CD気まま聴き・・・



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その9
その10
 
FREE FLIGHT / CARLO UBOLDI
 久々にオリジナル曲でメロディックな”感動”を得た作品だ。オリジナル曲で「名曲」を探している人にはもってこいというものだろう。訥々と音を置いていく素朴さと一音ごとの連なりが織りなす哀感にやられる。演奏の控えめさなタッチが殊更滋味を醸しだしバックのベースの重量感にカバーされながらこの上ない音情景を提供する。
 オリジナルが多い中でそこに挟めたベサメ・ムーチョ。ニクイ演奏と言うほかない。音数より音選びで勝負というタイプ。歌心は群を抜いていると言って過言ではない。
 途中から入るクラリネット、及びアルトもUBOLDIのオリジナルを叙情豊かに吹きあげ、効果をあげる。
 タイトル曲は、ちょっと毛色をかえ、戯けた曲調にクラリネットが色を添える。
 普段「曲派」か「演奏派」なんて考えたこともないが、この度だけは「曲」にやられた。演奏も「演奏派」を呻らせるに充分。言うことなし。
 偶然見つけた物だが、目から鱗、千載一遇と言うほかない。
 本当のところ滅多に真からこれはいいと思ったことはないが、これは大絶賛の一枚。
 イタリアのミュージシャンはこのところ注目の的だが、裾の広さを実感する。
CARLO UBOLDI-p STEFANO DALE'ORA-b MARCO CASTIGLINI-ds
GUEST MAURO NEGRI-cl,as
Oct 6,2006
ALESSIO BROCCA
1.WELCOME TO NIPPON 2.BESAME MUCHO 3.FOR OSCAR 4.MY DADDY GIANANTONIO 5.FREE FLIGHT 5.THIS CAN'T BE LOVE 6.ANGREY DOGS 7.WAORLD HYMN
CAPELTON ROAD / ERIC HARDING
 フレディ・ハバードのBYRDLIKEを頭に持ってきて、硬質のバッバーというイメージを最初抱かせる。が、次のNEVER LET ME..等も含め後半多くを占める彼のオリジナルとなると概ね透明、繊細、美麗なピアノタッチで叙情性の勝った趣。しかるに、更に、である。それに相反してストレートアヘッドなところも加味したというバランスの良さ。
 タイトル曲CAPELTON ROADは、アレンジの凝ったところを聴かせ、存分に各人のソロを展開させる。が、残念ながら何故だかこういうの、あまり好きになれない。
 同年にDEADLINEというアルバムを出しているようだが、何れにせよこれが旬のもぎたて、というところ。
 ベイシスト、ドラマー共にハーディングのピアノに旨く呼応し良くできたバッキング、良きソロ。
ERIC HARDING-p CLAUDE LAVERGNE-ds CLINTON RYDER-b
02/2006
1.BYRDLIKE 2.NEVER LET ME GO 3.YESTERYEAR 4.MONK'S DREAM 5.A KISS REMEMBERD 6.MIRROR FACE 7.SONG FOR JAMES 8.VERTIGE 9.CAPELTON ROAD 10.ROXY'S WALTZ 11.TWICE BLUE 12.TIME FORGOTTEN
TROPIC CITY / MANUEL ROCHEMAN
 頭から聴いていくとどうもピンとこないまま、日が経ってしまっていたが、6曲目のベサメ・ムーチョから聴き出すとこれが具合がいい。店ではCDの場合、3〜4曲がリミットとしているから、ここから聴きだすのが自分としても「どうだ、これは」という矜持がもてる。難無く得たのでこれがかなりレアな盤である有り難みを持てないでいた上に、頭からではどうも聴かせるには忸怩たるものがあった。
 それがベサメ・・・からなら、曲としても「う?」という牽引力があり、その後のロッシュマンのオリジナルでロシュマン・カラーを聴かせられる。ゴリゴリっとした骨太な曲調を疾走する。ドラマーの勢いがいい。ラストのPARIS BLUESの疾走感。ドラムソロをこれでもかと堪能して満足度はぐっとあがる。そのうえでON GREEN...も悪くはない。
