今年からオールインワンタイプのフィラリア・ノミ・ダニ予防薬は、新しい薬剤を導入致しました。新しいオールインワンタイプの薬は“シンパリカトリオ”という予防薬です。
去年まで採用していたネクスガードスペクトラと十二分に比較・検討して、様々な点を考慮した上で、シンパリカトリオを採用いたしました。
一番の決め手は、薬剤の副作用軽減の為の構造改善です。難しい話ですが、多くのお薬には、効果を発揮する分子構造(図の右手)と鏡合わせの副作用が懸念される分子構造(図の左手)が一体化して含まれております。この左手にあたる分子構造が曲者で、かなり昔の話になりますが、サリドマイドによる奇形児出産の問題を起こしたのも、この左手にあたる分子構造体です。
シンパリカトリオは、この左手部分を排除した、新世代の薬剤です。現在のところ、左手部分が含まれている薬剤でのそれによる副作用報告はなされていないものの、不必要な左手部分を排除してある薬剤の方が、より予防薬としては好ましいものと考え採用させて頂きました。
その他にも、薬剤が効果発現する為に必要な有効濃度が他の薬剤よりも極めて少ない特徴があるため、一錠に入っている薬剤量が少なく抑えられている点も評価しました。
ただし、お薬を投薬する際の与え易さ等も、予防薬にとっては重要な要素だと考えます。また、個々の患者様によっては、薬剤が体質に合わない場合もあるため、引続き、ネクスガードスペクトラ、クレデリオプラスも、取り扱って参ります。
何より大切なのは、都内では少なくなってきたとは言え、命に係わるフィラリアの予防を当院周辺であれば、5月から11月まで忘れずに行う事です。
可愛い家族の為、毎月一回の予防薬を忘れずに与えましょう。
ご興味のある方は、薬の鏡像体についての資料をご覧ください。名古屋工業大学の以前掲載されたプレリリースです。
https://www.nitech.ac.jp/news/press/2018/7114.html