はじめに

一部のドクターから「ベンチレーターをつけてしまうと声が出なくなる」という話をよく耳にします。
   【これはまったくの神話でしかありません。】
気管切開前に声が出せる人は気管切開術後も声が出せます。声が出ないのは個人差がありますが数週間程度です。(手術した直後は出血するため)
カフ(気管への誤欽を防ぐためにカニューレに風船のようなもの)を膨らませる必要があるためです。)カフなしにすることでどんどん声がでるようになります。
声が出せなくなるという誤解から気管切開によるベンチレーターの使用を避けるという実情があります。
正しい情報を知ることでベンチレーター使用に対する誤解や恐怖感を取り除くことができます。

ベンチレーター(人工呼吸器)

筋ジストロフィー、ポリオ、ALSなどの障害で自力での呼吸が困難な人が利用します。ベンチレーター(図1)は決められた回数と量の空気をポンプで肺に直接送る装置です。


気管切開

ベンチレーターを使用するために気管を手術で切開して穴をあけ、カニューレ(気管切開チューブ)という器具を入れられるようにすることを気管切開といいます。

カニューレとカフ

        

カニューレ(ドイツ語で管の意味)はベンチレーターをつなぐための器具です。気管切開チューブとも呼ばれます。さまざまなタイプのものがあり、個人によって使うカニューレが異なります。
また、カフという風船状のものが付いているものもあります。カフは注射器で空気を入れて膨らませて使います。
気道の中で膨らむことで、空気の漏れや誤飲を防ぐ働きがあります。
その反面カフを膨らませると空気が声帯に届かないため声が出せないというデメリットがあります。

通常の発声

通常、発声は図のように鼻や口から空気を吸い、空気を吐くときに声帯を震わせて声として出します。声帯は男性で言えば喉仏の辺りにあります。


        

気管切開時の発声

気管切開では、声帯より下の気管を切開します。
そこにカニューレ(気管切開チューブ)を挿入します。
気管切開口(カニューレ)からも空気を吸うことができます。
吐く息は大部分が気管切開口から出て行くため、声帯を震わせることがほとんどできません。したがって声はほとんど出せません。
声を出すためにはベンチレーターやカニューレの口にスピーキングバルブを接続する必要があります。         

  • ベンチレーターを使用する場合は、カニューレに接続します。
  • ベンチレーターは設定に従った回数と量の空気を送り込みます。
  • 肺に送られた空気は肺の弾力によって押し出されます。
  • その空気はベンチレーターの蛇腹管についている呼気弁から出されます。
  • 発声は通常とは逆に空気が送られている間(息を吸うとき)にできます。
  • 空気は肺に送られますが、口や鼻にも抜けます。
  • その空気で声帯を震わせることができるので、発声ができます。
  • 呼吸の合間、一瞬声が出せなくなりますが、会話に支障はないと思います。


        

気管切開

ベンチレーターを使用するために気管を手術で切開して穴をあけ、カニューレ(気管切開チューブ)という器具を入れられるようにすることを気管切開といいます。

カニューレとカフ

        

カニューレ(ドイツ語で管の意味)はベンチレーターをつなぐための器具です。気管切開チューブとも呼ばれます。さまざまなタイプのものがあり、個人によって使うカニューレが異なります。
また、カフという風船状のものが付いているものもあります。カフは注射器で空気を入れて膨らませて使います。
気道の中で膨らむことで、空気の漏れや誤飲を防ぐ働きがあります。
その反面カフを膨らませると空気が声帯に届かないため声が出せないというデメリットがあります。

スピーキングバルブ装着時の発声

前ページで説明したとおり、気管切開をしたままの状態では吸った空気がほとんどカニューレから出て行ってしまい声がだせません。
そこで使うのがスピーキングバルブです。
スピーキングバルブには2 種類あり、黒いバルブ(写真2)はベンチレーターにつながないで使うタイプのもので、左側の写真の白いバルブ(写真3)はベンチレーターの管とカニューレの間につけて使うタイプです。
仕組みは簡単で一方向弁で、息を吸う場合は空気が通りますが、吐く場合は空気が流れない仕組みになっています。スピーキングバルブには2 種類あります。


        

ベンチレーターを付けないスピーキングバルブ(

自発呼吸(自分の力で呼吸すること)の力が残っている場合、着替えや入浴、トイレの時などに少しの間ベンチレーターを外す場面があります。
しかし、そのままでは声がでません。
そのような時に使うのがスピーキングバルブです。
図にあるようにスピーキングバルブはカニューレの先に取り付けます。
スピーキングバルブは一方方向弁のため空気は普通に吸えて、口や鼻から息を吐きだすことができます。
そのため通常の呼吸と同様、息を吐くときに発声します。
このタイプのスピーキングバルブを使えるのは、自発呼吸の力が残っている人に限られます。
また装着することで空気が吸いにくくなり、カニューレだけのときより苦しい感じがします。


        

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