−11月−

−確かめ9−
「再度確認する」習慣。これができるかできないかは,その後の「入試」はもとより「災害」や「人生設計」にまで影響してくるはずで,同じ一生でも随分違ってくるように思います。ということで,小学校でも「確かめをする習慣づくり」に取り組んでいきます。いくら耳元で「確かめ,確かめ」と言われていても人ごとに聞き流してしまう,テストでいい点を取ろうなどという欲のないタイプの子には,違う緊張感を持たせることで無理矢理「確かめ」を意識させていきます。それが「テスト直しでの個別の指導」であったり,「注意力養成トレーニングシート」であったりします。「確かめをしていないと,後で何だか面倒くさいことになる」という空気を漂わせます。

−確かめ10−
テストを返す時は,全員の机の上を何もない状態にして配ります。テストを返してすぐに各自で直させると,適当に直したりして,何度も直しを繰り返すようになることがあるからです。時間的にも余裕はないので,一度で直しは終わりにしたいと思います。1問目から間違いの傾向と確かめ不足のパターンと解答を説明していきます。漢字や長い解答は黒板に書きます。そして,全ての説明を終えてから筆記用具を出させます。これは説明を最後まで聞かせるためでもあります。

−OHP1−
テストを返して答え合わせをする時とても重宝していたのが,OHP(オーバーヘッドプロジェクター)です。テストの問題をOHPシートにコピーして,答えや答え方を確認し注意していました。一時期はどの学校にも機器があり,黒板の横の天井にはOHP用の巻き取り式スクリーンが設置してありました。それがいつの間にか無くなってきました。

−OHP2−
今や「メール」と言えば「郵便」ではなく,「電子メール」を意味するように,今「プロジェクター」と言えば「パソコンでの投影」ということになっていますが,以前は「OHP」のことでした。このプロジェクターは大変便利で様々な場面で私はよく使用していました。その1つにテストの答え合わせでの使用もあります。テスト問題をシートにコピーするだけですぐ使えました。これをパソコンを使ってとなると時間が何倍もかかります。パソコンに比べて表現力は劣りますが,手軽で瞬時に利用できるのがOHPの良さです。しかし実際にはOHPの入ったスチールケースは,教室の中でいつの間にか物置台になっていたために,廃棄処分されていった経緯があります。

−OHP3−
各学級に巻き取り式のスクリーンまで用意してあり,移動式のスチールケースに入ったあの手軽ですぐ利用できるOHPが教室で有効に使用されることなく姿を消していったことはとても残念なことです。現在のPCとプロジェクターをつないでスクリーンも用意して提示する方式が,全国の学校で日常的に有効利用されるようになる可能性はあるのでしょうか。

−歴史1−
社会で江戸時代の学習が終わって行ったテスト「江戸幕府の政治」は平均が90点以上でした。これは嬉しい予想外の出来事でした。平均が良かった原因には,「繰り返し」と「一人ひとりへの確認」があると思われます。

−歴史2−
いくら興味を持ち楽しく調べ学習をしていても,それとテストの結果が比例していないということがあります。逆に授業は楽しくなくてもテストの結果はいいということもあります。しかし,やはり基本的には楽しく,しかも「定着」もその中で図っていきます。普通は時々プリント等で理解を確認したりしていきますが,これは事務的な負担も増えてきます。

−歴史3−
学習内容の定着を図るためには,授業としては格好の悪い,クイズ形式,暗唱形式を最初や最後に取り入れます。例えばその時の学習内容によって,黒板の端に「白 敬 長」とか「盛 通 允 喜 舟 馬」等を何日間か書いたままにしていました。

−歴史4−
学校のテストの平均点は学校で学んだ結果が出ているわけではありません。塾で学んできた結果も表れています。この平均で安心していては,一部の子はずっと鍛えられないままになってしまいます。調べ学習等で「杉田玄白たちが解体新書を出版した」とノートにまとめても,その一瞬だけで初めて出合う知識が頭に定着するはずがありません。

−歴史5−
どの子にも確実な知識の定着を図るために,授業の最後に実際に人物や業績などを口に出して言わせます。「杉田玄白」と教師が言うと「解体新書」と児童が答えるパターンです。これを最初は教師対全員で黒板を見ながらその日に板書された何人かの人物や出来事について行います。2回目は字の一部分を消してやはり全員で行います。次に人物の名前の最後の1文字だけ残して後は全部消します。そして1列ずつ立たせて順番に一人ずつ聞いていきます。答えられたら座れますが,答えられないと,後からまた問題を出されるまで立って待つことになります。時間がないので,短時間で一人一瞬ですが,自分の順番が来るまでどの子も集中して覚えています。どこでもやられていることでしょうが,最後に「一人ずつ」行うことがポイントだと思っています。

−歴史6−
どちらにしても1時間の中で知識の定着を図るには限度があります。そこで,授業後も記憶を蘇らせる仕掛けをいろいろ残していきます。例えば授業後黒板の端に「白 敬 長」のように人物の名前の最後の一文字を書いておくのもその1つです。すると休憩時間にそれを見ながら子どもたちで,一人が「解体新書」と言うと他の子が「杉田玄白」,「伊能忠敬」と言うと「日本地図」・・・というように授業で行った問題の出し合いを遊び半分でやっています。

−歴史7−
記憶を蘇らせる仕掛けとして,名前一文字を黒板の端に残すと共にもう1つ,授業中に使ったものを黒板に残しておきます。人物のイラスト(A4版)です。これは1枚ずつラミネートして裏に磁石を貼り付けています。これを黒板の端に置き,毎日視界の中に入れることで自然に見覚えのある人物にしていきたいと思っています。

−歴史8−
人物のイラストは場所を取るので,しばらくしたら黒板から移動して教室の外や壁面のフックに掛けます。真ん中上部に穴をあけているのはそのためです。これらはテストの時には外します。授業で使った物を残しておくのは人物のイラストだけではありません。

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