在宅介護から見た自立支援法

愛知県のALS患者も、障害者自立支援法が施行されてから、ALS患者が病院の意向で在宅に移されています。そのALS患者が、今は死を考えています。 在宅介護に移って、家族の介護負担が増した事により、家族に気を使い満足なケアを、受けられない状態が続いています。それに追い討ちを掛けて、介護者(ヘルパー)不足と訪問看護師の不足が言われています。これは在宅に返された患者が増大して、訪問看護師と痰吸引が出来る介護事業所の、取り合いに成っているからです。

それにもう一つの原因が、障害者自立支援法が施行されてから、重度訪問介護加算対象(15%)の報酬が足りない為、介護事業所の撤退が相次いでいます。私たちALS患者は、24時間の介護が必要とします。それに対応して貰える介護事業所が不足しています。愛知県名古屋市に450事業所が在る中で、ALS患者を対象に24時間対応してくれる、介護事業所は16事業所にも満たないのです。

2003年7月に医師・看護師の指導下で、家族以外の者による痰の吸引が認められALS患者・家族は喜び、これで生きる糧を見いだしたと口々に言っていました。去年は、ALS患者以外の人工呼吸器装着患者にも、痰吸引が認められて家族介護が楽になると思ったら、痰吸引を遣って貰える介護事業所が無い。これでは家族が休まる時がありません。 在宅介護を進める厚生労働省と相反した結果になっています。ALS患者と家族の反発は大きくなるばかりです。ALS患者・家族に及ばず、人工呼吸器を装着している患者の願いをどうか受け止めてください。




ヘルパーさんへの指導方法

指導する事は大変に難しく、技術面を教えるべきか、精神面的な事を教えるのか、今も迷ってしまいます。技術面はある程度の、日数がたてば覚えます。精神面は、その都度ヘルパーさんの気持ちを聞きながら、一つ一つ縺れた糸をほぐす様に、利用者(患者)気持ちを話して行きます。その努力もヘルパーさんによって、理解しもらえる人と、理解してもらえない人、理解していると思い込んでいる人と、理解している事を勘違いしている人、いろんな人がいます。その人達に個々の遣り方で、理解させないといけないのです。

こちらの意思を伝えようとするには、話し合いしかないのです。その話し合いも、文字盤を通じて話すのですから、それがどこまで通じているか判りません。理解が出来ているか解るのが、毎日のケアの中からです。毎日が自分との戦いであり葛藤です。相手に理解してもらう様に、簡単で簡素な言葉を使う用にしています。何故かと言うと文字盤を通じて理解してもらうからです。 このヘルパーさんは、私の言っている事を理解し切れていないと解った時の、ハラダタチサと怒りを覚えます。その心が治まった頃にもう一度話をします。その時は、妻に文字盤を使ってもらい、私の言いたい事を通訳して貰います。まるで外国に居るみたいです。私は日本語を話しているのですが、理解されない時が度々有ります。その時も苦闘して、どんな言葉に代えたら理解してくれるか悩みます。

話しを元に戻さないと、技術面のことは後から話しますから、今は精神面の事に対して、話しを続けて行きたいと思います。先程までは、話し合いの事をお話してきましたが、利用者(患者)さんが、いま何を求めているかを見抜く事が求められます。見抜くより察知すると言った方が、正確かも知れません。それぞれ利用者(患者)さんには幾つかの行動パターンがあって、それを早く覚える事が必要とされます。私の様な四肢麻痺で、人工呼吸器を装着して喋れない患者には、為るべくいま何をして欲しいかを、気が付くアンテナを張り巡らして欲しい。利用者(患者)さんに、言葉の負担を掛けないケアに心がけて欲しい。

技術面のことに話は移ります。どこのヘルパー介護事業所も、ヘルパーさんの教育は遣らないみたいです。教育や訓練をしないまま、実戦に飛び込ませる、そんな無謀な事はありません。新人の消防士に、火事現場に飛び込めと言っている事と同じで、ある程度の経験者と同行させるのが、最低限のヘルパー教育だと思います。

