−7月−

−再会1−
先日スーパーの駐車場に車を止めると,隣の車の中から女子高生とその母親らしき人がこちらに向かって手を振ってくれていました。全く誰か分かりません。不自然な笑顔で窓を開け,「あのーどちら様でしょうか・・・」と大変失礼な挨拶をしてしまいました。名前を聞いてようやく思い出します。3年生の時に担任した子でした。いろいろなことがあって,転勤する時の送別会の後その家には挨拶に行って,話しているうちに涙まで流してしまったというのに。子どもは中,高の間に随分変身してしまうので分からなくなることがよくあります。

−再会2−
高校の入学式がすんだ後,一人の男の子がお母さんといっしょに挨拶に来て下さったことがありました。私はその子を5,6年と担任し,その後転勤して隣の町の学校にいました。その子は一時期病気の薬の影響で学校に来られなくなったことがあり,家によく様子を見に行っていました。このHPの「卒業文集」の中にある「ある日の6年生」に登場するS君です。社会人になってからは,出会うと仕事の話や彼女の話をしてくれます。

−心の準備−
子どもに期待することは大事なことです。しかし時にはその期待が大きすぎることで,逆に子どもを追いつめてしまうこともあります。そこで,「こうなるだろう」「こうしてほしい」とは別に予め「もしできなかったら」という次の心の準備をいつもしておきたいと思っています。そうすると,もしできた場合は本当にほっとしてほめ言葉にも一層の真実味が生まれ,逆に期待に反する結果だった場合でも,余裕を持ってまるで脚本に書いてあったような対応もできるはずです。しかも,うまくいかずに萎れていたり,あるいは逆に開き直っているような場合でも,やはり「失敗」をしている時は心に傷ができているはずですから,そういう時こそ「準備をした対応」が心にしみ込み,意外性による効果的な指導ができるチャンスでもあります。またそれは教室内に限らず社会的にも,人が自分の期待に反する行動や失敗をした時こそ,それに対する対応で自分の人間性を公開してしまう瞬間だということを理解していれば,今までと全く違う世界が見えてくるはずです。子どもが期待に反した時こそが教育のチャンスだと心の準備をしておくことは,教師と子ども,お互いの幸せのためにも大切なことになるように思います。

−球技大会−
毎年フットベースボールの大会が夏休みにあります。今年も優勝することができて,4年間4連勝ということになりました。2試合共コールド勝ちでした。この試合のために放課後練習したことは一度もありません。しかし,毎朝子どもたちは学校に来るとすぐ練習していました。休憩時間もしていました。指導したことは「とにかく走り回ること」「ランナーが出る度に,アウトカウント・ランナーのいる塁・どこに投げてアウトにするか,を大きな声で確認しあうこと」「ボール2個を使ってのノック」ぐらいです。また偶然かもしれませんが,グランドの試合用のラインがはっきり見えるように毎日引き直しておくようにした年から勝つようになりました。

−上司−
「上司は思いつきでものを言う」という本が売れているそうです。私は読んだことはありませんが,この題名から思うことはあります。私は「上司」というものになったことはありませんが,まずこの言葉を見て思ったのは,「部下はもっと思いつきでものを言う」ということです。同じフィールドに立ってしまうのは愚かなことです。そしてろくでもない部下が,ろくでもない上司になっていくのでしょう。「上司が思いつきでものを言う」のではなく,「上司になると誰でもそう言われるような状況になる」のではないかと思います。部下のうちは言われることを聞いていればいいのですが,自分が人に指示を出す側になると難しいものがあるはずです。「上司」ではなく「人」の限界というものがあります。「人は思いつきでものを言う」のだと思います。

