心不全再入院予防を目的としたハートノートのご紹介
当院では心不全患者(特に高齢心不全患者)の問題となっている再入院に対して、心不全再入院を防止する試みを積極的に行っております。
✔ なぜ心不全による再入院を防止する必要があるのでしょうか?
心臓機能は入院を契機に悪化します。入院が必要なほど心臓に負担がかかると、入院して治療しても心臓機能が入院前のレベルまで戻りません(図1)。
心臓機能だけでなく入院を契機に腎機能も悪化しますし、入院による長期臥床により下肢筋力低下・嚥下機能低下・認知機能低下等の機能低下も入院前のレベルに戻りません。患者様の予後・生活の質(QOL)を維持・改善する為には、心不全の再入院を防止することが重要となります。
✔ 心不全再入院を防止する為には
再入院を防止する為には
①自己管理の遵守(セルフケアメンテナンス)
②心不全の増悪を早期発見⇒早期治療介入(セルフケアマネジメント)が必要です。
自己管理は水分制限・塩分制限・内服遵守・体重測定で、それらを遵守することは心不全を悪化させないためには重要です。
しかし一旦心不全が悪化しだすと、自己管理遵守(セルフケアメンテナンス)だけで
は心不全の悪化は防げません。
心不全が悪化した場合、再入院を防ぐ為には心不全悪化を速やかに発見し、外来での早期治療介入(セルフケアマネジメント)が必要となります。
✔ セルフケアマネジメントを行なうための工夫
現在日本に行われている自己管理はセルフケアメンテナンスです。セルフケアマネジメントは日本ではあまり行われていない自己管理です。
セルフケアマネジメントは再入院防止には重要ですが難しい自己管理です。
なぜなら症状から心不全の増悪と判断することが困難であるためと、そして仮に心不全の増悪と分かったとしても、どの段階で受診してよいか分からないためです。
そこで、当院ではセルフケアマネジメントを容易にするために「大阪心不全地域連携の会」が発行している新しい自己管理用紙(ハートノート)を運用しております。
特徴は、体重と心不全症状を点数化(心不全ポイント)し、受診のタイミングを明確にしております。
点数の具体的な設定は、下図(図2:点数表、図3:ハートノート)です。
受診のタイミングは、心不全ポイント5点以上で救急外来受診、4点で当日・翌日の外来受診、3点は直近の主治医外来受診となっています。
当院では、入院・外来心臓リハビリテーションと併用し、ハートノートにて、多職種との連携を強化し、心不全再入院を予防し、例え入院が必要であったとしても短期間での入院を行い、生活機能が低下しないように努めております。
当院のビジョンである「何時いかなる時でも患者様のQOL(生活の質)を支え、地域に必要とされ続ける病院」を目指すべく、心不全による再入院防止に努力してまいります。
ご不明な点がございましたら、当院までお気軽にご相談ください。
(大阪心不全連携の会、及び大阪ハートクラブご提供資料を一部改変にて掲載)