−3月−

−国語1−
最近の国語の授業は何だか複雑で難しくなってきたと思っているのは私だけでしょうか。もっとシンプルに,1つの物語文を読み込んでいくうちに生まれる分析,討議,感想文,評論文等を通して「聞く」「話す」「読む」「書く」力を伸ばしていけるのではないかと思うのは甘いのでしょうか。総合の学習と見間違うようなアクロバット的な単元内容を通り越して,今「大造じいさんとガン」の学習に辿り着き,久し振りの居心地の良さを感じてしまっているのは時代についていけてない証拠なのかもしれません。

−国語2−
物語文の学習には,昔からはっきりした学習パターンが確立されています。そのパターンをなぞっていくだけで,ある程度の確実な学力を保障していけるように思います。例えばまず音読です。背筋を伸ばし姿勢を整え,視線と紙面が直角になるように両手で教科書を立てて持ち,張りのある声で読んでいきます。音読を繰り返した後はどんどん書き込みをしていきます。しかし,最初はどんな場所にこだわり,どんなことを書き込んでいけばいいか分からないものです。

−国語3−
ポイントを押さえていて,本質に迫れるような書き込みができるようになるためには,例文で練習する(「5分でできる指名なし発言」の「風船」文での練習等)のも効果的です。また実際の物語文の中の一文の分析を通して,どのような書き込みをしていけばいいのかはっきりさせていきます。その時の書き込みのテーマを「書いてあることから書いてないことを見つけよう」などとすると,子どもたちは推理感覚で興味を持って取り組むようになることもあります。

−国語4−
物語文の読み取りは最初の振りの付け方がうまくいくと,楽しく進むことがあります。そのために,こちらのテンションをぐっと上げて,のせていきます。「うんうん,なるほど!」「へーっ!」「あっそうか。」「これはすごい!」などと言っている間に1時間が経っていることもあります。新しい学校で,大造じいさんとガンの学習に対する子どもたちの反応はどうだろうかと心配していましたが,日記からは,どうにか楽しんでいる様子がみられ,ほっとしているところです。

−参観日1−
今年度最後の参観日がありました。授業は保健分野で「心の発達」についてを扱いました。参観授業としては初めてでしたが,家の方からは「45分を短く感じた」「勉強になった」等の好感触を得ることができました。

−参観日2−
毎回,参観日にはできるだけ家の方に興味を持ってもらえるような趣向を入れていきます。今回のポイントは「百人一首」「脳と心臓」「成長」「開運なんでも鑑定団」「全員参加」「解読」「一筆箋」でした。

−参観日3−
参観授業始まり5分前から百人一首を始めました。廊下にはそろそろ家の方が来られているのが見えていました。前日試しに1人の子に読んでもらったところ,うまく読んでいたので,この日も同じ子に読んでもらいました。(後で時間を計ってみると,一句を数秒で読んでいました。)多くの子が上の句で取るようになっていましたから,一句が数秒で終わり,試合に迫力がありました。私はその間に授業の準備をしていました。その時の様子を見られて,後の懇談で「百人一首,すごいですね。」と言われました。初めての試みがうまくいって,これからはこのパターンでいこうかなと思っているところです。

−参観日4−
百人一首は一度勝負がつき,いつものように勝ったチームを移動させ,2回戦目を行いました。授業始まりのチャイムが鳴り,家の方が入って来られた頃に2回戦目の終盤にかかっているという展開をねらっていました。子どもたちだけで百人一首に熱中している姿を見てもらい,「成長」を感じてほしいと思ったからです。

−参観日5−
参観日の授業は保健「心の発達」についてを行いました。まず最初「心は体のどこにあると思いますか?」と問いました。何人かが「頭にある。」と答え,一人が「心臓にある。」と答えました。

−参観日6−
「心は心臓にある。」という意見を言った子に対して「そうですね。緊張してドキドキする時,あードキドキすると言って頭を押さえる人はいないものね。胸を押さえるよね。」と言った後,「実は昔の人も心は脳と心臓にあると思っていました。そこで,この2つを並べて(黒板に2つの写真を提示して)ある漢字ができました。何という漢字ができたと思いますか?」と問いました。

