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その後 このサイトを開設してから一年半ほどが経った。その間、ほとんど更新らしいことをしなかったが、 直後に立ち上げたWingBrainのサイトに力を注ぐことになった からだ。当然ながら私もADHDについて様々学んだし、大勢の人たちと交流し、情報を交換しあい ADHDに対しては当初とは違う見方をするようになった。 詳しくは、幸いそれについての本を出すことができその中で述べている。 その本とは、「ひらめきすぎる人々」(株)ヴォイス出版 \2,300(税込み)で、385頁の少々厚い ハードカバーになった。多少高いので気が退けるがありがたいことに、初版の半分がすでに売れたとのこと。 当初は、一年かかって初版分が売れたら良い、と出版社も言っていたのだからうれしいことではある。 もちろん売れること自体うれしいが、私としてはなるべく大勢の方に読んでいただきたいという思いがあるので、 たとえそれが回し読みでも、また図書館などでお読みになったのだとしてもうれしいことなのだ WingBrainをごらんになれば詳しいことが分かるが、「ひらめきすぎる人々」のたたき台は このサイトである。そして、その内容の中心は、ADHD自体は障害なのではなく、ADHDという非常に 使いにくい脳のスペックであり、使いこなせないことから日常生活に様々な不具合が生じてくる。その不具合が つまりは障害なのであって、ADHDという仕様を使いこなせば非常な可能性を秘めているという点なのだ。 従って、まずADHD自体は使いこなすべきスペックなのであって、障害だと悲観する必要はないと言うことが 重要だ。使いこなしさえすればADHDには非常に大きな可能性がある。 使いこなすには、単なる訓練ではほとんど役立たない。なぜなら、通常の訓練とは本来ある能力を高める 目的で行うのだが、ADHD故にその能力がないのだから、訓練をしても改善されないわけだ。たとえとして、 生まれつき、あるいは後天的に、足のない人は、いくらそのままで歩く訓練をしても意味がない。その場合、 杖や義足、松葉杖や車椅子など、自分の状態にあう代替品を使って歩くという目的を達する方が何十倍も効率がいい。 ADHDでは、短期の記憶に問題がある、また物事に集中すべき時雑念や周りの音、視覚的刺激などを無視できない などの問題があるのだから、それらを訓練で強化しようと言うのは無駄が多すぎる。 したがって、それらの問題は習慣化、メモ、マニュアルの作成などほかの代替方法を訓練して補えばよい。 それがとりもなおさずリハビリというゆえんなのだ。ほかに、興味の対象にする、自己暗示を使う、 確信するなどの方法を組みあわせれば、私としては基本的にできないことはないと考えるようになった。 むろん、だからといって今私がそうだというのではない。そのように考えて努力ができるようになった ということだ。 また出来ないことはやらないで、代替手段でこなす、不必要なことはやらないで必要なことにエネルギーを 集中する、自分の意志力を無視した無理をしないで徐々にスキルアップして行く、更に、自分の本分以外 については完璧を目指さないなどもあるだろう。そうすれば、かなり精神的に楽になる。 大体そのような事を書いたのだが、うれしいことに大勢の方々から「良い本だ」との感想をいただいた。 ただし、万人が納得する本などこの世には存在しない。私なりに精一杯書いたが、すべての人たちに 受け入れてもらえるなどあり得ないので、当然反論もあるだろうと考えている。ただし、反論を著者に わざわざ送ってくださる方は稀少であり、当然遠慮があるのだろうが本を書いたものとしてはもちろん 反論でも読ませていただきたいと考えている。 さて、あるサイトにそのとびきり辛口の書評が載った。興味を持って読んだのだが、途中からがっかり した。的外れなのだ。たった20名ほどの体験を一般論として書いてある、などと述べているが、内外の BBS、メール、チャット、オフ会などで接し意見を交わしたり参照した人はのべ数千人になるのではないか と思われる。少なくとも20名ではなく、2000名にはなると思うのだが、この点については本の中に 明示してあるのに、それを無視している。例として、ADHDはフルカラーの夢を見ることが多いのでは ないかと本に書いたら、それをADHDの条件としてしまうのは間違いだとその書評は指摘している。 フルカラーの夢については、巻末資料のアンケートにもあるように485名中230名あまりが、つまり 約半数がそうだと答えている。これは、一般に夢とはモノクロが普通といわれている状況を考えると、A DHD(と思われる)にはかなり多いと思われる、と書いては嘘になるのだろうか。書評子はアンケート を無視している。 本で、自己診断は案外正しいのではないか、と書いたら、専門家として(書評子は専門家とのこと) 看過できないという。自称何々患者が急増するから、と言うわけだ。 細々とここで反論をしても仕方がないのでこのあたりで切り上げる。詳しくは、やはり、ご自分でこの本をごらんになって判断をしていただければと思う。 それはさておき、確かに過去一年余の間に、私自身を見つめ直す事が出来たと思う。今までも確かに 改善してきているとは思っていたが、たんに努力を重ねてきただけのことが多いようだ。努力自体は 必要不可欠であろうが、そこに工夫がなければ空回りになることが多い。従って、私は改めて自分に 何が出来て何が出来ないのかを見直したという事だ。 根本的に注意を集中することが出来ない、特に、興味のないことには集中できない,瞬間的に物忘れをする、 情報を理論的に分析する前に直感で判断してしまうなどなどはまず治らない。今まで治らないことを治そうと してきた。もともと無い能力を生かそうとすること自体が間違っている。無い能力は、ほかの代替能力を 使うべきだ。 そう割り切れば、生活の改善は思ったよりはかどることを実感した。出来ないことはやらない、 不必要なことはやらない,自分の本分以外は完璧を目指さない。これもそうやって見いだした解決策だ。 なかなか、うまくいっていると思う。 これで、もっと早い時期にこのこと、つまりADDについて気がついて、その改善に取りかかっていたら、 人生はもっと別なものになっていたろうが、今更それをいっても仕方がない。早いもので、私もそろそろ 還暦(ギョ!)だが、チャンスはあると信じている。それなら、私より若い人たちにはもっと大きな チャンスがあると思う。 とにかく、ADDが障害なのではなく、たんに脳の仕様なのであり、使いこなせば非常に有利な仕様に なりうると信じて、単に悲観するだけではなく積極的に使いこなすよう考え方を変えていただきたい。 考え方さえ変えれば、人生は思いもかけなく開けてくる。 はじめに ADD/ADHDとは このホームページの趣旨 運営方針 私について ADDは言い訳の理由にならない 自己診断 治療法 私の場合の問題 ADD以外の問題 私なりの工夫 掃除の手順 パートナー,家族などとの共同生活 ADDであるからこそ得られる人生の特典ー標題の由来 参考になる本 ご意見など お気楽ページ システム手帳 次へ ー 参考になる本 トップへ |