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Cinema

2001年度私的ベスト15

折角一年で50近い映画を観てきたのだから、
ものは試しと私的ベストを選んでみた。
やけに半端な数なのは、
いまいち絞りきれなかったからである。
ちなみに動かせないのは上位5つぐらいまで、
それ以下は気分によって変動すると
お考え下さい。

第一位
スパイ・ゲーム
監督:トニー・スコット
ストーリー原案:マイケル・フロスト・ベックナー
音楽:ハリー・グレッグソン・ウィリアムズ
出演:ロバート・レッドフォード
    ブラッド・ピット
    キャサリーン・マコーミック
配給:東宝東和
2001年12月15日日本公開

追い込みに来て一撃喰らった、という感じ。
スリリングな筋回しに気の利いた仕掛け、
何よりレッドフォードの貫禄ときたら。
ピットは些か引き立て役に廻った感があるが、
しかしこの男の存在感なくしても成り立たない。
クライマックスの近年稀な爽快感まで含めて、
期待に違わぬ逸品。

第二位
snatch
脚本・監督:ガイ・リッチー
出演:ジェイソン・パトリック
    ブラッド・ピット
    ベネチオ・デル・トロ
配給・DVD発売:Sony Pictures
2001年春日本公開

しかしこれだけ沢山映画を観てきたのに、
嵌りはじめの頃に観た本編が
『スパイ・ゲーム』の登場まで一位に粘っていたというのも
我ながら凄まじいという気が。
音楽的な映像感覚に、
一度観ただけでは完全に理解できない込み入った筋立て。
男の目から見てもキュートな小悪党どもの
右往左往ぶりが兎に角愉しい。

第三位
トラフィック
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本:スティーヴン・ギャガン
出演:マイケル・ダグラス
    ドン・チードル
    キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
    ベネチオ・デル・トロ、ほか
配給・DVD発売:日本ヘラルド
2001年初夏日本公開

権威に阿るつもりはないが、
これだけのクオリティで来られては下に置けない。
麻薬ルートに纏わる三つの物語を平行して語り、
複雑なプロットと重いテーマを
飽きさせず見せた手腕はお見事。
答は示さないが、
味わい深い結末も秀逸。

第四位
クイルズ
監督:フィリップ・カウフマン
原作・脚色:ダグ・ライト
主演:ジェフリー・ラッシュ
配給:20世紀フォックス
2001年初夏日本公開

この一年に観た映画の中で、
最も完璧な「物語」である。
周囲を巻き込み翻弄する
「サド」という人間を、
史実に依らず描ききった。
サド侯爵=ラッシュも素晴らしいが、
ホアキン・フェニックスの悩める神父役も秀逸。

第五位
A.I.
[Artificial Intelligence]

監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作・原案:スタンリー・キューブリック
主演:ハーレイ・ジョエル・オスメント
共演:ジュード・ロウ
配給:Warner Bros./松竹
2001年6月30日日本公開
2002年3月頃DVD発売予定

もしかしたら意外と思われるかも知れないが、
これまた下に置くことの出来ない作品である。
映像という表現手段で綴られたお伽噺であり、
見たことを語り合ってこそ価値のある世界。

第六位
トレーニング・デイ
製作:ジェフリー・シルバー
    ボビー・ニューマイアー
監督:アントニー・フュークワー
脚本:デイヴィッド・エアー
出演:デンゼル・ワシントン
    イーサン・ホーク
配給:ワーナー・ブラザース
2001年10月20日日本公開

今年唯一にして最高のハードボイルド映画、
と敢えて断言してしまおう。
配役にまで神経を巡らせた
脚本と演出に拍手。
家を出たときと、
ラスト自宅に戻るときとの
イーサン・ホークの雰囲気の違いに注目。

第七位
ソードフィッシュ
製作:ジョエル・シルバー
    ジョナサン・D・クレイン
監督:ドミニク・セナ
脚本:スキップ・ウッズ
出演:ジョン・トラボルタ
    ヒュー・ジャックマン
    ハル・ベリー
    ドン・チードル
配給:ワーナー・ブラザース
2001年11月3日日本公開
2002年2月頃DVD発売予定

荒唐無稽、
しかしそれ故に映画本来の外連味と
迫力に満ちたアクション・ムービー。
トラボルタって本当に悪役が似合うわ。

第八位
WATER BOYS
監督・脚本:矢口史靖
出演:妻夫木聡
    竹中直人
    眞鍋かをり
    平山綾
製作:フジテレビジョン
    アルタミラピクチャーズ
東宝
電通
配給:東宝
2001年9月15日公開
2002年春頃DVD発売予定(?)

