10.美名を叫んで国民を騙すな(だますな)
田母神前空幕長は著書『真・国防論』
(宝島社 9年5月発行)第34頁〜第35頁で
「自衛隊のイラク派遣は2008年12月に終了したが、
こうした危険と背中合わせの任務を無事に完了し、部隊に所属した全員が
帰国できたことは
奇跡といってもいいだろう」と述べている。
読売新聞(朝刊)09年1月26日第1面〜第2面【地球を読む】欄
『集団的自衛権行使 日米同盟堅持の証し
反対論 世論の支持失う』
との論説で、外交評論家の岡崎久彦氏は
「日米同盟の維持強化のために日本が行うことの本命はどうしても
集団的自衛権の行使となる。それ以外は、その場しのぎの措置でしかない」
と述べている。
岡崎久彦氏は「現地の部隊が集団的自衛権を行使しても・・・」と述べている。
あきらかに陸上自衛隊の海外派兵を想定しての記述である。
米国のブッシュ政権が強く望んでいた陸上自衛隊の
アフガン派兵は
自衛権の行使には該当しない。
集団的と付け加えることによって
国民を騙す(だます)のは止めてほしいと思う。
毎日新聞(朝刊)09年4月17日第9面は麻生首相のブレーンの一人である
谷内正太郎前外務次官のインタビュー記事、『日米同盟、どう発展させますか−
地球市民の責任を果たせ』を掲載した。
このインタビューで谷内前外務次官は「国際平和協力活動や海賊対策に
ついても、日本は積極的な姿勢を示すことが必要だ。
カナダは2800人の兵隊をアフガニスタンに送り、
約100人の犠牲を払っている。
ニュージーランドは1万人の軍隊から150人をアフガンに送っている。
カナダやニュージーランドは、国際社会全体の平和と安全について、
グローバル・シチズン
(地球市民)としての責任を果たす発想があるからだろう」
と語っている。
日本は米国の要請に従って陸上自衛隊を海外に積極的に派遣すべきだ
という谷内前外務次官の考えが明確に伝わってくる。
「日本はアフガン戦争に陸上自衛隊を派遣して人的貢献も行うべきだ」
と声高く叫んでいる米軍出先派の論者たちは、
「国際社会全体のため」といっているが、
実際は米国とNATO諸国、すなわち、
キリスト教国全体のためというべきである。
国際連合・常任理事国である
中国(人口13億4575万人)と
ロシア(人口1億4087万人)はアフガン戦争支援に参加していない。
非常任理事国のコスタリカ
(人口457万人)、ブルキナファソ
(人口1575万人)、
ベトナム
(人口8806万人)、リビア
(人口641万人)、ウガンダ
(人口3270万人)、
メキシコ(人口1億961万人)もアフガン戦争支援に参加していない。
大国である
インド(人口11億9800万人)、
インドネシア(人口2億2996万人)、
ブラジル(人口1億9373万人)、
ナイジェリア(人口1億5472万人)、
エジプト(人口8299万人)、タイ
(人口6776万人)、
南アフリカ(人口5010万人)も
アフガン戦争支援に参加していない。
国際治安支援部隊(ISAF)参加国
現在、国際治安支援部隊
(ISAF)には
EUを中心に、
42カ国から、約7万名が参加している。
国際治安支援部隊
(ISAF)参加国は、相互にMOU(共同覚書)を締結することにより
参加を公式なものとしている。参加国構成は次の通りである。
(単位:人)
1.NATO加盟国
国名 |
派遣人数 |
アメリカ合衆国
|
34,800人 |
イギリス |
9,000人 |
ドイツ |
4,365人 |
フランス |
3,095人 |
カナダ |
2,830人 |
イタリア |
2,795人 |
オランダ |
2,160人 |
ポーランド |
1,910人 |
スペイン |
1,000人 |
ルーマニア |
990人 |
トルコ |
720人 |
デンマーク |
690人 |
ベルギー |
530人 |
チェコ |
480人 |
ノルウェー |
480人 |
ブルガリア |
460人 |
ハンガリー |
360人 |
クロアチア |
290人 |
アルバニア |
250人 |
リトアニア |
250人 |
スロバキア |
245人 |
ラトビア 175 |
175人 |
エストニア 150 |
150人 |
ギリシャ 145 |
145人 |
ポルトガル 145 |
145人 |
スロベニア 130 |
130人 |
ルクセンブルク 8 |
8人 |
アイスランド 2 |
2人 |
2.非NATO加盟国
現在、非NATO加盟国からは以下の14カ国が参加している。
国名 |
派遣人数 |
オーストラリア |
1,350人 |
スウェーデン |
430人 |
ニュージーランド |
300人 |
フィンランド |
165人 |
マケドニア |
165人 |
アゼルバイジャン |
90人 |
アラブ首長国連邦 |
25人 |
ボスニア・ヘルツェゴビナ |
10人 |
ウクライナ |
10人 |
シンガポール |
9人 |
アイルランド |
7人 |
ヨルダン |
7人 |
オーストリア |
4人 |
グルジア |
1人 |
谷内前外務次官は内閣府や外務省の情報分析官の報告書を真剣に読んでいるのだろうか?
