだ)。
 先日某掲示板の縁で注文した鮎川哲也『死びとの座』(新潮社)が届いていた。あな嬉し。これにて鬼貫シリーズは完集である。初版で揃えとか角川文庫版のコンプリートとかいった無謀は志さない。金が幾らあっても足りないじゃないか。ともあれこれで鮎川長篇の書評もアップできる幸せ。

 広告。内田竜宮丞さんがご友人と共にHPを立ち上げたそうです。興味のある方はこちらからどうぞ。正式なリンクは後日。だってジャンルが判然としなくて……


1999年9月17日(金)

 それにしてもどうしてこう毎日毎日……(以下略)

 津原泰水『蘆屋家の崩壊』(集英社)読了。噂通りの素晴らしさ、というよりこれはもう……詳しくは書評を御覧下さい。これが売れないのははっきり言って勿体ないです。布教したいぐらいだ。

 依然体調が本調子でないのを言い訳にちょっと早めに仕事を切り上げ、久々にソフトを購入。『eve haze 〜媚薬の王様〜』(BROWNIE)『L 〜エル〜』(TOPCAT)の二本。ずーっと『蘆屋家〜』の評を書いていたのでまだインストールしかしていません。細かい分析などは当分日記中で行って、折りに見て評をアップしようなどと考えてます。しかし『eve haze』はインストール時に「インストール先の参照」ボタンがうまく動作していない嫌いがある……手動で書き込んだらちゃんとインストールは出来たが……むむむ。両方とも触りだけはやってるんですがさわりだけであーだこーだ言うのも何だし。やはり詳しくは明日以降の更新で。

 とっととトップページにリンクしてしまいましたが改めて。MYSCONのページが開設されました。ネット内を彷徨するあらゆるミステリ者に交流の場を提供するこのイベント、ちょっとでも興味のある方は是非とも御覧あれ。

 上記以外の更新部分: リンクページのあっちこっち(笑)になむなむカンパニーのHP『ぎゃらりあなむぅ』へのリンクを追加しました。早くバックリンクしてね。


1999年9月18日(土)

 ……何をしていたのか殆ど記憶がない。取り敢えず休日だったのは確かなんだが……そうだ、午前中は何だか漫画ばかり読んでいたのである。昨日一昨日で買い込んだ本の三分の一は漫画だったので、結構溜まってしまったのだ。坂田靖子はやっぱり好きだなーとかJETの書く金田一耕助って段々童顔になってないかとか色々考えながらだらだらと読む。その合間合間に『死びとの座』を摘み食いする。当然どっちも片付きはしない。本当は今日中に、HPにアップするCG(もしかしたら彩色はべた塗りになるかも知れないが)の下絵をだーっと書き上げるつもりだったのだが、結局かかれなかった。ゲームもしてません。明日は近所に猫の写真を撮りに行かねばならぬし……どんどん自分の首を絞めているような気がする私。

 本日早晩、当ホームページのカウンタが500を越えました。十日足らずでこの来訪者数は深川の予測を上回っております。ありがとうございます。500番を踏んだのはKashibaさん@猟奇の鉄人でした。凄い方に踏まれてしまった。

 で、まだ溜まった漫画を消化していないうちに夕方またぞろ本を買いに行ってしまう。金額は聞かないで。倉阪鬼一郎『緑の幻影』(出版芸術社)折原一『暗闇の教室』(早川書房)などを購入。はたと思い出す。
 まだ『沈黙の教室』(四六判)読んでねえ。ばかー。
 あと、某所で情報を戴いたので『Jazz Life 10月号』を入手する。ジャコ・パストリアスのソロアルバム一覧が載っているのだ。読みながら恍惚となる、のは明らかに危険な兆候だと我ながら思うのだが。葉山にてPONTA BOXメインで行われた野外ライブのレポート(しかも執筆は木村太郎だ)も載ってる。ううううう。ジャコを生で聞くのは遙か未来にしておきたいがPONTA BOXは機会があったら見に行きたいぞ。ジャコも……しかしこれを読むと初期の四枚だけでいいのかという気になる……ともあれ順繰りに聞いてみよう。1stの『ジャコ・パストリアスの肖像』から。
 しかしこういう雑誌を買ってしまうと本格的にジャズに浸りたくなる。今月号は何やら編集部がジャコに拘っているような節があって、着メロ譜のコーナーにジャコの1stから一曲採り上げているし――どころじゃねえぞ『バードランド』(Wheather Report時代の代表曲)も採られてるぞ。着メロ対応電話を持っていないのが哀しくなるではないか。

 ……なんかまた突っ走ったか私。

 そんなことばっかりやっていたから今日は特に更新箇所なし。悪しからず。


1999年9月19日(日)

