オラトリオ作品
今回はゼレンカのオラトリオ作品を紹介したいと思います。
ゼレンカはこのジャンルに全部で下記の5作品を作っています。
- 青銅の蛇 ZWV61
- カルバリオのイエス ZWV62
- 救い主の墓前の改悛者 ZWV63
- オリーブの木の下での和解:聖ヴァーツラフの音楽劇 ZWV175
- セレナータ:そのダイヤモンドは ZWV177
厳密には“オラトリオ”はZWV61, 62, 63の3作品で、ZWV175は“メロドラマ(音楽劇)”、ZWV177は“セレナータ”というようですが、ジャンルの細かい定義の違いというのは時と場所によって異なったりするんで、ここではシンフォニアに始まって台本に従ってレチタティーボとアリア、時には合唱なども含めて物語を進行させて最後は合唱で幕を閉じる、といった形式の作品のことをオラトリオと称しています。
なお台本に使われている言葉はZWV175を除いてイタリア語です。ドレスデン宮廷など当時の教養の高い人たちの間ではこういう場合イタリア語が使われるのが普通でした。ZWV175の場合は多分カトリックの学校クレメンティヌムで演奏されたもののため、ラテン語のテキストになっています。
ちなみにこの手の作品は台本(Libretto)の意味が分からないとおもしろさ半減どころか、聴くのがかなり厳しかったりするんで、各曲に日本語訳をつけてみました。
―――といってももちろん私に原語が分かるはずもないので、CDの冊子についていた英訳からの孫訳になっています。だから多分あちこち変に違いないと思いますが、まあ最低限こんな雰囲気だということが分かればいいということで。
- 嬉しいことに2013年現在、全作品のCDが出ています。
オリーブの木の下での和解:聖ヴァーツラフの音楽劇 ZWV175
Sub olea pacis: Melodrama de Sancto Wenceslao
編成:SATB, soli & ch.; 2Tpt.; Timp.; 2Fl.; 2Rec.; 2Ob.; Chal.; 2Vn.; Va.; B.c.
1723年の器楽作品の項でも紹介したように、この年オーストリア皇帝カール6世とその妻エリザベス・クリスティーナがボヘミア王、女王に即位するための戴冠式が執り行われました。そのためにゼレンカがクレメンティヌムから依頼を受けて作ったのがこの作品です。そのために前年からプラハに行って準備もしていたようです。
しかし戴冠式での一番の目玉は、ヨハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741)作曲、アントニオ・カルダーラ(1670-1736)が演奏した“Costanza e Fortezza”というグランドオペラでした。このオペラについては色々記録も多いのですが、その少し後に演奏されたゼレンカの作品についてはあまり評判などの記事がないようです。紅白の裏番組みたいになっちゃったということでしょうか。
ちなみに、後にフリードリッヒ大王の宮廷でクヴァンツやC.P.E.バッハなどと一緒に名を挙げたフランツ・ベンダ(1709-1786)という著名なバイオリニスト兼作曲家がいますが、彼の自伝に少年時代は歌手もやっていてこの作品に出て歌ったとあります。
この作品の内容は下記の歌詞を見てもらったら一目瞭然ですが、一言でいえば「皇帝万歳」です。聖ヴァーツラフというのはチェコの守護聖人で、その血統に連なるハプスブルグ家の正当性を褒め称えたような内容です。
また普通のオペラやオラトリオなどに出てくる特定の登場人物はいなくて“勇気”とか”献身”といったような抽象的な概念が適宜擬人化されて歌っているようです。
聞き所はやはりAct2でしょうか。ここには名アリアが幾つも含まれています。
また終曲も華々しくTe Deum in D major. ZWV145に転用されてもいます。
- この当時、世俗曲を宗教曲に転用することはバッハなんかもよくやっていて全然問題ないようです。その逆の方がアウトのようです。
プロローグ
1. Symphonia | 1. シンフォニア |
2. Chorus | 2.合唱 |
--- Fortitude: | --- 勇気(テノール): |
Fortitude mea et laus mea Dominus | 主は私の盾、私の歌。 |
factus est mihi in salutem. | 彼は私の救いとなる。 |
Iste Deus meus, | 彼こそは私の神、 |
glorificabo eum. (Ex 15,2) | 私は彼を賛美して歌う。 |
--- Chorus: | --- 合唱: |
Dextera tua, Domine, percussit inimicum | あなたの右手は、我が神よ、敵を粉々に打ち砕く。 |
et in multitudine gloriae tuae | その大いなる栄光は |
deposuisti adversaries tuos. (Ex 15,6-7) | あなたの敵軍を打倒する。 |
3. Aria | 3.アリア |
--- Fortitude: | --- 勇気(テノール): |
Haec coeli est victoria | それはまことにすばらしい勝利だ。 |
causae triumphal aequitas, | 正義は広まり、 |
Martis perennet Gloria, | 辛い戦いに栄光をもたらし、 |
prostrata est Gentilitas. | 偶像崇拝は打ち破られるだろう。 |
4. Recitative | 4.レチタティーボ |
--- Suspitio: | --- 疑惑(カウンターテナー): |
Hem! Quae ista? | ほう?なんだと? |
Fastus, an Pietas? Fortitude? | それは自負心か?それとも献身か? |
