自己否定と自己肯定
◆自己否定とは
自己否定とは、自分で自分のことを否定することです。
自己否定する人は、他人と自分を比べて「自分なんて存在価値がない」、「自分はダメな人間だ」と落ち込みます。
◆自己否定をしてしまう理由
1. 親から否定されて育ってきたから
子どもは親の愛情を受けることで、自己肯定感を育むといわれています。
しかし、親から否定的な言葉を受けて育つと、自己否定感が高まってしまう傾向があります。
「そんな事やっても意味ないでしょ」
「あなたには向いていないから止めなさい」
など、両親が子どもの可能性や人格に対して他者否定するような言葉言われ続けていれば、自己否定が強い子どもに
成長するのは当然かもしれません。
2. 友達や兄妹と比較されて育ってきたから
兄妹や周りの友人と比べられると自己肯定感が下がってしまい、結果的に自己否定感が高まってしまいます。
「〇〇はできているのになんであなたはできないの」
「同じように育てたはずなのになぜこんな点数なの」
などと言われることで、「自分はなんてダメなんだ」と思う気持ちが生まれてくるようになります。
3. 周りと違うことが悪いと思っているから
日本では「みんな同じ」が良しとされている風潮があります。運動や勉強の得意な子が能力を発揮することを押さえられてしま
うと、自己否定感が高まってしまうのです。
「出る杭は打たれる」環境が原因で自分の存在する意味を見出せなくなってしまい、強い自己否定感を感じてしまうこともあ
ります。
4. 過去に大きな失敗をして挫折したから
例えば学生時代は特に問題なく生活していたのに、社会に出た途端にトラブルや失敗続き、職場の人間関係も上手く
いかないなど、大きな挫折を経験すると「自分は何にも出来ない…」「生きている意味がない…」と自信喪失になります。
1つの失敗が、自己否定感につながることもあるのです。
5. 生まれつき感受性が豊かで繊細
生まれつき感受性が強い人のことを「HSP」と言います。HSPの人は非常に繊細な性格の持ち主な
ので、何かと自己否定感を感じてしまい、生きづらさを感じやすいのです。
例えば、仕事で小さいミスを指摘されただけでも必要以上に落ち込んてしまいます。
他人の感情を敏感にキャッチし、自分が悪いと思ってしまうのです。
◆自己否定してしまう人の特徴
特徴1. 自分に自信がない
誰でも失敗が続けば自信をなくします。しかしそれが慢性化してしまうと「自分にはこんなこと出来ない」という心理
から、どんどん自信を無くしてしまいます。
例えば職場で新しい仕事を振られても「自分には無理」「また失敗したらどうしよう…」と思ってしまいます。
失敗は糧にして次に活かすものと前向きに考えれば、失敗は怖いものという考えをやめることができるでしょう。
特徴2. 他人からどう見られるかを第一に考える
自己否定をしてしまう人は、自分で自分を認めることができないという心理から、他人の評価が自分の生きる基準になってしまっ
ていることが多いです。
例えば、親から「こうなって欲しい」と期待をかけられると、意味など考えずその期待に応えようとします。そうしないと
「ダメな子」と思われると感じてしまうからです。
他人軸で生きるのをやめたいなら、まずは自分が何をしたいのか、何を考えているのかなど心の声を聞くことが大事です。
思ったことを紙に書き出せば、自分の本当の想いに気づくことができます。
特徴3. 周りと自分を比較してしまう
自己否定をする人は、「自分は他の人よりうまくできない」と思い込んでいるため、人と比較して自分が劣っている点ばかり
探してしまいがちです。
他人と比べだしたらキリがありません。他人と比較するのではなく過去の自分と比較する癖をつけましょう。
そうすれば自分の成長を感じられるので、自分を認めてあげられるようになります。
特徴4. 自分で決めることが苦手
自己否定をしてしまう人は「自分の選択に自信がない」という心理から、何をするのも決断が人任せになってしまっています。
これをやめたいと思うなら、自分で意思決定する経験を積むことが大切です。まずは自分が食べたいものを食べたり、自分の
着たい服を選んだりと、小さなことから自分で決める習慣をつけましょう。
特徴5. 完璧主義でプライドが高い
自己否定がやめられない人は少しでも周りに指摘されると、「何でこんなことも私にはできないんだ」と思ってしまう、プライ
ドが高い人が多い傾向にあります。
失敗は誰にでもあることが理解できれば気持ちが楽になり、少しの指摘で自分を責めることをやめられるでしょう。
特徴6. 人のために頑張ることができない
自己否定が強い人は、「誰かのために役に立っているという感覚がない」という心理から、自分の有用性を認識できません。
