放課後子ども教室ハッピーの問題点が情報公開で判明

放課後子ども教室ハッピーの問題点は、大きく分けて、令和2年度に購入したジェルタイプの消毒液と令和3年度に購入した液体タイプの消毒液、花王のハンドスキッシュEXがあります。

令和3年草成第350号「草加市放課後子ども教室のアルコール消毒液について(回答)」には、『現在、各教室で使用しているジェルタイプの商品は、アルコールが品薄状態であった令和2年度(2020年度)に、一定数の確保が可能であったため、子ども育成課として組織的に検討し、購入したものです。』と、書かれています。

令和2年度に購入したジェルタイプの消毒液の問題点

問題点は、納品数納品した製品名組織的に検討して購入した、品薄状態の4点です。

納品数の問題

令和4年草成第154号公文書一部公開決定通知書に添付されていた子ども育成課への納品書に書かれている事は以下のとおりです。草加市への情報公開請求で判りました。

  1. 令和2年8月31日、spアルコールハンドジェルS500mLを4本納品
  2. 令和2年9月3日、spアルコールハンドジェルS500mLを12本納品

草加市子ども育成課が運営する放課後子ども教室は、市内の小学校に1つずつあります。小学校は全部で21校ですから、4本+12本=16本では、足りません。令和2年度は、上記の16本以外の納品書はありません。

納品した製品名の問題

納品書に書かれている製品名は「SPアルコールハンドジェルS 500mL」で、サイキョウ・ファーマ社の製品です。しかし、株式会社サイキョウ・ファーマの製品情報のページに、この製品は(2022年6月現在)記載されていません。販売中止になったのです。何故、販売中止になったのでしょう。それは、以下の景品表示法に係る措置命令が原因であったと推測されます。

手指洗浄用消毒液のエタノール濃度 国民生活センター「商品にアルコール濃度の表示がない」、「濃度が表示されているが本当だろうか」などといった商品の安全・品質や表示に関する相談情報が、2019年12月以降の約8カ月で689件寄せられています。

商品テストの結果、商品本体の表示等に問題がみられるものがありました。そのほかにも、消費者庁では2020年5月19日、アルコールを主成分とするとされるハンドジェルにおける配合割合が大幅に表示を下回っていたとして、景品表示法に係る措置命令が行われました。

実際、サイキョウ・ファーマ社のSPアルコールハンドジェルSは、商品にアルコール濃度の表示がなかったのです。

子ども育成課は、このサイキョウ・ファーマ社の製品にアルコール濃度の表示がない事に、気が着いていませんでした。放課後子ども教室ハッピーの児童サポーターが指摘して、初めて気が着いたのです。本当に、組織的に検討したのでしょうか。

組織的に検討

草加市長へのEメールの回答 令和3年草成第350号には、子ども育成課長 小中 一郎の名前で、『現在、各教室で使用しているジェルタイプの商品は、(中略)子ども育成課として組織的に検討し、購入したものです。』と、書かれています。

草加市へ情報公開請求をしたところ、草成第155号公文書非公開決定通知書で『受注を決定した理由が判る公文書は存在しない』と、子ども育成課からの回答でした。組織的に検討したのなら、公文書はあるはずです。

草加市情報公開条例 第2条では、公文書を『実施機関の職員が職務上作成し、(中略)当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの』と、定義しています。

子ども育成課長 小中 一郎の名前で「組織的に検討した」と、回答しています。自分の権限では決定できないことについて、組織的として検討する訳ですから、組織内で「稟議書」や「起案書」を作成しているはずです。この「稟議書」や「起案書」は組織内で保有していないのでしょうか。

この非公開決定通知書に不服がある時は、3カ月以内に、草加市長に対して審査請求をすることができます。

品薄状態の問題

転売規制の解除について-消費者庁需給の逼迫が改善すれば解除すべき性質のものです。こうした考え方の下、メーカー側の協力もあり、国内生産増加や輸入拡大によりマスクおよびアルコール消毒製品いずれも供給量が増加し、市中での購入が可能な状況となったことから、需給の逼迫が改善しているものと判断し、2020年8月29日、マスクおよびアルコール消毒製品の転売規制を解除しました。

