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−個人懇談1− 夏休みに入って,個人懇談がありました。この懇談のために用意した資料は,1学期の成績の分析,50m走・幅跳びの記録,立候補してなった班長の記録,忘れ物(多かった子と少なかった子)記録,(帰りの会で出された)問題行動記録,漢字練習帳,漢字テストノート,計算ドリルノート,日記(保護者への感謝の気持ちが見られるページに付箋),ケアレスミスがあった子のテストのコピー,2学期の課題等です。 −個人懇談2− 懇談では「談笑」はほとんどありません。成績の分析から始め,用意した資料をもとにした説明を次々とし,最後に家の方が今心配されていることと学校への要望を聞いて,1人10分の制限時間はあっと言う間に終わってしまいます。しかし,その中で嬉しい話を聞かせてもらうこともあります。 −個人懇談3− 「5年生になって帰ってすぐ宿題をするようになった。かたづけができるようになった。時間割をしていくようになった。もう嬉しくて・・・,先生,どんな指導をされたのですか・・・」と,懇談の途中から涙を流しながら話して下さった方がおられました。最近涙腺がゆるくなった私もつられてもらい泣きしながら,「よかったですね。よかったですね。」と,子どもの成長の感動を味わいました。そして,この後。 −個人懇談4− どんな指導をしたのかの問いに対して,次のように答えました。「私はどの子にも同じように指導してきました。その中で○○君ができるようになったのは,○○君がよく聞いて頑張ったからです。○○君がすごいのです。」と。実は,もう10年以上も前に沖縄で野口芳宏先生の講演を聞いた時,親とこんな話をしたという話があり,私もいつかあんなセリフを言ってみたいと思っていたのでした。 −個人懇談5− もう一人,感謝して下さった家の方がおられました。「1学期,休まずに学校に行ったのは今年が初めてです。このことが何より嬉しい。」と。毎年1学期,学校に行くことを嫌がる時期があるという話を家庭訪問で聞いていたので,こちらもそれがいつ来るかと身構えていました。懇談中二人でしみじみ「よかった。よかった。」と言い合ったのでした。 −個人懇談6− 懇談の話の中で感心して下さった方が一人おられました。その方が以前子育てについてカウンセラーから聞かれたこととよく似たことを,4月の学級懇談で私が話したと言われるのです。家庭と学校との連携にちょっとした仕掛けをして,子どもの自覚と生活習慣を育てていこうという内容でした。 −個人懇談7− 私の場合,毎年クラスの中に必ず相性の悪い保護者の方がおられて,どうやっても苦言を受けてきました。新採の頃,43名のクラスで毎日通信を出し,日記帳を2冊作り,交互に毎日返事を書き,土曜日は午後毎週のように学級レクを行い,毎月誕生日会を行い写真を撮り,毎回模造紙に写真を貼って希望者の注文をとり,日曜日には隣町の公園まで遠足に行ったり,学校の裏山に登ったり,海に釣りに行ったり,潮干狩りに行ったりしていても,3学期の個人懇談の時,「先生にまた受け持ってもらいたいと思っている保護者ばかりではありません。」と言われました。当然,そういうことを全くしていない年にもやはり苦言はありました。 −個人懇談8− という訳で,個人懇談等ではいつも「いつ出るか,いつ出るか」と身構える習慣?がついていました。今年も30名以上の懇談をする中で,そろそろ・・・と待ち構えていましたが,ありがたいことに今回は何事もなく済みました。中には「せっかく先生のクラスになれたのに。」と言って下さった方もおられました。その方は2学期から引っ越しをされて,兄弟二人が転校することになったのでした。ところが下の子は転校しても,上の子は転居先からこちらの学校に区域外通学をすることになります。 −個人懇談9− 話を聞くと,仲の良い友だちがいて,その友だちと別れたくないということでした。家族で相談され,今年度だけはこちらに通わせようということになったそうです。友人に対してこんな強い思いを持っている子と,送り迎えの手間をかけてもそれを認めようとされる家族。ドラマチックな展開ですが,これが途中でどう変化するかは誰にも分かりません。