<ブラボー、クラシック音楽!−折々の感想#8>
「ブラボー、クラシック音楽!」を振り返って
(Recollection of 'Bravo, CLASSIC MUSIC !')

−− 2014.05.25 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)

 ■はじめに
 『ブラボー、クラシック音楽!』という、会の名称と同名のタイトルで本を出版する事にしましたので「折々の感想」の最後の締め括りとして、これを書くことにしました。今迄の<ブラボー、クラシック音楽!−折々の感想>シリーズでは副題[yyyy年mm月dd日]を置いて、副題で指定された日の【ブラボー、クラシック音楽!】のイベントを採り上げて来ましたが、この最後に振り返る稿では日付を付したイベントではなく【ブラボー、クラシック音楽!】全体を振り返っての纏めです。

 ■会場の変遷
 先ず、当会の会場の変遷を纏めました。当会の会場と時刻は次の様に変遷しました。これは「ブラボー、クラシック音楽!−活動履歴」を子細に見て行けば解ることですが。

   第1回:2004年10月1日(金)14時〜18時  於[前衛]
   第2回: // 年11月4日(木)14時〜18時  於[前衛]
                 ↓
  第22回:2006年7月13日(木)14時〜18時  於[前衛]
          「前衛」閉鎖の為、3ヶ月休会
  第23回:2006年11月1日(水)14時〜18時  於[愛花夢]
                 ↓
  第32回:2007年8月1日(水)14時〜18時   於[愛花夢]
          [愛花夢]ホール閉鎖
  第33回:2007年9月5日(水)14時〜18時   於[ミロホール]
                 ↓
  第70回:2010年10月6日(水)14時〜18時  於[ミロホール]

          [ミロホール]から引っ越し
  第71回:2010年11月10日(水)15時〜17時15分  於[NS5]
                      (NS5はニューサントリー5の略)
                 ↓
  第83回:2011年11月2日(水)15時〜17時15分   於[NS5]
  第84回:2011年12月7日(水)15時〜17時15分   於[NS5]
      最終回

          主宰者の脳出血の為、約1年4ヶ月休会
  第84回:2013年3月6日(水)13時〜17時
                          於[レストラン・モリシタ]
      最終回(代替開催)お別れ会

 会場は4箇所変わって居るんですね。最寄駅は、[前衛]が西中島南方(地下鉄)・南方(阪急)・新大阪(JR)、[愛花夢]が南森町/扇町(地下鉄)・天満(JR)、[ミロホール]が西長堀/桜川(地下鉄)、[NS5]が梅田/東梅田(地下鉄)・梅田(阪急/阪神)・大阪(JR)でした。尚、[前衛]でお世話に為った稲倉睿(さとる)氏は2012年に他界されて居ます...合掌!
 そして最終回の代替開催は今遣っている梅田の[レストラン・モリシタ]を使わせて貰いました。曜日も最初が第1金曜、そして第1回に集まって訊いたら皆さん金曜日は色々有るって話に成って第2回からは第1木曜に成り、更に第2の会場に移った時から第1水曜に成りました。以後、第1水曜で落ち着きました。皆さんにお世話に為りました。
 2004年10月1日が第1回だったのですね。そうすると1ヶ月後がパーリャン小学校の竣工式(△1の28)だったので、【ブラボー、クラシック音楽!】を立ち上げた直後に行ったのですね、すっかり忘れて居ました。パーリャンの仲間にはシタールの生演奏の時に来て戴きました。

 ■オリジナルCD作成
 世の中にはICレコーダーという便利な物が出て居ますので、私が日本橋(←大阪の電気街)で2万5千円クラスのICレコーダーを買い、早速第51回例会で試してみました。その後何度か録音をしてオリジナルCDを作り何人かの方に買って戴きました。有難う御座いました。
 下で○印が付いているのがオリジナルCDを制作した録音です。

