日本人の自然観の推移は脱原発を示唆

脱原発の意識は福島原発事故の前から、日本人の心の深層にあったようです。統計数理研究所の調査では自然に従えは50%を超えます。

原発の倫理学(古賀茂明 著)では、脱原発を倫理的な観点から再考しようと、呼びかけています。

日本人の自然観の長期推移(統計数理研究所)

  1. 自然に従えは、風力・太陽光発電。
  2. 自然を利用は、火力発電。二酸化炭素の増加は目をつぶる。
  3. 自然を征服は、原子力発電。問題があっても、科学技術で克服する。

エネルギー源を上記のように考えるのは、少し無理があるかもしれませんが。 自然観の長期推移のグラフ(統計数理研究所) 1953年〜2013年 自然と人間との関係(統計数理研究所統計数理研究所)
質問 自然と人間との関係について、つぎのような意見があります。あなたがこのうち真実に近い(ほんとうのことに近い)と思うものを、ひとつだけえらんで下さい。 以下は、回答の選択肢。

  1. 人間が幸福になるためには、自然に従わなければならない
  2. 人間が幸福になるためには、自然を利用しなければならない
  3. 人間が幸福になるためには、自然を征服してゆかなければならない
  4. 無答

福島原発事故前の2008年で、自然に従えが51%、自然を利用が38%、自然を征服が5%です。

年代別自然観

年代別自然観 2008年年代別 自然と人間との関係(統計数理研究所統計数理研究所)
若い世代の右傾化を懸念する声も聞かれますが、年代を越えて自然に従えが、ほぼ過半数を占めます。
市長や市議会議員は、この結果をどう受け止めるのでしょうか。地方分権ではなく、地方から国政へ提言する時代に、なるべきです。

草加市議会は脱原発宣言を出すでしょうか。2014年の草加市議会選挙は脱原発を争点にするでしょうか。

原発の倫理学

原発の倫理学は脱藩官僚として有名な古賀茂明の著作で、2013/11/28に発行されました。

原発の倫理学(講談社)より。 二人の元総理(小泉氏と細川氏)が期せずして脱原発を「人の生き方の問題」「倫理の問題」として語り始めたことは、極めて重要な意味があります。私が小泉氏や細川氏に期待するのは、大きな哲学、「脱原発の倫理観」を国民に提示し、国民的大議論を巻き起こすことです。議論の末、国民の大多数が新しい日本の生き方、「脱原発と再生可能エネルギーで、自然とともに生きる国日本」を目指すという共通の目標に到達すれば、その時初めて、脱原発が可能になるのだと思います。

原発の倫理学では、その非倫理性を述べています

  • 自分の利益の為に他人を犠牲にする事は倫理的ではない。(当然)
  • 「モノを生産して利益を上げるのは自由だが、事故が起きた時のリスクを第三者に負担させる事は非倫理的だ。(これも当然)
  • 事故の時の損害賠償は、生産者が負担する。(これも当然)

原発の所有者である電力会社は、上記のように考えて行動しているでしょうか。政府は電力会社に倫理的に行動せよと言っているでしょうか。

福島原発事故と原子力損害賠償支援機構

原子力損害賠償支援機構は、福島原発事故に伴って官民共同出資で設立されました。 原子力損害賠償支援機構wikiにも書いてあるように、原子力損害賠償支援機構は、福島第一原発事故に対して、東京電力が賠償する資金を、国が肩代わりするために設置された機関といえます。

原子力損害賠償支援機構法には『原子力損害賠償支援機構は、原子力事業者がその責めに任ずべき額が賠償措置額を超える原子力損害が生じた場合において、当該原子力事業者が損害を賠償するために必要な資金の交付その他の業務を行う。』と、書いてあります。この資金の出所は税金と電気料金です。

原子力事業者(電力会社)の損害賠償を、第三者である一般国民が負う事になっています。リコールされた自動車が交通事故を起こした時に、その賠償を自動車会社ではなく、一般のユーザーに押し付けるようなものです。
さらに、政府は除染費用三兆六千億円を全額、国の負担とすると言っています。国民一人当たり3万円です。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。