1日目
 成田〜カイロ
 
2日目
 ギザ
 カイロ
 
3日目
 ハルガタ
 
4日目
 ハルガタ
 
5日目
 東方砂漠横断
 カルナック神殿
 ルクソール神殿
 
6日目
 メディネトハブ
 職人の墓
 貴族の墓
 王家の谷
7日目
 モスクワ
 
8日目
 帰宅
 西岸満喫の一日
いよいよ今日はルクソール西岸。今回の旅行で一番楽しみにしていた日だ。子供のころ読んだカーターのツタンカーメンの発掘の記録。それ以来、憧れ続けてきた王家の谷を観光するのだ。
しかも今回、事前の情報収集で、王家の谷以外の墓や神殿・葬祭殿も素晴らしいことが分かった!今日一日、たとえ途中で倒れそうになっても、一つでも多くのスポットを回るのだ〜!手元には今日回りたい場所の詳細をまとめた資料がずっしり。でもこれ全部回ったら3日はかかるだろうなぁ(笑)まあ、できるところまでやるだけだ!
 
朝起きて、みんな気合十分。子供たちも今日一日の大変さは何度も言い聞かせてある。頼るは自分の体力のみ。まずは今日一日の英気を養うために朝ごはんだ♪
シェラトンのレストランへ。ナイル川沿いにあり、朝のナイルを見ながら食事ができる(^-^)朝のやわらかい陽射しに照らされたナイルはとても優しい眺め♪思わず食事を食べ過ぎてしまうなぁ(とナイルのせいにしてみる)
 
ナイル一望 朝のナイル

 
ガラベイヤ楽団
少しでも時間を節約するために今日は車を頼んだ。英語を話せるドライバーがいないということで、英語ガイドもお願いすることになった。朝8:30に待ち合わせ。全然早くないとお思いでしょうが、これが我が家には相当早起き。これでもかなり気合が入っているのだ。
今日は観光終了後、カイロ〜モスクワとハードなスケジュール。少しでも負担を減らすためにホテルに全ての荷物を預けることにした。ホテルの玄関前にはエジプトの楽団がいた。娘が呼び止められ、エジプトの弦楽器を演奏させてもらった。陽気な音楽と笑顔で送り出してくれる(^-^) いい感じだ♪今日一日がんばるぞー!(^o^)/

メムノンの巨像
まずは車の中で入念な打ち合わせ。ガイドには代理店を通して、見たいスポットを伝えておいた。見たかったのは次の通り。
 
最優先
 ・職人の墓(パセドゥ・センネジェム)
 ・貴族の墓(センネフェル・ラモーゼ)
 ・王家の谷(トトメス三世・ツタンカーメン・ラムセス9世)
 ・メディネトハブ
優先
 ・職人の墓(インヘルカウ)
 ・貴族の墓(レクミラ)
 ・王家の谷のきれいな墓
 ・メムノンの巨像
時間があれば
 ・一つでも多くの貴族の墓
 ・ハトシェプスト女王の葬祭殿
 
ガイドは王妃の谷も連れて行こうと思ってくれていたようだが、この際貴族の墓優先で。希望を伝えると、とりあえず、通り道にあるメムノンの巨像を見た後、西岸チケットオフィスでチケットを買い、優先順位の高いメディネトハブへ行くことになった。
 
〜〜ここで残念だけど、やはり書いておかなくてはいけない。今回のガイドは博士号を持っている学者と自己紹介され、熱心に説明してくれたのだが、帰国後教えてもらったことを調べると、一般に知られている説と異なることがたくさんあった。話を聞いている時は「聞いたことがない斬新な説だけど、最新の学説なのかも?」と思ったけど、私の調べた範囲では違う。今回HPを書くに当たって、かなり調べなおしたのだけど、あまりにマニアックな所ばかり回ったせいで、資料がないことも多かった。その為、ガイドに教えてもらった事をそのまま書いた部分もある。その場合は明記するので、踏まえて読んでいただけるとありがたい。〜〜
 
気を取り直して(笑)、続きを書きます。
車に乗り、延々とナイル沿いを進む。以前は近くに橋がなく、フェリーを使って対岸に渡ったようだが、現在は橋がかけられている。でもルクソール東岸からかなり離れている。ぐるりと迂回し30分位かかって対岸に到着した。
東岸とは違い、西岸はとてもひなびた場所だった。大きな建物もほとんどなく、畑や荒地が続く。そんな中にポツンとメムノンの巨像が立っていた。
まわりに建物がないので大きさが目立たない。これはもともとアメンホテプ三世の葬祭殿の入り口にあったものだ。しかし今は後ろにあったはずの建物は陰も形もない。神秘性を高めるために、増水時に水が来るところに建てられたせいで、洪水で流されてしまったことと、後世の王が石材を流用したため、すっかりなくなってしまったのだ。
紀元後27年の地震により、さらに破壊が進んだ。この地震後、朝日を浴びるとキーンという金属音がするようになり、ローマ皇帝ネロやハドリアヌス帝もわざわざ聞きに来たと言う。像が泣くといわれていたそうだ。
ぽつんと残り、大きく破壊された像が「泣く」と言う話はとても似つかわしい。でも、惜しいことに199年の修復により音がしなくなってしまったそうだ。
うーーん、聞きたかったなぁ。それにしてもローマ皇帝もこんな所までわざわざ…相当物好きだなー(笑)まあ、「あんたに言われたくない!」と言われそうだけど(^^ゞ
 
