保育園・託児サービス業の会社を設立する場合の会社の種類
保育・託児サービスを行う会社の種類(法人格)
会社には「株式会社」をはじめ、いくつかの種類があります。
それらの法律的なことや、設立などの費用についてはこちらのページをご参照ください。
(参照「会社を設立する-法人の種類と比較」)
このうち、この保育・託児サービス事業を会社で行う場合に考えられる種類(法人格)をここで紹介します。
1.株式会社
株式会社は、営利目的で(=利益を分配できる)設立される法人格です。
ですので、株式会社は「儲け主義」的に見られるのではないかと、「保育」という広い意味での福祉分野では、できれば避けたいと思う方もいらっしゃるようです。
当事務所としては、株式会社だからといって「儲けだけを目的」にしている経営者ばかりとは思いませんし、「儲けること」そのものも決して悪いことではないとも思っています。
株式会社に、認可保育事業を委託している自治体もあります。
ベビーシッター事業は株式会社が運営するものが大多数です。
以前(旧商法時代)ありました「役員の最低人数」や、「資本金の最低金額」の制限が現在はありません。
役員1人、資本金は1円以上いくらからでも設立可能です。
ヘンなこだわりがなければ、株式会社による保育・託児サービス開業もよろしいのではないでしょうか。
企業が顧客の、保育の受託事業であるなら、積極的に「株式会社」を選択することをお勧めします。 (参照「会社を設立する-株式会社」)
2.合同会社
合同会社は、株式会社と同じく営利目的で(=利益を分配できる)設立される法人格です。
株式会社との一番の違いは、株式会社は広い範囲で出資を受けることができる形態であるのに対して、合同会社は、「身内的な」範囲で作られる法人格です。
イメージでいえば以前の「有限会社」のような感じです。
(有限会社は、平成18年の商法改正により、新たに設立することはできなくなりました。)
そして、株式会社に比べて法人そのものに対する費用が安くすむメリットがあります。
この会社設立費用も、会社維持費用も最も安くすむことが合同会社の最大のメリットであると言えると思います。
一般的には合同会社は「小さい」イメージなので、そのイメージが不利になる事業もあるかもしれませんが、保育・託児サービス、そして特に保育園事業などは、さほどイメージ的に不利になるようなこともないように思います。
合同会社には、株式会社ほど「儲け主義的」なイメージが、一般的にもたれていないようでもあります。
「儲け主義的」なイメージを気にする方も、合同会社なら抵抗感が少し薄まるのではないでしょうか。
(参照「会社を設立する-合同会社」)
3.NPO法人
その名のとおり(Non Profit Organization)非営利(=利益を分配できない)の組織としての法人です。
株式会社の「儲け主義的」イメージと対極にあるもののうちの1つが「NPO法人」でしょう。
「福祉分野」にはNPO法人の「公益性」のイメージがピッタリ一致します。
ただし、NPO法人は、設立の際に所轄庁の認証を受けたり、運営についての報告など、手続きが他の法人格にくらべてかなり面倒です。
時間と費用がかかってしまいます。
正直なところ『どうしてもNPO法人がいい』という方以外には、おススメしません。
『でも、株式会社もどうしても避けたい』という強い希望があるのならば、次に紹介する「社団法人」のうちの「一般社団法人」はいかがでしょうか。 (参照「会社を設立する-NPO法人」)
4.(社団法人のうち)一般社団法人
社団法人には、一般社団法人と公益社団法人があります。
公益社団法人は、その設立・公益認定・運営について、かなりハードルが高く、なかなか簡単には始められないので、ここでは割愛させていただきます。
それに対し一般社団法人は、公益社団法人ほどハードルは高くなく、また、NPO法人のような煩雑な手続きもありません。
法人の中身として、収益事業と、そうでない非収益事業のいずれも行うことができます。 (参照「法人税法の収益事業の範囲」)
そして外見として、イメージ的には、NPO法人と同じように公益性が高く見られます。 (参照「会社を設立する-一般社団法人」)
5.社会福祉法人
社会福祉法人は、「社会福祉事業」を行うことを目的としている法人です。
社会福祉事業のほか、公益事業や、収益事業も行うことができます。
公共性の高い法人であり、手厚い公的な支援や助成が行われますが、法人の設立や運営、そして監督などについて、かなり厳しい規制があります。
手持ちの資産が多くあるとか、または広く寄付を集められるとかでない限り、社会福祉法人を設立・運営するのは難しいと思います。
認可保育園は、社会福祉法人によって運営されているところも多くあります。
(参照「会社を設立する-社会福祉法人」)
保育・託児サービス事業を行う場合の会社の種類(法人格)のまとめ
「儲け」に抵抗がない 「企業イメージ」で見られたい 費用も普通にかけられる 顧客が企業である |
なら → 株式会社 |
法人費用を一番安く抑えたい 将来的にも事業規模を大きくするつもりはない 小規模に見られることに抵抗がない |
なら → 合同会社 |
なにがなんでもNPO法人がいい 役所への手続きが大量でも全然構わない 法人設立時に賛同者を9人以上集められる |
なら → NPO法人 |
「儲け」イメージを無くしたい 法人費用は普通にかけられる |
なら → 一般社団法人 |
土地など多くの所有資産がある 広く寄付をあつめられる 公共性を重視し、認可保育園を運営したい |
なら → 社会福祉法人 |
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