北方領土問題についての駐ロシア日本大使の的はずれの発言などと合わせて考えると、
このような考えを持ち、発言をする人が外務官僚のトップであったことや、前首相のブレーン
であったことに強い不安の念を禁じ得ない。
【集団的自衛権】とか、【国際平和維持活動】とか、【国際協力】とか、
【日米同盟強化】とか、【地球市民としての責任を果たせ】とかの
美名を掲げて、日本国民を騙し、米国の戦争に加担することになる
陸上自衛隊の海外派遣に絶対反対である。
昭和戦争敗戦後、日本が選択した【平和通商国家】として生きるという
針路に誤りはない。世界の警察官を自負していた米国とは違うということを
日本国民は再認識すべきだと思う。
専守防衛、核兵器不所持、武器輸出禁止の方針に誤りはないことを
日本国民は再認識すべきだと思う。
11.米国は
超巨額の軍事費支出を続けられるか?
米国財政はクリントン政権時代は黒字であった。
ブッシュ政権の始めた戦争によって8年間で米国の財政赤字は危機的水準に達した。
2011年度の財政赤字は1兆6000億ドル(約140兆億円)と過去最大となる見通し。
10年度以降も1兆ドル前後の高水準の赤字が続く見込み。
2008年の米国の経常収支の赤字は6730億ドルである。
米国には国民全部をカバーする公的医療保険制度がない。「医療保険制度
改革法案」で、オバマ大統領が導入を計画。改革には9400億ドル(約84兆円)もの
巨費が必要といわれている。増税あるいは財政赤字拡大となるため、
反対者が多く、国論は二分状態にあった。難航していたが、外遊を中止しての
オバマ大統領の必死の努力により、10年3月21日、下院で、219票対212票の
僅差で可決され成立することになった。
そのような財政の火の車的状況の中で、米国の08年度の国防費支出は
5,485億ドル(@90で約49兆円)である。世界第2位の中国の
約8.6倍、ロシアの約14倍という怖ろしい規模である。
2011年度は
史上初、米国の国防費は7000億ドル突破する。
対テロ戦費が膨張
このような超巨額の軍事費支出を今後も続けられるだろうか?