私のケアは、どこの事業所も関係なく、私のケアを経験の積んだヘルパーが、新人のヘルパーさんを教育するシステムを取り入れています。教えるのは、あくまでも経験を積んだヘルパーさんで、私と妻は補助に廻ります。そこでは、教える側のヘルパーさんの力量も見えるし、指導力も測れるのです。私達が教えた事を、どれだけ理解して自分なりに、どの様に吸収しているかが解ります。ヘルパー同士が教えあう事は、新人教育でもあり教えるヘルパーの側の、再教育にもなるのです。

そうする事で、ケアのより充実が図れるとともに、ヘルパーさんが他の利用者(患者)さんの、ケアに入っても戸惑う事なく対応ができます。そこが私の目指すところです。でもそこまで達するヘルパーさんはごく少数で、今まで100名以上のへるぱーさんと接してきましたが、その中の30%位しか育たなかった現実があります。




ヘルパーさんの介護力

ヘルパーさんの介護とは、看護師さんの看護力とはまた別で、ヘルパーさんは介護の最前線で働いていると言っても、過言がないと思います。どれだけの肉体労働を、課せられてるか解らない状態です。「腰が痛い」「腕が痛い」「肩が凝る」と訴える人が多いのですが、みんな無理な体勢で介護をしてるから痛めるのです。
常に介護する側の勉強が必要だと思います。介護の本を読んだり、他のヘルパーさんはどのように介護を遣られているか、どの様な介護をすれば利用者(患者)さんは楽なのか。体位交換の一つでも、PT(理学療法士)・OT(作業療法士)から遣り方を教わる事も一つの方法でもあります。

介護を教える立場といっても、私は利用者(患者)としての声を伝える事しか出来ませんが。その声をヘルパーさんが、どう捉えて考えて自分の者にして行けるかで、ヘルパーさんの力量が変わっていく事になります。まずは意識を変えることが大事です。その意識とは、「介護をしてあげているんだ!」「貴方の為に介護をしてあげてるのだから、感謝をしてくれるのが当たり前だと思うっている」「この人が可哀想だから、介護を遣っているのにとか」 こんな低レベルな考えに為って貰いたくない。介護と言う仕事に、プロ意識をもっと持ってもらいたい。

★ 理解しもらえる人
★ 理解してもらえない人
★ 理解していると思い込んでいる人
★ 理解している事を勘違いしている人

新人のヘルパーさんもベテランのヘルパーさんも、教えて貰った事を自分で勝手に解釈をするから判断を間違える。そこで自分の行動が、間違っているかどうかを聞けるか聞けないかが、そのヘルパーさんの力量の差に成って来てしまう。




ヘルパーは優しさより、配慮が求められる。

 
  • 台所のシンクの流し台に、清拭で使った水を流すヘルパーが居る。
     「台所のシンクの流し台に、清拭で使った水を流す」これは家庭環境にもよりますが。洗面所かお風呂場に流すのが常識です。その常識も解らないヘルパーさんが居ます。流し台は、その家庭の食べ物を調理する場所です。その場所を幾ら家族の身体を拭いた、お湯でも捨てるのは余り善いものではありません。気持ちと家族への配慮です。そのチョットした心遣いが、ヘルパーさんに大事な事になります。


  • 清拭や顔拭きのとき、使用した後のタオルをバケツの方に放るヘルパーが居る。
     これはどのヘルパーさんも良くやります。どうしても手が放せなかったから、タオルをほうったと言います。それは言い訳に過ぎません。タオルを放らなくても、近くに置いておけば同じ事で、放っても放らなくてもタオルを濯ぎ・絞る事を遣りに行くことに間違いは無い。そんな放っても何も得する事はないし、反対に手間を掛ける鯨飲を作る材料に成る。タオルがバケツに嵌ったら、それで水飛沫が飛んで床が水浸しになる。 また人手間な仕事を増やす破目に成る。考えれば解る事を少しの横着な心で、また他の仕事を生む事を知ってほしい。


