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相続税は一般庶民にもかかる?

平成27年(2015年)元旦から、相続税法改正で『相続税の大増税』が始まります。

この改正により不動産価値の高い都心部に居住していると、2人に1人が相続税の課税対象になるといわれます。

従来は「相続税が発生する」ケースは統計的に『100件に4件』といわれ、『相続税』ウンヌンはお金持ちの世界の話であって 一般庶民には縁のない税金、というイメージでした。

ところが今回の改正によりヒョッとしたら都市部に持ち家がある一般庶民にも課税の対象が大きく広がるかも、といいますから聞き捨てなりません。

万が一相続税が発生してしまうと相続税の支払いは 『現金一括払い』が原則(*1)だそうなので手元に現金がないため泣く泣く自宅を売却する、 ケースもあるそうで、心当たりのある方は事前準備も必要になってきます。

★......実際地価の高い東京23区では2010年でも課税対象割合は約9%あり、さらに都心部の港区や渋谷区などでは20%前後に達しているといいますから 2015年からの相続税法改正後では特に都市部でさらに多くの人が課税対象になることが予想されます。
現状では全国で課税対象割合は約4%だそうですが、今回の改正では10%まで増える、との試算も出ています。

今回の相続税法改正のポイントは、『税率構造の見直し』と『基礎控除額の引き下げ』のふたつがあります。

相続税税率構造の見直し

現行の相続税の税率は六段階に設定されていますがこれが2015年からの改正後は八段階に細分化され2億円以上の資産に対する税率がアップします。
相続財産額(法定相続分に基づく取得金額)が2億円〜3億円が40%から45%にアップ、6億円超の最高税率は50%から55%まで引き上げられます。

年々増加する社会保障費を補うためにも、消費税率アップより相続税を強化するのは当然、という意見もあるようですが、相続税などに全く縁のない庶民はともかく、 資産家の人たちにとって悩ましい制度改革になりそうではあります。

マア、我々庶民で億単位の資産を持っている人はそれほどいないでしょうから、相続する(させる)にしても庶民には関係なさそうではあります。
しかし、問題は次の『基礎控除額の引き下げ』です。


基礎控除額の引き下げ

この改正で大きく影響を受けると思われるのが『基礎控除額の引き下げ』で、都会に持ち家がある場合では、 不動産価値によっては課税対象になるケースが激増しそうです。

基礎控除というのは、「ここまでの金額には相続税はかかりません」、という相続財産額のボーダーライン(上限)ですが、今回の改正によりこの上限金額が、大幅にダウンします。

改正前の基礎控除額は、「5,000万円+(法定相続人数×1,000万円)」、でしたが、改正後には、「3,000万円+(法定相続人数×600万円)」、となり、 一気に4割も減額されることになりました。

ちなみに遺産が一億五千万円法定相続人が4人のケースで相続税を計算すると、 改正前と後では以下の違いが出てきます。    

改正後の相続税 改正前の相続税
基礎控除額 5,400万円=3,000万円+(600万円×4人) 9,000万円=5,000万円+(1,000万円×4人)
課税対象 9,600万円=15,000万円-5,400万円(基礎控除額) 6,000万円=15,000万円-9,000万円(基礎控除額)
相続税 1,330万円 700万円



つまり、この例だとほぼ倍の相続税となってしまうわけですから、身に覚え(?)のあるご家庭はいまからそれなりの準備が必要となります。


相続税は現金一括払い

上記の例では、改正前の相続税計算では納税総額「700万円」でした。 現金でこの金額をポンと払えるお宅はなかなかないと思いますが、 ましてや改正後の納税総額は「1330万円」と、ほぼ倍になってしまいますから、 はたしてこの金額を現金一括払いできるご家庭はどのくらいあるのでしょうか。

地方暮らしではよっぽどの金融資産でも持っていない限り、土地家屋をふくめても一億五千万円の遺産になるケースはなかなかないと思いますが、 都会で持ち家なら資産価値もかなりの金額になるはずです。