米国は、超巨額の軍事費を捻出するために、日本を始め世界各国から
どのようにして資金を吸い上げるのだろうか? 怖ろしいことである。
10年1月24日配信の日経ネットは次のように報じている。
「米民主党の重鎮で親日派として知られる、ダニエル・イノウエ上院歳出委員長は
10年1月22日の日本メディアとの記者会見で、普天間基地の移設問題について
「米国の忍耐には限界がある。在沖縄海兵隊のグアム移転は計画の遅れで
経費が約50%増大している。これ以上の経費の増加はごめんだ。
日本の防衛費はGDP比1%以下だが、
米国の防衛費はGDP比で4%を超えている。
この事実を皆が心にとめるべきだ。」
You Tube:グアム移転、米が日本に貢献求める書簡
12.NATO諸国では
国防費削減の流れ加速
ギリシャの財政危機に端を発した欧州金融市場の信用不安が拡大する中、
財政再建の必要に迫られたNATO諸国に国防費削減の流れが加速してきた。
出典:SIPRI YEARBOOK 2011
ストックホルム国際平和研究所 2010年6月2日発表
SIPRI年鑑2010 主要国の2009年度軍事支出
順位 |
国名 |
軍事支出 |
|
世界シェア |
1 |
米国 |
6,610 |
億ドル |
43.0% |
2 |
中国 |
1,000 |
億ドル |
6.8% |
3 |
フランス |
639 |
億ドル |
4.2% |
4 |
英国 |
583 |
億ドル |
3.8% |
5 |
ロシア |
533 |
億ドル |
3.5% |
6 |
日本 |
510 |
億ドル |
3.3% |
7 |
ドイツ |
456 |
億ドル |
2.7% |
8 |
サウジアラビア |
413 |
億ドル |
2.4% |
9 |
インド |
363 |
億ドル |
2.4% |
10 |
イタリア |
358 |
億ドル |
2.3% |
欧州財政・金融危機、NATO(北大西洋機構)に打撃
17か国が国防費削減、
日本、豪州などに費用分担呼びかけ
NATOに加盟する28か国の首脳は、財政難で欧州諸国が国防費を減らしている
現状を踏まえ、2012年5月20日に採択した「シカゴ宣言」に、軍事資源の有効活用を
図る方針を明記した。欧州財政・金融危機が、NATOの不安要因になっている。
65項目からなる宣言で、NATO首脳は、財政難を、核拡散の脅威などの安全保障上の
課題と並べ、「我々の資源を最大限有効に生かすことが、かってないほど重要になっている」と
指摘した。宣言は、NATO主導の国際治安支援部隊(ISAF)が撤退する2014年末以降の
アフガニスタン治安部隊の維持費用についても、国際社会の分担を呼びかけ、
日本や豪州など非加盟の13か国を招く2012年5月21日のアフガン支援に関する
会合に期待感を表明した。
13.金融工学詐欺の被害の大きさは、
アルカイダの遠く及ぶところではない
オサマ・ビンラディンを頭
(かしら)とするアルカイダのテロは憎むべき行為であり、
テロを決して許すことは出来ない。テロを世界から根絶しなければならない。
アフガン戦争に参加している国々の政府は、アルカイダのテロの被害をことさらに
大きく煽り立てている。
しかしながら、米国の
エリート金融詐欺師どもが引き起こした
金融工学詐欺の被害の大きさは、アルカイダの遠く及ぶところではない。
これらの
金融詐欺師たちによる
金融工学詐欺は、米国、欧州の
金融機関を半身不随にして、金融危機=
経済のメルトダウンを引き起こした。
たとえていうならば、
アルカイダのテロの被害を太平洋戦争時のB29の無差別焼夷弾爆撃
1回分とすると、金融工学詐欺の被害はヒロシマ・ナガサキの
原爆投下被害の数百倍になると思う。
金融詐欺師たちは大金を懐に
いち早く遁走して
姿を眩ました。しかしながら
このため世界各国は大不況に陥り、大きな経済的ダメージを蒙った。
特に、まじめに働いていた数千万人の労働者に、
失業という惨禍をもたらした。
失業のみならず、現在、米国自身を含めて、世界各国で多くの人々が、
金融工学詐欺に起因する企業の崩壊、失業、消費沈滞、住宅喪失、
将来展望喪失、などによる未曾有の
経済的惨禍に苦しんでいる。
10年1月日27日行われた米国のオバマ大統領の一般教書演説は、
冒頭でブッシュ政権の下で引き起こされた
金融工学詐欺による
経済メルトダウンの惨状を次のように述べている。
さらにオバマ大統領は「米国が08年以降に失った雇用は
840万人。
特に痛手を受けたのが建設業と製造業だ」と述べた。
経済的惨禍を蒙っていないのは、
金融詐欺師たちと、ブッシュ政権が始めた
アフガン戦争とイラク戦争により、
需要が急拡大した米国、NATO諸国、ロシア、中国、
北朝鮮、さらにはイスラエル、インド、韓国などの
武器産業と
武器商人たちである。
武器産業と
武器商人たちはブッシュ前米大統領を
救世主と崇めているだろうが、
ブッシュ政権に対する
怨嗟(えんさ)の声が、米国を含めて、世界中で渦巻いている。
米国軍事費 2001年〜2008年
年次 |
|
米国軍事費 |
2001年 |
ブッシュ大統領第1期始まる |
2,814億ドル |
|
9.11テロ |
|
|
アフガン戦争始まる |
|
2002年 |
|
3,357億ドル |
2003年 |
|
4,174億ドル |
2004年 |
|
4,553億ドル |
2005年 |
ブッシュ大統領第2期始まる |
4,782億ドル |
|
イラク戦争始まる |
|
2006年 |
|
5,287億ドル |
2007年 |
|
5,470億ドル |
2008年 |
|
6,073億ドル |
参考資料:防衛省『国際軍事情勢 最近の軍事費上位国の推移』09年1月公表
読売新聞(朝刊)09年9月14日第1面は「懲りないウォール街、金融規制に猛反対、
消費者保護庁つぶせ」との見出しで、「普通の金融商品しか売れなくなれば、
金融機関のもうけが減り、米金融機関の国際競争力が低下してしまう」との
エリート金融詐欺師どもの動きを大きく報じた。
最先端の金融工学技術による証券化商品という毒入り化け物金融商品による
詐欺(サギ)が徹底的に禁止されていない。逆に、復活しつつあるのではないか?
