さーて。
退院、退院〜♪
長かった…!
もーホント身体 動かせないのって俺ダメなんだよな〜。
「竜、これで全部か〜?」
「おー」
俺はシズカの問いに浮かれた声で答えた。
この病室ともお別れだな〜。
「一宮くん、淋しくなるよ〜」
「俺もオッサンのイビキがなくて淋しくなるよ」
「その減らず口も もう聞けないねぇ」
「おう、ハゲじいさん」
「ふっ、そんなこと言ってられるのも今のうち」
「そーだな〜。俺も そのうち仲間入りだな。よろしく」
遺伝的には絶対ハゲる。
「退屈しなかったんだけどなあ〜」
「じゃ、お世話になりました〜」
俺は荷物を担ぎ、挨拶をして、部屋を出た。
が。
「 うゎ ! 」
いい伊集院!?
「…竜くん…」
ドアを開けたところに、ぬぼーっと伊集院が立っていた。
あー ビックリ。
「あ、シズカと来た?」
「……はい……」
シーン。
……な、なんだ?
伊集院は うつむいて顔を上げないまま立っている。
あのー
霊に取り憑かれた みたいで怖いんですけど…
長い髪が相乗効果って感じ。
「そうだ、また お世話になるから、よろしく〜」
伊集院が別に屋敷に居てもいいって言ったんで、
居候続行。
正直ジジイのところまで通うのも面倒臭かったから良かったよ。
うんうん。
シーン 。
なんだよ、挨拶してるのに無視かよー。
よくないぜ、ヒトとして〜。
「 ・・・の 」
「ん?」
なんだ?
「 ・・・くん の 」
「 竜くんの バカぁーーー!!!」
おゎ、ちょっ、待っ……!
………………退院あけの人間に
投げ技かますヤツがあるかー!!
………心の叫びもムナしく、くるり と俺の身体は反転して。
「ってぇ…」
そりゃもう、一片の容赦のカケラもなく床に叩き落されたのだった…
マジかよ・・・
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