−2月−

−順番1−
ちょっとしたことですが,説明や指示をする時,話の順番で伝わりやすさが違うことがあるように思います。例えばクラスを赤白青黄の4色に分けるような時,
「白組はA君,Bさん,Cさん,D君,E君。青組は・・・・。」
と伝えると,低学年では必ず何人か自分が何色か分からない子が出てきます。また時には大人でも聞き逃して再度説明するようなことがあります。

−順番2−
このような「組→名前」の順番では,自分の名前が言われた時に「あっ」と思っても,その前に色が言われているので,自分は何色か分かりにくいのです。それで,
「A君,Bさん,Cさん,D君,E君は白組。Fさん,G君・・・・は青組。」
という順番にします。こうすると,名前を呼ぶことで注意を喚起した後,何組かを言うので伝わりやすくなります。尤も「組→名前」のタイプの説明に付け加えて「いいですか,今言った人が白組ですよ。白組!」等,何度も何度も繰り返して言えば伝わるでしょう。しかしできれば,説明や指示をする時はスマートに少ない言葉で合理的に伝え,相手も楽に必要な情報を得られるような工夫をしたいものです。

−雪−
雪が降りました。今年初めての本格的な雪でした。早速グランドに出て子どもたちと雪遊びをしました。以前この一筆箋で「白いキャンバスに・・・」と青く語って,大きなドラえもんを描いたことを紹介しています。今年は直径約20mのぶりぶり左右衛門を描きました。そして大きな雪山を作り,滑り台を作っている途中です。

−大造じいさんとガン−
国語で物語「大造じいさんとガン」(5年生)の学習を始めました。例の発問集も使いながら改訂版でやっています。今回も問いに対して意見が分かれることがよくあります。ここからの言い合いがおもしろいところです。そして最後はやはり文章の中からその根拠を見つけ出してきた方に軍配が上がり,知的な笑顔が見られます。できれば,この経験を何度も味わうことで,意欲を持って文章の検討に取り組めるようにしていきたいと思っています。読み取りは,国語の授業の中でも一番手応えのある部分です。

−「先生」1−
休憩時間に教室を出て遊んでいた子どもたちが何人か教室に入ってきて,「先生,かくまって下さい。」と机で仕事をしていた私の後ろや机の下にしゃがみ込みました。それまで外でキャーキャー声が聞こえていたのは,どうもかくれんぼをしていたようです。いつも厳しいことを言っている自分に近づいてきてくれたことにホッとする瞬間です。確かに子どもとの距離には微妙なコントロールが必要でもありますが,こういう時に使われる「先生」の言葉,語感には何というか,分かる人には分かるでしょうが,「ありがたい」という嬉しさを感じてしまいます。

−「先生」2−
以前の学校で,ある日子どもたち数人が「先生,ネコを学校で飼っているんですけど・・・。」と言ってきたことがありました。私は「おいおい,そういうことは普通先生には内緒ですることじゃないの。」と言うと,「先生には言える。」と言ってくれたことがありました。その後ネコがどうなったかは覚えていませんが,「言える」という言葉だけは覚えています。

−総合1−
「総合的な学習の時間」(以下「総合」)に「車いす」を題材にして福祉について学習していきました。実践集を見ると,まず子どもたちの目の前に車いすがあり,そこから学習が始まります。「総合」のねらいとして,ここから始めるのはもったいないと思いました。

−総合2−
「総合」のねらいには次のような言葉が並んでいます。「自ら課題を見付け」「自ら学び」「自ら考え」「主体的に判断」「よりよく問題を解決」等々です。これらのねらいを達成するために,まずは「興味・関心に基づく課題」を設定することを重要視しますが,それと共に私は「子どもが困る状況」の設定が必要だと思っています。困れば,自ずとそこから解決への考えと判断が必要とされます。このHPでも紹介している米作りの取り組みも,基本は「困る状況」の設定でした。

−総合3−
今回は,まず子どもたちに「自分が怪我をしたり病気になった時に役に立つもの」をきいていくところから始めました。いろいろ出された中に「車いす」もあり,「これ,みんな知ってる?」と言うと「知ってるー!」の声。「どんな形でどんな部品があるかはっきり分かりますか?」「分かりまーす。」・・・ちょっと計算違いでした。そこで,「じゃあ,車いすの絵をノート(総合ノートを作っています。)に描いてみて下さい。」と指示しました。これで,きっといかに自分が知らないか気づくはずです。