毒入り化け物金融商品によるボロモウケが忘れられず
「夢よもう一度」と考えているのだろうが、これは、国籍のいかんを問わず、
真面目に働く人々が、到底、容認できないことである。
アフガンにおける愚かなブッシュ戦争は直ちに止めて、
ブッシュ政権が容認したエリート金融詐欺師どもの金融工学詐欺の
再発を防止することである。
世界各国の良識ある国民をバカにしてはならないと思う。
14.日本は何で貢献すべきか
ブッシュ政権が始めた愚かな戦争を止めさせることが、
米国に対する日本の真の貢献である。
【戦争は絶対悪】との考え方を米国を始め、世界各国に徹底的に浸透させることが
国際平和維持のための日本の真の貢献である。
筆者はアフガン戦争は国際平和に貢献する【テロ殲滅の正義の戦い】ではないと思う。
アフガン国民はなぜタリバンを支持するのか?
多くのイスラム諸国は、なぜタリバンを支援するのか?
アフガン戦争は、キリスト教徒がイスラム教徒の国へ侵攻した宗教戦争で、
パレスチナと同じく、無宗教者には、どちらが正しいのか分からない。
ただ、パレスチナと同じく、当分、終結が望み薄の、愚かな戦争だと思う。
どちらの場合も、悲惨な被害を蒙っているのは住民たちである。
米やNATO諸国の国民の大半が反対している。この戦争の愚かさに
精神異常をきたした精神科の米軍軍医が乱射事件を引き起こしている。
腐敗・汚職にまみれたカルザイ政権は国民の支持を失っている。
いまや、アフガン国民はタリバンを支持している。
イスラム教徒ではない米国やNATO諸国が直接統治はできないし、する必要もない。
米国やNATO諸国を含む43か国に戦争を止めさせることが日本の真の貢献であると思う。
15.アフガン戦争は「正しい戦争」ではない
09年12月10日のノーベル平和賞授与式でオバマ大統領は
アフガン戦争を「正しい戦争」と位置づけた演説を行った。
筆者はアフガン戦争は「正しい戦争」ではないと思う。
「正しい」か「正しくない」かは後世の【歴史】が審判すると思う。
ノモンハン事件の停戦が成立した1939年9月に
ドイツがポーランドに侵攻して第二次大戦が始まった。
この年の新聞を読むと、改めて、戦争を始めたヒトラーの罪の深さと
新聞報道のあり方をつくづく考えさせられる。
「戦争絶対反対」が多数派と思われる日本と
「正しい戦争」を強力に推進する米国との日米同盟が、
米軍の出先とすら思えた自民党が政権を担っていた時代と
同じ状態で続くとは到底思えない。
このような状況を「正しい戦争」を支持する新聞はどう報道していくだろうか。
16.米国の侵略戦争に参加して、
「米軍と共に海外で戦う」ことには絶対反対
05年9月11日の衆議院の【郵政改革】総選挙において、自民公明両党は327議席を
獲得して圧勝した。しかし、国民は【郵政改革】に賛成したのであって、米国の侵略戦争、
すなわち、アフガン戦争やイラク戦争に参加して、「米軍と共に海外で戦う」ことには
賛成していない。
この総選挙の直後、日米同盟の見直しが行われた。05年10月29日、この見直しが
『日米同盟:未来のための変革と再編』という合意文書にまとめられた。
署名した大野防衛庁長官が強調している通り、この文書によって、
日米同盟は「歴史的に大きく変革した」。
しかし日本国民の過半数は日米同盟変革に賛成した覚えはない。