  ○第51回例会(2009年3月4日)
    橋本太三雄『私の山人生・句歌人生』
      〜 東洋と西洋の四季を味わう創意の試み 〜
  ○第55回例会(2009年7月1日)
    『七夕、そして星の曲』 〜 特別解説:「交野の七夕伝説」 〜
  ○第56回例会(2009年8月5日)
    『モダニズム音楽入門−1』 〜 ロマン派の終焉と印象派の登場 〜
  ○第57回例会(2009年9月2日)
    古田寛『「奥の細道」の旅とモーツァルト』
  ○第58回例会(2009年10月7日):5周年
    『モダニズム音楽入門−2』 〜 エリック・サティの異端と先駆 〜
   第59回例会(2009年11月4日)
    『知られざる『第九』物語』 〜 『第九』誕生秘話と日本初演秘話 〜
  ○第60回例会(2009年12月2日)
    『モダニズム音楽入門−3』
      〜 前衛(アヴァンギャルド)の勃興と無調の確立 〜
  ○第61回例会(2010年1月6日)
    『モダニズム音楽入門−4』 〜 民族主義の拡散と辺境の調性音楽 〜
   第63回例会(2010年3月3日)
    『モダニズム音楽入門−5』 〜 両大戦間の音楽:新古典主義 〜
   第64回例会(2010年4月7日)
    『モダニズム音楽入門−6』 〜 現代音楽 〜
   第68回例会(2010年8月4日)
    タイトル未定
    テーマ:<第一次・第二次世界大戦の二つの戦後、そして童謡と戦争>
   第73回例会(2011年1月12日)
    『卯年に因んで』
   第78回例会(2011年6月1日)
    タイトル未定
    テーマ:<ベートーヴェン生演奏『テンペスト』>
   第80回例会(2011年8月3日)
    『唱歌「むすんでひらいて」のルーツを辿る』
   第81回例会(2011年9月7日)
    『民族楽器シタールの音楽』

 ○印が付いてない方が多いですね。つまり録音はしたけれど、その儘に成っているものです。特に『モダニズム音楽入門−5』『モダニズム音楽入門−6』は今からでもCD化したいと思って居ます。モダニズム音楽入門シリーズは6枚揃って1セットなのです。他に第59回例会、第78回例会、第80回例会、第81回例会も出来たらCD化したいと考えて居るんですが。
 実はCDを作る作業が結構大変で、音源を何度も聴いて編集して行くんですが、その工程が脳を圧迫し”今の病気”に非常に悪いのです。又、CDジャケットを作るのにも1ヶ月位掛かり、『モダニズム音楽入門−1〜4』を作った時もCD1枚作るのに2ヶ月位掛かり段々録音が溜まって仕舞ったのです。という事で、暫く(=3、4年)様子を見てから考えます。

 ■童謡について
 童謡を月1回採り上げ、ちょっと詳しく童謡に注目してみようという試みで、その最初が第67回例会(2010年7月7日)でした。列挙してみると

   第67回例会(2010年7月7日)
     下総皖一『童謡「たなばたさま」』
   第68回例会(2010年8月4日)
     (テーマ:<第一次・第二次世界大戦の二つの戦後、そして童謡と戦争>)
     海沼実『童謡「里の秋」』、團伊玖磨『童謡「ぞうさん」』
   第73回例会(2011年1月12日)
     上真行『官報付録唱歌「一月一日」』
     卯年に因んで
       納所弁次郎『幼年唱歌「うさぎとかめ」』
       (作者不明)『童歌「うさぎうさぎ」』
       山田耕筰『童謡「待ちぼうけ」』
   第74回例会(2011年2月2日)
     磯部俶『絵本唱歌「まめまき」』
   第75回例会(2011年3月2日)
     河村光陽『童謡「うれしいひなまつり」』
     ★3.11東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)起こる
   第76回例会(2011年4月6日)
     岡野貞一『文部省唱歌「春の小川」』
   第77回例会(2011年5月11日)
     (作曲者不詳)『文部省唱歌「こいのぼり」』
   第78回例会(2011年6月1日)
     中山晋平『童謡「てるてる坊主」』
   第79回例会(2011年7月6日)
     中山晋平『童謡「しゃぼん玉」』
   第80回例会(2011年8月3日)
     平井康三郎『童謡「とんぼのめがね』
     (テーマ:<『唱歌「むすんでひらいて」』のルーツを辿る>)
     J.J.ルソー『文部省唱歌「むすんでひらいて」』
   第81回例会(2011年9月7日)
     (作者不詳)『文部省唱歌「虫のこえ」』
   第82回例会(2011年10月5日)
     草川信『童謡「夕焼小焼」』
   第83回例会(2011年11月2日)
     岡野貞一『文部省唱歌「紅葉」』

と成ります。普段何と無く聴き親しんでいる童謡(唱歌も含めて)ですが、中々奥が深い部分も有ります。その一つが「童謡と戦争」でしょう。又、良く知っている「むすんでひらいて」の原曲の作曲は偉大な思想家のJ.J.ルソー(※1)なのです。第80回例会(2011年8月3日)ではそこに焦点を当て特集しました。