 10時30分過ぎに、知り合いに差し上げるネコ写真採集のため近所を彷徨する。我が家は都内有数の霊園に近接しており、そこここに猫が屯しているのである。まあ小一時間も彷徨いていればそれなりにいいのが撮れるでしょう、などと高を括っていたが、
 ……甘かった。
 明日は彼岸の入り、だが平日なので、繰り上げで墓参に訪れた人が人が人が。こうなるとどんなに人懐っこいニャン公でもお隠れになるというものである。結局、逃げ腰になっているのを何とか追い詰めてロングショットで撮影したのが一匹、ご近所の飼い猫らしくよく一階の出窓と室外機との間に挟まるようにして寝ている気品のある奴と、商店街前の階段脇にあるエサ場で前足を丸めて寝ている奴、以上三匹だけが収穫。他は全く見当たらない。秋口とは思えぬ熱気の中一時間近く彷徨いてこれだもの。汗だくばてばて、昼飯も食欲がないのを無理矢理カップうどんを流し込んで済ませた。ちくしょー、来月ぐらいにリベンジじゃ。

 鮎川哲也『死びとの座』(新潮社)読了。16年前の作品ですが何だかもっと古いような錯覚が。警察の詳細な調査が人物同士の繋がりを暴き出し、その中で警察の弾き出した真相に疑念を抱く人々同士が結びついて、彼等の視線による追求を始める。それが息詰まったときに鬼貫警部が(再)登場して、真犯人のアリバイ工作を看破する、という後期の典型を踏襲しているので、歌曲の蘊蓄も含めて目新しさは感じなかった。しかし例によって個々の仕掛けは周到で、本格者、鮎哲ファンとしては満足。
 で、この書評を挙げて今日の更新の目玉にしようと思い、その前にと題名だけ掲げてずーっとほったらかしにしていたさだまさし『季節の栖 〜Twenty Five Reasons〜』(テイチク)を軽く書き上げてしまおう、と思ったんだが、
 …………甘かった。
 自分のさだマニアぶりをまだ充分に自覚していなかった……これだけで実質三時間ぐらい費やしてしまった……さだ論は鬼門だ……今後は控えよう。
 とか言いつつ、明日以降から二つほどイベントをぶち挙げようなどと画策していたりする、うち一個がさだ絡み。期待しなくてもいいですが出来れば見に来て下さい。
 今の深川の趣味、布教活動。あ、大丈夫ですよそんなに怖くないから。大丈夫だってばっっ。

 ……私信。内田様、そんな訳で今日はゲームあんまりやってませんでコメント不可能です。貴殿の胃腸の具合が気に懸かりますがもー暫く堪えて下さい。


1999年9月20日(月)

 どうも夜中に書くと寝る時間がどんどん削られていくので、夕方でも何でも隙を見て日記をつけることにした。何せここ一月ぐらい寝るのは必ず午前四時頃。一日七時間は眠らねばどこか調子が狂う体質なので、常に何処かにしわ寄せが来ているのさっっ。
 仕事の暇を見て古本屋を廻ろうと思ったのだが、一軒は訪れた時刻が悪くまだ開いていない。もう一軒は数こそあるが私が既に新刊で買ったものとか取り敢えず興を惹かないようなものばかりで大した収穫はなし。一応仕事待機中なのでこれ以上は気が退けて渉猟できませんでした。明日以降再挑戦。どんどん宿題が増える。
 因みに購入したのはビル・プロンジーニ『名無しの探偵シリーズ』二作品(新潮文庫)梶龍雄『幻狼殺人事件』、それに山本文緒『ご町内お騒がせミステリー ラブリーをつかまえろ』(集英社コバルト文庫)の計四冊。百円均一で汚れ多し。最後の奴は多分あの山本文緒だと思って買ったんだが合ってるだろうか。
 帰宅後、兎にも角にも鮎川哲也『死びとの座』(新潮社)の評を書き上げる。評を書いても誰かの参考になるとは思えないんだがこの場合。まあいいか。さて次は角川文庫版鮎川作品のコンプリートでも目指そうか……目指そうかな……本当に……

 風呂から上がってふと思い出し、手の写真を撮る。ついでに猫の写真も撮る。手の写真は所業のページに追加しました。っつーか本当に見たいのかこんなもん。ねこ写真はこちらから最新のものにジャンプします。毎度重くてすいません。
 それはそーと、今日『ラブリーをつかまえろ』を買ったと思ったら、謎宮会ホームページに掲載されている葉山響さんの読書日記に何故か書評が載っていた。どういうタイミングだ。因みにやっぱりあの山本文緒だったようだ。

 山田風太郎『かげろう忍法帖』(講談社文庫)読了。凄い。所謂「お約束」など指先であしらうような見事な筆捌き。詳しくは明日以降書きますが……深く理解したいのであれば文庫を買って本文、解説と通読されるのが宜しい。
 実はこれが昨日書いた布教活動計画の一端である。要は、山田風太郎の良さを知らしめて講談社文庫の忍法帖シリーズを売り、全十巻あるという短編集を全て刊行させる、という目論見なんだが。だから当分一冊おきぐらいに風太郎忍法帖を読んでその都度書評をアップする、というのを考えていた訳である。実際問題としてこういう外連に満ちた作風が不向きな方も少なくないだろうから、何処がいいのかをきちんとお伝えして、その上で皆さんの自己判断の元、手に取って戴きたい、と思う。従って生半可な感想は書けませんので、これの書評は明日。
 もう一個の計画は先に新しい壁紙を用意したくなったので一旦延期。さーそろそろ本気で絵を用意せねば。描きたいものが沢山あるのだ。

