因数分解の公式は覚えない。2つの公式が重要
因数分解の公式は、できる限り覚えない。というか覚えられない。重要な公式は太字の2つ。
中学の因数分解の公式は4つ
- a2+2ab+b2=(a+b)2 2乗公式
- a2−2ab+b2=(a−b)2
- a2−b2=(a+b)(a−b)2乗引く2乗の公式
- X2+(a+b)X+ab=(X+a)(X+b)
高校の因数分解の公式は5つ
- a3+b3=(a+b)(a2−ab+b2) 3乗公式
- a3−b3=(a−b)(a2+ab+b2)
- a3+3a2b+3ab2+b3=(a+b)3
パスカルの三角形で公式を導出 - a3−3a2b+3ab2−b3=(a−b)3
- (aX+b)(cX+d)=acX2+(ad+bc)X+bd
覚えない公式と覚える公式
X2+(a+b)X+ab=(X+a)(X+b)と
a3+b3=(a+b)(a2−ab+b2)が重要。上記9つの公式について、覚える、覚えない、覚え方を説明します。万人に共通の覚え方はないので、最終判断は個人です。公式を意味を考えずに覚えるのでは、数学を好きになる事はできません。
X2+(a+b)X+ab=(X+a)(X+b)から 3つの公式
- X2+(a+b)X+ab=(X+a)(X+b)
公式として、この形のままで覚えない。覚えても、複雑すぎて使えないでしょう。
これは、X2+5X+6=0を因数分解して解く形のパターン。かけて6、足して5になる2つの数字を見つけるパターンです。
2×3=6、2+3=5なので、
X2+5X+6=(X+2)(X+3)と因数分解します。詳しくは 因数分解で、たすきがけは使わない(準備)へ。この方法が身についていれば、次の3つの公式が導出できます。 - X2+2bX+b2。かけてb2、足して2bになる2つの文字式を見つけるパターンです。
b×b=b2、b+b=2bなので、
X2+2bX+b2=(X+b)(X+b)と因数分解
Xをaに変えれば、2乗の公式になるので
a2+2ab+b2=(a+b)2は覚えない。 - a2+2ab+b2=(a+b)2でbを(−b)にかえればいいので、
a2−2ab+b2=(a−b)2は覚えない。 - X2−b2をX2+0X−b2と思えば。
かけて−b2、足して0になる2つの文字式を見つけるパターンです。
b×(−b)=−b2、b+(−b)=0なので、
X2−b2=(X+b)(X−b)、Xをaに変えれば
a2−b2=(a+b)(a−b)が導出されます。
ただし、この形で覚えるのではなく、「二乗引く二乗は和と差の積」あるいは(和と差の積は二乗の差)と覚える方が良い。
∵因数分解の公式には似たものが多く混同しやすいので、誤った記憶が再生しやすいからです。
ここから高校の因数分解の公式
- a3+b3=(a+b)(a2−ab+b2) 3乗公式
これは、覚えるしかないでしょう。 - a3+b3=(a+b)(a2−ab+b2)で、bを(−b)にかえればいいので、
a3−b3=(a−b)(a2+ab+b2)は覚えない。
ただし、最後の「+b2」の所はb2→(−b)2だから、符号は+のままという事に注意。 - a3+3a2b+3ab2+b3=(a+b)3
この公式は、あまり使わないから、最初は覚えなくていいかも。(逆は重要)パスカルの三角形を知れば、覚えるのは簡単。説明は数行下。 - a3+3a2b+3ab2+b3=(a+b)3で、bを(−b)にかえればいいので、
a3−3a2b+3ab2−b3=(a−b)3は覚えない - (aX+b)(cX+d)=acX2+(ad+bc)X+bd
覚えられない因数分解たすき掛けを使わない 応用で解説。
パスカルの三角形で展開の公式を導出
パスカルの三角形を知っていると3次式、4次式の展開の公式を覚えやすい。
以下の4行の性質は、右辺のどの項の指数(a、bの指数の和)も、左辺の指数と一致していて、各項の係数がパスカルの三角形により、簡単な足し算で求められる事です。
(a+b)1= a+b (a+b)2= a2+2ab+b2 (a+b)3= a3+3a2b+3ab2+b3 (a+b)4=a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4
パスカルの三角形の作り方
左右の両端は1です。2段目の二つの1を足して、3段目の2を作ります。3段目の1と2を足して、4段目の3を作ります。4段目の1と3を足して5段目の4を、3と3を足して6を作ります。
1 / \ 1 1 / \ / \ 1 2 1 / \ / \ / \ 1 3 3 1 / \ / \ / \ / \ 1 4 6 4 1
これは、2項定理を簡単に表したものです。
因数分解の公式が使える簡単な問題
3x3+18x2y+27xy2
共通因数をくくり出す→因数分解の公式。
共通因数をくくり出す
共通因数は3Xだから3x3+18x2y+27xy2=
3x(x2+6xy+9y2)
基礎だから簡単ですね。ただし、これを最初に完全にやっておかないと、後が面倒になります。次に( )の中の(x2+6xy+9y2)を因数分解します。
因数分解の公式を使う
x2+6xy+9y2に因数分解の公式を使いますが、公式の中には、覚えてはいけない公式があります。また、x2+6xy+9y2=x2+2・3xy+32y2という事に気がつかなくてはいけません。9は3の二乗、だけでなく、121が11の二乗だという事を知っておく必要があります。
因数分解のどの公式を使うのかが、
わからないと、生徒は言うのだが
- A2+2AB+B2。項が三つで、そのうち2乗の項が二つ
- A2−B2。項が二つで2乗
- A3+B3。項が二つで3乗
- X2+(a+b)X+ab。項が三つで、そのうち2乗の項が一つ
- A3+3A2B+3AB2+B3。項が四つで、そのうち3乗の項が二つ
上記のような違いがあるのだから、どの公式を使えばいいか、判ると思うのだが。
公式より大事な事
1、4、9、16、等の数字を見た時に、12、22、32、42を思いつくかどうかだ。
172=289ぐらいまでは覚えておこう。82+152=172
同様に1、8、27、64が13、23、33、43になっている事に気がつかなくてはいけない。
A3+1→A3+13に気がつかないと、公式を使う事を思いつかない。
因数分解の公式を使う前に、置き換えを使うと分かりやすい
因数分解の問題:(2A+B)2+5(2A+B)+6
慣れると、このままでも、できるが、
(2A+B)→Xと置き換えれば。
X2+5X+6となって、簡単。
因数分解の基礎が理解できたら因数分解の公式が使えない問題へ
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。