−総合4−
ノートに自分の頭の中にある「車いす」を描いていくことにしました。中には「タイヤの数は?」と言っている子もいました。分かっているようで,分かっていないところがあることを自覚させて,では本物を見てその仕組みや使い方を調べてみようということにしました。そこで,「ではその車いすはどこで借りようか?」ときいてみました。

−総合5−
「どこで借りたらいいだろう」に対して子どもたちはまず「病院」と答えました。なるほど,これは経験上出される意見です。他には?の問いに誰も答えられませんでした。「車いすのある所は病院」「それ以外の場所ではどこにあるか分からない」という認識状況が分かりました。ここで課題が生まれます。「車いすはどこで借りられるのか」を各自で調べることにしました。

−総合6−
教科学習は食事に例えると「栄養を摂る」ことが目標です。目の前に料理を並べてもらって,とにかく食べて消化することが大切です。総合では料理を並べてもらって食べるようでは効果が半減するように思います。まずその料理の材料を調べ,自分でそれを集めるところから始めてもいいと思っています。ということで,福祉を課題にするからといって,車いすを子どもたちの目の前に用意したところから学習を始めようとは思いませんでした。とにかく様々な場面で「子どもが困る状況」を意図的に設定していくことで,総合のねらいに迫っていけると思っています。

−総合7−
ということで,「車いすをどこで借りられるのか」も題材として扱っていきます。果たして次の総合の時間,「どこで借りたらいいか家の人にきいた。」という子が何人かいました。その子たちによると町の社会福祉協議会で借りられるとのことでした。そこで,次は「どうやって借りるか」を考えました。出された意見は「手紙を書く」「ファックスを使う」「電話する」「電子メールを送る」でした。どれにしてもお願いの内容を作らなければならないので,取り敢えず手紙の形で全員がそれぞれ依頼文を書いてみることにしました。ここでまた一苦労です。

−総合8−
全員の文がどうにか要件を満たした内容になった後,実際にどの方法で連絡するか相談させたところ,「電話する」ということになりました。手紙では待ちきれないのでしょう。この順は本来は逆ですが,連絡方法の決定を先にすると,「依頼の手紙を書く」という大切な学習を本気でしなくなるおそれがあります。手紙文の作成ができていれば,それは他の連絡方法全てに応用できます。次に手紙文をもとにして,電話でお願いする練習を全員しました。代表を一人決めてその子がすぐに電話したのでは意味がありません。早速一人ずつ受話器を持った格好で「プルプル・・・」と言わせます。

−総合9−
子どもに電話をかける真似をさせ,私が福祉協議会の役で受けます。するといろいろ笑える失敗をしてくれます。こちらが「いつもお世話に・・・」と言っている最中に手紙の内容をそのまま棒読みしているような子,文語のままで応用ができずロボットのようなしゃべり方になる子,敬語を気にするあまりよけい変な言葉を創り出してしまう子等々。ある子の時,私が「はい,○○美容室でございます。」と受けると,その子はしばらく固まって,いきなり「ガチャッ!」と言いながら受話器を置く真似をしてしまいました。「電話をかける練習」からも新たな課題が次々生まれてきます。

−総合10−
一応誰でも電話できるように練習した後,実際に電話する担当はジャンケンで決めました。これを立候補で決めると,結局電話慣れしている子が体験し,電話する前とした後の変容もあまり見られないことになります。やはりここは偶然決まった子がドキドキしながら緊張感いっぱいで体験し,話が終わって受話器を置いた時,その子の表情に安堵感と満足感,達成感が見られ,まわりからは拍手が起きる・・・といった状況を期待したいところです。ジャンケンで決まったのは女の子でした。職員室にあるコードレスの子機電話を教室に持って上がり,その子に渡しました。が,すぐにはかけられませんでした。

−総合11−
「では電話をかけましょう。」と子機を渡した子は,「電話番号は?」とききました。私は「分からない。どうすればいい?」と言いました。ということで,電話するには電話帳で番号を調べるというところから始めます。これを「ここにかけてごらん。」では総合の授業としてもったいないです。本当はもう電話して車いすを借りられる日程の確認と,子どもが再度電話するが,できるだけ事務的に正規の対応をしていただくようお願いをしているのですが。