−賞状−
全校の夏休みのしおりに児童会から「手伝い,歯みがきがんばり表」を出すようになっています。これに毎日結果を記入したものを9月に執行部に持ってきてもらいます。執行部はその結果に合わせて2種類に分けて賞状を渡すことにしています。この賞状を9月になって作っていては渡すのが遅くなるので,1学期のうちに賞状を作るよう指導しています。パソコンに入っているテンプレートを使って表彰の言葉を執行部で考え,全員分の枚数をコピーし名前を入れて葉書大のケント紙に印刷できるよう設定しておきます。こうして9月1日の朝,がんばり表が集まると同時にすぐ結果に合わせて賞状を印刷し,2時間目の休憩には全校に渡すことができます。2学期は運動会の練習や科学研究のまとめ,また課題の処理等があり1日目から忙しくなるので,こういうことは早目に済ませられるようにしておきます。

−まとめ2−
1学期のまとめプリント冊子その2をまた先週から宿題として渡していました。2度目となると,類似の問題でもあるためか,その1より早く済ませられたようです。また前回は締め切りの前になってまとめてやるようになった子も,今度は計画的にできました。計画的な学習の習慣づけは,しつこく根気比べをしながら取り組んでいく必要があるように思います。

−国語テスト−
国語のテストでは,「次の文章を読んで,問題に答えましょう。」という設問がよくあります。しかし,子どもの様子を見ているとテストの上半分にある「文章」を読まずに,すぐ下にある(1)の問題を先に読んでから適当に上の文章から答えを探していることがあります。各単元テストはもう本文をよく知っているという理由もあるのでしょうが,学期のまとめのテストで初めて出合う文章でも同じようにする子がいます。これでは誤答率も高くなります。これから先の学生生活の中で「テスト問題を考える基礎の基礎」を小学校では身に付けさせておきたいものです。こういうことは習慣になりやすいので,毎回毎回注意し,チェックして必ず上の「文章全体をまず読む」というような当たり前の基本を定着させていきます。実際,この注意があるとないとでは全体の平均点も変わってきます。この他にも「書き出す」とは一字一句全く同じように写すということ,「なぜ」と聞かれていれば,「〜から。」と文末表現をすること,「〜ことですか。」と聞かれたら「〜こと。」とする等をテスト直しで指導しなくてすむように,授業の中で繰り返し体験させていきます。

−手書き−
成績をつける時期がきました。もう随分前ですが,ある年,成績と要録の全てをワープロで枠内に打ったことがありました。2学期,3学期は失敗ができないので緊張しました。きれいにはできましたが,次の年からはやめました。学級通信はそれまでもずっと手書きでしたが,やはり成績も手書きの方がいいように思ったからです。下手な字でもそれなりの味や思いが伝えられるのではないかと今は思っています。

−夏休みの課題−
毎年夏休みの課題の1つに「2学期くりかえし漢字ドリル」の「読みと意味調べ」を入れています。2学期用の漢字ドリルは早めに届けてもらいます。この中には2学期に学習する新出漢字を含む20短文のページが8ページ含まれています。この8ページの短文を完全に読めるようになり,難しい言葉の意味を調べ,書き込みをしておくことを夏休み中に済ませるのです。休み中の登校日からそれぞれチェックしていくことで,9月の始業式の日からスムーズに新出漢字の学習を行っていくことができます。

−水泳−
先日4回目の水泳がありました。最近はずっと細かいステップに分けての指導をしています。そして,4回目に初めてビート板を使わない段階でのクロールを行いました。結果,今まで一度も横を息継ぎしながらクロールで泳げたことのない子のうち半数が一度できれいに泳ぎ切ることができ,「初めて全部泳げた!」と喜んでいました。水泳を通して,練習は焦らず先の見通しをもって基本的なパーツを効率的に繰り返し行っていけば結果が表れるものだと,改めて感じています。

−自分の姿−
もう随分前になりますが,中学年を担任していて人間関係を壊す行動が見られるとき,子どもが見ているテレビ番組の悪役の名を出して,自分の姿をイメージさせていたことがあります。案外これが効いていました。今ならさしずめ,「チェリンになりたいの?」。これでは通じないでしょうか。