MANUEL ROCHEMAN-p CHRISTOPHE WALLEMME-b SIMON GOUBERT-ds
Sep 14-15 1995
自主制作
1.ON GREEN DOLPHIN STREET 2.ALLIGATORS 3.SOPHISTICATED LADY 4.TROPIC CITY 5.I CA'T GET STARTED 6.BESAME MUCHO 7.FIRST DREAM 8.PARIS BLUES;
Q / HIDETO KANAI GROUP
 まずは”銀巴里セッション”における金井英人のベースに惚れ込んだが為に聴いてみたということを言っておかねばならない。金井のベースには、「遠くからとどく声」として僕の潜在意識の隅にほんの微量な粒子となって潜んでいたオリジナルな日本のジャズという響きを呼び覚ますものがあった。それはベースのアタック、響かせる「間」、ぱっと祓った鞘から飛び出すものの勢いとか「気」のようなもの。しかしそれだけではないやはりジャズなのだという矜持がある。
 伽藍に重く響く鐘のような金井のベース。最近のベーシストにはちょっと見あたらない。全く幻然とした存在感がある。このアルバムもまずは金井ありき・・・なのだ。
 更に輸入されたジャズの追従に飽き足らないオリジナル性を求めれば、自ずとオリエンタルなものか、所謂フリー・ジャズ(僕はフリー・ジャズというジャンルやスタイルというものはないと思っているが)に隘路をみつけざるを得なかったのだろうか。如何にも・・・という残念さはなくはないが、日本のオリジナル・ジャズの先鋒を切ったと言う意味を酌量すれば、賞賛に値して余りある他の要素の方が大きい。
 金井はベイシストとしてだけでなく、オーガナイザーとして素晴らしい構成力を発揮しているし、峰、アラン・ブラスキーの2アルトによる鋭いうねりとの応酬は見事。峰の無調的なアルトに対してブラスキーのメロディックな歌わせ方の対比。
 ライナーにも書かれているが、エリック・ドルフィーを配したミンガスのワークショップの影響吸収を感じるタイトル曲"Q"。
 徐々に熱を帯びて熾烈な状況になってくる。
峰厚介-as アラン・ブラスキン-as 鈴木雅道-tp 原田忠幸-bs 金井英人-b 日野元彦-ds
1.APRIL SONG FOR KANAI,ZUI-ZUI-DU-TUBADABA
峰厚介-as アラン・ブラスキン-as 神田重陽-xyl 金井英人-b 日野元彦-ds
2. Q
金井英人-b 山崎 弘-ds
3.KALEIDOSCOPE
高柳昌行-g 小泉 弘-fl 金井英人-b 山崎 弘=ds
1971.5.9,17
THREE BLIND MICE
CORNELL 1964 / CHARLES MINGUS WITH ERIC DOLPHY
 一曲ごとに幕が開き一場が演じられて幕が下りるような戯作的な雰囲気は、これまで聴いたドルフィーを交えたミンガスのライブ盤ではどれもが堪能できるが、このほど出たコーネル大学でのライブもまた、バイヤードのソロピアノあり、SOPHISTICATED LADY でミンガスのベースが歌い、そしてフォーバス知事・・、ORANGE WASTHE COLOR・・など、何度も聴いた曲目だが、6重奏団の一人一人の見せ場を作った演奏が曲調の物語調と相まって見事に展開している。
 アバンギャルドで荒っぽく、時に格調高くだが、概ねゴツゴツしたリズムセクションにうねるホーン陣のぶつかり合い。しかしやはり各人のソロが観衆を驚かせたり、笑わせたり、そして見事な演じぶりに堪能させられているのが手に取るように伝わってくる。
 ミンガス楽団というよりミンガス劇団というのが相応しい劇場性を改めて堪能する。
 
JOHNNY COLES -tp ERIC DOLPHY-as,fl,bcl CLIFFORD JORDAN-ts JAKI BYARD-p CHARLES MINGUS-b DANNIE RICHMOND-ds
March 18 1964
BLUE NOTE
DISC 1
