−8月−

8/1 初めて逆上がりができて自分で自分に感動している子に「鉄棒に向かう時の顔付きが違ってたよ。すごく真剣な顔だった。」と話しました。できる時にはできるだけの表情があるものだなと感じ,その子にとって生まれて初めての体験の瞬間に出合うことができ,喜びがこちらにも伝わってきました。以前,算数のテストで初めて表裏共満点を取った子の家に電話したことがありました。この日は当然この出来事をすぐに家庭に電話連絡です。同居されている場合,放課後連絡すると,たいていおじいさんかおばあさんが電話に出られます。これも1つのポイントです。孫の成長は,おじいさん,おばあさんには何より嬉しいものです。学校から祖父母に孫のいいことが伝えられることは,実はお嫁さんにとっても大きな意味があります。

8/2 参観日におばあさんが来られて,孫の様子を見て帰ってから「親のしつけが・・・」と嫁が叱られる,ということもあるようです。最近はそれも少ないのかもしれませんが,お母さんにしてみれば,孫の成長を祖父母に学校から伝えてもらえるのは助かることかもしれません。以前,学校から電話があり,おばあさんが出ると,「お母さんはおられますか?」とすぐに聞かれて,随分気分を悪くされたという話を聞いたこともあります。

8/3 その前の学校では水泳で初めて25メートルを泳げた子の家に電話したこともありました。後から家の人に,「電話をしてもらったこと」をその子自身がとても喜んでいたと聞かせてもらいました。また,他の学校の複式学級で兄弟を教えていて,その2人共国語で珍しく満点を取ったことがありました。いつもはテストは学校のファイルに綴じていくのですが,こういう時はその日に持って帰らせることもします。ただこの時は2人一度には持って帰らせない方がいいと思うことがありました。

8/5 兄弟は5年と6年で,それぞれ違う内容でしたが,国語テスト表の面の「読み取り」は2人共100点でした。しかし,裏の「言葉と漢字」が兄85点,弟95点と,微妙に違っていたのです。家の人が,100点の面だけをほめて下さればいいのですが,裏を見て,兄と弟を比べるような言葉をかけられては,せっかくの100点テストを見てもらう意味が無くなってしまいます。

8/7 そこで,まず6年の方だけ先にテストを返し,兄には持って帰って見てもらうよう伝えました。この子は以前この欄で紹介した,算数のテストで初めて表裏満点を取って,家でお祝いをしてもらった子です。この時もしっかりほめられたようです。次の日にはテストは学校に持って来て,ファイルに綴じさせました。これで,兄は弟と比べられなくて,先にほめられるだけで済むという作戦です。それから1週間ほどして5年生にテストを返し,弟に同じように家に持って帰らせました。弟もよくほめられたようです。

8/8 学校で見られる子どもの成長は,家庭ではなかなか気づいてもらえないものです。ちょっとした「成長のみられる」出来事を,生きのいいうちに早めに家庭に伝えることは,学校と家庭のつながり,教師やその経営に対する信頼感等いろいろな面で,目には見えなくてもボディーブローのようにじわじわとプラスの方向に効いてくるはずです。それも連絡帳を使ったり,電話を使ったり,通信を使ったり,何気なく家に寄って直接話したりと様々な伝達方法を内容によって駆使していくことで「開かれた学校」の本質に少しずつ近づけるように思います。できれば,「学校から電話」に対して家の方が「ドキッ」とされなくなるような状況までもっていきたいものです。

8/9 「鰯の頭も信心から」と言います。・・・人には誰でも自分を認めてほしいという本能的な欲求があります。子どもを直接ほめ,認め,感心していくことでその欲求を満たし心を安定させることもできますが,間接的にその子の自尊心をくすぐり,同じような効果を得る方法がこの「家への(成長,いいこと)連絡」です。これにより,家庭内での雰囲気も良くなるでしょうが,子どもの教師に対する評価も変わってきます。私(鰯の頭)のようなつまらない者でも,子どもを認めよう,ほめようと様々な方法でアプローチしていれば,自然と柔らかい態度をとってくれるようになり,一度イメージ(信心)が付けば,普段の学習効果までもが上がっていくように思います。

