久しぶりの休日、温泉でノンビリゆっくりと汗を流す.........
温泉は日本人なら誰でも憧れるレジャーの1つですね。
日頃の忙しさから開放され、温泉の効能をタップリと味わいたくてあちこちの温泉に出かけ、豊富な湯量を誇る評判の湯船につかりホット一息........
肌もスベスベしてなにやら潤いも出てきた感じ.......やっぱり温泉はこうじゃなくてはねえ.......
さて皆さんは温泉に入浴していて「このお湯はヌメリがあって気持ちいいなあ」、と思われた経験がありませんか?
実はこのヌメリは、温泉成分などではなく
消毒剤の影響なのかも知れない?
ことはご存知でしたでしょうか。
過去の一大温泉ブームで、限りある温泉源泉の奪い合いで源泉を涸らしてしまったり、
源泉採湯の増大で極端に源泉湯量が少なくなってしまった、
という事態があちこちの温泉地で起きました。
源泉湯量が少なくなり贅沢に使えず、一度使用したお湯をリサイクルして再利用する
循環式温泉(*1)
が増えた結果..........
★お湯が"汚染"されてレジオネラ菌(*2)が異常発生し集団感染を起こし、
295人もの死者、病人が発生する★、
という事態が2002年に、九州のある温泉施設でありました。
源泉の湧出量が少ないのに大量に利用者を得たい営業が優先され、大きな浴槽にして循環式を採用する.......
キチンと手間隙かけていた温泉清掃も、コスト削減で十分に行き届かなくなった........
原因はいろいろあるのでしょうが、このようなやり方が浴槽の汚染を招き、温泉での集団感染が発生する、
という信じられない結果を招いてしまったのでしょう。
しかし今更源泉の湯量を増やせるわけもなく、集団感染発生によって営業停止や印象悪化を恐れて出てきた対処方法が、
★消毒剤の投入でお湯を殺菌する★、
という自宅のお風呂では考えられない方法であり、温泉の効能・癒しを得るため訪れる温泉では、今や当たり前に行われている、
というのが現状なのだそうです。
温泉に関してもう1つの気になる部分があります。
天然温泉という響きは温泉100%のことを指すのであって、普通の水を沸かしている、などと考える人はいないと思います.......
ところがビックリすることに現行制度では、天然温泉と謳っていても、
★99%が普通の水であっても、天然温泉水が1%でもあればそのお風呂は「温泉」と名乗れる★
という事実です。
いまや普通に消毒剤が投入されているという事実にも驚きますが、人々を騙すような現行制度の方もかなり問題だと思います。
もちろん全ての温泉が消毒処理を必要とするほど汚れているわけはありませんし、消毒処理をしなければならないほど汚れている温泉の場合は必要な処理、
ということは最初にお断りしておきたいと思いますが........
自治体によっては、消毒処理の必要がないにもかかわらず、条例でその管内全ての温泉に消毒剤の投入が義務付けられている、
という、俄かには信じられない現状があるのも事実のようです。
どこの温泉でも豊富な天然のお湯がドンドン湯船から溢れ、もちろんお湯の再利用などされるはずもなく、浴槽も定期的に清掃されていつも清潔.......
という我々が温泉に対して思っていたイメージは、どうやら今では1部の温泉でしか実現できていないようで、
消毒剤の投入がすでに当たり前になっていたのです。
これでは我々が期待する天然温泉の様々な温泉の効能は、著しく失われてしまいそうです。
投入される消毒剤も、以前は塩素消毒剤だったのが最近は塩素の臭いを感じさせない「塩素化イソシアヌル酸」という
消毒剤を使うところが増えているそうです。
この消毒剤は一度投入すれば効果が1日持つ、といわれ従来3時間程度しか効果の無かった塩素消毒よりはるかに強力な殺菌作用があるとのこと。
従来の塩素消毒でも、使い方によっては発ガン性の危険性を指摘されていましたが、この消毒剤による悪影響も心配になります。
この消毒剤はヌルッとするそうなので、「このお湯はヌメリがあって気持ちいいなあ」、と感じたらこの消毒剤による影響?
