−7月−

−変化3−
朝,信号待ちをしていたら,一瞬寝ていました。同じ学校の先生は,帰りに信号待ちをしていて,後ろの車の人が降りてきて窓をノックしてもらって目が覚めたそうです。

−見覚え1−
ある店に入ったところ,中で話していた若い2人組の女性の一人が私を見て「アッ!」と反応されました。私には全く見覚えのない人です。今まで数回人まちがいされ,話しかけられた経験がある私は,きっとまたそれだろうと思い,気づいたような気づかないような不自然に中途半端な顔をしていました。

−見覚え2−
しばらくして,その女性たちが店を出ようと席を立たれました。そして,あの私を人まちがいされているらしい方がこちらに話しかけてこられました。
「センセ,イ・・・」
ちょっと不安そうな言い方で確かに「先生」と言われました。あれ?人まちがいじゃないのかな?と一体誰だろうと驚いた顔で「はい。」と返事をすると,
「同じ職場ですよ。」
・・・!

−見覚え3−
大変恥ずかしい思いで,平謝りに謝ったものの,やはりよく分からないままでした。結局その方は3名おられる介助担当の方の中のお一人でした。4月に顔合わせはしたのでしょうが,それ以来全体で集まるということが一度もなく,今まで校内ですれ違っていたとしても,毎日あわただしくしていて顔を見ることもありませんでした。次の日,学校で再びよくよく謝ったのは言うまでもありません。

−デジタル表示1−
4月からずっと気になっている事の1つに,クラス内の荒々しい人間関係があります。ちょっとしたことでお互いにからかったり攻撃的に揶揄するのです。もっとやさしくなろうよと語り続けてきたのですが,なかなか習慣は変わりにくいようです。そこでとうとう先月から「やさしさ貯金」なるものを始めてしまいました。

−デジタル表示2−
年々「児童」の実態は難しくなってきています。今までこういう方法はあまり使いたくなかったのですが,背に腹は代えられない思いで殺伐とした教室内にやさしさを求めて始めたのが「やさしさ貯金」です。内容は単純なもので,クラスの中に「やさしさ」が見られたら,黒板の端に書いた10個の枠に一つずつ磁石(100円ショップで買ったそれなりにきれいなもの)を置いていくというものです。こうして自分たちのやさしさがデジタル式に表示されていきます。

−デジタル表示3−
子どもたちのやさしい行動を「数」で表示することで,少しは意識化できるのではないかと淡い期待をしています。何をやさしさと判断するかは私の権限とし,子どもたちからのアピールは一切受け付けないということを最初にはっきりさせておきました。そうしないと貯金を増やすための偽りのやさしさが横行する心配があったからです。また,逆にあまりにやさしくない行動が見られたときは,貯金が減ることになります。こうして,表示が10になったらお祝いをします。今は,宿題が1つ減るというお祝いにしています。(これも最初にはっきり伝えておきました。これを,もしお祝いをすると決まったときに伝えると,「えー!?たった1つだけー?」と逆にがっかりされそうな気がしたからです。)7月中に一度お祝いがありましたが,これだけで随分盛り上がりました。

−水泳教室1−
夏休みに入ってすぐの2日間,3年生以上でプールの横(12.5m)を泳げない子を集めて水泳教室が開かれました。私は3年生8人のグループの指導を担当しました。1日9時半から11時までの1時間30分の指導です。3年生の8人は記録を見ると全員7mでした。息継ぎができず,バタ足だけで泳いだ距離と思われました。

−水泳教室2−
まず1日目は息継ぎの方法とクロール用の顔の向け方を練習しました。1日1時間半で,それが2回しかないので,内容はこのHPの水泳「クロール」(息継ぎ)のダイジェスト版といった感じで行いました。1時間ほどで,全員ビート板に片手を乗せ,片手は腰につけて息継ぎしながらプールの横12.5mを行けるようになりました。次に片手だけを動かしながら息継ぎをして・・・というところで笛がなり,「これから検定を行います。」という声が聞こえてきました。どうも水泳教室の最後には1日目から12.5mを泳げるかどうか全員の検定をすることになっていたようです。私は今年初めてでそれを知らず2日間の予定で泳げるようにと考えていたので,この声にはあせってしまいました。

−水泳教室3−
まだ一度もビート板なしで12.5mを泳いでいない状態で検定をすることになってしまいました。グループは10組以上ありました。そのグループ毎に8〜10人が一斉に泳いでいきます。私の担当していたグループの番になりました。女子6人,男子2人でしたが,女子の1人だけが10m地点で一度足をついただけで後の子は全員どうにか息継ぎをしながら自分流の泳ぎで横を泳ぎ切ることができました。ビート板を片手で持っての息継ぎの練習の効果があったように思います。横を泳げたらもう卒業で次の日は来なくてよいということでした。が,次の日女子2人,男子1人がやってきました。

−水泳教室4−
2日目は検定めざして,クロールの指導をしました。男子は横をクロールで何回も泳げるようになっていたので,縦の25mに挑戦させました。しかし,真ん中からスタートさせても端まで行けません。同じ12.5mなのに深さが違うと気になるようでした。女子2人はまだクロールの腕の動きと息継ぎの連携ができていませんでした。何度かビート板を使って練習し,その後ビート板なしのクロールに挑戦させていくうち,まず1人が横を泳ぎ切ることができるようになりました。生まれて初めて本当のクロールで,息継ぎなしでは泳げない距離を泳げた瞬間の喜びの表情はいつ見ても感動的です。

−水泳教室5−
もう一人の女子は1日目の検定で途中で足をついた子です。どうしても途中で立ってしまいます。見ていると苦しそうでした。こういう子は息の吸い過ぎが原因と思われます。息継ぎの時,吐かずに吸ってばかりいるので,胸が空気でいっぱいになります。その子に再度顔を上げたらまずしっかり息をパッと吐くことを指示し,手を持って顔を上げる度に「パッ,パッ。」と言いながら横を往復しました。そして一人で泳がしてみると,立つ位置が段々遠くになり,何度目かにとうとう最後まで泳ぎ切ることができました。しかし一度はできても次はまた途中で立つようになることがよくあります。泳ぐ度に横をいっしょに歩きながら励ましていきました。そして検定の時間になりました。

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