8/11 今年出した夏休みの宿題の中に「4教科のまとめ夏ドリル」「夏の計算スキルアップ日めくりプリント」「1学期の漢字ドリル200短文書き写し」がありました。8月8日の登校日に提出された宿題を見ると,一人以外この3つを最後まで全部済ませていました。チェックをして返していますから,今はその直しを各家庭でしているところです。というわけで,登校日の度にチェックしますから,9月になるまでには全員宿題の直しが終わっている予定です。

8/12 「・・・時には子どもにいい点が取れるようなテストをするのです。漢字を50個書いたプリントを渡して,1週間後にこの中からテストをするぞと伝えて練習させておくのです。・・・」これは夏休み中にあった,ある研修の中の講義の一部です。古き良き時代のスタンダードを感じます。これは「漢字を覚えさせる」ためのテストです。以前こういうことをしたような覚えもあります。今はまずしません。抜き打ち的にテストをします。そこで合格点が取れるような日頃の能率的な練習システムづくりこそ大事だと思っています。子どもはテストを意識して練習していなくても,テストをされたら漢字が書ける。そんな景色を描いています。

8/14 漢字テストのための練習を特別にさせていなくても,ある日急にテストをして合格点が取れるような日々の練習システムとして,今行っているのがこのHPでも紹介している新出漢字学習法です。この1学期の最後に漢字のまとめとして,漢字ドリルにある20短文のテストを1週間かけて全ページしていきましたが,どの子も一度で80点以上の合格点を取ることができました。このテストのための練習は全くしていませんでした。

8/15 8月12日も全校登校日でした。その中に学級指導が1時間ありました。まず行ったのは,「暗誦」です。1学期の最後は「付け足し言葉」の暗誦で終わっていたので,9行ある内の後半5行の暗誦のテストから始めました。夏休みでちょっと休んでいた頭に刺激を与えるのが目的です。この暗誦に合格した子は2学期の漢字ドリル(1学期の内に業者に頼んでもらっておきました。)の漢字交じり20短文の読みのチェックを行っていきました。2学期のドリルにはこの20短文が8ページあり,クラスの半数以上の子がこの8ページ全部の読みに合格し,最初のページからその短文の意味調べを国語辞典で行っていきました。一人,読みに合格すれば,その子が次の子のチェックをしてくれるので,その間に夏休みの宿題直しのチェックを全部済ませることができました。次の登校日には全部の直しが合格する子が現れるはずです。

8/16 夏休み中に地域の行事に子どもたちが参加することがあります。先日はその日にデジカメを持って行って,子どもたち一人ひとりの様子をズームで撮り,はがきの裏全面に一人ずつ大きくプリントしました。その行事にはクラス全員が参加していましたから,全員に手書きでメッセージを付けてその日の内に投函しました。メッセージは「行事に参加していた姿への感想」「まだまだ休みがあること」「しっかり楽しむこと」「2学期にまた楽しい話を聞かせてほしいこと」等を主な内容にしました。行事が終わって次の日,ほっとしながらも,もう夏休みも終わりに近づいたなと少し寂しく思っているであろう心に,ちょっとしたプレゼントができたらなと思っての絵はがき作りでした。

8/17 16日も登校日でした。この学校はやけに登校日が多いのです。何と8日から4日おきです!これからまだ2回も全員が来る日があります。この日午後は水泳検定がありましたが,午前中は1時間学級指導の時間がありました。夏の宿題の直し,2学期の漢字ドリルの読みがまだ全部合格していない子の読み,意味調べ,そして9月の運動会用の始めと終わりの児童会挨拶文の作成等を行いました。さすがにこの頃になると宿題直しが全部合格する子も出てきました。できればこうして早めに済ませて,残りの休みを気分ゆったりと過ごさせてやりたいものだと思っています。

8/18 ありがたいことに,今回このHPをメールマガジンで紹介して頂く機会に恵まれました。マガジンの名前は「いのっちの国語教室」です。毎回国語教育についての専門的な奥深い考察と検討が行われています。また発行者のHPも開設しておられ,国語に関する各種メーリングリストの案内もあります。是非訪れてみて下さい。 また「kyositu.com」のメールマガジン「kyositu.comニュース」のサンプルにこのHPからの記事「先生の話」を載せて頂いた号を挙げてもらっています。どれも身に余る光栄とありがたく思っています。