一枚岩でできている 足元に愛妻テイィ。椅子横には
エジプト統一のシンボル。
 
チケット売り場
メムノンの巨像後ろにはシートが張られた一角がある。ここで最近、スイスの調査隊がメムノンの巨像クラスの巨大な石像を含む遺物を多数発掘したとガイドから説明があった。かなり大規模な発掘を行っているようだ。続報が楽しみである。
 
メムノンの巨像で写真を撮り、この先にあるチケットオフィスへ向かう。看板にずらりと公開中の墓の名前と料金。貴族の墓や職人の墓のチケットはここでしか買えないので、ごっそりと買い込む。するとなんと、チケットがないと言い出した。チケットがない墓は同じ料金の他の墓のチケットで代用するらしい。大雑把だなぁ(笑)
 
無事購入し、いよいよメディネトハブへ。お目当てはラムセス三世葬祭殿だ。
この一体はかつてハブ一族が住み、そのためメディネトハブ(ハブ族の町)と呼ばれる。日干し煉瓦でぐるりと囲まれた一帯で、その中にトトメス三世の葬祭殿とラムセス三世の葬祭殿やプトレマイオス朝の遺構などがある。
今回はラムセス三世の葬祭殿を見学するつもりだ。
ラムセス三世は葬祭殿の周りを石の壁で覆った。その為この葬祭殿は非常に保存状態がいいのだ。
まず入り口へ向かうと、凱旋門が見える。これはシリアの城砦を真似たと言われている。確かに他の門と少し趣が違う。
この脇にプトレマイオス朝の建物が見えるが、大変美しい浮き彫りを見つけた。太陽からコブラが出ていて、周りを羽が覆っている。これはローマ帝国時代にアントニウス・ピヌス帝によって作られた門だ。よく見ると羽一枚一枚が美しい色で塗られていることが分かる。
 
シリア風の門 美しい彫刻
 
門を抜けるといよいよラムセス三世葬祭殿が見える。左には女性神官のためのアメン神殿。葬祭殿に入りたい気持ちを抑え、とりあえずアメン神殿へ入る。ここは末期王朝時代に作られた墓付き礼拝堂になっていて、非常に保存状態がいい。
レリーフも女性のために作られたためか、とても優美だ。レリーフ内に黒い色が残り、当時はどういう色彩だったのか分からないが、現在はとても渋い色合いになっていてカッコイイ。
 
ラーホルクアティ レリーフの内側に色が
 
ここを出て、再度ラムセス三世葬祭殿を目指す。まず目に入るのは第一塔門だ。この塔門は幅66m、高さ22m(建築当時は24m)の堂々たるものだ。塔門の左右にはかなり保存状態のいいレリーフが残っている。向かって右はラーホルクアティの前でシリア人の敵を棍棒で打ち据えるラムセス三世、左はアメンラーの前でヌビア人を打ち据えている。中央に向かって対照に打ち据える姿が描かれているので、とてもバランスが良く見える。
その周囲にはヒエログリフが書かれているが、ひときは深く掘られているのはラムセス三世の名前。後世削り取られ、名前を書き換えられるのを恐れ、このように深く掘ったらしい。下の部分に描かれているのはこの王が征服した土地の地名。まあ、自慢タラタラな塔門ではあるが、この王がやったことを思えば、当然かもしれない。

正面に見える窪みは旗を掲げるための物だそうだ。
また、この塔門正面から見ると、至聖所まで通路が一直線に配置されているのが分かる。まるで鏡の道のように、きれいに奥まで見通すことができる。
 
第一塔門正面 葬祭殿マップ
左部分 右部分


 
   メディネトハブ塔門
   振り向くとシリア風の門と
   アメン小神殿
   (1.1MB)
 
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 第一中庭
第一塔門をくぐると第一中庭。左右にオシリス柱と円柱が並び、円柱と壁には全てビッシリレリーフとヒエログリフが彫られている。
まず目に付いたのが、塔門裏のレリーフ。この王の時代の最大のピンチ、海の民の侵攻についてのレリーフが描かれている。
向かって右側に海の民が大混乱している様子。これがまるで現代アートのようにクネクネと人間が入り乱れていて、おもしろい。
左側には討ち果たした敵の人数を数える様子。山と詰まれた手を数え書記がパピルスに記録している。
この周りに描かれたヒエログリフは興味深い。ガイドによると、当時殺した敵の数は手を切り取ってきて数えた。しかし、女性や子供の手まで切り取り、さも大勢殺したように見せる者もいた。そのためラムセス三世は手ではなく、男性特有な体の一部(ちょっと書けません…(^^ゞ)を切り取らせることにした。そのためたくさんの女性や子供が殺されずに済んだと書いてあると説明された。
 