せめて,こちらにいる間は1日1日を思い出深い充実した日々にしていけるように,卒業生を担任している気分で2学期からは取り組んでいかなければと思っています。 −水泳指導1− 今年,2年ぶりに水泳指導をしました。以前この欄で紹介したかもしれませんが,今年も100名近い5年生の水泳指導をするのに,13日間一切拡声器を使わず,大きな声を出すこともなく済ませることができました。 −水泳指導2− まず,水泳の始まる時期になると,しばらく私のクラスでは同じ会話が続くことになります。「先生の話1」で紹介しているあの話です。 「先生,今日プールありますか?」 「うん,あるよ。明日も明後日もプールはあるよ。」 「えーっ!本当に?・・・・あぁ,・・・水泳・・・ありますか。」 というパターンです。 −水泳指導3− 水泳の授業の始めは準備運動です。100名近くの児童がプール前に集合します。普通の集会でも騒がしいのに,水泳前となるともう浮かれて大騒ぎとなります。しかし,そこでこちらが大声を出したり,拡声器を使ってしまうと,いつもそのパターンで始めることになってしまいます。 −水泳指導4− 以前,6年生を担任した時も今年も100名近い児童が毎回一言も喋らず水泳前の準備運動をしました。「静かに。」と一言も言わなくても静かになる簡単な方法があります。全員が揃って,話し声が聞こえなくなるまで準備運動を始めないのです。水着に着替えて出てきた子どもたちは最初大騒ぎをしています。しかし,いつまでたっても準備運動が始まらないことに段々気づいてきます。子どもたちは水泳をすごく楽しみにしているので,気づいた子から静かになっていきます。後は我慢比べです。中途半端に始めてしまってはこの方法は効果がありません。完全に一人の声も聞こえなくなるまで,こちらは空を見たり,花壇の花を見たりしてのんびり待っているだけです。 −水泳指導5− 段々気づいてきて,全体が静かになったからといって,そこですぐに何かを始めるとまた隣同士のおしゃべりが始まります。そこで,静かになってもう一呼吸待ちます。そして,集合の態度等についての話は一切せず,ただ体育係の子に準備運動をする合図を送るだけにします。 −水泳指導6− 各学年の水泳時間は1日に45分しか設定してありません。全員が静かになるまで待つようなことをしていたら,泳ぐ時間がなくなってしまいます。それでも最初が肝心です。初めの1時間は,「泳ぐ時間がなくなってもいい」というぐらいの覚悟を決めておきます。さて,準備運動を始めると,必ずいるのが,「おしゃべりする子」「気の抜けた適当な運動をする子」たちです。 −水泳指導7− どんな活動でも,一部にマイナス要因が発生すると全体の活気が萎んでいきます。命にかかわる水泳の準備運動などは一人でもいい加減にさせる訳にいきません。一人でもそういう姿が見られたら,他の「いい加減予備軍」への牽制も含めてすぐに中止させます。そして,「こんな準備運動ではみんなの命を守るために泳がす訳にはいかない」という「演説」を行い,「させられる」運動ではなく「自分の命のため」「泳ぐ時間が少なくならないため」に,本当の準備になる運動を一人一人が行うようになることをめざします。 −水泳指導8− 準備運動はプール前のグランドで行い,その場でプールサイドでの並び方を一度練習します。各クラス背の順一列です。これを一クラスずつ一言もしゃべらずにできるか試します。その後クラス単位で時間差を設けてシャワーを浴びに行きます。子どもたちは,プールサイドに練習したように並んで座りますが,シャワーを浴びたあたりから「キャーキャー,ワイワイ」と約100人の大騒ぎが始まります。私はそれをプールサイドの反対側に座ってずっと見ています。 −水泳指導9− しばらくすると,静かになってきますが,最後の何人かの話し声が途切れません。ここでこちらが指導を始めると,これからもずっとだらけた授業態度が続くことになります。彼らは自分たちが話を聞かずにいても,先生は授業をするだろうとたかをくくっています。そして泳ぐ時間が少なかったり,自由がなかったりすると,「もう終わり?」なんて文句を平気で言うのが目に見えるようでした。 9月へ |