  • 何枚も次から次へと新しいタオルを使用するヘルパーが居る。
     ヘルパーさんに良く緩慢差が見えます、自分の周りやベッドサイドを、よく見なさいと注意します。悪気は無く知らず知らずの内に、新しいタオルを出して使用する。それがウッカリならいいのですが。何も分からず無造作に、新しいタオルを出すヘルパーさんが居ます。そのヘルパーさんに、なぜそんなに新しいタオルを出すのかと聞くと、一度使ったから使ってはいけないと思ったから、と言います。 何が使っていけないタオルか、何がまだ使えるタオルかを、またそこで理由を話して納得するまで教え込まないといけない。最初の頃は教え込まれた事を、自分の中でこなし切れずに勝手な解釈をしてしまう頃がある。
    なぜ使い回すかと言うと、1日に私が使うタオルが20本から25本にもなる。(内訳は、清拭に8本、シモ用に3本。朝の顔拭きと髭剃りに3本。夜の清拭に4本。経管栄養に1本。)そのタオルを毎日洗濯して干す、労力は大変なものである。タオルだけではなく、パジャマやシーツや下着なども洗濯する。それが毎日家族の仕事となる。少しでも負担を減らす事が、ヘルパーとしての配慮といえる。


  • 洗濯物を家族のと一緒にしてしまうヘルパーが居る。
     家族の洗濯物と利用者(患者)さんの洗濯物は、別なかごに入れないとダメだと思います。清拭で濡れたタオルや陰部用で使ったタオルを、家族の衣類と混ぜて置くと、衣服の色落ちに繋がる可能性もあります。想像が大事です。もしもと言う事を、いつも考えて下さい。


  • 利用者の体の上から物を渡すヘルパーも居る。
     これはヘルパーさんだけではなくて、訪問看護師さんも良くやる事で常識がなさすぎます。これも想像性に乏しいからこんな怖い事が出来るのであって、もし手が滑ったりして利用者(患者)の上に落とした時に、どうするかを考えていません。自分だけは、そんな事をしないと思い込んでいるヘルパーさんが多いです。そう言うヘルパーは、失敗するとすぐにスイマセンと誤る。その誤ること事態は、素直でいいのですが。誤りなれと言う癖が付く事を、私は警戒しています。
    普通の常識では、親の寝てる所をまたぐなと、教えられているはずです。利用者(患者)さんも親と同じで、上から物を渡す行為は、同じ事をしているといえます。もしも何か落としたら、その時にどうしますか。軽い物を落としたら、スイマセンと誤れば済みますが。液体とか注射器とか薬とかを、こぼしたり落とした時には、責任を問われます。上布団を弁償したりとか、利用者(患者)さんを傷つけてしまい、医者の治療を受けなければ行けなくなったとか。 その様な事故を、想像が出来なくなっているのではないかと思います。


  • 深夜に警告アラームを鳴らしっ放しで吸引をするヘルパーさんが居る。
     夜勤帯のヘルパーさんに、良く見られるのですが、吸引に集中して警告アラームの音が、気にならないのだと思います。深夜寝ている家人には、あの警告音のピーピーピーと言う音は、相当耳障りだと思います。そこの気遣いが、ヘルパーさんに求められる点である。常に相手の立場に成る事と、利用者(患者)さんと家族に自分の遣り方・行動はどうなのかを、聞くことが必要になると思います。利用者(患者)さんの評価を受けるのが大事だと思います。


  • 自分の込んで自分勝手に仕事をするヘルパーが居る。
     この様なヘルパーさんは、自分本位で他人の事や回りの事が何も見えていない。こんな人がヘルパーをしていると、利用者(患者)さんは、たまった者ではありません。自分がこうだと思い込んだケアサービスを押し付けられている、利用者(患者)さんの身になったら、我慢なんてしなくてもいいんです。
    そこで利用者(患者)さんが注意してもヘルパーさんは、どうして注意されたのか判っていません。ヘルパーさん自身は一生懸命に尽して上げているのに、なぜ注意されないといけないの!  心の中では「ケアをして上げている。」「利用者さんが可哀想だから、見るに見かねてケアをしている。」「仕事だからここに居る。」   そんな押し付けがましいサービスは、受けたくはありません。
    朝の食事の用意する時でも、妻は子供の朝御飯とお弁当を作る一番忙しい時間帯に、私の食事を用意するのに妻を押しのけて食事の用意をする。ただスイマセンと言葉を掛ければ、何でも許されると思っている。周りが見えていない、タダの無神経な小母さんである。 こんなヘルパーさんは、家族が心を開きません。事務的なことしか話さなくなり、自然にケアサービスに自分から来なくなります。