海の民大混乱! 手を数える家臣
円は山盛りの手の拡大
 
この辺りから、もしかするとレリーフの位置が間違っているかもしれない(^_^;)
何しろ情報量が膨大で、「ガイドから説明を聞き必死で理解⇒子供に訳す⇒次の説明スポットに歩き出す一同を見つつ、慌てて写真撮影⇒走って追いかける」と言うことを繰り返していたのだ(T-T)
完全に私の脳みそのキャパを超えている・・・。もし間違っていたら、教えてもらえると助かります〜m(__)m
 戦争自慢
捕虜の生首?(笑)
ラムセス三世の治世前半はリビア・ヌビア・シリア・海の民との戦いに明け暮れた。かつてのエジプトの栄光に陰りが見えているこの頃、よく国土を守ったと思う。まぁ、自分でもそう思ったとみえて(笑)、第一中庭の周囲はラムセス三世の武勇自慢でいっぱいだ。
第一中庭の左右はオシリス柱と円柱があり、その上には屋根がまだ残っている。そのお陰で、周りに描かれた壁画は色が残り、保存状態がいい。屋外にある3000年前の遺構とは思えない状態の良さだ。
 
右の絵は捕虜を打ち据えるラムセス二世の下に、各国の捕虜の頭の像がくっついている。まるで生首みたい(^^ゞ
レリーフと像の組み合わせはここ意外では見なかった。
二次元と三次元の融合って感じだろうか(笑)斬新である。
他にも戦車で戦うラムセスのレリーフなど、王の勇敢さを強調した物が多かった。迫力があり、見ごたえがあった。
 
下はオシリス柱。残念ながらこれは損傷が激しいが、その奥の壁画が屋根に隠れてとてもいい状態で守られているのが分かる。
オシリス柱


 
   メディネトハブの壁画
   天井にも色彩が残る
   捕虜の首も写ってるよ
   (1.5MB)
 
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 第二中庭
下の写真の天井部分のアップ
第二塔門にはアメン神とムト神に捕虜の犠牲を捧げる王の姿が描かれている。その塔門をくぐると第二中庭だ。ここはぐるりと柱に囲まれ、柱の上にはすべて屋根が残っている。
正面には階段があり、テラス状になっている。その脇にはオシリス柱と円柱がある。
ここは特にこのテラス状になっている部分がすごい!
第二中庭のオシリス柱
色彩の保存状態が非常に良いのだ。
今までの遺跡でレリーフはたくさん見たが、やはりどうしても色彩が残っている所は少ない。
しかしここはテラス部分全ての部位で、保存状態がとても良いのだ。
これだけ色が残っていると、頭の中で色を補い、当時の色が想像できる。極彩色と言って良いぐらい、鮮やかな色合いだったことが分かる。
 
カルトゥーシュの中は黄色、太陽は赤、天空を描いた空は青と本当に彩り豊かだ。壁には神官が並んで祭礼を行う様子などが描かれ、こちらも見事な保存状態だった。
 
白い壁の上に色鮮やかに
彩色してあることが分かる
円柱の色彩
天井の色共にキレイ
 
下の写真はアメン・ムト・コンスに礼拝する王のレリーフ。その下には王の息子たちのレリーフと名前、職業などが書かれている。
どれも名前に当たる部分は削り取られることのないように、深く掘り込まれていることがわかる。
この神殿を作った当初ラムセス三世には子供がいなかったので、とりあえず、人の部分だけ彫っておいて、生まれたら名前と説明を追加して行ったとガイドの説明があった。名前の欄が空欄になっている壁画もある。予想より子供が少なかったのかな?
 
礼拝する王 テラスの位置
列柱室
テラスの奥は列柱室と至聖所がある。しかし残念ながらこの部分はグレコローマン時代に荒らされ、天井は全くなく、柱も根元の部分しか残っていない。
石像も破壊され、ここまでの保存状態が良かっただけに残念だ。
列柱室はほとんど人がいなくて静か。いかにも古代の遺構の雰囲気がある。これはこれでなかなか味わい深い。
 
列柱室 位置
 
メディネトハブには右側に王宮の跡もある。こちらは祭礼などが行われたときに王が滞在するために使われたようだ。ハーレムの跡も見られるそうだ。破壊が進みほとんど残っていないらしいが、その場所に王が滞在していたと思うだけでも感動できる。
 
ラムセス三世葬祭殿はなぜかツアーで組まれることがほとんどないが、このレリーフの見事さを考えると本当にもったいない。
今回のエジプト旅行を通して考えても、屋外の遺構ではここが一番美しかった。ツアーで行かれる方も、自由時間などを利用して訪れてみてはいかがだろう。
規模としてはそれほど大きいわけではないので、1時間ほどでもざっと見て回ることはできると思う。とてもお勧めな場所だ。
 
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