−個人懇談−
個人懇談がありました。テストの解答についての傾向を伝えた家もあれば,小中の違いの説明をした家もあります。また忘れ物が多いという話をしなければならない家もありました。お父さんは「私が朝早く家を出るものですから・・・。」と恐縮されるので,「もう高学年になったら,家の方のせいではなくなります。子ども自身が自覚することですから,これからは,私と○○君との勝負ということになります。」ということを伝えました。そして,忘れ物をした場合の学校での指導を話し,もしそれでも続く場合は実際に家に伺って,できるだけ実際の場面での準備等の練習をさせていただくつもりだということを伝えました。嬉しかったのは,「子どもが授業が分かりやすいと言っている。」「楽しく授業を受けている。」という話を聞かせてもらったことです。今年は例年になく相当多くの学習を学校でも家でもさせているつもりだったのですが,今一安心しているところです。

−日記−
毎日日記を書かせています。子どもの立場になって考えてみると,やっと宿題が終わったと思った後に出てくる日記ぐらい嫌なものもないだろうと思っています。そんな嫌なものに取り組むエネルギーに少しでもなればと,朝会でおもしろい日記,工夫した日記の紹介をしています。例が示されると,その影響を受けて文が変わってくるものだということが今までの経験から分かってきました。紹介する時は全部読んで「今の文で工夫してあるところ」「いいなと思うところ」を聞いたりすることがあります。また表現の工夫がしてある文を途中まで読んでストップし,「さあ,この後,○○さんはどう書いているでしょう。」と表現の方法を考えさせたりすることもあります。そして,その工夫を紹介した後,「ここを○○君ならこう書くね。」「○○さんならこう書くはず。」と子どもの文体の特徴を示していき,「自分の表現方法」というものを意識させていきます。

−国土プリント−
「1学期のまとめドリル(その1)」が終わりました。次に今渡しているのは,「国土プリント」です。これには「都道府県名」「県庁所在地」「山地,山脈,高地」「川,平野」「半島,湾」「湖」「海,海峡」「山,川,湖,島,面積,人口のベスト5」「北方領土」「日本の東西南北端」「緯度,経度」「近隣の国」「都道府県の特色」等についての問題が載っています。これも各自で地図帳で調べながら,計画的に一定期間内に仕上げることにしています。これは一度や二度取り組んでも端から忘れていきます。少しずつ繰り返して,中学までには常識として身につけさせていきたいと思っています。

−ローマ字日記−
ローマ字日記を専用のノートに書き始めて1ヶ月近く経ちました。最初のうちはちぐはぐだったスペルも的確にきれいに書けるようになり,スムーズに言葉とアルファベットが結びつくようになったようです。家の方からも「すごいですね。」という連絡をいただきました。きっとアルファベットでいっぱいのノートを開いて見られて,高学年らしさを実感されたのかもしれません。

−夏休みの功罪−
自律した生活を送る練習の場として,夏休みはいい機会ではあります。しかし,この休み中に崩れていくものもあります。日記などを書かせると,ただのメモ的なものになっていくことがあります。1学期間かけてようやく「文」を意識して自分なりの文章が書けるようになってきていたものが,チェックや評価のないことで楽をして「○○しました。おもしろかったです。」文に戻っていきます。また,更にそれより問題なのは「ラジオ体操」です。本気で正しく行えば汗が出るような部分の動きが全くなくなり,操り人形のような気の抜けた意味のない運動と呼べないものに変化していきます。

−書くこと1−
「読書」はまず楽しみの1つであり,それに付随して学力,人格,心情等の形成にも大きな影響があると思われます。しかし,当然これは様々な効果の必要条件ではあっても,十分ではありません。「読書」が栄養を含んだ食物を摂取することであるとすれば,それを消化,吸収できる器官づくりになるのが「書く」ことです。読んでも書くことをしないのは,「口先は達者でも行動がおぼつかない」「漢字が読めても書けない」というイメージがあります。よって,「読むこと」と「書くこと」の両方が大切になります。しかし実際は読書には「楽しみ」がありますが,書くことには「苦しみ」が伴います。

8月へ

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月