肉芽(にくが若にくげ)というのは、傷口が治るときに盛り上がってくる肉のことです。
気管切開部分は、傷であるので周りの肉が盛り上がり傷口を塞ごうとさかんに増殖します。
肉芽が大きくなると、カニューレにこすれ、痛みを伴います。またカニューレ交換時に出血したりします。
肉芽のできる場所としては、気管壁や気管切開孔周囲には、カニューレの当たる気道や吸引カテーテルの刺激などのため、肉芽が出来やすくなっています。肉芽には血管が豊富に分布しています。
鮮紅色の出血しやすい肉芽は小さければ自然に消失する事もあります。しかし、大きなものは気管内出血や気道閉塞の原因になります。
痛みなどあったら早めに耳鼻科にかかることをお勧めします。病院では、気切開孔周囲と気管壁に出来た肉芽の治療方法としては、気管支鏡で検査をしながらメスやレーザーで手術で切除したりします。
肉芽(ニクゲ)の手術2週間前
手術2週間前に家でのカニューレ交換を撮影したものです。この写真は、カニューレが挿入されたまま肉芽(ニクゲ)がどの様な状態であるかを撮影しました。横から肉芽(ニクゲ)がはみ出している様子が取れています。少しピントが擦ているのはお許しください。肉芽(ニクゲ)の出来やすい人、肉芽(ニクゲ)の出来にくい人両極端ですが、肉芽(ニクゲ)の発生で困る事はカニューレ交換で出血する事や、気管内に肉芽(ニクゲ)が出来ると気管を狭くしたり、最悪には気管をふさぐ場合も起きます。 肉芽(ニクゲ)は、早めに処理をした方が無難だといえます。
カニューレを取り外した所の写真
この写真は上記と同じ時期に撮った物です。写真の右側が頭になります。カニューレの羽(首にカニューレを固定する紐を通す穴が付いてる)を上げてみると、カニューレの右側(右の写真では下部)に巻き付くように肉が盛り上がって見えているのが、皮膚の表面に出来た肉芽であります。カニューレの左側(右の写真では上部)に赤く光っているのが、気管内に出来た肉芽で外まで盛り上がって来ています。 これからカニューレを抜き取るのですが、カニューレと肉芽(気管内の肉芽)がすれて大量の出血に繋がります。
カニューレを外した時の写真
カニューレを外した時に撮影したのですが。写真の上が顔で下が胸になります。
気管切開口の周りはイソジンで、被(カブレ)ている様に見えて赤く腫上がって見えます。気管切開口の穴を、肉芽(ニクゲ)が由り小さくしているのが解って貰えると思います。
肉芽(ニクゲ)は、上下には余り出来ておらず左右に出来ていました。これはカニューレが左右にひっばられて、出来たものと考えられます。それも外面ではなく気管内部に出来ており、それを切除するには手術しか方法はないのです。
上記の写真を拡大した写真
この写真を見ると気管切開した穴と肉芽が覆った開口の違いがよく判ると思います。気管切開口は元の1/3の大きさしか在りません。下記の写真は肉芽をレイザで焼き切った痕です。この様に気管切開口が元の大きさになりました。この当時は栄養を取り過ぎてたので首に脂肪が付き過ぎていて、気管切開部分に覆いかぶさる様に膨らんできました。栄養の取り過ぎは、肉芽の成長に関係してくるので気をつけて下さい。
肉芽(ニクゲ)の処置をする為に入院
2006年4月12日に、肉芽(ニクゲ)を取り除く為に耳鼻咽喉科で1週間入院しました。今回で3回目の肉芽手術になります。肉芽の処置には、全身麻酔をして手術をします。麻酔の後で、細いカニューレに交換してカフ(バルーン)の圧力を上げて、 酸素が漏れないようにしました。手術は、気管内視鏡で視ながら肉芽をレーザーで焼き切ってしまいます。手術は4時間位掛かりました。何故あんなに時間が掛かるとは思いませんでした。先生からは簡単な手術だといわれてましたので、私も家族も予想外でした。それと大勢の手術スタッフがいるのか不思議で、たった肉芽の処置に13名も周りを取り囲んでいるのです。 そんなに珍しい手術なのか先生に聞いたら、珍しくはないが数少ない手術なのは確かだと先生から言われました。手術の痕を写真で視ると綺麗に気管の中まで見えています。(写真の上は頭部です)
注意事項
治療方法として、「数mmの小さい肉芽は硝酸銀による焼却を行えば、数日間で治ります。」と言う説がありますが。 余り気管切開部分では使用しない方が無難だとされています。少し前までは、気切口の肉芽がなかなかひかないときに使われていました。 今では、胃瘻造設部での肉芽処置にも、今は硝酸銀を使用しなくなった。炎症を惹起して肉芽形成を促進させるには有効かもしれませんが、日常的なケアとしては如何でしょうか。