An Temeritas? Est, est Ambitio, est Aemulatio. | 不屈の勇気か?無鉄砲さか?それは向上心か?それとも悪意か? |
Sed quam exuit, substitutio larvam Arrogantiae. | だがそれがその仮面をはずしたとき、そこにはうぬぼれが隠されている。 |
--- Zelus Eucharisticus: | --- 熱意(ソプラノ): |
Quo tendis, adversa Suspitio? | 有害なる疑惑よ。どこに行こうというのだ。 |
Quo prodis, larvae indicio? | その仮面をつけていったいどの場所へと向かおうというのだ? |
Abscede, abscede, recede. | 下がれ!下がれ!退け! |
5. Aria | 5.アリア |
--- Zelus Eucharisticus: | --- 熱意(ソプラノ): |
En! Pietatis adamas invicta Fortitude, | おお、献身のダイアモンド、無敵の勇気、 |
non praevalet adversitas, nulla vicissitude. | 災いが勝利することはない。変わることなどない。 |
6. Recitative | 6.レチタティーボ |
--- Majestas: | --- 尊厳(バス): |
Dura certamina honorum sunt praeludia. | 困難な苦闘は名誉への序曲である。 |
Premitur, non opprimitur Innocentia. | 無垢なる者が虐げられ、未だ鎮圧されていない。 |
Majestas coronet Virtutem, | 美徳を尊厳の王冠で飾らせ、 |
Virtus illustret Majestatem. | 尊厳に美徳の栄光を与えよ。 |
7. Aria | 7.アリア |
--- Majestas: | --- 尊厳(バス): |
Hue palmas deferte, coronas afferte, | やがて実る椰子は、花をもたらす。 |
hue palmas deferte, coronas, | やがて実る椰子は、花を、 |
palmas, coronas, palmas deferte. | 椰子は、花を、椰子はもたらす。 |
Sceptra ministrate, ostrum adaptate, | 王笏をもたらす。紫の衣もまた。 |
insigne potestatis infractae, infractae, | 征服されざる力の紋章。 |
infractae Pietatis, infractae Pietatis. | 征服されざる献身。征服されざる献身。 |
8. Recitative | 8.レチタティーボ |
--- Fortitude: | --- 勇気(テノール): |
Haec summa Gloriae fugere Gloriam coronae. | あらゆる物の中で最大の栄光とは、王冠の栄光を避けること。 |
Si Honor Fortitudinis regnare nolle, cum possis; | 可能であっても支配を求めないことが、勇気の栄誉である。 |
nee nisi aether condigne Virtutem praemiat. | そして名誉の正しい報酬とは、天国以外にはない。 |
--- Providentia Divina: | --- 熱意(ソプラノ): |
Diadema regni in manu Domini... (Is 62,3) | 主の手の中の栄光の冠。 |
...dabitur haereditas his, | お前は彼の遺産を |
qui ei proximi sunt. (Num 27,1 1) | 彼の子孫に与えるだろう。 |
9. Aria | 9.アリア |
--- Providentia Divina: | --- 熱意(ソプラノ): |
Augusta domus Austriae, | オーストリアの気高き王家。 |
nata posteritas de Venceslai sanguine, | 聖ヴァーツラフの血の末裔。 |
sit diadema regium pignus haereditarium, | それがお前の継承者となる気高い王冠となる。 |
tuae Prosapiae... | お前の一族の子孫を束ねる継承者と。 |
Act I
10. Aria | 10.アリア |
--- Alto: | --- アルト: |
I, Phoebe, umbras pelle, | 日よ昇れ。雲を吹き散らせ。 |
in toedas ite, stellae, triumpho ministrate, | 星よ、松明に灯を点せ、勝利を助けよ、 |
caeli pulillae, lucis favillae, | 小さな天国の鳥、きらめく残り火よ、 |
ignes festivos date. | 栄光の中に燃え盛れ。 |
11. Recitative | 11.レチタティーボ |
--- Fides: | --- 信仰(テノール): |
En, en Fidei aemula jacet superstitio, | おお、信仰の対抗者、あらゆる迷信が廃墟の中に横たわる。 |
inimica pacis devicta tacet. | 打ち砕かれ、平和の敵は静かに滅び去った。 |
In petra stat Religio, | 献身は岩の上に立つ、 |
basim fundat in caelo. | 天国の基盤の上に揺るぎなく立つ。 |
12. Aria | 12.アリア |
--- Fides: | --- 信仰(テノール): |