ヘルパーさんは、プロとしての自覚と的確な判断が必要。

☆ 利用者(患者)が今何を求めているかを見抜く判断力が必要とされてくる。
   この事は、ヘルパー経験から生れて来るもので、利用者さんの顔の表情、仕草、その場の状況で即座に判断をする。それが全部当る訳ではないですが、私としてはとても有り難い事で、四肢麻痺に人工呼吸器で会話が出来ないと言う最悪な条件を備えている者には、大変助かる技術です。 これは利用者(患者)との信頼関係が築いていないと成立はしません。利用者(患者)さんが、何か頼み事をしたくて呼んだのにヘルパーさんが、適当に項目(枕をずらして、身体をヅリ上げして、手の位置変えて、尿取り、など)を羅列しても、それが当っていれば良いけど間違っていると利用者(患者)さんは嫌になって、頼み事をしなくなってしまいます。そこの見極めが難しく、私の場合には間違った場合には、直ぐに文字盤を使用させる様に切り替えさせています。

☆ 何か作業する時は、必ず利用者(患者)さんに声賭けをする。
   声賭けの重要性を、ここでは話しておきたい。始めに声賭けとは何であるかを説明します。利用者(患者)さんに対して作業をする時に、その作業箇所の名称とどの様に作業するかを、伝える事を声賭けと言う。たとえば、『清拭で手を拭く時に、右手の手先を拭きますね! タオルで包みますね! 熱くは無いですか? 拭き方はこれ位の力でいいですか? 次は左手を拭きますね!』などと声かけします。 これは、利用者(患者)さんとの信頼関係を築く為に、大きな役割を果たします。声賭けは、作業を遣られている側にとっては、ものすごく安心感を与えてもらい、次に何処を作業されるか判るので、不安感も取り除ける事になります。ヘルパーさんは声賭けを、あまり重要視していません。その感覚を換えて行くのがまた大変な事なのです。多くのヘルパーさん達は、恥ずかしがったて、なんでそんな事までしないといけないのか疑問に思います。 そこを根気良く教え込む事が大事だと思います。コミニュケーションが如何に大事かを知って貰うには長い時間が掛かります。

☆ 体の一部が痛いと、利用者が訴えてきた時の判断はどうするか。
       
  1. 利用者(患者)さんに、体のどの部分が痛いか聞くこと、
  2. 家族を呼ぶ。決して一人で対処し様と思わないこと。
  3. 家族が見守っていてくれる間に、在宅医と訪問看護師に、電話連絡を入れること。
  4. 在宅医と訪問看護師に、利用者(患者)さんが何処がどう痛いかを訴えているか、その経緯をキチット伝える事。
  5. もし在宅医から病院に搬送要請があったら、消防局に救急車の依頼が出来る事。


☆ 呼吸器の空気の量が少ないと、利用者が訴えた時にどう処置するのか。
   利用者(患者)さんが何かを訴えている。人工呼吸器の不具合で、空気の量(換気量)が少ないと訴えている。そんな時のヘルパーさんの対応は、どの様にしたら良いのだろうか。まずは本人からどの様におかしいのか聞く事が大事で、「空気が全然着てないのか。少しは空気が着ているのか。どこか空気が漏れている様な感じがするのか。」利用者(患者)さんが、どう感じているのかで判断を下さなければいけない。

   空気が来てなければ、すぐにアンビューバックに切り替える選択肢を選ばないといけません。その時に、利用者の意識確認の為に常に声賭けをして、近くに家族が居た時は協力し合って、救急車の出動(119)を消防に依頼します。その後に主治医と訪問看護師にも連絡を入れて、受入れ病院に連絡いれて貰い連携を取ってもらいます。救急隊が来ても敏速に搬送してもらえる様に、こちらが救急車が来るまでに、手配をしておく事が必要です。

