はじめに
ゼレンカはボヘミアのバッハとも呼ばれ、大バッハやヘンデルと同時代にドレスデンで活躍した音楽家でした。
ドレスデンは当時最も文化的に栄えた街で、ここの宮廷楽団はヨーロッパ随一と言われていました。当時の宮廷楽長ハイニッヒェンが病気がちだったため、ゼレンカはそこで「実質上の」宮廷楽長の任務をこなします。しかしハイニッヒェンの死後、宮廷楽長の座はハッセという別な作曲家に取られてしまいます。その後ゼレンカは忘れ去られ、1745年ひっそりと息を引き取ります。
- 詳細はゼレンカの生涯を参照して下さい。
その作品の特徴を簡単にまとめてみると
- ドイツバロック伝統の重厚なポリフォニー
- 半音階や特殊な和声進行の使用
- チェコ風味の軽快なテンポと複雑なリズム
- 美しい旋律のイタリア風アリア
- 様々なフレーズが高度な対位法技巧によって見事に織り合わされていく協奏曲風合唱曲
という感じになるでしょうか。
- 詳細はゼレンカの音楽を参照して下さい。
バッハもゼレンカのことを高く評価しており、ゼレンカのマニフィカトZWV108を息子のフリーデマンに筆写させたというエピソードはその筋では有名です。
- 詳細はゼレンカとバッハを参照して下さい。
ゼレンカは近年再評価が進んではいますが、まだ一般的になるまでにはなっていません。CDなどもかなり出てはきましたが、六つのトリオソナタなどの一部の器楽作品に偏った状況で、ゼレンカの作品の全貌はまだ現れていないと言った方が正しいでしょう。
- ちなみにゼレンカがなぜ忘れさられたかという点についての考察をしていたら長くなってしまったのがバロックと古典派の章です。
このサイトではこのまだ知名度ゼロと言えるゼレンカ紹介をしていきたいと思います。
- サイト開設当時(2001)はこんな状況でしたが、それから十年以上たった現在(2013)ではかなり録音が出てきています。特に大物の作品については大体出そろっていると言っていいのではないでしょうか。でもまだ詩篇などの小曲だと、まだまだ紹介されていない物はたくさんあります。