ADD/ADHDとは

最近、よく注意欠陥障害とかADD/ADHDという言葉を耳にする。一時期、部屋中をゴミだらけにして生活をしている女性がテレビに登場し、「片づけられない女たち」という本が注目を浴びた。それが広く注意欠陥障害について語られ始めたきっかけではないだろうか。私も、それでADD/ADHDのことをごく最近、おそらく二千一年六月のはじめ頃だったのではないだろうか。
ここに挙げた「片づけられない女たち」「大人のADHD」など良書がたくさん出てきた。詳しくは、本を読んだり、ネットで検索したり専門家に聞いて調べていただきたい。次に、ごく基礎的な説明をする。

注意欠陥障害とは、文字通り注意することが出来ない症状を言う。その結果、一つのことを考え続けることが出来なく、何をやっても長続きせず、瞬間瞬間に関心の対象が変わってしまう。子供は大なり小なりその傾向があるが、ADHDの場合、それが異常なレベルに達する。特に男児の場合、一時も座っていられない、人の話が聞けない、しきりに動き回るなどの現象が極端に現れ、それに悩んだ母親が専門家に相談してADHDを知る事が多いとのことだ。ADD/ADHDとは本質的に同じ障害だが、ここに挙げた多動性とは別に寡動性で、行動がなかなか起こせない場合もある。これをADDとしている。女児に多く、多動性ほど目立たないので障害が見逃されがちだとか。
女児にも多動性はおり、男児の多動性より目立つため、多動性の女児の障害は発見されやすい。

いずれの場合にも知能には全く問題が無く、気の向いたこと、集中したことには優れた成績を上げるため、怠け者、気まぐれ、勉強を馬鹿にしている、おっちょこちょいなどの評価を得ることになる。このような障害は、一見大人になるに従い収まってくる。知能に障害はないのだから、自分でその障害を克服し、矯正する努力をするからだ。が、根本的な障害が直ったわけではない。見かけの症状が改善されたにすぎない。

このようなわけで、ADD/ADHDは子供の病気であり、大人になれば直るという専門家もいる。それより、ADD/ADHDなどは存在せず、あくまで躾の悪さ、本人のだらしなさ怠け癖、やる気のなさの言い訳にすぎないとの説もかなりある。また、ADDは知能レベルが低いとか、反社会的性格を持ち犯罪を犯すなど、ほとんど差別としか思えないような発言をしている専門家もいる。しかし、現実にはそのような根拠はない。むしろ、ADD故の長所も見直されてきている。確かにADDは不便だが、見方を変えれば、天与の恵まれた資質かも知れない。

ADD自体がごく最近認識された(一番最初にこの問題が医学的に取りざたされ薬の試用がされたのは30年ほど前)ため、一般の正確な認識はまだまだであり、マスコミなどでも、部屋を掃除できないことなどがことさら取り上げられ、むしろ興味本位になっている。根拠も示さずにADDの単なる負の面をそれも誇張している”専門書”もある。まして、ADDに対し、あざけりや悪意の対象としている発言なども多数のサイトに見受けられる。やはり、正しい認識を普及する必要があると痛感せざるを得ない。社会のと関わり犯罪との関係も考えてみる必要がある。

ところで、行政ではADDをどのように取り上げているのか、厚生労働省のHPからメールで7月20日頃問い合わせてみた。現時点ではなしのつぶてだが、確かに細かい問い合わせに答えることは難しいのだろう。そのご、厚生労働省がらみのHPをいろいろ検索してみたが、現時点では関連記事は見つかっていない。引き続きさがしてもし見つかったら、また同省より先のメールへ回答があったら紹介したい。

砂糖のとりすぎが脳に影響しているとか、ビタミン不足が関与しているなどの説もあるようだ。中には、怪しげな健康食品などの宣伝のために、特定の物質を補充すればADDは治るような説明をあたかも専門家の説のように述べている場合もある。この点は、十分に注意すべきだろう。

だが、ADD/ADHDはたんなる性格や躾の障害なのではなく、脳自体の機能障害であるという説がもっとも納得が出来るので、このサイトはすべてその説を前提としている。むろん、それ以外の説がそれなりの根拠を持って説明されるのであれば、このサイトに取り上げるのはやぶさかではない。






人間の思考は、脳細胞同士をつなぐニューロンの中を流れるパルスによって生成している。わかりやすく単純化してたとえているので、そのつもりで読んでいただきたい。脳の機能
一個の脳細胞が刺激を受けてパルスを発生すると、そのパルスは多数のニューロンの中から特定の脳細胞に向けて伝えられる。ニューロンはその相手先の脳細胞に直接つながっているのではなく、ごくわずかな間隙を介して接しているのだが、その間隙をつないでいるのは各種の神経伝達物質である。一つのパルスについてニューロンの先から何度にも分けて伝達物質が放出され、脳細胞の受容器に届く。その神経伝達物質による伝達が、ADD/ADHDの障害を持つ場合、うまく機能しないのだ。これはあくまで遺伝的なものであり、この状態が生涯治ることはない。また、親がこの障害を持っていれば、子供も同じ障害を持つ可能性がある。神経伝達物質参照

脳の詳しい機能に就いては主題からはずれるので詳しくは書かないが、良書がたくさん出ている。とりあえずわかりやすいのは「脳のしくみ」岩田誠著 ナツメ社 あたりが良いだろうし、「唯脳論」養老孟司著 青土社 なども良いだろう。

ADD/ADHD障害は、大人にはないとされる理由は先に述べた。また、ADDが最近になって認識され始めたため、本人が悩みながらも自分の障害に気づかないからともいえる。
子供の障害がきっかけで自分の障害に気づくケースが多いため、小さな子供を持っている母親の障害が発見されやすい。男性の場合、ADD的な傾向も見過ごされやすい社会風潮があるため、大人の男性では障害が見逃されやすい。

結論として、老若男女に関わらず一定の割合でADD障害は存在する。発生率は全人口の一〜三パーセントであり、性差,人種,地域、文化により差は認められていない。ただし、男尊女卑の傾向が強い社会では男子のADDは発見されがたく、ADDが知られていない社会でももちろん発見されない。
この発生率については、脳自体の機能障害であることから、加齢に伴い減少することはない。従って、年齢には関係がないが、その症状が自己規制によって改善されうることから、一見年齢を重ねるとともに減少するかのように見えることは再三述べた。
近年その発生が増えた様に言う説もあるが、正しく認識される率が増えたにすぎない。言い換えれば、将来発生率が訂正される可能性はあるだろう。現時点で、最大全人口の10%くらいとする説もある。ただ、子供に対する親や教師のあり方、社会全体の条件などが時代により変化したため、一見ADD児が増えた様に見えるということも考慮すべきではないだろうか
男女の比率については、男児が女児に比べて多い、という説がむしろ主のようだ。男児4:女児1から男児7:女児1という説もある。が、男は多少乱暴でも良い、女はおとなしくあるべきだという見方が無意識にでも一般化しているのは日本のみならずほとんどの文化で言えることだ。そのてんを考慮すれば、男女比率は1:1に近づくと思える。


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