   もしも少しでも空気が来ているなら、家族を呼んで人工呼吸器の数値の確認をして、設定数値が変わってないかを家族と一緒に確める。確めた後に人工呼吸器の会社に電話連絡を入れて、対処方法を聞いて元に戻れば良いが、念の為に新しい人工呼吸器と交換して貰う方が無難と言える。もし故障が直らない時は、人工呼吸器の会社が呼吸器の交換に来るまで、アンビューバックを使い呼吸の補助をすることになる。

   何処か空気が漏れているような気がすると、利用者(患者)さんが訴えてきたら、まずは人工呼吸器の換気メーターを見ます。そのメモリが通常より下がって居ないかどうかを見ます。もし下がっていたら、回路の何処かで空気が漏れている事が解ります。一番簡単なのは、破損箇所を探すよりは、その回路全体を新しい回路と交換する事です。交換をした後にゆっくり破損箇所を探せば良いので、その為には一つ緊急用の回路を用意して置かないといけません。

   その他には、換気測定ホースと呼気弁ホースに水滴が溜まり感知能力が弱くなり酸素量が少なくなるケースもあります。一番多いケースは、フレックスチューブの劣化による亀裂が多く見られる。それを注意して貰いたい。
以上の事を非常時には的確に判断が出来て、行動に移せるだけの知識が頭の中に入っていないといけない。

☆ 小さな合図でも見逃さない事。
   私たちALS患者は、四肢麻痺の他に顔面の筋肉の麻痺まで進行して、意思の疎通が難しくなります。私はまだ顔の筋肉の麻痺まではいっていませんが。着実に少しずつ筋肉への指示伝達が落ちて来ているのは確実です。いずれ何年先には、顔の筋肉麻痺が進行して、口も閉まらずにヨダレを垂らす状態にまで成るでしょう。目の筋肉も麻痺して、マブタが閉じたままや開いたままになったりするのが現実でそこからは逃れられない。 後は残っている動く筋肉を見つけ出して、意思の疎通を図るしかない。あるALS患者さんは、肛門の中に指を入れて、1回締め付けたらYESで、2回締め付けたらNOと言う合図で、意思疎通を図っている患者さんも居ます。 この様な事を考えて、利用者(患者)さんの呼ぶ時の合図は何なのかを知る事が大事である。
「マバタキするのが合図なのか」「口を開くのが合図なのか」「歯軋りを鳴らすのが合図なのか」「動く筋肉が残っていて、そこで呼び出しスイッチを押して合図をするのか」その利用者(患者)さんによって、それぞれ違う合図を送ります。その合図を離れていても見落としが無い様に注意を図らなければなりません。 これを怠ると、利用者(患者)さんに、不安感と不信感を与えることになります。本当にヘルパーさんは、いつも緊張感を持って気を抜く所が無い状態で働いている。命を預っていると言う事を自覚してもらいたい。介護の最前線を走っていると、私は思っています。

☆ 目と耳はいつも利用者さんに向けている事。
   これも上記で述べたとおり、いつ何が起きるか判らない事を想定したり、利用者(患者)さんがいつ呼ぶか判らない事を考えて、利用者(患者)さんから離れて他の作業は出来ない事をいつも自覚していて欲しい。もし離れて作業する場合は、警告用アラームの音をいつも注意する必要がある。幾つか例を挙げるとしたら、利用者(患者)さんの洗濯物を干しに行く時は、なるべく家族の人に代わりに近くに居てもらうか、5分おきに顔を覗きこむ形を取る様にしてください。
部屋の掃除をする時も掃除機は3分経つごとに一度スイッチを切るようにする。それは何故かと言うと、掃除機の吸引の音が警告アラームの音を打ち消してしまうからです。掃除機を止めればヘルパーさんの意識は、利用者(患者)さんに向く筈です。いつ利用者(患者)さんからの合図があっても良いような体制を取ります。利用者(患者)さんの部屋を離れて作業する時も、部屋の扉は常に10cmほど空けておいて、部屋の音が聞えるようにします。その時も5分に一度は顔を覗くことを忘れないで下さい。
外出した時も同じです。どうしても車椅子を押していると利用者(患者)さんの顔が見えません。そうするといつ合図が在ったのか、分からない状態に成ります。その時も面倒でも車椅子を止めて、顔を覗きこんで声賭けをします。この行為をしていると何時しか五感が働き、何らかの気配を感じる様になるから不思議です。利用者(患者)さんのまわりにいつも神経を張り巡らしていないといけません。それがプロのヘルパーです。

