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田沢湖線
沿革
大正10年7月30日生保内軽便線として大曲〜角館間(16.8km)が開業
大正10年12月11日角館〜神代間(6.0km)が開業
大正11年9月2日生保内線に改称
大正12年8月31日神代〜生保内間(12.7km)が開業
昭和41年10月1日生保内駅を田沢湖駅に改称
昭和41年10月20日赤渕〜田沢湖間(18.1km)が開業し全通(田沢湖線に改称)
昭和57年11月15日交流電化
平成9年3月22日標準軌化され秋田新幹線が開業

盛岡と大曲を鉄道で結ぶ計画は古くからありましたが、実際に着工に至ったのは大正末期でした。盛岡〜橋場(後に廃止)間は橋場軽便線として、大曲〜生保内(現:田沢湖)間は生保内軽便線として大正12年までに開業し、残りの橋場〜生保内間は生橋線として開業するはずでした。 ところが戦況の悪化により「不要不急線」の指定を受け建設は休止、雫石〜橋場間のレールも撤去されてしまいました。戦後すぐに着工が再開されたものの、当初の計画が変更され、雫石から先は直線上に建設が進み、3,915mの仙岩トンネルが掘られました。これにより雫石〜橋場間は放棄されてしまいました。 そうして全通したのは盛岡〜雫石間の開業から45年後のことです。
開業時から急行「たざわ号」が走っていたとはいえ、同線は単線非電化の典型的な赤字ローカル線で、特に田沢湖〜赤渕間の列車本数は極端に少ないなど、将来が決して明るくない路線と思われていました。 ところが、昭和60年に田沢湖線の運命を変える出来事が起こります。東北新幹線の開業です。これを機に同線は、秋田への新幹線連絡ルートとして注目され、昭和57年には交流電化が実現、気動車急行だった「たざわ号」も電車特急へと格上げされました。 さらに平成9年にも大転換期が訪れます。秋田新幹線の開業です。線路幅が標準軌間へと変更され、新在直通特急の「こまち号」が東京から直接秋田まで乗り入れるようになり、普通列車にも標準軌専用の701系5000番台電車が投入されました。
このように田沢湖線は、沿線人口からすると赤字ローカル線であるにもかかわらず、設備上は幹線と何ら変わりがないという、非常に特異な路線となっています。

路線概要

営業キロ:41.2km(大曲〜志度内信号場)
線路規格:交流20,000V電化単線 1,435mm
閉塞方式:CTC特殊自動閉塞式
使用車両:701系5000番台[標準軌仕様交流型電車]
駅名: 大曲北大曲羽後四ツ屋鑓見内羽後長野鶯野角館生田神代刺巻田沢湖、[志度内]
※[ ]は信号場です。
※駅名をクリックすると各駅の詳細な情報を見ることができます。

【沿線紹介】
大曲は昔から交通の要衝として発展していて、秋田新幹線開業によって大曲駅の重要性も高まっています。
大曲駅を出るとすぐに右へ大きくカーブし、左側に奥羽本線が離れていきます。線路は田園地帯を進み、4つの小さな駅を過ぎていきます。まもなく角館駅というところで、真新しいコンクリート橋を渡ります。これは秋田新幹線開業に併せて架け替えられた第一玉川橋梁です。 正確には「主塔形式独立2本柱プレキャストPC構造」と言うそうです。
角館は「みちのくの小京都」として全国的にも有名で、毎年行楽シーズンには多くの観光客がやってきます。
角館駅のホームにいると、柵の向こう側に小さなホームが目に入りますが、これは国鉄角館線から転換した秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線で、県北の鷹巣につながっています。
角館駅を出ると秋田内陸線の線路が左側にしばらく併走しますが、強固な路盤に敷かれたPC枕木ときれいに並んだ架線柱が頼もしい田沢湖線に対し、赤茶けた枕木が目立つ秋田内陸線の線路はとても痛々しく思えます。
無人駅を3つ過ぎ、トンネルを2つくぐると県内東端の田沢湖駅に到着します。この駅は設置当初「生保内駅」と呼んでいて、建設線の名称も生保内線を名乗っていたのですが、観光スポットとして有名な田沢湖にあやかり、昭和41年に改称したものです。(ちなみに田沢湖町の名前は昭和31年に命名)
しかし、名前とは裏腹に駅から田沢湖が見えるわけではなく、湖畔まではバスで10分はかかります。
ところで、県内の駅は田沢湖駅が東端なのですが、実は県境までの間には「志度内信号場」という行き違い設備があり、ここにはホームもあるうえに「こまち号」も時々停車します。 ただ、これはいわゆる「駅」ではなく、田沢湖〜赤渕間18.1kmをすべて単線のままにしておくと両端の駅でしばらく反対列車を待っていなくてはならず、ダイヤ設定が困難になるため、それを回避するために設けられた、行き違い専用の設備です。 また、ホームは保線要員が点検等の際に使用するために設置されているのであり、一般乗客は乗降することはできません。もちろん、ここで列車が停車してもドアは開きません。
志度内信号場を過ぎると短いトンネルが続いた後、全長3,915mの仙岩トンネルへと入り、県境を越えます。

各駅詳細

※画像をクリックすると関連する画像を見ることができます。
大曲駅
大曲 おおまがり
開業日:明治37年12月21日
営業形態:JR直営
構内配線:3面5線(ホームは単式1、島式2)
接続路線:秋田新幹線、奥羽本線
所在地:大仙市大曲通町(北緯39度27分47秒 東経140度28分59秒)

田沢湖線の普通列車は、頭端式になっている3番線を使用します。駅舎は秋田新幹線の開業に合わせて平屋から2階建てとなり、改札口も2階部分に設けられました。田沢湖線の普通電車701系5000番台は、規格上は大曲〜秋田間も走行できますが、定期列車として走ることはありません。

