心理療法
心理療法の分類
個人療法:治療者(相談者)と患者(クライアント)が1対1で行う治療法
集団療法:同じ悩みをもつ患者同士、患者の家族が、集団の中で痛みを分け合いながら行う治療法
※現在行われている心理療法(精神療法)の種類は100以上あります。
主な心理療法(個人療法)
来談者中心療法(カウンセリング)
■カウンセラーはクライアントの話を聞くのみで、解釈を提示しない
■カウンセラーはクライアントの感情や考えを尊重し、自分のことのように理解することが必要
認知行動療法
来談者が抱えている悩みや問題の背景には、来談者が現実とはかけ離れた考えや、ものの見方を
持っているという視点から心の問題を解決していく方法
トークン・エコノミー法
適切な反応に対して仮の報酬(トークン)を与えて、トークンが一定の数量に達した場合、物品と交換したり、
ある行動を許可したりするという方法
遊戯療法
心の問題を抱えた子供が対象。子供のもつ治療力を遊びによって引き出すこと、カウンセラーと子供との人間関係を
作ることが重要。専用の遊戯室で行う。
箱庭療法
ユング派のカルフによって創始され、日本で河合隼雄らによって広められた。
砂箱の中に石、人形、おもちゃなどのアイテムを自由に配置させることで、その人の心理状態を分析する。
また、その砂場遊びのような行為そのもので、その人の心を癒す。箱庭療法は、言葉で表すことが難しい
イメージの世界を表現し、それを自分で客観的に見つめることに効果的である。継続して箱庭を作って
いくことで、より大きな効果が期待できる。
短期心理療法
比較的短期間(通常6ヶ月以内)で問題の解決を試みる心理療法の一派を総称して短期心理療法という。
※短期心理療法という名称の心理療法ではありません。
代表的なものに、NLP(神経言語プログラミング)、MRIアプローチ、ソリューションフォーカストアプローチなどがある。
ソリューションフォーカストアプローチ(SFA);解決志向アプローチ
従来の心理療法とは異なり、原因の追究をせず、直接的に解決を目指す点に特徴がある。
結果的に短期間で望ましい変化が得られるとされている。短期心理療法のひとつ。
SFAの流れは、まず、クライエントの問題を傾聴し、ウェルフォームドゴール(よく形成されたゴール)について話し合う。
そして、例外(問題が起きていない状態)をクライエント自身が探索できるように、様々な質問を行う。
SFAの質問には、ミラクル・クエスチョン、コーピング・クエスチョン、スケーリング・クエスチョンなど、特徴的なものが多く、
クライエントのタイプを査定し、それに応じて質問を選択する。
最後に次回までの課題を出し、次の面接では、その効果を確認する。
クライアントが必要な変化を起こせるように、クライエントの問題に沿い続けることが重要になる。
森田療法
森田正馬により創始された心理療法。
主に神経症を治療の対象とし、入院治療が主流であるが、外来治療が行われることもある。
■森田学説の2つの仮説■
ヒポコンドリー性基調説:ヒポコンドリーとは、ふとしたきっかけで不安感を覚え、神経症になりやすい性質のこと
精神交互作用説:不快な感覚に対して集中すればするほど、不快感が増大すること
精神分析療法
神経症の治療法として、フロイトが提唱した療法。
患者に頭に浮かんだことをすべて話してもらう自由連想法や夢分析などがある。
現在は、フロイトの時代のものと比べて、頻度や時間を短縮した簡易型の方法や、他の心理療法
の中に取り入れられて用いられることが多い。
実存分析
人間にとって重要なことは「人生の意味を見出すこと」であるという、精神科医で精神分析家のヴィクトール・フランクル
が提唱した心理療法。
下記の3点を基本仮説とする。
1.意志の自由:人間は自らの意志で態度を決める自由を持っている。
2.意味への意志:人間は生きる意味を強く求める。
3.人生の意味:それぞれの人間の人生には独自の意味が存在している。
園芸療法
土をつくる、植物を育てる、といった園芸活動の中には、私たちの生活に五感に訴える要素が数多く含まれています。
園芸療法とは、そうした園芸の効果を通じて、心や体を病んだ人たちのリハビリテーションとして園芸活動を
セラピーの手段として利用し、社会復帰をサポートしていこうとする療法です。
ただし、これらはあくまで療法の一環であり、健康な人たちが、庭つくりを楽しみ、それを慰めとするというのとは異なるものと
考えられなくてはならないものです。
EMDR
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理)は、
PTSD (Post Traumatic Stress Disorder:外傷後ストレス障害)に対して最も効果的と言われている治療方法です。
EMDRは、外傷的なできごとを考えてもらいながら、治療者が患者の眼の前で指を一定の速度で動かし、それを眼で追い
かけてもらうといった比較的単純な手続きを中心とした治療技法です。眼球運動は脳を直接的に刺激し、脳が本来もっている
情報処理のプロセスを活性化できるので、5年、10年かけて、心のどこかに落ち着いていくプロセスを非常に短時間に進めること
ができます。そして、その過程は患者の脳の本来の力を引き出すので、マインドコントロールのように洗脳されるというよう
な心配は全くありません。止めたいときはいつでも止めることができます。
また、これまでの治療方法では、起こったできごとのすべてを細かく語ることが必要とされることが多かったのに比べて、
大変ストレスの少ない技法と認められています。
ヘルスカウンセリング
心と身体の健康を保つためのカウンセリング。
患者が十分なセルフケア行動を維持できるようにするための技法。
ヘルスカウンセリングの技法は扱う範囲上、心理学を専門に学んでいない人でも、短期間のトレーニングによって
比較的簡単に身に付けられる。
音楽療法
音楽を手段として患者の自己表現を促す治療法。
患者の心理状態に近い音楽を使用する場合と、反対の音楽を使用する場合がある。
方法は、音楽鑑賞などの受動的なものと、歌唱や楽器の演奏などの能動的なものがある。
電話カウンセリング
問題が起きたときにすぐに相談できるため、早期に問題解決に取り組むことができる。
しかし、匿名でも良いなどの状況から、何度も電話をかける、電話に頼りすぎてしまうなどの
コーラー(相談する人)の無責任な態度も起こりうるため、注意が必要。
ピア・カウンセリング
カウンセリングについて専門ではないが、ある程度の基礎知識を身に付けた人が仲間の相談を受けること。
ピアとは、「仲間・同僚」という意味。
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