☆ 訪問看護師や在宅医に利用者の日々の状況が話せる事。
   これはプロのヘルパーとして自覚しているか如何かで分かります。利用者(患者)さんのその日の顔色や身体を触った時の体温に微妙な変化が判るのは、介護の最前線に居るヘルパーさんたちです。医師や訪問看護師の訪問時に報告が出来て、医師や訪問看護師の質問に、家族に代わって的確に答えれる。その答えに余分な言葉を付けたりはしない。その配慮が必要とされます。


ヘルパーの性格

ヘルパーさんの性格と言っても色々有ります。いまの現状では、自分でヘルパーさんを選ぶことは出来ません。事業所から送り込まれた、ヘルパーさんをどう教えるかに掛かってきます。本当は自分でヘルパーさんを、選べれる様なシステムになるといいんですが。いま段階では、評判のいい事業所を選んで、その中でいいヘルパーさんを見つけ出すしかありません。いままで見てきたヘルパーさんで、この人は身体介護に向いているか、向いてないかを判断できないと途中で辞められたりして、こちらが無駄な労力と時間を追い遣られます。
これは私の主観で選別している判断基準です。
  • 気持ちは優しくても介護の能力がない人。
  • お金が先にたって介護とは何か解ってない人。
  • 初めから身体介護はやれないと思い込んでいる人。
  • やる気満々で来て介護の現実を見て愕然として帰る人。
  • なぜこうするのかと理屈を説明しても理解が出来ない人。
  • 他人に注意されると反発してくる人。
  • 人が教えている時にすぐ言い訳を言う人。
  • 他人に云われないと(次に何をするのか教えても判らない)動けない人。

殺伐とした介護

他のヘルパーさんは、目が悪くて私の顔がぼやけて見得るらしく、見え難いから顔を近づけて、そこでおおきな声で話をする。なぜメガネをはめないのかと聞くと「私、メガネは似合わないからしないんです」 と平然と言う。 何を考えて介護の仕事をしてるのか? 仕事に支障を犯す様な事は避けるのが当然で、もし支障が起きたら改善して行くのが、どの企業でも遣っているのが常識です。そのヘルパーさんの事業所は、その事を指摘されてもそのヘルパーさんの言い分を、正当化しようと必死で弁明します。もうこう云う介護事業所は伸びません。ヘルパーさんは、大切にしないといけません。でも、大切にする事履き違えてキチット指導していくのと、甘やかして何でも言い成りになるのは良くない事です。仕事での甘えは許してはいけないし、サービス業の本質であるお客様(利用者)、本位のサービスに戻らないと利用者(患者)は付いてこなくなる。

これからの介護

「介護サービス」と名付けられている様に、サービスを提供するに当ってヘルパーさんがどの様なサービスレベルに居るのか、お客の来ない寂れた食堂の小母さんか、町のレストランのウエイトレスか、はたまた旅館の仲居さんか、それとも一流ホテルのホテルマンか、それは事業所の考えひとつで変わってくるし、ヘルパーさんの意識の持ち方一つで変わってきます。利用者(患者)個々に対してどの様なサービスをするか、日々が勉強で常に指導とヘルパーさん同志のミーティング(情報交換)が必要だと思います。そして常に新しい情報を取り入れる。
ヘルパーさんを選ぶならこんな事に気を使う方を選んで欲しい。
  • 物品を丁寧に扱う人。
  • 周りの動きが見える人。
  • 性格が温和な人。
  • 人の話に良く耳を傾ける人。
  • なぜなぜと質問をぶつけて来る人。
  • そのケアがなぜ必要なのか、きちんと目的を理解できる人。
  • 身内の介護を経験してる人。

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