2020年8月29日に「需給の逼迫が改善しているものと判断し」、即日の8月29日に解除するという事を政府はしません。品薄状態が改善したのは、8月29日より、はるか前の事です。

令和3年度に購入した液体タイプの消毒液ハンドスキッシュEXの問題点

問題点は、製品名納入時期仕様書用途不明の4点です。

製品名の問題

納品書に書かれている製品名は「ハンドスキッシュEX (800mL)」で、花王の製品です。この製品のエタノール濃度は65%で、国の基準を満たしていません。濃度70%以上95%以下のエタノールを使うのが国の基準です。ただし、「70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えありません。」と、国は言っています。

厚生労働省のロゴ新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について|厚生労働省 70%以上のエタノールが入手困難な場合を参照。

子ども育成課がハンドスキッシュEXを購入した2021年10月から2022年1月の期間に、70%以上のエタノールが入手困難な状況にはなっていません。

放課後子ども教室ハッピーに、ハンドスキッシュEXが届けられたのは、2022年1月13日です。

納入時期がバラバラ

令和4年草成第154号に添付されていた子ども育成課へのハンドスキッシュEXの納品時期は以下のとおりです。草加市への情報公開請求で判りました。

  1. 2021年10月29日 ハンドスキッシュEX本体800mL(6本)×2箱
  2. 2021年11月9日 ハンドスキッシュEX本体(6本)×2箱
  3. 2021年11月15日 ハンドスキッシュEX本体(6本)×2箱
  4. 2022年1月11日 ハンドスキッシュEX本体(6本)×1箱

全部を合計すると、(6本)×7箱=42本です。草加市の小学校は21校ですから、1校あたり2本で42本になり、辻褄は合います。しかし、何故、2カ月以上にわたり発注を小分けにしたのでしょう。組織的に検討したとは、思えません。

発注を小分けにする事により1回の金額が少額になり、何らかの規制を免れると、子ども育成課は考えたのでしょう。何らかの規制とは、民間業者に発注する際の仕様書の要 不要です。

民間業者に発注する際の仕様書

草加市へ情報公開請求をしたところ、子ども育成課は「地方自治法施行令167条の2に規定する随意契約を要する金額ではなかったことから、民間業者に発注する際の仕様書は存在しない」と回答しています。裏を返せば、随意契約を要する金額だった場合は、仕様書が必要なのです。子ども育成課は仕様書を示さなかった為に、国の基準を満たさない濃度65%のハンドスキッシュEXを購入する羽目になったのです。

一方、教育総務部学務課からの回答では、民間業者に発注する際の仕様書が添付されていました。内容は、「規格等 アルコール消毒液 内容量:5リットル。有効成分:エタノール80%。」です。80%は国の基準を満たします。

どちらの消毒液も、使うのは小学校の児童です。子ども育成課が考えている事は理解できません。

用途不明のものを買っている

令和4年草成第154号に添付されていた納品書には、「2021年10月29日 ハンドスキッシュEX業務用(3本)×4箱」という記述が見られます。この業務用というのは、「花王の製品情報|ハンドスキッシュEX 業務用」によると、1本が4.5Lです。飲食店やホテルで詰め替え用として使うものです。濃度は65%で、国の基準を満たしていません。

(3本)×4箱=12本では、市内21校の小学校に配布できません。そもそも、4.5L(重さは4.1kg)の詰め替え用ですから、不慣れな詰め替え作業をすれば、アルコールが漏れる危険があります。

放課後子ども教室ハッピーには、なぜか4.5LのハンドスキッシュEXが持ち込まれています。しかも、漏斗(ろうと、じょうご)なしで、西校舎前の階段脇に半年近く放置されています。子ども育成課は、これをどういう用途に使うつもりなのでしょう。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。