今年鑑賞した邦画のトップ。
やむなくこの位置まで沈めたが出来そのものは
大作映画に引けを取らない。
登場する誰もが馬鹿で利己的で、
それでいて愛すべき人物であり、
それ故に訪れる一番シンプルな感動。

第九位
千と千尋の神隠し
原作・脚本・監督:宮崎 駿
音楽:久石 譲
制作:スタジオジブリ
配給:東宝
2001年7月18日日本公開

さすがは宮崎駿、
と言うべきか。
『もののけ姫』のようなテーマ性を極力廃し、
「説話」にまで回帰した。

第十位
リベラ・メ [Libera ME]
製作:ヴィクター・ファン
監督:ヤン・ユノ
脚本:ヒョン・チョンヨル
    ヨ・ジナ
出演:チェ・ミンス
    チャ・スンウォン
    ユ・ジテ
    キム・キュリ
配給:松竹、FRAP.
2001年11月17日公開

「我を救い賜え」
このツボを捉えた題名が最大の勝利。
サイコ・スリラーと
炎という小道具を用いたサスペンス、
そこに悪条件をも顧みず火災と闘う男たちの
ドラマを取り入れた。
こんな力強さはハリウッドの大作でさえ
そうそう演出できるものではない。
『JSA』とともに韓国映画の充実を示す一本。

第十一位
マレーナ
監督・脚本:ジュゼッベ・トルナトーレ
主演:ジュゼッベ・スルファーロ
    モニカ・ベルッチ
音楽:エンニオ・モリコーネ
配給:GAGA-HUMAX
DVD発売:松竹
2001年初夏日本公開

完璧すぎる映画を、
一体どんな言葉で喩えればいいのか?
近来稀なる美貌を備えたヒロインと、
この一作のためだけに銀幕を飾った
目で語る少年。
そして、記憶を喜劇にも悲劇にも
してしまわない力強さ。

第十二位
JSA
[共同警備区域]

監督:パク・チャヌク
主演:ソン・ガンホ
    イ・ビョンホン
     イ・ヨンエ
配給:Amuse Pictures・Cinequanonほか
DVD発売:東芝デジタルフロンティア
2001年春日本公開

『シュリ』『カル』で着目され始めた
韓国映画における、
ひとつの金字塔。

第十三位
赤ずきんの森
原題:Promenons-nous dans les bois
[森を散歩しましょう]
監督・脚色:リオネル・デルプランク
脚本:アナベル・ペリション
音楽:ジェローム・クーレ
出演:ヴァンサン・ルクール
    クロチルド・クロウ
    フランソワ・ベルレアン
配給:Pony Canyon、東京テアトル
2001年11月3日日本公開

フランスから発せられた、
音を極力絞った映像のみの恐怖。
プロットはいささか荒唐だが、
呼吸を弁えた表現と
その陰鬱な空気は一見の価値有り。

第十四位
スコア
原題:The Score
監督:フランク・オズ
音楽:ハワード・ショア
出演:ロバート・デ・ニーロ
    エドワード・ノートン
    マーロン・ブランド
    アンジェラ・バセット
配給:日本ヘラルド
2001年9月22日日本公開

ジャズが彩る、
モノトーンの犯罪映画。
一見複雑そうでいて実は基本に忠実なストーリー、
それを三世代の名優が圧倒的な
演技力で支えている。

第十五位
バニラ・スカイ
製作:監督・脚本:キャメロン・クロウ
主題歌:ポール・マッカートニー
共同製作・主演:トム・クルーズ
出演:ペネロペ・クルス
    カート・ラッセル
    ジェイソン・リー
    ノア・テイラー
    キャメロン・ディアス
配給:UIP
2001年12月22日日本公開

もーちょっと上に置いてもいいかな、
とは思うのだが気付いたら
空席がなかった……
スペインで製作された映画を、
ハリウッド流+イギリス風のスタイルで
調理し直した作品。
手の込んだシナリオだが、
軽く味付けしているお陰で
肩の凝らないエンタテインメントとして完成されている。

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