「竜也、実は さっき…」
由希が何やら話し掛けてきた。
「見間違いかと思ったんだけど、来てても変じゃないし…」
はあ? なんのことだ?
俺は疑問符を浮かべたが、すぐに不穏な空気を感じ取って、振り返った。
「 り ゅ う 〜 !! 」
「げ…っ!」
この声は……!
「お前、なんでココに…っ」
俺は飛びついて来た女の子を抱きとめると、訊いた。
うぁ〜…なんでココにいるんだ、桐香…
「りゅう、あいたかったv」
俺は会いたくなかったぜ……
「あ、ゆき。いたの?」
「久し振り」
にっこりと由希が微笑み、桐香はフン、と無視した。
相変わらず仲悪いなー、お前ら。
俺はいつもの二人の遣り取りを呆れたように見た。
しっかし、桐香も相変わらず凄い格好してるな。
でっかいリボンにフリフリのドレス、人形のような可愛らし〜い格好は、
桐香の父親の趣味を見事に反映している。
あの変態め。
…って、そういえば…
「…と待てよ、お前がここに居るってことは、あのオッサンも…」
「パパ? きてるよ」
「げ!」
マジかよ?
俺は周りを見渡したが、今のところ近くには見当たらない。
ほっ。
「会いたくねぇ〜…」
「なんで? あ 、りゅう との けっこん、ダメっていうから? 」
あー、まだ言ってんのか、コイツは…。
「ばーか、ちげぇよ」
俺はそう言うと、桐香を降ろした。
コイツも大きくなったよなー。
「なんだ、竜、お前 ロリコン だったのか」
シズカが言った。
はぁ?
「アホか、お前。そんなワケないだろ。コイツが勝手に言ってるだけ」
「ちがうもん! けっこんするもん!!」
「しねぇよ」
つーか、出来ねぇって。
まだ説得できてないのか…あの親は…
「竜也も困ってるから」
「やだ、ゆき キライっ」
「ってゆーか、お前 離れろ。 俺はオッサンに会いたかねぇんだよ」
「やだーーー!!」
「ったく」
コイツはよー。
あーあ、と俺が溜息をつくと、近くから物凄いオーラが流れてきた。
……い、伊集院??
あ、あの、髪の毛 逆立ってます が ・・・
に っ こ り 。
・・・・・・こ、 こえぇえーーー ! ! な、なんだ?
「竜くん、そちらは…?」
「りゅう、だぁれ?」
うおっ、桐香、お前まで 一体??
二人はニッコリと微笑みながら、バチバチバチッ!!と途轍もないオーラを出し合っている。
「私、竜くんの 婚約者 ですわ」
「 りゅう と けっこん するのは 、 きりか だもん 」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・・・・・こいつらは・・・・・・
「… ッ 兄妹で 結婚できるか、アホー!」
伊集院とも しねぇし!
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