以後、自民公明政権は「米軍と共に海外で戦う」路線の強化にまっしぐらに進んで行った。
この合意文書が謳った「米軍と共に海外で戦う」ことの、
最大、かつ、見逃すことが許されない重要な問題点は、
自衛戦争と、侵略戦争の違いを
明確に日本国民に示していないことである。
武力侵略されれば、断乎として武力自衛するのは当然
筆者は、もし、中国、北朝鮮、ロシアのいずれかの国が、単独、あるいは、同盟して、
日本や米国に戦争を仕掛けてきて、
日本、あるいは米国が、一方的に中国、北朝鮮、ロシアに攻撃され、
莫大な被害が発生する事態になれば、自衛のため、報復戦争を自ら行い、
かつ、「米軍と共に国内で戦う」ことは当然と考えている。
関連サイト:中国の暴力団的海洋制覇は国際平和の敵
しかし、テロ撲滅という名目で、宗教、民族、言語、文化、教育水準、政治体制、
国民一人当たりGDP等が全く異なる国々に対して、米国が一方的に戦争を仕掛け、
ドロ沼化しているアフガン戦争や、イラク戦争などの侵略戦争に
日本が参加して「米軍と共に海外で戦う」ことには、断乎、絶対反対である。
従って、この点を明確にしないで、米国の侵略戦争に参加することになるかもしれない、
「米軍と共に海外で戦う」路線の強化にまっしぐらに進んで行ったことは、
あえて言うならば、筆者は、許すことのできない自民公明政権の、
いわば、国民を騙したサギ行為ではないかと思っている。
06年5月1日、上記『日米同盟:未来のための変革と再編』の実施手順が
『再編実施のための日米のロードマップ』という文書にまとめられ、
日本側は当時の麻生外相と額賀防衛庁長官が署名した。
米国側は、前回と同じく、ラムズフェルド国防長官、ライス国務長官が署名した。
このロードマップに基づく
『第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の
実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定』が09年2月17日に
結ばれ、5月13日、国会で承認された。
その後、内閣は安倍、福田、麻生と変わっていった。
しかし、【郵政改革】選挙圧勝により力を増した自民公明連立政権は
強力な日米軍事一体化政策、すなわち、「米軍と共に海外で戦う」路線の強化を
着実に推進してきた、
郵政改革賛成投票者が全く予測していなかった事態が進展したのである。
自民党は憲法改正案を発表し、国民投票法を成立させ、
憲法改正のための土台づくりを進めてきている。
07年1 月9 日、防衛庁が防衛省に昇格した。
同時に、自衛隊法第3 条の「任務」に、
「国際平和」のための活動」が付け加えられ、
海外派遣が「本来任務」と位置づけられたのである。
自衛隊は、内閣府の統制から離れ、防衛大臣によっ
て指揮・監督される新しい軍事組織に生まれ変わった。
防衛省昇格の目的は極めて明確である。
米軍活動と、より一体化・融合していくためである。
05年に歴史的に変質した日米同盟を強化するため、
憲法の外に活動領域を広くするためである。
昭和戦争敗北後の日本再建の土台となった
国是を捻じ曲げ、
明確に憲法に違反する
自民党の安全保障政策、就中(なかんずく)、
米国属国化を象徴する陸上自衛隊の海外派遣には、いかなる形でも絶対反対である。
17.自民党は米軍の出先か?
