日本人が外国で遺言をしたり、あるいは外国にある財産についての遺言をする場合、
また、日本にいる外国人が遺言をする場合、遺言が遺言として認められるための形式
的な要件(方式)をどの国の法律によるのかは、遺言の方式の準拠法に関する法律で決 められています。
遺言が以上の5つの方式のいずれかで作成されていれば、方式に関しては有効に成立
します。
外国に居住している日本人が、日本に不動産や預貯金が有り、相続人が日本にも居る
場合などは、その居住する国で、日本法の定める方式の自筆証書遺言を作成すること ができます。
外国に不動産や動産がある場合で、日本人が本国(日本)の法律による方式で遺言を作
成しても、その執行には、イギリス、アメリカなどの国では、相続について、不動産に関し ては所在地法、動産に関しては住所地法で決められますので、日本人の遺言について も外国の法律が適用される場合があります。
検認の用件・効果について日本法と異なる国がありますので、在外日本人が遺言をする
場合、公正証書遺言でするのが無難かもしれません。
遺言執行者(その可否、執行者の権限、執行方法など)に関しても日本法とことなる場合
があります。
外国で遺言を作成する場合は、現地の国際私法・遺言に関する法律・税法などをよく調
べる必要があります。
日本に住んでいる(住所を有する)外国人が、遺言を作成するには、どのようにするのか
(どの国の法律によるのか)、日本の方式によることができるのかは、前記の「遺言の方 式の準拠法に関する法律」に規定されているところによります。準拠法は、外国人が日 本で作成した遺言にも適用されますから、@行為地法により日本の方式による遺言がで きることになります。
が、外国人の遺言が、本国で執行される場合は、本国での準拠法がどのように規定され
ているかによることになります。
昭和39年成立の「遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約」を批准した国であれ
ば、その多くは日本の方式準拠法と同じ規定をおいていると思われます。
(外国の例)
日本に住んでいる外国人が日本の方式の遺言をする場合、
上記の事項の他、遺言の成立・効力、検認の有無、遺言の執行方法などについては、
日本法あるいは本国法を検討する必要があります。
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