◎『国郡一統志』 名藍志山本郡霜野山康平寺の条
「(前文略)伏見院御宇(ギョウ)有東国旨 勤行異国降伏祈祷千手供養法三時千手陀羅尼百遍 尊勝陀羅尼百遍法華経一部観世音経三十三巻 自四月一日至七月晦日永仁二年五月二日 也(後略)」
*書き下し文 「(前文略)伏見院の御宇、東国の旨有り。 異国降伏の祈祷、千手供養法三時、千手陀羅尼百遍、 尊勝陀羅尼百遍、法華経一部、観世音経三十三巻を勤行せよ。 四月一日より七月晦日に至る。永仁二年五月二日 なり、と。」
◎『国郡一統志』 「御伏見院為御願円満御祈祷且定寺境濫妨殺生禁制旨 正安四年十一月十一日也 」
◎『肥後国誌』康平寺の条 陳迹(チンシャク)略志云 霜野俗(に)下野ト書(く)、 後伏見帝正安(ショウアン)四年住僧禎宣(テイセン)カ(ガ)時 祈祷所トナスノ院宣今に秘蔵シテアリ 天台宗也云々
(補)古記集覧 霜野来由記云・・・人皇九十二代 御伏見院 御宇(ギョウ)正安四年 住僧禎宣法印 依請御祈祷所ト成リ 院宣左ニ記ス
「肥後国霜野荘康平寺事住僧禎宣(依)申請為 御(祈)祷所可祈精{請の誤りか?}御願(円)満 兼又寺邊停止甲乙人乱入可禁断殺生之由 可令加下知綸旨院宣如此仍執達如件
正安四年十一月十一日 按察使 頼藤 」
*書き下し文 「肥後国霜野の荘、康平寺こと住僧禎宣(テイセン) 申請に依り御祈祷所と為す。御願円満を祈請すべし。 兼ねて又、寺辺(ジヘン)に甲乙人の乱入するを停止(チョウジ)し、 殺生(サッショウ)を禁断すべきの由(ヨシ)、下知(ゲヂ)を加えしむべし。 綸旨(リンシ)院宣(インゼン)仍(ヨッ)て執達(シッタツ)件(クダン)の如(ゴト)し。
正安四年十一月十一日 按察使(アゼチ)頼藤(ヨリフジ) 」