09年8月1日の各紙は自民党の選挙公約を大きく報じた。
外交・安保についてみると、自民党は米軍の出先?として、
何が何でも自衛隊の海外派遣を強行したいとの強い意思が感じられる。
自民党マニフェスト
資料出所:日本経済新聞(朝刊)09年8月2日第5面
「自衛隊の海外派遣が随時可能になるよう一般法の制定をめざす」と
米国の侵略戦争に参加して、米国と共に海外で戦う方針を明確に打ち出した。
独立国として【平和通商国家として生きる】という国是に反する方針であり、
明確に憲法に違反する方針である。
自衛のためではなく、日本周辺地域に限定するのではなく、
実質的には、軍事面では、米国の属国として、世界的規模で、
米国の軍事戦略にひたすら盲従すると、臆面もなく宣言しているのである。
元首相と前外務次官を中心とする米軍出先?派は、
米国の愚かな戦争に積極的に参加するため、
集団的自衛権と称する美名を声高く叫んでいる。
09年8月、国民を騙す自民党の常套手段(じょうとうしゅだん)である
有識者懇談会(安全保障と防衛力に関する懇談会)の報告と称して、
陸上自衛隊を海外派遣することが国際平和維持活動であり、
国際協力であるとの日本国民の洗脳教育を強力に推し進めている。
この記事は中日新聞東京本社の許諾をいただいて東京新聞(朝刊)09年8月5日第2面より転載しています。
筆者は米国が強く望む「アフガン派兵」は「国際平和維持活動」ではなく、
岡本道郎・読売アメリカ総局長の記事にある
【新十字軍】侵攻作戦への参加であると思う。
国際平和維持活動という美名に騙されてはならないと思う。
宗教宗派、民族部落、言語、教育程度、就学率、識字率、
生活手段が千差万別である中東地域に対する伝統的な米国の政策は、
話し合いの積み重ねによる現実的な平和の維持であった。
それをブッシュ政権は、【世界最強の軍事力という棍棒】を手に
【米国の言うことを聞け】と殴り込んでいったのである。
その結果が、日中戦争を想い起こさせる、泥沼化しつつある現状である。
アフガンもイラクも、米軍とNATO軍(国際治安支援部隊)がすべて撤退して、
現地政府とタリバンが、話し合い、あるいは内戦で直接対決して、
決着をつけるより仕方がないと思う。
現地政府がタリバン以上の国民の支持を得られなければ、
あるいは現地政府の最高指導者の統治能力がタリバン以下であれば、
いくら米国軍やNATO軍(国際治安支援部隊)が軍事支援をしても
タリバンを壊滅させることはできない。
外国軍隊は、長期には、反抗する現地住民を完全制圧することはできない。
出典:藤原彰著 『餓死(うえじに)した英霊たち』 青木書店 2001年5月発行
18.南スーダンへのPKOに反対、
進化するPKOには、100%絶対反対
1.
筆者は、日米両国の関係緊密化を強く願っているが、現在の日米同盟は、
前述の通り、「部隊を一体的に運用」と明確に示されている通り、
自衛隊の指揮権すら米軍に握られた米国従属誓約だと思っている。
米国に脅かされてのスーダンへの陸自派遣は、従属化の深化以外の
何物でもなく、徹底的に反対である。国際平和に対する貢献にはならない。
2.
憲法第9条がなければ、自民公明政権は、集団的自衛権の名のもと、当然、
アフガン戦争に陸自を派遣していたと思う。派遣された陸自隊員の中から、
2012年5月、大手各紙が報道の通り、「実質的にはタリバンに負けた
米軍とNATO軍」の現状に絶望して、あまりにものバカバカシサに絶望して、
米軍兵士と同じように、自殺者・精神異常者を多数生みだしと思う。
3.
