2017年に和歌山県で猫での感染が初めて発見されたSFTSウイルスについてのお話です。
先日、愛知県で、外出する猫ちゃんが感染し、その治療に当たった獣医師に伝染し、その獣医師が亡くなってしまう事案が発生しました。感染した場合の猫ちゃんの死亡率6割、人間の死亡率3割と発表されているとても恐ろしい感染症です。
SFTSウイルスの主要な感染経路はSFTSウイルス保有マダニに吸血されることです。マダニは草むら等に潜んでいて、草むらを通る人や動物に乗り移り、数時間かけて動物の身体を移動し、主に柔らかい皮膚の薄いところに噛みつき吸血する昆虫です。
マダニは、東京都内でも普通に生息してます。近場だと大泉中央公園、和光樹林公園、石神井公園などにも生息しています。
最大の予防策は、ネコちゃんの外出をさせない事に尽きます。完全室内飼いにすることで、この感染症に限らず、エイズや白血病ウイルス感染、ケンカ、交通事故による怪我を予防する事ができ、確実に平均寿命を延ばすことが出来るものと考えます。
飼主様の命を守る為にも、可能な限り、完全室内飼いへの環境変更をお勧めいたします。
ただし、先日茨城県でのSFTS感染猫ちゃんの事例では、完全室内飼いの猫ちゃんが、脱走してしまい、保護をしたときにマダニに吸血されていることを確認。その後、SFTSウイルス感染症を発症し、その後亡くなってしまっております。
以上の事を鑑みての結論は、外出する猫ちゃんの生活環境を再考する事は勿論のこと、室内飼いの猫ちゃんにも、ノミダニ予防薬を毎月付けてあげる事が万が一の際の不幸な事案を避ける唯一の方法ではないかと考えます。
予防薬は、毎月1回、4月~12月に背中に付けてあげるスポット剤がお勧めです。
但し、予防薬を付けたとしても、残念ながらマダニを寄せ付けないわけではありません。マダニに長時間の吸血をさせない為のお薬となります。効果としては48時間に内に100%のマダニを死亡させるお薬です。
マダニの習性として、皮膚の柔らかいところに移動した後、噛みつき吸血をします。吸血時間は~2週間程度とされています。吸血開始後マダニ保有の感染症の感染リスクが上昇するのは48時間以降とされています。(お腹いっぱいに吸血した後に体液を注入する為。この体液と共にウイルスや原虫が注入される。)
その為、予防薬を定期投与しておいてあげることで、大切な猫ちゃんのSFTS感染のリスクを減らしてあげることにつながると考え、推奨いたします。
また、最後に外出先で弱っている野良ネコちゃんを見かけた場合にも、冷たいようですがこのウイルスの事を思い出して、行動して下さい。もし、保護をされる場合には、下記の東京都獣医師会リリースの診療マニュアルに則った防御衣を装備した上で、保護して下さい。
その上で、病院に来院される前には、必ずお電話にてご相談ください。
SFTS診療マニュアル⇓
https://tvma.or.jp/public/items/2021.3.25(SFTS).pdf
SFTSウイルスについて、より詳しく知りたい方は、〝SFTS 猫〟でネット検索してみてください。