法定相続人が4人の場合でも基礎控除額は5400万円たらずですから、これ以上の遺産があったら相続税対象となりますので、相続税対策は考えておく必要があります。

たとえ地方で暮らしていても、基礎控除額5400万円(法定相続人が4人の場合)だけ(?)となると、立派な家屋があり土地持ちのケースでは遺産総額がこれを上回るケースは少なくないと思われますから、 これからは『相続税が発生する相続』が日本全国で増えていくかもしれませんね。

項 目 補 足 説 明
相続税の支払いは『現金一括払い』が原則
(*1)
申告期限内に現金一括で払えない場合には、一定の要件を満たす必要はありますが"払えない分の現金を後で払う"という"金銭延納"が認められています。  さらに金銭延納でも払いきれない部分については"物納"も認められています。

例えば相続税の支払いが1億円(!)の例ですと........納税額のうち3千万円までは申告期限内に現金で納められるが残りは期限内に準備できない、 という場合は"金銭延納"という方法があります。

その"金銭延納"で払える現金は5千万円まではなんとか工面できるが、あとはもうどうかき集めても残りの現金は用意できない...... となったら残り2千万円分を"物納"という形にして払うことが出来ます。 ただし、あくまで"物納"というのは最後の手段ですから現金があるのに最初から1億円の物納は出来ないことに注意してください。

★......金銭延納の延納期間は、例えば相続財産に占める不動産の割合が75%以上の場合には「期間20年以内で金利は2.3%」など、不動産割合により期間・金利が異なります。 (2014.4時点)


相続税対策はお早めに

このように、2015年からスタートする相続増税の大波をモロにかぶりそうなご家庭は、いまのうちから相続税対策が必要となります。

特に、相続対象家屋がある場合、そこに住んでいる相続人と、外に生活基盤があってそちらで暮らしている相続人に分かれているケースでは、 家屋敷を含めた遺産分配をどういう方法でやるか、しっかり話し合っておかないと、相続発生時にトラブルの基となってしまいます。

家を相続人で公平に切り分けるわけにも行きませんし、かといってお金に換えるため家を売ってしまうということも、そこに住んでいる相続人にしてみれば なかなか難しいことになります。

相続は争族」といいます。 やはり被相続人が元気なうちに家族が納得できる相続対策を きちんとしておくことがなにより重要となりそうです。

代襲相続

もし、3人の相続人がいて、うち1人が亡くなった場合は、相続財産は残った2人で山分け、というイメージがありますが、これは正しくないようです。

被相続人より早く「第1順位」の相続人亡くなっていた場合には、もし亡くなった人に子供(被相続人から見て孫)がいたら、 その人が代わって相続人となる「代襲相続」という制度があります。

相続税対策(1).......生前贈与

相続税対策で最もポピュラーな方法が「生前贈与」です。
年間110万円までなら、誰に贈与しても非課税になる制度で、子供が小さいころから長期間行えば節税効果は高い ですから資産家の人にはオススメかもしれません。

相続人が4人なら、年間で440万円の生前贈与が可能になります。 5年も行えばまるまる2,200万円もの財産が無税で相続できることになるわけで、 どうせお墓に持ってはいけないお金ですから、抱え込まずドンドン気前よく(?)「生前贈与」しましょう。

モチロン、有り難くいただいた相続人たちは、ドンドン気前よく使っていただき、少しでも日本経済に貢献してもらいたいと思います。

ただ、この方法を社会人になった子どものほうから親にお願いするのもナニなので、出来れば子供が小学生あたりから、 親が自主的にやっておくと、波風も立たないかも知れません。

子どもや孫が自宅を購入する際に資金を贈与する場合も、「住宅取得資金贈与の特例」など利用して現在は最大1,200万円までは税金がかかりません。

ただし、連年贈与(毎年同じ額の贈与を繰り返す)には注意しなければならない点があり、一度にその合計額を贈与したものとみなされ、課税されてしまう可能性がゼロではありません。

税務署に連年贈与と認定されないためには、贈与契約書を毎年作成すること、受贈者が贈与の事実を認識していること、 贈与された財産(預金通帳や印鑑など)を受贈者が管理して自由に使えるようにしてあることが必須です。