も考えないといけない時代なのかも知れません。
今でも年に2度、自炊の温泉旅館に2〜3週間ほど長期滞在し、体の疲れを癒し免疫力を高める「湯治」という習慣があり、多くの人が病気予防のため実践しています。
「ホンモノの温泉」なら免疫力を高める効果があり、しかも1泊の入浴でその効き目は約1週間持続するそうですから1度の「湯治」で半年は病気にかかりにくい体にする、
というまことに合理的な「温泉療法」を行っているわけです。
免疫力は白血球数全体の数だけでなく、顆粒球(ウィルスやバクテリアを食べる防御細胞)とリンパ球のバランスに左右されるそうです。
温泉につかるということはその割合を調整する効果があり、リンパ球が多い人は顆粒球が増え、顆粒球が過剰な人はリンパ球も増加するのだとか。
白血球数は加齢とともに減少して免疫力も低下するものだそうですが、多すぎてもストレスで血中に活性酸素が増えてしまい健康を害する原因になるといいますから、
「ホンモノの温泉につかる」ことは非常に有効な「対処療法」になるわけです。
ガン細胞は体温が低いほど広がりやすく、体温35度台のときにもっとも活性化し増殖のスピードが上がるだとか。
昔は「日本人の平熱は36.5度」などといわれていたようですが、最近は特に若者の体温低下が目立つようになり、「平熱35度台」が普通になっているようですから
「ガンになりやすい体温」の人が増えていることになります。
人間の身体というものは、自分で自然治癒させる機能を備えており、そのプロセスには「発熱」か「化膿」が伴うものなのだそうです。
自然治癒の力は体温が37度台まで上がることで発揮するそうですが、風邪のときなどに熱が上がるのは、リンパ球に対し戦闘開始のスイッチを入れるためで、
体が備えている自然治癒力のひとつなわけです。
白血球数の中のリンパ球は風邪のウィルスやガン細胞と戦う細胞で、体温37.2度以上になると活動開始するのだそうですが、
せっかく体が風邪と戦おうとしているのに、風邪をひいて高熱が出たから、とすぐ解熱剤でムリヤリ体温を下げようとするのはこれに逆行することになります。
過去、1982年(昭和57年)に出された環境庁自然保護局長通知により、温泉の「禁忌症(きんきしょう・温泉療養をしてはいけない病気や症状のこと)」
として急性疾患(特に発熱)、活動性の結核、重い心臓病、妊娠中(特に初期と中期)などと並び、 入浴が制限されていたものに「悪性腫瘍」があげられていました。
これがこの度32年ぶりに改訂され、進行がんで身体の衰弱が著しい場合をのぞけば、がん患者でも温泉に入れることになりました。
温泉はがん患者にとっても疲れた身体と心を癒すリラックス効果がありますから、大いに温泉を楽しんでもらいたいものです。
なお、新通知での「一般的禁忌症」は、病気の活動期(特に熱があるとき)、活動性の結核、身体衰弱(進行した悪性腫瘍、高度の貧血等)、重い心臓症、消化管出血、目に見える出血、
慢性の病気の急性増悪期、などとされていますので心当たりの症状の方は注意されてください。
原発事故以来、放射能の心配が言われますが、実はラジウム温泉に限らずそもそも温泉場は自然放射能の量はもともと高いものなのだそうです。
ラジウム温泉で有名な玉川温泉(たまがわおんせん・秋田県仙北市にある温泉)で一年間岩盤浴(!!)を続けると、被ばく量は15〜20ミリシーベルトに達するそうです。
しかし、だからといって温泉好きの人たちががんに罹る率が高い、という話はありませんから安心して温泉を楽しみましょう。
ラジウム温泉で有名な、イランのラムサールという保養地は、年間放射線量が高い箇所で260ミリシーベルトにも達するそうですが、
がんが多発するというデータはないそうですから。
本物の温泉は皮膚の老化を抑制する効果があるそうですが、たとえ良質の源泉でも、汲みあげられてから長い時間がたったり、
