遺言書を公証人に公正証書として作成してもらうと、公正証書遺言となります。
公証人が関与しますので、間違いのない有効な遺言が作成できます。
公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されますので、破棄・変造などの危険はありま
せん。
また、公正証書遺言は、遺言者が口述し、公証人が読み聞かせればいいので、手がふ
るえて字が書きにくいような場合も有効に成立します。
聴覚・言語機能に障害がある場合は、手話通訳などの通訳または筆談により公正証書
遺言を作成できます。
遺言者が入院中など公証役場に出向けない場合は、公証人に出張してもらえます。
公正証書遺言は、遺言執行の時に裁判所の検認を受ける必要がありません。
(自筆証書遺言の場合は、検認を受ける必要があります。)
公正証書遺言は以上のような長所がありますが、その作成手続きは自分で書く自筆証
書遺言に比べて少し煩雑になります。
公正証書遺言の作成には証人2名以上の立会いが必要です。
「推定」相続人(相続人になると思われる者)、受遺者(遺贈を受ける者)及びその配偶者
ならびに直系血族、未成年者は、遺言の証人または立会人になることができません。
公証役場で、証人の手配もしてもらえます。
自分の回りに証人になる適当な知り合いが見当たらない場合、また証人を頼んで後に
気を使いたくない場合などに利用します。(社団法人家庭問題情報センター)
公証役場で紹介してもらえる証人は、身元のしっかりしている人ですので、遺言書の内
容が知られても外部に漏れるというような事はありません。
なお、費用は証人1人につき8千円です。
公正証書の作成には公証人の手数料が必要です。
作成の手数料は、財産の時価が目的(財産)価格になりますが、不動産の場合は、評価
額・路線価格などを参考にして公証人が算定します。
相続人・受遺者(遺贈を受ける者)が複数ある場合は、相続人・受遺者ごとに算定し合算
されます。
例えば、5千万円の財産を相続人2人に均等相続させる場合、
相続人1人の財産の価格は2千5百万円になりますので、
1 遺言者本人の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)・実印
2 証人(二人)の住所、職業、氏名、生年月日を書いたメモまたは住民票(印鑑証明書は
要りません)・認印
3 財産をあげる相手が相続人の場合は戸籍謄本(遺言者との関係がわかるもの)、その
ほかの場合は住民票
4 財産のなかに不動産がある場合は、その登記簿謄本(権利書は不可)と固定資産税
評価証明書
5 預貯金などの場合は、預貯金先、口座番号、預貯金の種類などを書いたメモ
6 遺言執行者を指定する場合は、その人の住民票
など
遺言執行者を指定する場合は、相続人・受遺者・証人でもかまいません。
作成に立ち会う必要はありません。
未成年者・破産者は遺言執行人になれません。
遺言書にする内容が決まりましたら、その原稿(口頭でもかまいません)と上記の必要書
類を添えて公証人に申し込みます。
その原稿と必要書類をもとに、公証人が公正証書(遺言)を作成します。
出来上がるまで、通常は1週間〜10日間ほどかかります。
そして、約束の日時に、遺言者・証人2名立会いの下に、公証人が作成した遺言を読み
聞かせ、内容に間違いがなければ、遺言者ならびに証人2名が、署名し、押印します。
公証人の手数料は、通常、証書の完成の前日に公証役場に電話を入れ、金額を確認
し、完成・調印の日に支払います。
出来上がりました公正証書遺言は、原本が公証役場に保管され、正本と謄本各1通が
遺言者に渡されます。
後日、よく「渡された正本・謄本に押印がないけど良いんでしょうか」と聞かれますが、押
印したのは原本だけで、正本・謄本には押印はないことになります。
公証人が関与するその他の遺言、秘密証書遺言
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