「教育資金の一括贈与」

平成25年、高齢者世代の保有する資産の若い世代への移転を促進する狙いもあり、『教育資金の一括贈与に係る非課税制度』が創設されました。

祖父母が、金融機関に子・孫名義の口座等を開設し、教育資金を一括で拠出した場合、子・孫ごとに1,500万円まで非課税となる、という制度です。

平成25年9月末契約数は40,162件、信託財産設定額合計は2,607億円となっているそうです。

但し、教育資金等の使途は、金融機関が領収書等でチェックし、書類を保管。
孫等が30歳に達する日に口座等は終了となり、残金に対して贈与税が課税されることになります。


扶養義務者間(親子間等)の贈与税は非課税

実は、「教育資金の一括贈与」の制度を使わずとも、無税で同じ金額を贈与することが可能な方法があります。

そもそも、扶養義務者間(親子間等)で必要の都度支払われる教育資金ならば、贈与税は非課税となります。(相続税法第21条の3二)

つまり生活費や教育費を必要の都度、お孫さんやその父母である息子、娘に渡すようにすれば、全く同じ効果が得られるわけです。

更に付け加えると、生活費や教育費であれば金額がいくらになろうが、たとえ合計で1,500万円以上になったとしても無税で贈与することが可能です。

「教育資金の一括贈与」を使いドカンとプレゼントするのももちろん良いのですが、その方法では貰った当初は「お母様....」などとネコなで声で喜んでくれた息子のヨメも、 いずれ貰った時のありがたみも薄れ、やがて家に頻繁に顔を出すこともなくなる........という現実も予想しておきましょう。

子、孫に会える回数を多くしたかったら、必要な時に必要な金額を贈与した方がよっぽど足繁く会いにきてくれますし、息子のヨメにもより以上に感謝(?)されること請け合いです。


相続税対策(2).......二世帯住宅

原則同居していることなど適用条件がありますが、実家に親と同居して二世帯住宅を建築し「小規模宅地の評価減の特例」の対象となる、 という方法があります。

適用されれば、居住用宅地330u(改正後)までなら評価額を80%減額できるますから、例えば土地の評価額が1億円なら2,000万円まで減額できるので大きな節税効果があります。

墓地や墓石、仏壇、仏具などは「祭祀財産」となり相続財産には含まれませんから、まだ準備していないなら生前に購入して支払えばその費用は相続財産からカットされます。
お金持ちの方は立派なお墓を作ってください(?)。

相続税対策(3)........賃貸物件を建てる

土地不動産の評価価値を合理的に下げて節税する、という方法もあります。

例えば、賃貸物件が建っている土地(貸家の目的とされている宅地)は、「貸家建付地(かしやたてつけち)」という評価になり、 「自用地(自分で使用している土地)」と比較すると約20%評価を下げられます。

そこで、保有する土地に賃貸物件(賃貸アパート)などを建てて運営したり、実家を二世帯住宅かつ賃貸併用住宅にすれば、賃貸物件が建つ土地は 「貸家建付地」の扱いとなるわけです。

「賃貸併用住宅の土地評価額」は、建物の自宅部分(借地権)と賃貸部分(借家権)の面積比に応じて按分されます。

「建物評価額」は固定資産税評価額と借家権控除で算出され新築評価額の70%程度まで減額できますから課税遺産総額を大幅に減らせます。

相続税を詳しく知りたいときは 国税庁のホームページで確認してください。


相続税対策(4).......相続時清算課税制度

贈与者が亡くなったとき予想される遺産が、相続税の基礎控除以下(になるであろう)の人にとってメリットがあるのが、 平成15年度の税制改正で導入された、「相続時清算課税制度」、です。

この制度を利用すると、2,500万円までの生前贈与であれば、一切贈与税はかからないので、子供たちへの援助を考えている 親は、贈与税を気にせずに安心して気前よく贈与できます。

なかなか給与が上がらない昨今ですから、それなりに豊かな親は子供たちの生活応援のため、そして消費を増やして日本経済に良い影響を与えるため、 子供や孫にドンドンお金をプレゼントしましょう。