『eve haze 〜媚薬の王様〜』取り敢えず現時点で気に懸かったところにツッコミ。
 シナリオについては云々出来るほど話が進んでいないので(漸く城下町に辿り着いた)暫し保留するとして、気になったのは薬の調合部分とRPG部分、それと時間進行の感覚のバランスの悪さである。このゲームでは作成した媚薬をカードという概念で管理し、敵にダメージを与えたり眠らせたりして戦闘を行うのだが、このフィールドマップでの戦闘にカードを利用するためには、予め主人公の自室でカードを装備しなければならない。カードには媚薬の他に媚薬に効果を付与する行為カードと道具カードとがあるのだが、これらはカテゴリ毎に五種類、しかも一種類につき最大五枚までしか持ち運べないのだ。五枚持てれば充分のようにも思えるが、媚薬を調合するのに必要な材料は金を稼いでアイテムショップで買うか、さもなくばフィールドマップ上で収集するしかなく、初期の貧乏暮らしでは勢いフィールドでの材料捜しを強行せねばならない。だが当然この段階では媚薬カードなどまともに装備しておらず(一応初期設定で数枚所持しているのだが)、プレイヤーはなるべく敵とぶつからないような慎重な移動を強いられる(※本ソフトではフィールド上の敵は視認できるようになっている)。まあこの辺りは追々お金が稼げるようになれば解決するのだしRPGの基本として当然だとも思うのだが、問題はここに時間進行が関わってしまっている点だ。
 本編では、少なくとも冒頭部分をやってみた限り全てのイベントが強制的に発生する仕組みになっている。ゲーム中の日付がある期日に達すれば、特定のグラフィックを伴うような大イベントが発生する。主人公の「薬剤師」という設定上(というかゲームの必然上)それらは全て固有の薬品が求められるイベントな訳だが、往々にして主人公には材料に持ち合わせがない(或いはイベント発生までそれらに必要な材料は採集できないように鍵が掛かっているのかも知れない)から、自ずとプレイヤーは新しいフィールド、或いは以前訪れたフィールドであってもより詳細な探索を迫られることになる。この場合、大体規模の大きいイベントは小ボス中ボス級のキャラと一戦交えねばならなくなるのだが、この時カード数の制限がかなりハードルになるのである。イベントで要求される媚薬の材料は概ね探しづらい処に隠れており、細かいところを調べているうちに、どんなに避けようとしても二度三度と敵にぶち当たってしまう。この時、敵の特性に対応したカードを持っていないとあっさり撃退されてしまうし、同じフィールド内では往々にして特性の似通ったモンスターが出るものだから、どうしても同じ属性のカードを多用してしまう。その状態でボス戦に挑むと、これが笑えるほど歯が立たなかったりする。どのカードなら覿面にダメージを与えられるかとあれこれ試行錯誤しているうちに手札が尽きて倒されたり。倒されてもゲームオーバーにならない代わり、主人公はその時点での生活拠点に連れ戻されてしまうわけですね、翌日の朝に。でそうして試行錯誤を繰り返してどうにかボスを倒したと思ったら、媚薬の調合や材料捜しがまともに出来ないうちに次のイベントが始まってしまう。
 タイトルや戦闘の性質からして、制作者がプレイヤーに一番楽しんでもらいたい事というのは恐らく「媚薬を調合する」というシチュエイションなのだと思うのだが、どうにもこのタイトすぎる時間進行が、シチュエイションを充分に堪能させてくれないのである。もし「媚薬作り」をゲームの主眼に置きたいのであれば、時間進行を曖昧にする、或いはシナリオを日付連動ではなく主人公の成長具合に合わせて進行するように設定するべきではなかっただろうか。結果プレイの仕方次第で一度では見られないイベントが多数出てくるだろうが、寧ろそうして幾度も幾度も遊べるものにした方が良かったのでは?……と思った。仮にRPGの部分が主眼であったとしても、このあまりにシビアすぎる時間との関連はやはり作品として妨げになると思うのだが……
 ――とまあ、以上は中間報告である。より詳細な検証はせめて一通り、エンディングを一度見るぐらいまで遊んでみてからに致します。ただ、ゲームというものは導入で判断されてしまう場合が殆どだから、この展開上の締め付けはやはりちょっと買えないだろうなー……
 ともあれ、シナリオとしては結構笑かせて戴いてますのでまだ当分は続けてみます。……ただ、他にも保留しているソフトが数多あるから時間は食いそうな気はするが……

 上記以外の更新部分:トップに置いたMYSCONページへのリンクを、シンプルなアドレスの方に変更しました。日記の方はそのまま。


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