 ■曲目解説について
 「当会(略称【ブラ・クラ】)はエルニーニョ深沢の個性的な解説で、皆さんと共にCDでクラシック音楽を聴き、お茶やお酒を飲み乍ら楽しく語る場です。」という文言が【ブラボー、クラシック音楽!】の誘い文句として掲げられて居ましたが、どうでしたでしょうか?
 曲目解説はもっと沢山書きたかった −100曲以上− のですが、これも中々大変な作業で今数えてみると約20曲位です。これも1曲仕上げるのには色々調べて何度も推敲し1ヶ月位掛かるのです。しかし「個性的な解説」に成っていると自分では思って居ます、まぁ、これも自己満足ですが。
 特に「「モダニズムの音楽」概論」を書いた事とオリジナルCD『モダニズム音楽入門−1〜4』(『モダニズム音楽入門−5、6』は未作)を作った事は良かったと思って居ます。オリジナルCDの『モダニズム音楽入門−1〜4』(←『5、6』は未作は残念ですが)の解説を繋げると「「モダニズムの音楽」概論」に記した内容に成るのです。と言うよりも私は先に「「モダニズムの音楽」概論」を完成させて居ますので、「「モダニズムの音楽」概論」がオリジナルCDのメルクマール(指標)(※2)の役を果たしたと言うべきでしょう。では何故モダニズムに拘泥ったか?、と言えばモダニズムが今尚評価が定まらない所が有り、クラシック音楽ファンでも「現代音楽?、私はパス」と言う人も多く、つまり少数派な訳です。逆に古典派とかロマン派は世間に出回っている本も圧倒的に多く、その中で「個性的な解説」と言っても所詮は世間のゴミに埋もれて仕舞います。私も世間の手垢に塗(まみ)れた古典派やロマン派は端(はな)から遣る積もりは無かったのです。
 解説の中で力作は、ベートーヴェンの『第九』の合唱部が作曲者の若い頃からの曲想であること、しかもベートーヴェンは『合唱幻想曲』で一度実験をした後に漸く『第九』の合唱部を作曲して居る事、『第九』日本初演は板野郡(現:鳴門市)板東のドイツ人捕虜たちである事、など板東へ何度か足を運び思い出深い作です。そして、これらを総合したのが『第九』の曲目解説です。
 又、ドビュッシーの『ベルガマスク組曲』では象徴派詩人ヴェルレーヌの影響が在り、更に「月の光」ではワトーの絵画『イタリア喜劇の恋』で淡く光る月がモチーフに成って居る事を書きましたが、これも力作です。そして08年6月の例会では『ベルガマスク組曲』全曲の生演奏をして戴きました。これは「折々の感想」でも「「ベルガマスク組曲」全曲生演奏」に書きました。今と成っては良い思い出です。
 ホルストの『惑星』も力作でした。ヨーロッパの歴史はオカルトの歴史と言っても過言では有りませんが、ホルストも占星術の信奉者でした。この組曲の曲順「火・金・水・木・土・天・海」を解明出来るのは唯一占星術だけなのです。
 更に解説には定着出来なかったですが、2011年1月にはバロック初期のモンテヴェルディの『歌劇「オルフェーオ」』を紹介し、7月にはルネサンス期のパレストリーナの『教皇マルチェルスのミサ』(全曲)を聴いて戴きア・カペラという唱法と濁りの無い純正律のハーモニーを聴いて戴きました。

    ◆特別解説について
 特別解説というのを遣りましたね、内容を纏めると次の通りです。
   第18回(2006年3月9日):
     「日本人が好きなドヴォルザークと五音音階」
   第35回(2007年11月7日):
     「宮沢賢治の「家路」の歌『種山ヶ原』と童話『銀河鉄道の夜』」
   第46回(2008年10月1日):「童謡『赤とんぼ』の誕生秘話」
   第54回(2009年6月3日):「フランス革命とナポレオン戦争」
   第55回(2009年7月1日):「交野の七夕伝説」
   第59回(2009年11月4日):「『第九』誕生秘話と日本初演秘話」

 第18回は説明不要でしょう。
 第35回は日本人で最初に「家路」のメロディーに歌詞を付けたのは宮沢賢治で『種山ヶ原』という詩がそれです。そして『銀河鉄道の夜』にはドヴォルザークの『新世界交響曲』が出て来るのです。皆で『種山ヶ原』を全員合唱しました。
 第46回は山田耕筰作曲・三木露風作詞の『赤とんぼ』は4番の歌詞を最初に作った事、作った時は1921年、作った場所は故郷の竜野では無く北海道のトラピスト修道院である事など。その貴重な露風の話が森林商報 −森林(株)(今はモリリン(株))の機関紙− に載って居た事を話しました。そして『赤とんぼ』の冒頭のメロディーが頻繁に出て来るシューマン『序奏と協奏的アレグロ(作品134)』を聴きました。
 第54回はどれもナポレオン戦争(1799〜1815年)に纏わる曲を聴きました。ベートーヴェン『交響曲第3番「英雄」』が1804年にナポレオン・ボナパルト1世の皇帝即位 −これはフランス革命(1789〜99年)後の皇帝ですから私はナポレオン1世を反革命者と見做します− の報を聞くと「あの男もつまり俗人だった。」と言った話は余りに有名です。詳細は「ナポレオン戦争に関わる音楽」を読んで下さい。
 第55回は「交野の七夕伝説」ですが、これはオリジナルCDを作りました。持っている方は聴いて下さい。
 第59回は「『第九』誕生秘話と日本初演秘話」で、これは既に述べました
 皆さん、自己満足度100%の曲目解説と特別解説を是非読んで下さい。又、数多くのライヴ演奏をして戴きましたね。感謝、感謝です!!

