長期心電図モニターについて

・一般的に我が国では、1年に80万人程度の患者が何らかの失神を起こしているとされ、計算上、人口の4割程度が生涯に一度は失神を起こすことになります。

・失神とは、「一過性の意識消失の結果、姿勢が保てなくなり、かつ自然に、また完全に意識の回復が見られること」と定義されます。

 

・失神(一過性意識消失発作)は

①起立性低血圧

②反射性失神

③心原性失神

④非失神

の4つに大きく分類されます。

 

<失神診療での当院での基本的な検査の流れ>

①病歴聴取→②身体所見→③起立時の血圧測定→④心電図→⑤胸部X線検査

上記の検査に加え、血液検査、24時間ホルター心電図、心臓超音波検査、頸動脈超音波検査を

行います。

 

・原因不明の失神では、発作時の心電図を確認する事が、診断、治療を行う上で重要となります。

・週に何回も失神や発作をくり返している方であれば、通常の心電図や24時間心電図、1週間ほどの心電図検査にて異常を発見することができます。

・しかし、失神や発作の頻度が月に1回など、それ程多くない方に対しては、通常の検査では異常を発見することができません。

・そこで、植込み型ループ式心電図(ILR:im-plantable loop recorder:図1)により最長3年間の心電図モニターが可能であり、低侵襲かつ、必要なければすぐに抜去可能な安全な検査であります。

・ILRは上の4つの分類の内、③心原性失神の診断において重要な検査であります。

・当院では、原因不明の失神に対して、ILRを使用し、早期発見、診断、治療により患者様のQOL向上に努めております。

 

・失神前に動悸症状がある   ・運動中の失神

・仰臥位での失神       ・2回以上の失神

・失神時に外傷を負った(受け身が取れなかった)

 

上記の症状に当てはまる場合は、心原性失神の可能性が考えられます。お気軽にご相談ください。

 

 

長期心電図モニター(ILR)、失神診療について 天の川病院 循環器内科