ホーム⇒知っておきたいこと⇒知っておきたい苦情への対応方法

知っておきたい苦情への対応方法


仕事で顧客から苦情を言われることはビジネスの世界では日常茶飯事であり、大なり小なり頻繁に起きることです。

苦情の原因はこちらの手違い、不手際だったり、相手の勘違いとか無茶振りが元になることもあり、対応如何では大きなクレームにつながる場合もあります。

苦情に対し、「いかに上手な対応をとれるか」が、問題を大きく拡大させることなく、スムーズな解決へと繋げるカギとなるわけで、 最初の対応方法が非常に重要になります。

イザ、というときに慌てないよう、苦情への対応方法をいろいろと集めてみました。


感情的な対応は厳禁

以前、大手電気機器メーカーの苦情対応窓口の担当者が、感情的になってしまって「お前みたいなヤツをクレーマーというんだ」と対応してネット上で公開され大騒ぎになった 出来事がありました。

モチロン、この担当者も最初からこんな対応をするはずはなく、辛抱強く対応していたのでしょうが、悪質なクレーマーに業をにやし、 とうとう超えてはならない一線を踏み越えてしまったのでしょう。

性質の悪いクレーマーに遭遇してしまった担当者にも同情の余地はあるし、こうなってしまった事情も理解できますが、受ける側も感情的になって対応してしまうと、 クレーマーも新たな怒りに火がついてしまって収拾がつかなくなってしまいます。


顧客と悪質クレーマを区別する

しかし、感情的対応をするな、といっても理屈とか理性で対応しても話の通じないタイプの人間もおり、実はこういう相手には冷静に丁寧に....という方法だけでは対応できないのだそうです。

つまり、丁寧な対応と言葉だけで相手を納得させることが出来るのは、あくまで相手がマトモな精神の持ち主、という前提で通じる話であって、 なかには苦情処理担当者一人だけのスキルでは対応できない相手もいる、ということを理解しておく必要がありそうです。

「プロ法律家のクレーマー対応術」の著者横山雅文弁護士によると、単に苦情を言ってくる顧客と悪質クレーマとを、しっかり峻別する必要があるのだそうです。 そして悪質クレーマに対しては顧客対応ではなく法的対応をとるべきである、と強調しています。

孫子も敵を知らば.....といいました。  まず、苦情を言ってくるタイプを「ああ、あのタイプの悪質クレーマーだな。  だとすると、説得は困難で平行線になるな」と分析できれば、その後の対応も冷静になれるわけです。

悪質クレーマとは

注意が必要なのは、どこまでが通常の顧客の苦情として対応すべきなのか、どこから悪質クレーマなのか、という判断が重要になる、ということです。

当初はただの顧客の苦情だったのが、対応が悪いために相手を怒らせクレーマーにしてしまう、ということは絶対に避けなければいけません。

横山雅文弁護士は5つの悪質クレーマ判断ポイントを上げています。    

不当要求の判断ポイント
シーン 観  点 ポイント
欠陥・瑕疵(かし)ないし過失の在否 製品が安全性を欠いてた(欠陥)、製品が通常有すべき機能を欠いていた(瑕疵)、損害の発生について注意義務違反があった(過失)、という事実確認が最優先事項となる。 そして、事実確認の結果、このような問題がなく企業側が十分に説明しているにもかかわらず執拗に賠償等を要求するのは不当要求にあたる。
損害の在否 慰謝料は物的損害には認められない。 たとえば店の不注意で服が損傷しても謝罪と洋服代を弁償する必要があるが、 たとえ気に入っていた服であろうと物的損害に慰謝料は認められない。 その点を説明してもなお執拗に慰謝料を要求して引き下がらないならば悪質クレーマとなる。
欠陥・瑕疵ないし過失と損害の間の相当因果関係 大きな契約交渉を翌日に控えていたが、ホテルの食事で食中毒になり入院したため契約できなかったとして損害賠償を求められた場合。  通常このような損害の発生を予見することは不可能なので法的に因果関係のない損害とされる。  ホテルは医療費や慰謝料の賠償義務は負うが、契約締結できなかったことについての賠償義務は負わない。 このことを丁寧に説明してもなお執拗に要求してくれば悪質クレーマとなる。
損害と要求の関連性 よくある「社長を出せ」という要求は損害の回復と直接関係はない。 企業はそれぞれ特定の部署が一定の権限を与えられており、 会社の方針や指示に基づくものでない限り基本的にその部署の責任で顧客に損害を与えた場合、担当部署の長が謝罪することで足りる。 このような要求に執拗にこだわるのは悪質クレーマというべき。
クレーマーの行動は適法か 文書や口頭で賠償要求すればよいのを街宣活動をしたりビラまきしたりするのは、損害賠償に名を借りた不法行為、場合によっては業務妨害罪などの犯罪になる。 そのような行為をする者は、実は法的な損害賠償以上の利益を求めていることがほとんど。 たとえ企業の製品やサービスに問題があろうと毅然と対応する必要がある。

たしかに大切にしていた服が着られなくなったり、大事な商談がパアになったら、誰しも自分が納得できる解決手段を要求したくなるのは当然です。

いわゆる「お金に換算できない部分」を有する物なら、単純に代替品の金額だけで済まされるわけにはいかないゾ、という気にもなります。

ですから、最初から「物的損害に慰謝料は認められません」などと法律をタテに対応してしまっては相手を納得させることはできませんし、 むしろ悪質クレーマ化させることになってしまう危険性があります。

まずは相手の立場を尊重する真摯な態度と丁寧な説明が重要となってきます。





※...内容は【"プロ法律家のクレーマー対応術" 横山雅文・PHP新書】を参考にしています。

⇒ページTOP

⇒サイトマップ



・楽天ランキング




関連サイト・バックナンバー

関連サイト