1.OPENING 2.ATFW YOU 3.SOPHISTICATED LADY 4.FABLES OF FABUS 5.ORANGE WAS THE COLOR OF HER DRESS,THEN BLUE -SILK 6.TAKE THE "A" TRAIN
DISC 2
1.MEDITATIONS 2.SO LONG ERIC 3.WHEN IRISH EYES ARE SMILING 4.JITTERBUG WALTZ
GINPARIS SESSION JUNE 26.1963 / 高柳昌行・他
内田修氏監修のこの”銀巴里セッション”は、日本初の実演録音のLP化であったとか、それまで日本におかれたジャズの事情を打破し、高杉晋作や桂小五郎、はたまた坂本龍馬等幕末ヒーローにも似た志を抱いたジャズの志士達、高柳-金井-富樫-菊池等によって結成された「ジャズ・アカデミィ」によるものであるとかいう輝かしい事情をこの際置くとしても、実況としての迫力が素晴らしい録音、つまり”いい音”で、これら俊英によるキリキリと引き締まった演奏が記録されていることにまず驚かされる。
 内田氏の使ったテープが特別性であったらしいことを人づてに知ったが、今の高性能デジタル録音もちょっと身を引くような具合に仕上がっている。
 演奏では金井の腹にこたえるベースのイントロに始まるGREENSLEVES。高柳の演奏を聴くのはこれが実は初めて。まさにキリキリとオーソドックスとアバンギャルドのぎりぎりの境目を抜けるような演奏。バックの富樫のドラムが始終殺気を帯び演奏全体をスリリングなものにしている。
 続く菊池等のNARDISも胃の腑を切り裂かんばかりの鋭さを持ち、始終呻るプーさんの打鍵は単にエヴァンスを模したというよな半端なもんじゃない。奇才ウォルフガング・ダウナーさえ思い至る。富樫のバスドラが良く響き、ブラシさばきも見事。
 等々最近聴いたTHREE BLIND MICEのアルバムの中でも群を抜く。
GREEN SLEVES-高柳昌行-g 金井英人-b 稲葉国光-b 富樫雅彦-ds
NARDIS-菊池雅章-p 金井英人-b 富樫雅彦-ds
IF I WERE A BELL-中牟礼貞則-g 日野皓正-tp 稲葉国光-b 山崎弘-ds
OBSTRUCTION-山下洋輔-p 宇山恭平-g 金井英人-b 富樫雅彦-ds
June 26 1963
THREE BLIND MICE
BOOGIE-BOGA-BOO /TAKEHIRO HONNDA
 ジョー・ザヴィヌルのフェンダー・ローズなんか聴くと、ファンクな演奏の間隙にズバッと嵌るツボを押さえてきて、思わずゾクゾクっとくるのがあるが、ここで聴く本田のローズは優しくて懐が深い安心感がある。ザヴィヌルのように仕組まれた感じがなく瞬間的なゾクゾク感はないけれど、盛り上げ方は地味だがポール・ジャクソンのエレクトリック・ベースと日野のドラムとの合わせ方にワサワサっと押し寄せてくる高揚感がある。
 フロントを勤めるのは若手のホーンとブルース・ハープが加わるが、それらが冴えて聞こえるのもやっぱりリズム・セクションの旨いサポートが効いてるからだなと思う。2曲目などは、リズムセクションだけ聴いてると、マイルスのジャック・ジョンソンを聴いてるような感じもする。
 五十嵐いっせいのトランペットがクールに響く3曲目は、ロースも涼しげ。熱の籠もったジャズ・ファンクの間をぬう黄昏だ。
本田竹曠-fender rhodes 五十嵐いっせい-tp 今出ひろし-blues harp 臼庭 潤-ts 日野元彦-ds PAUL JACKSON-eb
May 14-26 1995
BMG JAPAN
1.J.F 2.WING IT SHUFFLE 3.EVENING GLOW 4.FA LA NA KU 5.DIX 6.URIZUN 7.WATER UNDER THE BRIDGE
THREEO/PAOLO DI SABATINO
 それとわかる熱帯性のではなく、微風のように漂っている熱帯夜の汗の滲む風、底から湧き上がってくるような地熱のような暑さを感じつつ聴くにつけ、明るい音色のピアニスト=サバチーノと、一にも二にも立て役者と思われるベースのパティツッチ、それにドラマーというよりパーカショニストと言いたいホラシオ・エル・ネグロ・ヘルナンデスの「太陽賛歌」とでも呼びたくなる饗宴は心地よく情熱的で熱い。