−総合12−
自ら学ぶ力を育てようして「子どもが困る状況」を意図的に設定していきます。「米作り」を課題にした時も,できるだけ表だった教師の援助を少なくしていきました。バケツに苗を植える時も各自に任せました。中にはしっかり植えずに苗が何本か浮いてきてほとんど1本になっている子がいました。「失敗する」ことも大事だと考えていましたから,敢えてそのままにしていました。もし苗が途中でなくなったら予備を渡すつもりでした。しかし結果的にはこの子のおかげで1本の苗でも分けつして他のバケツ稲と見分けがつかないぐらいに増えていくということが分かったのでした。

−総合13−
バケツ稲を育てる時は,学習の最初に農事暦で調べたことを基にして水の管理も一人ひとりに任せました。また途中では中干しも各自がします。子どもたちに教師は全く手を出さない旨をよく伝えておきました。これも「自ら考え,主体的に判断する」力を育てるためです。総合ではこのような一見「教師が支援をしていない」ように見えることも「支援」の1つになると思っています。失敗をすれば,「なぜ失敗をしたのか」を考えることが学習になります。また子どもたちの前でそういう姿勢を示すことは,緊張感と責任感を持たせることにもなります。が,実際は子どもたちが下校した後,水のチェックをし,危なくなるとそれなりの信号を出したりするのですが・・・。

−総合14−
いろいろな回り道をしながら,どうにか社会福祉協議会から車いすを借りてくることができました。車いすを使っての学習内容は,書店で売られている本に多くの実践例が紹介されています。子どもたちはほんの少しの段差があっても車いすが進めなくなることに驚いていました。また柔らかい地面の上では,介助者がいても難しいことを体験しました。車いすの使用という視点から見ると,今まで当たり前だった周りが随分違った景色に見えたようです。

−総合15−
車いすを通して福祉にかかわる一連の学習をした後,感想を書き,最後に夢の車いすを考えることにしました。どういう車いすがあれば便利か考え,アイデアをスケッチします。現在実際考えられているものに,電動で段差をこえるための脚が4本伸縮するものや,頭を支える部分にスピーカーが内蔵されていて音楽を聴けるようなものもあります。また砂浜を走行できるものも考えられていることなどを紹介し,役に立つだけでなく,「快適性」という観点から自分なりの車いす機能をデザインしていきます。

−総合16−
最近は少なくなってきましたが,「総合」と聞くと,つい派手で大がかりな活動をイメージしてしまいます。しかし,案外見た目と実際に子ども一人ひとりに身についていく力とに落差があることもあるのではないでしょうか。課題に対する1つひとつの子どもの活動にどういう価値があるのかをはっきり意識し,一人ひとりに確実にねらいに沿った力をつけられているかどうかを,いつも気にしながら取り組んでいくことが大事だと思っています。

−総合17−
今問題になっている「総合」について敢えて拙い実践の一部を紹介してきました。世間でどう言われていようが,私たち教師は専門職として,大工さんが設計図通りに家を建てるように,要領に則って自分の持てる技術を最大限発揮して子どもの役に立てるよう努力していかなければならないと思っています。

−年度末−
卒業製作の枠を作りました。ラワン材を買ってきて,角は近くの大工さんに45度に切ってもらいます。その後大工さんに借りた面取り機で外側を丸く削り,4本をボンドで貼り合わせ額にします。先日それに卒業生が着色ニスを塗りました。以前の日記をみると,この時期に既に卒業製作を完成させていました。自分に自分が焦らされています。これからは1日1日が濃厚になってきて,忙しさの中でいつの間にか別れがやってくるという繰り返しです。たまには涼しい顔で年度末を過ごせるような計画的な暮らしをしてみたいものです。

−書き出す−
国語のテストに「書き出しなさい」とか「書き写しなさい」という問題があります。この問いは,答えになる部分の一字一句を正確に写すことを求めています。ですから,句読点1つなくても,漢字をひらがなで書いていても×にします。また(   )に当てはまる言葉を後ろの四角の中にある言葉から選んで書く問題がありますが,これも「しんしんと」とあるのに「しんしん」と書いていてはやはり×にします。(ア,イ,ウ)の記号で答えるのに,アの内容で答えていたり,(あ)とひらがなで書いていても×です。これらは全て確かめさえすれば防げるミスです。こういうミスに安易に○をしていてはいつまでも確かめの習慣はつきません。テスト前にはっきりとこういう間違いには×をすることを伝えて納得させておけば文句も出ません。知識・理解と共に,こういう「確かめが確実にできる」力を育てて中学に送ることも小学校教育の仕事だと思います。

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