例えば、その人にしかできないような仕事を任されても「こんなの自分じゃなくてもできる…」と考えてしまいます。
そのため、本来の持っている力を出しきれません。
◆自己肯定感を高める方法
克服法1. 自己肯定感が下がっていることを自覚する
自分の自己肯定感が下がっていることを知り、そのことを認めてあげるだけでも心が楽になるものです。
自己肯定感が下がっていることに気づくには、
「何が不安なのか」「なぜ自信がないのか」を紙に書き出す
客観的に自分を見て、第三者目線でアドバイスを考える
などがおすすめです。
自己認知をする時は、自分の気持ちに「良い」「悪い」で判断するのをやめるのがポイント。「ありのままでいい」と自分を
受け止めてあげましょう。
克服法2. ポジティブな言葉を意識して使う
前向きな言葉を発することで気持ちもポジティブになります。
「何もかもやめたい…」ではなく「やったら成長できるかも」「楽しそう」
「また失敗した…」ではなく「この失敗を次に活かそう」
「他人と比べて自分は…」ではなく「他人は他人。自分には自分にしかない良いところがある」
など。
自分にとって良くない事が起きても、悩まないで、良い面を見るようにすることが大切です。
克服法3. 自己肯定感が高い人の近くにいるようにする
自己肯定感の低い人は、周囲の空気に流されてしまう傾向があります。そのため、ネガティブな人に囲まれて過ごすと、
自分も引きずられてしまうので自己肯定感を上げることは難しくなります。
逆に、自己肯定感が高い人に囲まれると自分もポジティブになれます。
そういった人がいる環境がなければ、見直す必要もあるかもしれません。
克服法4. カウンセリングを受けてみる
あまりに自己否定が強い場合はHSPなどの生まれつきのものか、重度の場合だとうつ病の可能性があります。
「自己否定をやめたいけれど、一人でやるのは難しい…」という人は、
カウンセラーなどの専門家に意見を聞いてみるという方法もあります。
カウンセリングでは日常的に考えてしまう悩みや、自己否定が強いことについて原因・解決する手段をカウンセラーと共に
考えていくことで、自己否定に打ち克つことを目指します。
自分1人で解決しようとせず、困った時は心理学などを学んだ他者肯定のプロの人からの意見を聞くのもおすすめです。
◆自己肯定感が高い人の特徴
・自分に対して安心感がある
・周りに振り回されない、
・物事を肯定的に受け止められる
・自然な意欲で行動できる
・自分を肯定的にみられる
・物事を肯定的に受け止められる
・自分も他者も尊重できる
・人との違いを受け入れられる
・感情が安定している
・生きるのが楽
・問題解決能力が高い
・失敗を成長の糧にしていける
・他者の意見を聞くことができる
・人の評価を気にしない
・人をジャッジしない
・人間関係が良好
・自分の意見を伝えられる
・問題解決能力が高い
・主体性が高い
◆自己肯定感が低い人の特徴
・不安や怖れを持ちやすい
・自信がなく、受身的
・他人の評価で自分を判断する
・人に評価してもらわないと不安
・他人の評価に振り回される
・人と比べて、落ち込みやすい
・他人の意見を聞くことができない
・自分を否定的に見る
・物事を否定的に受け止めやすい
・他人をジャッジする、
・生きにくさがある
・人間関係にトラブルを抱えやすい
・失敗すると自己価値まで否定しがち
・自分がジャッジされる不安をもつ
・人との違いを認められない
・自分を正当化しないと不安
・他者に対して批判的傾向
・自分の意見が言えない
・問題解決能力が低い
・罪悪感を持ちやすい
・主体性が低い
◆「自己肯定感が高い」と「自分勝手」の違い
自己肯定感を高めることを「自分勝手になることなのではないか?」と思うかもしれませんが、それは違います。
自分勝手は「自分さえ良ければいい」という感覚です。
自信過剰や傲慢、自分勝手な人は自信があるように見えますが、実はこのような人は決して
自己肯定感が高いのではなく、むしろ、低い人です。
また、ありのままの自分を認めることは、自分にうぬぼれたり、自分の短所をみないで、このままの
自分でいいと開き直ることでもありません。
自己肯定感が高い状態とは、自分の現状をありのまま(良い部分も悪い部分も)
認識したうえで、それをどう成長につなげていけるかを考えられる感覚のことです。
本来、生まれながらにして自己肯定感が低い子どもはいません。子どもはみな自己肯定感を持っていますが、育つ環境で、もと
もとあった自己肯定感が低くなってしまうのです。
Copyright 心理学講座 Mental Room Allrights Reserved.