白日夢

ADD者は白日夢に悩まされることが多いそうだ。これは私なりに納得できる。例えば、こんな想像をした。人間の脳には、異なった情報の入ったファイルが整然と書架に収まっている。何かの作業をするとき、書架の間を流れてゆくベルトコンベアに関連したファイルから情報が取り出され乗せられてゆく。新しい関連した情報が新しく取り入れられ、別のコンベアに乗って運ばれてきて、整然と関連ファイルに納められてゆく。
私の頭の中にもファイル棚は整然と並んでいるのだが、コンベアがでたらめに張り巡らされ、何かの拍子にファイルから飛び出した情報を乗せて当てもなく動いてゆく。でたらめに取り込まれた情報は、最終的には整然と関連ファイルに綴じ込まれるのだが、そのファイルは別に無くとも良いファイルだ。




そんな愚にもつかない想像がばかばかしいことにくっきりとしたイメージを伴って私の頭を占領するのだ。寝ているときの夢の話ではない。起きていて、何かぼんやりと考えているときなどに起きやすい。電車に乗ってぼんやりしているとき、ただぶらぶらと歩いているときなど危ない。一度そういう想像にとらわれると、自動的に身体が動いているのとは別に、何も見えないし何も聞こえない状態になる。これが一般に言われている白日夢かどうかは知らないが、すくなくともこういう状態になる事は小さな子供以外には普通無いようだ。人に話してみたことがあるが、何だそれとしか反応されなかった。

もちろんこの傾向は子供の頃からひどく、本質的に今に至るまで同じだ。ただ、今では意識的に白日夢を断ち切ることが可能になったといえる。昔は、授業中や食事の最中でもいきなり自分が読んだ漫画や講談本の中に入り込みその主人公になりきっていた。喧嘩で大負けした後などは自分が空手やボクシングの達人になって、相手を完膚無きまでやっつける様が目に見えてわくわくした。一度その世界に入り込むと、二、三回耳を引っ張られるまでは現実に戻らなかった。今は自分で自分の耳を引っ張ることが出来るようになった。

強烈な白日夢と関係があるのかもしれないが、寝ている間に見る夢も、私の場合はどうも特殊なようだ。普通、夢は白黒で仮に色が付いたとしてもたまに赤系統の色が付くだけだという。夢の中の感覚は視覚だけで、音が聞こえたり臭いを感じることはない。いろいろな人に聞いてみたが、例外なくそのようだ。私と同じような夢を見る人に出会ったのは今まで一人しか居ない。

私の見る夢は、完全な色つきで、完全な音の再生、完全な嗅覚、触覚、味覚を伴う。たいがい内容を忘れてしまうのは他の人と同じだが、たまにありありと覚えていることがある。内容が荒唐無稽なのは人と同じで、断片の記憶だとその荒唐無稽の矛盾が感じられず、時に夢の内容を現実の記憶と勘違いしていることがある。これは、今の年齢になっても子供の頃と全く変わっていない。時に、自分が今夢を見ていることをはっきり自覚していて、夢の中のストーリーを自分の意志で操ることが出来る。これは、他の人にも起きうることは聞いている。睡眠中の夢が白日夢のようになっているわけだ。

他の人がどんな夢を見ているかは実際には分からないが、どうも私の見るのは違うようだ。あまりにリアルすぎて、目覚めた時すっかり疲れ果ててしまう。ADDと関係があるのかどうかは分からない。


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