−7月−

−品格1−
今年は生徒指導という立場のため,中学校の授業を観に行くことが多くなりました。先日もある中学校に行き授業を観せていただきました。今年は校内の授業を観る機会が多いので,それと比べてあまりの違いに,ついやってしまったことがあります。

−品格2−
授業を観た後,アンケート用紙があり,参考になった点と課題点,疑問点を書くようになっていました。参考になった点を5点ほど書いた後,空白のままにしようと思っていた課題点の欄につい書いてしまったことがあります。以前から中学校の授業を観る度に思っていたことです。

−品格3−
アンケートの「課題,疑問点」につい,「授業の導入,展開,発問の工夫」「板書計画」「言葉づかい」と書いてしまいました。いつもはこういうことをしてはいけないと自制しているのに,どうしたことか今回は書いてしまいました。しかも記名をしたアンケート用紙です。こんなことをすると,決まって後から後悔の念が湧き上がってきて自らを苦しめることは分かっているはずなのですが。

−品格4−
私が今まで見てきた中学生が授業を受けている時の様子は,「シラけた能面のような表情」「ニヒルに構えてペンをやけにくるくる回す」といったイメージです。沈黙,退廃の圧倒的な圧力が教壇に向かって押し寄せてきているように思えます。こういう状況で授業を行うのは大変なことだろうと思います。

−品格5−
大変なことは,自分も中学校に勤めてみて,分かっているつもりです。相手がシラけていれば,その対応として,ある種の馴れ馴れしいくだけた言葉遣いで切り込んでいくという方法も考えられます。また,学習指導より生活指導,クラブ指導への比重が随分重くなるという実感もあります。しかし小学校の先生の授業を見る機会の多い今年は,その丁寧さとのギャップを感じてしまいます。もう少し板書の計画をし,もう少し丁寧な言葉遣いで,もう少し展開の工夫をすれば,あの授業中の態度が変わるかもしれません。もし何も変わらないとしても,「教える」品格として疑問を持つ時があります。

−話1−
1学期の終業式後,学習部,生活指導部,健康安全部からそれぞれ子どもたちに夏休み中の過ごし方について話をすることになっています。私は生活指導部の部長になっているので,夏休みの生活について話をしました。式が終わって帰っていると,廊下で4年生の男の子が「いい話をありがとうございました。」と言ってきてくれました。児童数600人以上の学校です。よく聞いてくれていたのだなあとこちらがありがたく思いました。その後職員室に帰るまでに3人の先生から「子どもが息をのんで聞いていた。」「思わず返事をしていた。」「つい聞きたくなる。」等と声をかけてもらいました。優しい職場です。

−話2−
終業式に話した内容はそれほど大したものではありません。1学期に起きた問題行動もふまえて,夏休み中に気をつけることを3つ伝えただけです。ただ,今回は少し前に音楽専科の先生と雑談している中で,「話にポイントと間があって,聞かないといけない雰囲気になる。」とおだてられていたプレッシャーがあり,それを意識してはいました。自分にもなかなかできないことですが,確かに同じ話でも「間」の取り方一つで随分雰囲気は変わるものだとは思います。

−話3−
「間」がないと「間抜け」になります。とても饒舌な先生のクラスの子が,話を聞かなくなるという事例があります。私自身もつい熱を入れて一気に喋りすぎると,案外子どもたちが聞いていない雰囲気を感じることがあります。音楽でも,一瞬音が途切れるbreakを入れることで印象的になり,インパクトを与えることができます。ゴルフではバックスウィング後の一瞬の間がクラブの軌道に大きな影響を与えます。

−話4−
音楽に堪能な先生から「間」について評価されたことは,とても嬉しいことでした。実際はそんなに「間」を意識してきたわけではありませんでしたが,どうにかして「聞いてもらえる」ように話そうとしているうちに今のような話し方に自然になってきました。自分としては「間」よりも「空気」を読みながら話すという感じです。

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