【最寄りの観光スポット】大曲の花火
北大曲駅
北大曲 きたおおまがり
開業日:昭和40年11月21日
営業形態:無人
構内配線:1面1線(ホームは単式)
所在地:大仙市四ツ屋字下新谷地

駅舎はなく、小道とホームが直接階段でつながっています。駅開業時は水田の真ん中にあったのですが、今では線路の北側に住宅が建ち並び、駅の存在がわかりにくくなっています。
羽後四ツ屋駅
羽後四ツ屋 うごよつや
開業日:大正10年7月30日
営業形態:無人
構内配線:2面2線(ホームは相対式)
所在地:大仙市四ツ屋字前田

現駅舎は平成19年7月に改築されたもので、併せて営業形態が簡易委託から無人駅へと変更されています。線路は駅舎側が乗降用、反対側がこまち通過用となっています。駅名に旧国名の「羽後」を付けたのは、発音が同じである中央本線の四谷駅との混同を避けるためです。
鑓見内駅
鑓見内 やりみない
開業日:昭和35年4月1日
営業形態:無人
構内配線:1面1線(ホームは単式)
所在地:大仙市鑓見内字大根田

地名は、安倍貞任がこの地にこもって源義家の「矢を止めた」ことに由来するとの言い伝えがありますが、アイヌ語が語源との説もあります。この駅から鶯野駅までは中仙町に属していましたが、平成17年の合併により大仙市となっています。
羽後長野駅
羽後長野 うごながの
開業日:大正10年7月30日
営業形態:簡易委託
構内配線:2面2線(ホームは相対式)
所在地:大仙市長野字柳田

現駅舎は平成21年3月15日に改築されたものです。地名にもなっている「長野」とは、玉川に沿った長い街道町であったことがその由来です。
鶯野駅
鶯野 うぐいすの
開業日:昭和40年11月21日
営業形態:無人
構内配線:1面1線(ホームは単式)
所在地:大仙市下鶯野字上村

広い原野の真ん中にある駅です。駅舎はなく、ホームへ通じる階段の横にはトイレがあります。
角館駅
角館 かくのだて
開業日:大正10年7月30日
営業形態:業務委託[JR東日本東北総合サービス]
構内配線:2面3線(ホームは単式1、島式1)
接続路線:秋田内陸縦貫鉄道
所在地:仙北市角館町中菅沢(北緯39度35分21秒 東経140度34分29秒)

駅舎は昭和51年3月に武家屋敷をイメージしたものに建て替えられ、秋田新幹線開業時に若干改築されました。みちのく小京都として有名な武家屋敷群は駅から徒歩で10分ほどの距離にあります。なお、秋田内陸縦貫鉄道へ乗り換えるにはいったん改札を出る必要があります。

【最寄りの観光スポット】武家屋敷
生田駅
生田 しょうでん
開業日:昭和30年7月10日
営業形態:無人
構内配線:1面1線(ホームは単式)
所在地:仙北市田沢湖神代字街道南

小道とホームが直接階段でつながっています。もともと駅舎はなく、ホーム上の待合室は平成9年に改築されたものです。駅名の「生田」は「正田」から転じたもので、細流に沿って作られた水田を表す語です。なお、この駅から田沢湖駅までは田沢湖町に属していましたが、平成17年の合併により仙北市となっています。
神代駅
神代 じんだい
開業日:大正10年12月11日
営業形態:無人
構内配線:2面2線(ホームは相対式)
所在地:仙北市田沢湖卒田字籏

現駅舎は平成19年7月に改築されたものです。ホームは駅舎側が乗降用、反対側がこまち通過用となっています。かつては有人駅だったため、駅舎には事務室スペースがあります。なお、駅名は「神代」ですが、地名の神代は隣の生田駅がある付近を指します。
刺巻駅
刺巻 さしまき
開業日:大正12年8月31日
営業形態:無人
構内配線:2面2線(ホームは相対式)
所在地:仙北市田沢湖刺巻字大道

駅舎は簡易構造となっていますが、以前は大きな駅舎があったのか駅前が広くなっています。駅から徒歩15分のところには、ミズバショウの群生地が広がっていて、毎年4月上旬から5月上旬が見頃です。
田沢湖駅
田沢湖 たざわこ
開業日:大正12年8月31日
改称履歴:生保内→田沢湖(昭和41年10月1日)
営業形態:業務委託[JR東日本東北総合サービス]
構内配線:2面3線(ホームは単式1、島式1)
所在地:仙北市田沢湖生保内字男坂(北緯39度41分51秒 東経140度43分33秒)

駅舎は秋田新幹線開業に合わせ、昭和32年3月改築の木造平屋から近代的な鉄筋2階建てとなりました。日本一の水深を誇る田沢湖は、駅前バスターミナルからバスで10分の距離にあります。なお、この駅のある地は昭和31年に田沢湖町となるまでは生保内村でした。

【最寄りの観光スポット】田沢湖
 
志度内 しどない
開業日:昭和41年10月20日
営業形態:信号場
所在地:仙北市田沢湖生保内字シトナイ沢

列車行き違いのための設備で、短いホームはありますが、一般客の乗降はできません。付近は豪雪地帯のため、上部はスノーシェルターで覆われています。ところで「志度内」は地名にもあるようにアイヌ語の呼び名「シトナイ」に漢字を当てたものです。なお、この信号場の標高は325mもあります。

ミニ情報

田沢湖〜赤渕間(18.1km)は、旅客駅間距離としてはJR東日本で最長です。
田沢湖線のうち、JR東日本秋田支社は、大曲〜志度内信号場間を管轄しています。

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