−11月−

−ジオラマ8−
「Bが本当に相手をしているのは,Aを自分の思うようにしたいと思ってしまう自分自身の心,性格なのです。(Aといっしょに遊びたい,そのAが自分の方を向いてくれない時,Aの腕を強くつかむようなことをしたらよけい自分は嫌われる,ということは冷静に考えれば分かるのに,その場ではついかっとなってやってしまう。)という自分の中にある(気に入った物は独り占めしたい)と強く思ってしまう,もう一人の自分を相手にしているのです。そしてこの人はこの自分との戦いが一生続くのです。」

−ジオラマ9−
「世の中には時々こういう不幸せな人がいます。でも,それは実はBだけでなく,Aも不幸せなんです。自分の幸せに気付いていないからです。」

−ジオラマ10−
「今回,Aは,Bが自分の思うようにしようと思ってAの腕を強くつかんできたことが問題だから,このことを話し合ってほしいと思っています。BはいつもAといっしょにいたいのです。いっしょに遊びたいと思っています。それはAが他の人の所に行くとヤキモチを焼いてしまうくらいです。つまり,これはこんなにAは人から好かれるということです。先生も,話していて味がある人だなあと思っていました。」

−ジオラマ11−
「自分が人から好かれることのありがたさや幸せに気付けないAも,Bほどではないにしても,やはり不幸です。Aはいつの間にか周りの人が寄ってくるようになっていて,それが当たり前のように感じているのでしょう。人が自分を求めてくれる幸せや,腕をつかまれる自分の存在の意味に気付けたら,もっと上手に生きていけるのに,もったいないですね。これから先,中学,高校,社会に出てもいろんな人が自分とかかわってきます。問題にするばかりじゃなく,上手に付き合っていく方法を今から学んでいくことも必要です。」

−ジオラマ12−
「みんなは今は我慢できないけど,大きくなったらできるようになると思っているかもしれませんが,本当はほとんどの場合その逆です。人は歳を取るほど,融通が利かなくなっていきます。今が大事です。今のうちに,人とうまく付き合っていける自分をつくり出していくことが生涯の財産となります。」

−ジオラマ13−
と,いうような話を全体にしていきました。直接「相手のことをもっと考えましょう。」と注意するより,Bには効き目があると思ってのことでした。「世の中にはいろんな人がいる。」「自分がどう付き合っていくかというのは,実は相手とではなく,自分との戦いになる。」「人とのかかわりの問題は一生続く。」という人生のジオラマを,大袈裟に言えば一緒に俯瞰することによって,今必要な問題の処理の仕方や,昇華して考える考え方に触れておくことが,これからの生き方のヒントに少しでもなればと思っています。

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