普通の水と混ざったり、空気に長い時間晒されたら、源泉も変質してしまい、せっかくの温泉効果も本来の力を随分減らしてしまいます。
温泉効果も、それは純度100lの源泉だからこその話であり、普通の水で加水されてしまったらその効果もあまり期待できません。
日本全国では、現在、1万4千380軒の温泉旅館があると言われているそうです。(2012.1時点)
その中で本物の「100l源泉かけ流し温泉」は全国で140軒程度だそうです。
この軒数は100l源泉かけ流しの、という条件がつく温泉のことで、それ以外にも循環浴槽ではない「源泉かけ流し温泉」
は全国に数多くあります。
ここで言う「100l源泉かけ流し温泉」とは、
【地下から汲みあげられた源泉が、熱いからといって普通の水で「加水」されず、適温にするための加熱もされず、
外気にふれずに新鮮のまま浴槽に流れ込む】、
というかなりハードルの高い基準でみた場合の軒数です。
某有名温泉街では「100l源泉かけ流し温泉」をPRするため、有名な観光名物の「湯もみ」パフォーマンスを行っているそうです。
しかし、「湯もみ」では湯温は45度程度までしか下がらず、源泉の方に「加水」しているのが実態だそうです。
入浴適温で湧き出す源泉というのはそれほど無いでしょうから、この処理までとやかく言うつもりはありませんが、
こうしてみると本物の「100l源泉かけ流し温泉」に入浴する、
という経験は一生かかっても実現できない大変な贅沢になりそうですね。
「100l源泉かけ流し温泉」は全国の温泉中、1lの割合だそうで、ほとんどの温泉は源泉に何らかの処置を行っているということです。
代表的な温泉地でも、残念ながら「100l源泉かけ流し温泉」の基準を満たす温泉は見当たらなかったそうです。
結局、良質の源泉から豊富な湯量が出ても、高温の湯温を下げるため加水してしまうと「100l源泉かけ流し温泉」から除外されてしまうからです。
たかが加水したくらいで、基準から外されるのはどうか、と思わないでもないのですが、ここでは「100l源泉かけ流し温泉」、
という存在がどんなに凄いことなのかを強調したかっただけで、それ以外の温泉を全面的に否定するというつもりは全くありません。
循環式浴槽を使い、温泉に消毒剤が投入される、という時代の今だからこそ、本物の
「100l源泉かけ流し温泉」
という温泉の存在が、現代の日本にとっていかに貴重なものであるか、「100l本物の源泉宿」というものとはどんな温泉なのか、
という認識を改めて見つめ直すことが大事と考えます。
理想論で言えば、循環式浴槽を使わなくとも、消毒剤を投入しなくても、清潔な温泉を維持できるよう源泉の湧出量に見合った浴槽の大きさで、
温泉が運営できる環境にすることがベストなのでしょうが、全ての温泉施設にこの環境を要求するのも出来ない相談であろうかと思います。
細菌感染を恐れる余り、消毒剤を必要以上に入れている所もあるようなので、せめて消毒剤の量や方法に関しては公的機関なりがキチンと管理して、
安全性を少しでも高めてもらいたいものです。
そういう部分を十分に認識した上で、一生懸命いい温泉を提供しようと頑張っている温泉宿は日本全国に数多く存在します。
「100l源泉かけ流し温泉」に拘らずとも、そんな頑張っている温泉宿を見つけて是非訪れてみたいものです。
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⇒サイトマップ |
『正真正銘五つ星源泉宿』
本物の源泉宿には温泉効果が期待出来る凄いパワーがありそうですが、日本に「100l源泉かけ流し温泉」の要件を満たす温泉は数十箇所あるようです。
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