 2曲目COCO'S WAYのパティツッチのギター・ソロ?実にエレキ・ベースによる巧みな技を始めとして、彼のベースワークが随所で光る。
ミッシェル・カミロかチューチョ・バルデス辺りが浮かぶ趣。不夜城の亜熱帯ジャズというところか。やはりパーカッシブなドラミングとリズムを刻むベースワークとピアノ自身の打鍵の躍動が効いている。
 
PAOLO DI SABATINO-p JOHN PATITUCCI-b,eb HORACIO EL NEGRO HERNANDEZ-ds
Nov .1-2 1999
HALLWAY
1.E.S.BLUES 2.COCO'S WAY 3.MEETING OF MEMORIES 4.JUST IN TIME 5.HALLUCINATIONS 6.NEGRITO 7.A WEAVER OF DREAMS 8.SOTTO LA NEVE 9.THE OLD COUNTRY 10.THAT'S ALL
WILL YOU MAKE MY SOUP HOT & SILVER / CARSTEN DAHL
 紡ぎ出すフレーズの木訥さ、独特のシンコペーション、これが修業時代のダールの作品だからといって、何だと見下すようであるなら噸だお門違いだと思う。MESSAGE FROM BUDと同メンバーで遡ること2年前のものだが、サイドマンのレナート・ギンマンの腹に応える重低音、フランズ・リフベルクのつん抜けるドラムの好サポートを得て、快活な演奏を繰り広げる。カケ茶碗に負の存在学を認めるように今一番気になっているフラジャイルな美がここに存在するように思える。変拍子のTAKE FIVEを更に崩し負に負を足すセンスはダール独壇場とも言える。
 完全でない欠けている美、不完全さが敢えて存在を誇示する意気、「へうげもの」の存在学・・・ってとこだろうか。
CARSTEN DAHL-p,org LENNART GINMAN-b FRANDS RIBJERG-ds
Dec 7 1996
STORYVILLE
1.AUTUMN LEAVES 2.GIANT STEPS 3.WIL YOU MAKE MY SOUP HOT & SILVER 4.ON GREEN DOLPHIN STREET 5.TAKE FIVE 6.ALL BLUES 7.CARAVAN 8.FRDDIE THE FREELOADER 9.I THOUGHT ABOUT YOU 10.THEREIS NO GREATER LOVE 11.SOMEDAY MY PRINCE WILL COME 12.AIN'T SORRY BLUES
LET ME TEL YOU SOMETHING
 最小限の音数によって小石を図の面に配していくようなピアノタッチ。その間隙を埋めていくのっそり型のベースラインとブラシ音によって生まれる緊迫と余裕の二律背反。削ぎ落としの美学。「無印良品」の哲学。これを聴くにカーステン・ダールを思い浮かべないわけにいかない。イグナッシ・テレーサを今まで聴いてきたなかでは、最もダールっぽい。無論饒舌に走る部分もあるが、それが尚のこと削ぎ落とすタッチを強く印象づける。興ににのると、ひりつくような熱した鋼のシンバルと決定打とも言える強打の饗宴が描き出される。
IGNASI TERRAZA-p ORIOL BORDAS-b MANUEL AVEREZ-ds
Dec 21,22 1999
SWIT
1.WHEN IT7S SLEEPYTIME DOWN SOUTH 2.MISTY 3.LOVE FOR SALE 4.I CAN'T GET STARTED 5.AL TE TINGS YOU ARE 6.AUTUMN LEAVES 7.BODY AND SOUL 8.C JAM BLUES 9.IF I HAD YOU10.I AIN'T GONNA GIVE NOBODY NONE O'THIS JELLY ROLL 11.HANDFUL OF KEYS

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