−参観日7−
「何という漢字か?」と聞かれて,多くの子が「思」だと思うと答えました。「脳」を表す絵は□の中にしわを十字に入れていって田になります。「心臓」を表す絵は血管が分かれて出ているところから「心」になります。そこで心の働きを「思」という字で表していると学習した後,「このように心がつく漢字をもう1つ考えてみよう。」と指示し,1人に1枚ずつB5版を半分に切った大きさの画用紙を配りました。

−参観日8−
画用紙を配った後,その紙にサインペン(「なまえペン」というサインペンを全員持っています)で大きく1字,心のつく漢字を書くように言いました。書けたら,紙を机の上に置いた状態で左右を両手で持たせ,せーので全員に「ジャカジャン!」と言って一斉に持ち上げさせました。これは,TVの「開運なんでも鑑定団」のパクリです。書いた字を上にして机の上に置き,両端を持ってそのまま頭の上に持ち上げさせると,書いた字は後ろで見ておられる家の方に見えるようになります。これで,家の方全員に自分の子が何を書いているかを一度に知らせることができます。

−参観日9−
家の人に見てもらった後,TVではフリップと言われるその画用紙を前に向けさせ,字を黒板に全部書いていきました。自分の書いた字が板書された子からフリップを下ろします。子どもたちは心のつく字として「恩」「志」「態」「悲」「悪」「意」「感」等を書いていました。これら全てが心の働きを表しているという確認をした後,感情面,思考面,社会面でのそれぞれの心の発達を考えていきました。

−参観日10−
授業のイントロ部分が終わり,ここから1年生の頃と5年の今を比べて,自分たちの心の発達を考えていきます。ここで後ろの家の方々から笑い声が聞こえてきます。黒板には1年生の頃と書かれた文字の下にいくつかの未熟な行動を表したイラストを提示しています。それぞれの行動が心が発達するとどう変わるか考えます。その中で,例えばランドセルを玄関に投げて遊びに出ようとしている行動は心が発達すると・・・という形で意見を出しますが,事実を知っておられる家の方はその意見と実際とのギャップについ笑ってしまわれます。子どもたちもそのあたりはよく自覚していて,「全然変わってない。」などと言います。これは想定内の状況で,このあたりの子どもとの駆け引きも,後ろで見ておられる家の方に楽しんでもらおうともくろんでいます。そして,このままでは発達の授業にならないぞということで,「じゃあ,この際自分のことは棚に上げといていいよ。」というリードで無理矢理意見を出していきます。親子で笑える場面です。

−参観日11−
参観日ではどの子にも発表させたいものです。この日は,挙手した子は全員起立させました。そして一人ひとり全員の意見を聞いていきました。この方法は挙手した子の中から誰かが当てられて発表して終わりにならないので,後で家の方から全員がよく発表していたと好評でした。懇談では要項に以前ここで紹介した日記を印刷しておき,それを途中で紹介しながら,実際に国語の模擬授業をして子どもたちの普段の学習内容を説明していきました。そして,この1年間の取り組みの内容を話しました。こういう時,この一筆箋がちょうどいい手元の資料となることに今回初めて気が付きました。

−記念日−
3月20日は私にとっての記念日になりました。この日の昼休憩にクラスの子全員が教室に残り,子どもたちから「先生,ちょっと廊下に出ていて下さい。」と言われました。しばらくして呼ばれて教室に入ると,パーン!という多くのクラッカーで迎えられました。どうも男子数人で私に対する感謝会を計画してくれていたようでした。びっくりしている私に,男子だけで書いたという色紙を渡し,みんなでゲームをし,最後に私へのお礼の言葉を代表の子が読んで(簡単な内容でしたが,「宿題を完璧に見てくれた」「百人一首や将棋を教えてくれた」ということを言って)くれて,ほんの10分間ほどの感謝会が終わりました。あっという間の出来事でしたが,後からじんわりと効いてきました。転勤して最初の1年目,騒がしさに途方に暮れていた4月から考えると,夢のような瞬間でした。

−通信−
最後の学級通信の半分には前回の「記念日」の内容を載せました。そして残り半分には「みんなで −劇−」と題した文を書いて終わりにしました。

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