【きみずがはしる】
共通語 胃液が出る、胆汁まじりの胃液が出る
用例訳 胆汁混じりの胃液が出るようだ よ。
採取者 金沢[松江]
【きもがえー】
共通語 大胆な、度胸がよい
用例訳 あんな 高い ところ から跳ぶのかい。いい度胸だねー。
採取者 金沢[松江]
【きょーのひ】
共通語 今日この頃、こんにちの時代、今日現在
用例 きょーのひ、番傘やなんやえ さい ちょー もんはおら へん じ。
用例訳 今日この頃、番傘やなんか さし ている 者はい ない よ。
採取者 金沢[松江]
【きみさん】
共通語 お前さん(目上から目下の者に対する呼びかけ言葉)
用例 こらこら、きみさん。わがとこの雪かきぐらいはしちょけ や の。
用例訳 これこれ、お前さん。自分のところの雪かきぐらいはしてお け よ。
採取者 金沢[松江]
【きんこきんこ】
共通語 (固くなって)かちんかちん
用例 この刷毛洗ってね けん、きんこきんこになっちょー がね。
用例訳 この刷毛は洗ってない から、かちんかちんになっている よ。
採取者 さっち[木次]
(記録者:金沢)
【きんぎんそう】
共通語 〔植〕ユキノシタ
用例 そこのげしにきんぎんそうがはえちょー けん取ってきてごいた。雪掘ってみ。どげ あらと あー けん。
用例訳 そこの傾斜地にユキノシタが生えている から取ってきてくれ。雪をほってみなさい。どう だろうと ある から。
採取者 遠藤[大東]
【きょんろきょんろ】
共通語 きょろきょろ
用例 あげんきょんろきょんろすー だ ね が。ざいごたらみたいでえけん が。
用例訳 そんなにきょろきょろするん じゃ ない よ。田舎者みたいでいけない よ。
採取者 奥野[平田]/【きょろんきょろん】奥野[平田]
【きら】
共通語 区切り、物事の始末
用例訳 昼食じぶんだから、区切りをつけて帰ろうよ。
採取者 奥野[平田]
【きらかす】
共通語 (貯えていた品物を)なくす、きらす(切れた状態にする)
用例 石段登って息をきらかいた。
用例訳 石段を登って息をきらした。
採取者 奥野[平田]
【きりかぶた】
共通語 木の切株
用例訳 そこの山は木の切株ある から、気をつけるん だよ。
採取者 奥野[平田]
【ぎりんぎりん】
共通語 ギリギリ、歯を食いしばるさま
用例訳 くやしくて歯をギリギリいわせていた。
採取者 奥野[平田]
【きりだめ】
共通語 料理を入れる木製の箱
用例訳 まあ、いい具合に煮しめが料理を入れる木製の箱につめてある よ。
採取者 児玉[横田]
【きーはてがない】
共通語 終わりが無い
用例訳 終わりが無いから、いいかげんにきりあげたら。
採取者 森山[湖陵]
(記録者:奥野)
【きどこ】
共通語 (囲炉裏やかまどで燃す)薪を置く屋内の場所
用例訳 薪を置く屋内の場所へ少し薪を持ってきておいてよ。
採取者 児玉[横田]
【きねー】
共通語 〔植〕甘柿
用例訳 ことしは、甘柿がよくなったねー。
解説 最近の甘柿は実の直径に対して高さの低い、平べったいものがほとんどですが、「きねー」は高さのある卵形の古い品種の柿です。
採取者 やまが[八雲]
(記録者:奥野)
【きごー】
共通語 (水の上などの)油膜
用例訳 前の道に油膜が浮いているが事故でもあったかい。
採取者 やまが[八雲]
(記録者:奥野)
【きりじ】
共通語 夜盗虫
用例訳 このバレイショは夜盗虫が食っている よ。
解説 「きりじ」は切蛆(キリウジガガンボの幼虫)ですが出雲弁では夜盗虫(ヨトウガの幼虫)と混同して使っているようです。どちらも日中は土中に潜んでいるためかも知れません。キリウジガガンボの幼虫は野菜等の苗の根元を噛み切ります。ヨトウガの幼虫は野菜等の株を這い上がり葉っぱ類を食害します。/森山[湖陵]
採取者 やまが[八雲]
(記録者:奥野)
【きわで】
共通語 性急な
用例 きわで性分だねー。お茶どま おちらと飲んでえな っしゃい。
用例訳 性急な性分だねー。お茶でも ゆっくりと飲んで帰り なさい。
採取者 森山[湖陵]
【きれきさんじね】
共通語 きれいさっぱりと、痛快に
用例 のこえ とったくゎしがきれきさんじねなーなっとー わ。
用例訳 残し ておいた菓子がきれいさっぱりとなくなっている よ。
採取者 f-k[加茂]
【きのみ】
共通語 椿
用例訳 椿の実を敷居に塗ってみろ。障子が軽くなる よ。
採取者 森山[湖陵]
【きのみあぶら】
共通語 椿油
用例 ほんもんのきのみあぶらだけん、ちょんぼし わてつけー だ ぞ。
用例訳 本物の椿油だから、少し づつつける んだ よ。
参考
農村では昔(戦前頃まで)中年以上のご婦人はあまり化粧をしなかった。外出時は髪に、きのみあぶらをつけ櫛目を通すぐらいが、お出掛け時のおめかしです。
庭にある椿や山茶花の実拾いをさせられましたが、量が少なく腐ったり虫が食ったりしないので、何年分まとめて祖母がしぼりました。自家製は正真正銘で高級品だったそうです。
採取者 森山[湖陵]