Hue Virtutes festinate, hue fragmenta coaptate... | ここへ、徳よ、ここへ急げ、仲間と共に。 |
Putatum lolium cedit in spolium nostrae Victoriae, | 根こそがれた雑草が我々の勝利の汚点となるであろう。 |
perennis, perennis gloriae. | 永遠の、永遠の栄光が。 |
13. Chorus | 13.コーラス |
--- Virtutes reliquae: | --- 他の美徳: |
Eja, de figmentis Colossum paramus, | いまこそ我々は大いなる巨像を建立するだろう。 |
Penatum fragmentis trophaeum levamus, | それらのより小さな神の一部から、古い墓が開くだろう。 |
jam Falsitas tacet, Impietas j acet. | そして偽物は沈黙し、不敬は廃墟に横たわるだろう。 |
14. Recitative | 14.レチタティーボ |
--- Pietas: | --- 信仰(ソプラノ): |
Eja, Pietati comes Religio fortune! | そして今献身が信仰の道を容易に導くだろう。 |
iter Ducis in honorem. | それは名誉の王子である。 |
--- Religio: | --- 献身(カウンターテナー): |
Tecum pedisequa Triumpho Clientis praestabo decorem. | お前が従うことによって輝く守護者の勝利がもたらされる。 |
15.Aria | 15.アリア |
--- Pietas + Religio: | --- 信仰(ソプラノ)と献身(カウンターテナー): |
Jam calle secundo, honor is faecundo progredere, | ああ、第二の道、実り多き道を進め、 |
progredere, progredere, progredere Dux; | 進め、進め、司令官よ進め。 |
Augusti favoris, August! favoris, August! | アウグストを賞賛せよ、アウグスト、万歳、アウグスト! |
favoris exorere, August! splendor is exorere, | 輝かしい意志、アウグスト! 王者の輝きに向かって進め。 |
exorere Lux, Regalis splendoris exorere, exorere Lux. | 輝かしい光。王の輝かしい栄光。栄光の輝き。 |
16. Ritornello | 16.リトルネルロ |
17. Recitativo | 17.レチタティーボ |
--- Pietas: | --- 信仰(ソプラノ): |
Nunquid non messis tritici est? (7 Sam 12,17) | それは今日収穫する小麦ではないのか? |
--- Religio: | --- 献身(カウンターテナー): |
Implebuntur areae frumento | 庭は小麦で満たされるだろう。 |
et redunda[bu]nt torcularia vino. (loel 2, 24) | そして大桶は葡萄酒で満ちあふれるだろう。 |
18.Aria | 18.アリア |
--- Pietas: | --- 信仰(ソプラノ): |
Meto culmos, lego spicas... | 私は茎を刈り、種子を集める... |
--- Religio: | --- 献身(カウンターテナー): |
...et in botros mitto sicas... | そして私はブドウの実を採る... |
--- Pietas + Religio: | --- 信仰(ソプラノ)と献身(カウンターテナー): |
...Divino pro mysterio, Theandri sacrificio. | 聖なる神秘のために、犠牲となった神の御子のために... |
--- Pietas: | --- 信仰(ソプラノ): |
Hoc messilegium avitae Pietatis... | これは古代より伝わる敬虔なる儀式... |
--- Religio: | --- 献身(カウンターテナー): |
...fit in praefagium regalis dignitatis... | 王の尊厳を預言する... |
--- Pietas + Religio: | --- 信仰(ソプラノ)と献身: |
...prosapiae Austriacae Zelotis Eucharisticae... | オーストリアの王家の聖なる情熱である。 |
Act II
19. Recitativo; | 19.レチタティーボ |
--- Justitia Divina: | --- 神の正義(テノール): |
Quicunque glorificaverit me, | 彼が私を崇めるがゆえに、 |
glorificabo eum. (IReg 2,30) | 私は彼を自由にするのである。 |
Quoniam in me speravit, | 彼が希望を私に託したがゆえに、 |
liberabo eum. (Ps 90, 14) | 私は彼を自由にするのである。 |
20. Aria | 20.アリア |
--- Justitia Divina: | --- 神の正義(テノール): |
Angelicae mentes, ad este frequentes, | 大勢の天使のような存在が |
... veloces ite in Aulam Curiae et praepedite, | 宮廷の礼拝堂に急いで飛んできて、 |