 ■結び − オリジナルCDを聴くだけの生活を夢見て
 沖縄に来て私は時々オリジナルCDを聴いて居ます。良いもんですね、自分が作ったCDを聴くのは。特に『モダニズム音楽入門−1〜4』はどれも個性的で非常に良いです(←自己満足(^o^))。やはり『モダニズム音楽入門−5、6』を作らなくては、と思いますね。そして出版して粗方自分の思っている事を述べた後は、もし生きていたら、私は自分が作ったオリジナルCDをボケーッと毎日聴く、そう在りたいと心から思って居ます。
 皆さん、どうも有難う御座いました!!...(^O^)/

−− 完 −−

【脚注】
※1:J.J.ルソー(Jean Jacques Rousseau)は、フランスの作家・啓蒙思想家(1712〜1778)。ジュネーヴ生れ。「人間不平等起源論」「社会契約論」などで民主主義理論を唱えて大革命(=フランス革命)の先駆を成すと共に、「新エロイーズ」などで情熱の解放を謳ってロマン主義の父と呼ばれ、又「エミール」で自由主義教育を説き、「告白」では赤裸々に自己を語った。彼は、人間は生来自由・平等であったが、人為・文明の進歩に因って不自由・不平等・不幸に成ったと考え「自然に帰れ」と説き、鋭く社会を批判した。写譜で生計を支え、オペラ・歌曲の作品も在る。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

※2:メルクマール(Merkmal[独])とは、目印。指標。

    (以上、出典は主に広辞苑です)

【参考文献】
△1:『パーリャン小学校の思い出(第2版(改訂版)) 〜中国雲南省の辺境地に小学校を作る〜』(エルニーニョ深沢著、蛙ブックス)。

●関連リンク
参照ページ(Reference-Page):純正律とは▼
資料−音楽学の用語集(Glossary of Musicology)
参照ページ(Reference-Page):宮沢賢治の『種山ヶ原』が
日本で最初の「家路」の歌▼
資料−ドヴォルザーク「家路」の歌詞(Lyrics of ”Goin' Home”, Dvorak)
参照ページ(Reference-Page):『第九』の「歓喜頌歌」と
『合唱幻想曲』の歌詞▼
資料−合唱幻想曲と第九の歌詞(Lyrics of Chorus Fantasy and Symphony No.9)
曲目解説のメニュー▼
クラシック音楽の曲目解説目次(Explanation menu of CLASSIC MUSIC)
「モダニズムの音楽」について▼
「モダニズムの音楽」概論(Introduction to the 'Modernism Music')
『第九』の合唱部は作曲者の若い頃からの曲想▼
日本に於けるベートーヴェンの第九(Beethoven's Symphony No.9 in Japan)
ベートーヴェンは『合唱幻想曲』で一度実験をしてる事▼
ベートーヴェンの合唱幻想曲と第九
(Chorus Fantasy and Symphony No.9, Beethoven)

板東のドイツ人俘虜収容所について▼
板東のドイツ人俘虜たち(The German captives in Bando, Tokushima)
これらの総合した『第九』の曲目解説▼
ベートーヴェン「交響曲第9番「合唱付き」」(Symphony No.9, Beethoven)
ドビュッシーの『ベルガマスク組曲』の解説▼
ドビュッシー「ベルガマスク組曲」(Suite Bergamasque, Debussy)
『ベルガマスク組曲』の全曲生演奏の感想▼
「ベルガマスク組曲」全曲生演奏(Live performance of 'Suite Bergamasque')
ホルストの『組曲「惑星」』の解説▼
ホルスト「組曲「惑星」」(Suite 'The Planets', Holst)
「ナポレオン戦争に関わる音楽」の詳細▼
ナポレオン戦争に関わる音楽(Music related to the Napoleonic Wars)
【ブラボー、クラシック音楽!】の活動履歴▼
ブラボー、クラシック音楽!−活動履歴(Log of 'Bravo, CLASSIC MUSIC !')


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