8/19 今年電波腕時計を買いました。毎夜電波を受信して正確に時間を合わせてくれます。学校のチャイムがやはり電波時計で制御されているので,腕時計の時間とピッタリ合います。ということで,チャイムが後何秒で鳴るか正確に分かるようになりました。チャイムが鳴る直前に授業を終わると,1学期には子どもが「あれ,今先生,チャイムが鳴る前に,終わりますと言わなかった?」と変に驚いていました。

8/20 毎年夏休みに教育委員会主催で,町内5年生全員を対象にしたキャンプが行われます。以前参加した時にテント設営の説明担当になった人が,子どもたちの前で1つ1つ説明しながら組み立ててみせた後,各班で設営をするよう指示されました。子どもたちは初めての経験なので,一度見てもなかなか手順が分かりません。結局各班についている大人が再度指示をし,手伝いながら設営をするようになりました。これはもっとどうにかできるはずだと,次の年の打ち合わせの時,このテント設営の説明係に立候補しました。

8/27 次の年の5年生合同キャンプ前日,テント設営の説明をどのようにしようか考えました。「もっとどうにかできるはず」と思ってはいても,はっきりした計画があったわけではありませんでした。まず考えたのは,「他の学校の児童もたくさんいる」ということです。普通に話していたのでは,きっと先生とも思わずに聞かずにいて,結局去年と同じように,全体説明と班に分かれてからと二度同じ指導をするようになるかもしれません。どうにかして,集中して説明を聞いて,各班についた指導者の手を借りずに,子どもたちだけでしっかりとしたテントの設営をさせたいと思いました。

8/28 キャンプ当日,テント設営の説明になりました。まずテント班毎に並びます。集合した班から座らせます。全員座ったのを確認して,すぐに「全員起立。」の号令をかけます。中には話をしていて聞いていない子もいます。早く立った班を大げさにほめます。その後すぐに再度座らせます。こういう時「エーッ!」と文句を言う子が最近特に増えてきています。一々,一々何にでも文句を言う子です。こういう態度が見られた時はその場ですぐに「こういう人が必ずいる」「集団で行動する時は一度の指示で動けないと,どんどん無駄な時間が過ぎていく」「結局長ったらしく,だるい時間を自分で作り出してしまう」等を短く話し,周りの子にちょっとしたことで「エーッ」とか言うことをどう思うかちょっと威圧感をもって言わせていきます。最初を引き締めることが大切です。

8/29 前の年,子どもたちはテントの張り方の説明を最初から最後まで全部聞いてから実際の活動に入っていました。これでは途中分からなくなり再度指導を受けるようになっていました。そこで,今回の説明では設営の段階を小さくパーツ毎に分けました。例えば,テントをたてる場所にテントの袋を運んだらこの説明する場所に帰ってくるよう伝えます。よーいどんの号令をかけ,帰ってきた班から座らせ「○○班早い!」とほめていきます。全員揃ったら次に,実際に袋から部品を出してきれいに揃えて数を確認するところまでやって見せ,「ここまでできたら帰っていらっしゃい。よーい,どん。」と続けます。

8/30 テントの設営で一番大事なのは,その支柱を支える親綱4本の張り方です。この4本さえしっかり張られていればまず倒れることはありません。説明では,4本の親綱の張り方と共にペグの打ち方も,抜く時のことを考えて全部が埋まるほど打たない方がいいことも説明しておきます。テントを被せた支柱が2本しっかり立ち,全体はまだ屏風のように平べったいところで説明を止め,ここまでを作ってくるように伝えます。人数が多い時は特に,一度にたくさんのことを指示せず,テントの説明書の手順1つ1つを確認しながら確実に作業をさせていくことが大事だと思いました。この方法でいくと各班についている指導者も少しの注意をするだけで,ほとんど子どもたちだけでたてることができました。

9月へ

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月