et praepedite, praepedite labem... injuriae. | 不正の罪に終わりをもたらす。 |
Sceptris glorificabo, | 私の栄光のために必死になっている彼を、 |
corona decorabo Zelotem meae gloriae... | 私は王冠を飾る王笏と共に喝采するだろう。 |
21. Chorus Angelorum | 21.天使の合唱 |
--- Chorus Angelorum: | --- 天使の合唱: |
En, prompti ad mandata praestamus imperata..., | ああ、私たちはこれらの使命を成し遂げるために準備しました。 |
in thronum levamus depressam Pietatem, | 虐げられた王座に対する信仰の美徳を上昇させるために。 |
ad sceptra vocamus defensam Veritatem... | 王笏への軽視された真実を再び呼び起こすために。 |
22. Aria | 22.アリア |
--- Angelus: | --- 天使(ソプラノ): |
Ave, Deus, ave, redite, | 栄光あれ、主よ。栄光あれ。主は復活した。 |
ave, Deus recondite sub panis velamento, | 栄光あれ、主はパンの中に身を顕された。 |
... ave, ave, Emanuel abscondite in tanto, | 栄光あれ、エマヌエル、偉大なる神聖さの中に身を顕された。 |
tanto Sacramento... | 大いなる秘跡 |
Fit homo consanguineus (quod Angelo negatur) | 天使のそれではない血を持った人となり、 |
tibique concorporeus, | 肉を持った人となりながら、 |
in Deum transformatur,... | 神の化身でもあった。 |
23. Recitativo | 23.レチタティーボ |
--- Tenore: | --- テノール: |
Proh! Quae aeris inclementia | ああ、何と病んだ風が吹いているのだろう。 |
subitos noctis inducit moerores? | 予期しない夜の悲しみと共に。 |
Quam densa nubes Augustos inumbrat fulgores ! | なんという厚い雲が荘厳な日の光を陰らせているのだろう。 |
Infesta caligo diem nobis eripit serenam. | 意地の悪い暗闇が日の光を盗み去ってしまった。 |
24. Aria | 24.アリア |
--- Tenore: | --- テノール: |
Veni, Auster lux perennis,... | 行け。オーストリア、永遠の光よ。 |
subi Polum cito pennis; | 行け。小さな素早い翼よ。 |
noctem elimina, orbem illumina... | 夜を駆逐し、世界を照らす。 |
Jam Zephyris fecundis pelluntur nubila, | 今実りをもたらす西風は雲を追い散らし |
tot radiis jucundis, jucundis applaudant,... jubila | 歓喜の叫びが偉大な心地よい光線に歌いかける。 |
25. Recitativo | 25.レチタティーボ |
--- Sapientia Divina: | --- 聖なる知恵(バス): |
Per me Reges regnant, | 私によって王は君臨し、 |
per me principes imperant. (Prov 8,15.16) | 私によって王子は支配する。 |
--- Providentia: | --- 神の導き(ソプラノ): |
Omnes viae tuae paratae sunt | すべての道は準備されている。 |
et tua judicia in Providentia posuisti. | お前の裁定は預言されている。 |
(ludith 9,5) |
26. Aria | 26.アリア |
--- Sapientia: | --- 知恵(バス): |
Exurge... Providentia, | 神の導きよ、生まれよ。 |
fac nostra de sententia... | 我らの意志が為されるところを見よ。 |
Sepone... sceptrum regium pignus haereditarium | 血の後継者に連なる王笏を維持せよ。 |
Habspurgicae propagini, Venceslaiano sanguini. | ハプスブルグ家の、聖ヴァーツラフに連なる血統を。 |
27. Recitative | 27.レチタティーボ |
--- Providentia: | --- 神の導き(ソプラノ): |
Corona Gloriae in manu Domini, (Is 62,3) | 主の手にある栄光の王冠。 |
haereditabunt earn electi mei. (Is 65,9) | 私の選んだ者達がそれを相続する。 |
28. Aria | 28.アリア |
--- Providentia: | --- 神の導き(ソプラノ): |
Hue, coeli Principes, Divum municipes, festinate, | ここへ急げ、天使達よ、神聖なる随行者達よ、ここへ急げ、 |