昔からスーダンはアフリカの中でも、最も問題の多い地域である。
古くは、映画「カーツーム」。最近では、ダルフールにおけるジンジャーウィードの
住民皆殺しの蛮行と、国連決議に違反する中国とロシアの大量武器輸出である。
陸自の南スーダン派遣は国際平和に対する貢献にはならない。
日本は、アフリカ大陸の、二重三重に複雑に絡み合った民族紛争、宗教紛争、
利権紛争、地域紛争に関与すべきではない。日本には、そんな余力はない。
ちなみに、アフリカ大陸の資源の確保と、アフリカ大陸における影響力の拡大のため、
中国はスーダンに過度に介入しているという国際社会の批判・非難にもかかわらず、
中国は、南スーダンの国連加盟を積極的に支援し、北スーダンと南スーダンの
境界地域へ派兵する準備を終えたといわれる。
スーダンは、アフリカ第5位の原油埋蔵国。原油埋蔵量の75%が南スーダンに
集中している。このため、中国の派兵は「黒い黄金−原油」獲得のための布石
というのが外交筋の一致した分析である。
しかしながら、極めて当然のことながら、アフリカ大陸内陸地域の地下に埋蔵されている
資源を取り出して、有効に活用することは容易なことではない。膨大な資本と技術が
必要であり、さらに、最も重要なことは、地域の平和が、長期間、完全に保たれることで
ある。筆者は、「中国のお手並み拝見」と思っている。
19.武器輸出の取り締まりを
それよりも最新武器の製造能力のないアフガン、イラクへの
不法な、あらゆる武器の輸出を徹底的に取り締まることである。
テロリストたちが使用している武器が
どこの国で製造され、
どのようなルートで彼らの手に渡っているのかを
徹底的に調査しなければならない。
その上で、テロリストたちを武器で支援している国や組織に対する
徹底的な制裁を行うことが必要である。
世界各国の武器輸出実績:単位・百万米ドル
資料出所:SIPRI Yearbook 2009
100百万米ドル未満の国は除く
国名 |
2007年 |
2008年 |
合計 |
Austria |
89 |
30 |
118 |
Belgium |
19 |
408 |
427 |
Canada |
348 |
215 |
562 |
Chile |
|
133 |
133 |
China |
396 |
428 |
824 |
France |
2,639 |
1,585 |
4,224 |
Germany (FRG) |
3,260 |
2,837 |
6,097 |
Israel |
414 |
410 |
824 |
Italy |
649 |
484 |
1,133 |
Montenegro |
117 |
|
117 |
Netherlands |
1,241 |
554 |
1,795 |
Poland |
157 |
96 |
253 |
Russia |
4,559 |
5,953 |
10,511 |
South Africa |
102 |
95 |
197 |
South Korea |
138 |
141 |
279 |
Spain |
554 |
623 |
1,177 |
Sweden |
388 |
380 |
768 |
Switzerland |
245 |
378 |
622 |
UK |
1,098 |
1,075 |
2,173 |
Ukraine |
774 |
233 |
1,007 |
USA |
7,914 |
6,159 |
14,073 |
Total(削除国分を含む) |
25,370 |
22,681 |
48,050 |
世界の主要武器製造会社上位18社は:
SIPRI YEARBOOK 2008によると
次の通りである。
上位100社中で
米国の武器製造会社は47社を占める。NATO諸国の
会社は
39社である。残りの
18社は、日本、韓国、インド、ロシア、イスラエル、
オーストラリア、シンガポールなどである。
米国とNATO諸国の
武器製造会社と
武器商人たちにとっては、米国のブッシュ前大統領は
恩人的存在であったと思う。
米国とNATOによるアフガン侵略戦争の泥沼化や、北アフリカや中近東における
武力紛争・武装蜂起・武力弾圧等の拡大によって、武器製造輸出国、各国の武器製造
企業は
ボロ儲けしている。
米国、ロシア、ドイツ、フランス、韓国、中国、北朝鮮、インドなど、すべて、
武器製造・輸出に血眼
(ちまなこ)になっている。
これら各国は、密貿易を含めて、なんら臆することなく、武器輸出を積極的に拡大している。
武器輸出の拡大は、世界各国・各地における殺戮・傷害・破壊を助長することになる。
2003年以来、武力紛争が続いているスーダンでは、
国連の
武器提供禁止措置を、
国連・安全保障理事会の
常任理事国である
中国とロシアが、
無視して