ただし、贈与者が亡くなって相続財産を計算する段になったら、残った遺産にプラスして、生前贈与していた分を加えた合計で 相続税を計算しなければいけません。

この制度を利用すると、生前贈与した金額が非課税枠の2,500万円を上回る場合は、オーバーした金額×20%が、 贈与税の対象となりますのでご注意を。

また、この贈与税を払い込んでいた場合、将来贈与者が亡くなって遺産の相続税額が発生したら、既に払い込んでいた分を相続税額から差し引くことができます。
その際、相続税額より支払った贈与税が大きい場合は、その差額が還付されます。

■■ 相続時清算課税制度の利用条件 ■■



贈与税の改定

世代間の資産移転を進めるため、今回の相続税法改正とともに贈与税も改正されました。

★【教育資金の一括贈与に係わる非課税処置】......2015年末までの期間限定ですが祖父母が孫やひ孫に将来の教育資金をまとめて渡す際、 孫1人あたり1,500万円まで贈与税が非課税になる制度があります。

制度を利用するには、「金融機関に信託用の口座を作る」、「利用できるのは、孫が30歳になるまで」、「それまでに使い切らなければ、残額に贈与税がかかる」などの条件はありますが ゴッソリお国に税金を納めるよりカワイイ孫のために、と考えるジジ・ババはご検討ください。

親が「子供の結婚費用や出産費用」を負担しても、社会通念上相当と認められるものについては贈与税の対象外となります。


遺言信託

2015年1月から始まる相続税の課税強化に応じてニーズが高まっているのが、信託銀行が手がける"遺言信託"というもの。

"遺言信託"というのは契約すれば遺言書作成の相談から保管、遺言内容の執行までをトータルでやってくれるサービスで、 三井住友信託銀行は2014年6月16日から取引残高が5000千万円以上の顧客に対し、手数料30万円の無料化を行うそうです。

従来からあるサービスのようですが三井住友信託銀行での2013年度実績では契約実績3000件、2011年度比41パーセント増といいますから"遺言信託"利用者は着実に増加しているようです。

遺産相続は別名『遺産"争族"』、といわれるほどトラブルが多いようですが、 自分が死んだ後で親族が相続をめぐって醜い争いをはじめる.......というのは誰しも望まないもの。
親族間の無用なトラブルを避けるためにも、こういうサービスを利用してリスク回避するというのも"争族"防止方法のひとつかもしれません。

家裁に持ち込まれる遺産相続トラブルは年々増加しているそうで、遺産分割調停は2013年に1万2878件と10年前に比べ3割増えたそうです。 調停まで持ち込まれるのだから、さぞかし遺産額が多いだろうな、と思いますが、実は調停成立件数の75%が遺産額が5000万円以下というケースなのだとか。


遺言書作成で気をつけたいところ

せっかく遺言書を作成していても、思わぬ記載ミスがあったために遺言書が無効となる場合があります。

例えば遺言書に、「土地の一部は、Aとその息子Bで分けてほしい」という記述があって日付と名前も明記され、押印もされた、一見すると完璧に思える遺言書も、 この内容では不備があり受け付けてもらえません。

「.....分けてほしい」と書かれていても、その分割割合が示されていないため不動産登記も相続税の申告もできないのです。

遺言書には、「自筆証書遺言」、 「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」、 「特別方式遺言」などがあり、それぞれ決まりがあります。

■■ 自筆証書遺言(公証人の世話にならない)の基礎知識 ■■


自筆証書遺言を作成するときはネットなどの見本を参考にするとともに、金融機関名、口座番号等の記載ミスには十分注意して作るようにします。


遺留分(いりゅうぶん)

通常、相続財産を受け継げる権利は、基本的にはその人と一定の身内関係にあった、いわゆる法定相続人で、民法の規定によると、 配偶者(法律上の夫または妻)、子(直系卑属)、父母(直系尊属)、兄弟姉妹(傍系血族)の4種類の立場の人です。