sceptrum cum diademate Austriaco de stemmate Augustis | 維持せよ。王笏を、名誉ある末裔のための王冠を、 |
nepotibus piisque zelotibus asservate. | そしてハプスブルグ家の信心深い信奉者達を。 |
Act III
29. Aria | 29.アリア |
--- Alto: | --- アルト(カウンターテナー): |
Reviresce, effloresce, pacis olea, | 芽吹き、花咲け。平和のオリーブの木よ。 |
ne sit infestus Bellonas aestus, expande folia. | 恐ろしい戦いの嵐を堪え忍べるだろう。お前の葉を広げれば。 |
Felicibus auspiciis perfruere deliciis, felix Bohemia, | 約束された繁栄を楽しめ、幸福なるボヘミアよ。 |
sub urnbris delitesce, his regibus quiesce, | 庇護の元、お前達はこれらの王達のもたらす平和の日々に身を委ねよ。 |
dies tranquilitatis tuae fidelitatis larga sunt praemia. | 平和の日々はお前達の忠義への報酬となるであろう。 |
30. Recitativo | 30.レチタティーボ |
--- Musicus: | --- 音楽家(テノール): |
Aptate tympana, fides et organa, | 太鼓と、リュートと、オルガンを準備せよ。 |
hilares plausibus tubas adornate. | 快活なトランペットを賞賛せよ。 |
Hue phonasci, hue choraulae, | 歌手達をここへ、管楽器奏者達をここへ、 |
plectris et vocibus recreate penates aulae. | 音楽とダンスで宮廷を蘇生させるのだ。 |
31. Aria | 31.アリア |
--- Musicus: | --- 音楽家(テノール): |
Vive, regna, Ferdinande, | 喜びのなかに生きよ。フェルディナンドの治世の中で。 |
sceptri haeres adorande, | 尊敬すべき王笏の継承者。 |
princeps invictissime, | 無敵の君主、 |
virtute superna protectus guberna, | 天の力による保護、 |
regum clementissime. | 誰よりも情け深い王よ。 |
32. Aria | 32.アリア |
--- Basso: | --- バス: |
Nova gaudia, nova jubila intonate, | 新たなる喜びが、新たなる雷鳴の声がわきあがる。 |
decantate Pacis praeludia. | そして平和の序曲を歌え。 |
Nutrita Pietate, munita aequitate gens pia gaude, | 信仰によって乳離れし、正義によって高められた人々よ、 |
Czechia, plaude, plaude inter tripudia. | チェコよ、喝采せよ、踊りつつ褒め称えよ。 |
33. Aria | 33.アリア |
--- Soprano: | --- ソプラノ: |
En duplo sole Czechia dies vivit serenos, | これよりチェコは二つの太陽の下、光り輝く日を楽しむこととなるだろう。 |
annos inter hilaria Pacis adeptae plenos; | 達成された平和に満ちた幸福の年月を。 |
Civem amor, hostem Timor trahit in obsequium, | 臣民は愛によって服従し、敵国民は恐怖によって支配される。 |
tali rege string! lege suave est delicium. | かような王と法の臣民となることは、純粋に甘い喜び。 |
エピローグ
34. Recitativo | 34.レチタティーボ |
--- Tenore: | --- テノール: |
Eja! Eja votivi omnia secundent plausus ! | 今こそ!今こそこれらすべてに敬虔なる喝采を送ろう! |
Augusta Fortitudo et Constantia paganae | 皇帝の勇気と不屈さは |
tyranidis subvertit monimenta. | 異教徒の圧政をも転覆させるであろう。 |
35. Aria | 35.アリア |
--- Tenore: | --- テノール: |
Exsurge Martis Gloria pro Caesaris Victoria, | 戦いの栄光よ、わき起これ。皇帝の勝利を見るために。 |
ad Caroli imperium, Elisabeth obsequium. | カールの命令のために。エリザベスの奉仕のために、 |
36. Chorus | 36.合唱 |
--- Chorus: | --- 合唱: |
Vos Oriens adoret et Occidens honoret. | 東はあなたを尊敬し、西はあなたを崇拝する。 |
Augusti vivite et gubernate, | 皇帝よ、生きてそして統治する、 |
felices regite et triumphate, | 幸福のうちに君臨し、勝利する、 |
Musas dementias Pragenas fovete, | 詩神は惚け、プラハの民は好意を寄せる、 |
Augustas gratias Augusti favete. | すばらしき皇帝を、皇帝を支持せよ。 |