提供し続けている。
戦闘機、戦車、装甲車、攻撃用ヘリ、ロケット砲などの中国製・ロシア製の最新兵器で武装し、
アフリカ最強と謳われるスーダン政府軍とジャンジャウィード
(政府系暴力団的民兵組織)が、
2011年6月現在にいたるも、反抗する非アラブ系住民を殺害し続けている。
さらに中国は、南シナ海で、公然と侵略国家であることを誇示しているのみならず、
国内各地における少数派民族の暴力迫害を、恥じることなく、臆することなく行っている。
2011年の世界の軍事費支出
2012年4月19日、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所
(SIPRI)が
発表した「2011年 世界軍事費報告」によると、2011年の世界の
軍事費は全体で1兆7,380億ドル(約139兆7,400億円)であった。
国別では米国が7,110億ドルで第1位、中国が1,430億ドルで第2位だった。
米国は中国の約5倍で、全体の4割を占め断トツである。
1998年から13年連続で上昇し続けた世界の軍事費は、
2011年、前年比0.3%増と、初めて横ばいとなった。
第3位はロシアで720億ドル、第4位は英国で627億ドル、
第5位はフランスで625億ドル、第6位は日本で593億ドル、
第7位はインドで489億ドル、第8位はサウジアラビアで485億ドル、
第9位はドイツで467億ドル、第10位はブラジルで354億ドルとなっている。
ロシアは、英国とフランスを抜いて第3位と軍事費を大きく増やした。
米国と欧州諸国が軍事費を削減したのに対し、
中国とロシアは、それぞれ、前年比6%増、同9%増と
大幅に増やし、軍事大国への道をまっしぐらに進んでいる
ことを世界に誇示した。
過去5年間、世界の武器貿易は24%増と
大きく増加した
上述の通り、2011年の世界の軍事費は横ばいであったが、
世界の武器貿易は、2007年〜2011年の5年間、
それ以前の2002年〜2006年の5年間と比べて、
24%増と伸び続けている。(
SIPRI、2012年3月19日発表)
主要な武器輸出国は、第1位が米国でシェアは30%、第2位がロシアでシェア24%である。
米国とロシアの2か国で、世界の武器輸出量の54%を占めている。
第3位はドイツでシェア9%、第4位はフランスでシェア8%、第5位は英国でシェア4%である。
最近の目立った動きは、中国が武器輸出国として台頭してきたことである。
中国の主要輸出先はパキスタンである。
SIPRIによると、2007年から2011年までの5年間の主要な武器輸入国は、
インド、韓国、パキスタン、中国、シンガポールである。
主要国中、唯一、
日本だけが武器輸出を行っていないのである。
日本だけが、世界各地・各国における殺戮・傷害・破壊の拡大に背を向けている。
この
国際平和貢献実績こそ、日本国民が
最も誇るべきことである。
20.ロシアの2011年の武器輸出額
100億ドルを上回る見込み
2011年12月8日、ロシア連邦軍事技術協力庁の
アレクサンドル・フォミン次官は、パリ航空ショーで、
「ロシアの2011年の武器輸出額は、昨年の100億ドルを越える」と発表した。
フォミン次官はインターファクス通信に対して、ロシアの武器輸出の
最も有望な市場はインドと語った。インドへ、2011年〜ら2012年、
フリゲート艦3隻を輸出すると語った。
フォミン次官は、中国、ベトナム、アルジェリアなどへの武器輸出の拡大も
見込んでいると語った。さらに、最近数年間で、アフリカや南アメリカなどへの
武器輸出が再び拡大しているとも語った。
以上
関連サイト:
T.あまりにも無知・無能・無責任であった
昭和の日本陸海軍の指導者たち
1戦没者の60%強140万人は餓死であった
2.ナガサキの原爆惨禍
3.本土決戦 1億総玉砕−国民を道連れに無理心中!
4.日本戦争経済の崩壊
U.極悪非道なスターリンのソ連の
日本人虐待・虐殺と
ソ連軍兵士の日本女性強姦
1.日本人捕虜のシベリア奴隷労働被害(シベリア抑留)
2.ソ連軍兵士の強姦、殺戮、暴行、強奪
3.満州開拓団の悲惨な結末
4.シベリア抑留 行方不明者記録抹殺
5.ソ連収容所における日本人捕虜の生活と死
6.スターリンの犯罪を忘れるな!
7.北方領土返還要求大会は 税金のムダ使い大会
V.国際平和をぶち壊す
中国と韓国の
反日洗脳教育(愛国教育)
1.愛国教育が中国を滅ぼす−憎悪感植え付けが諸悪の根源
2.中国の暴力団的海洋制覇は国際平和の敵
3.ダライ・ラマ法王のノーベル平和賞受賞記念講演・チベットにおける中国の残虐行為
4.中国のウイグル人虐殺と迫害、46回もの原爆実験
5.朝鮮戦争の推移と韓国の歴史教科書
6.長春市民数十万人餓死、八路軍の兵糧攻め
7.毛沢東の犯罪を忘れるな!
以上