もし、内縁の妻や長男の嫁、叔父・叔母などに遺産を残したいのであれば、これらの者を受遺者とする遺言書を作成する必要があります。
しかし、中には諸般の事情で「コイツだけには財産を残したくない....」などと関係がコジれてしまった法定相続人がいるかもしれません。

だったら遺言書でその旨記載して残さないようにしよう.........という気持ちも分かりますが、遺産相続を受け取れる特定の相続人には 「遺留分」という、遺産総額から最低限の取り分を相続する権利が法律で保証されています。

例えば法定相続人以外の愛人に全財産を残す、などという事態も予想されるため、法定相続人が不利益にならぬよう遺産の最低限の割合の取得を相続人に保証する 『遺留分』というしくみでガードしているわけです。
   

遺留分の計算
直系尊属(ちょっけいそんぞく) 父母・祖父母など自分より前の目上の世代、直系の親族で養父母も含む。叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。
直系卑属(ちょっけいひぞく) 卑属とは子・孫・甥・姪など自分より後の目下の世代で養子も含む。甥・姪、子の配偶者などは直系でないので含まれません。 配偶者、子はそれぞれ自己の相続財産の2分の1。



銀行口座凍結

銀行は名義人の死亡情報を、家族からの申し出、回覧板や外回りの銀行員の報告など、さまざまな方法で入手しており、確認されるとすぐに口座を閉鎖する手続きを取ります。

故人が死亡すれば、銀行口座の残高は相続人全員の持ち物になるため、相続人の誰かが勝手にお金を引き出せないよう、銀行が死亡を知った時点で、 引き出しができないようにするわけですが、これを銀行口座凍結といいます。

口座が凍結されるということは、公共料金などの自動引き落としも出来ず、葬儀など何かとお金がかかるのに死亡者名義の預貯金がおろせず、 故人が世帯主の場合は一家の当面の生活費にも困ってしまう、という事態になってしまいます。

金融機関の凍結された預貯金を引き出すには、除籍謄本・相続人全員の印鑑証明・遺産分割協議書を添えて手続きしなければなりませんから、 通常、遺産相続が終了した後となり、最低でも死後数ヶ月以上かかってしまいます。


相続放棄

相続財産はプラスのものだけとは限りません。 借金がある場合はそれも受け継ぐことになります。

借金を相続したくなかったら『相続放棄』という手がありこの期限は「自分のために相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内」と決められています。 逆に言えば何の法的手続きをとらないまま3ヶ月経過してしまうと『借金を含めたすべての財産を受け継ぐ意思がある』 と判断されてしまいますから注意が必要です。

相続税の申告・納付

ある日唐突に起きる『相続』.......亡くなった瞬間から『相続』は自動的に開始されてしまいます。 相続税の申告・納付の期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」というのが決まりですから、 「喪があけてから...」とか「気持ちの整理がついてから....」などの言い訳は通用しませんのでのんびりと構えていてはいられません。

特に相続人同士が普段からコミュニケーションがとれている場合はいいのですが、もし音信不通の法定相続人が一人でもいたりするとかなりやっかいなことになってしまいます。

★......3.11大震災で実際あったケースですが、いざ不動産相続しようとしたら何世代にもわたり相続手続きをしてこなかったため、 ナント法定相続人数が百何十人にもなっていたそうです。(子から孫.....とドンドン一族の数はふえていきますから)

もうこうなってしまったら相続人全員の合意が必要な書類を集めるだけでも大変な時間と労力がかかってしまいますから、正当な相続手続きをとることは難しそうです。

一日でも相続税申告が遅れると罰金

10ヶ月以内という期限内に申告しないと「一日でも申告が遅れたら無申告加算税(納付すべき税額の5〜20%)という罰金が課せられ」 てしまいますから要注意です。 期限を過ぎてしまったのを自分たちが気づき慌てて申告・納税したとしても納税総額「1330万円」だとプラス66万5千円の無申告加算税が発生してしまいます。

また、自分たちは気づかず税務署から指摘された場合、ナント(20%の)263万5千円もの無申告加算税がプラスされてしまいますから恐ろしい納税額になってしまいます........

さらに、納税が遅れることになりますから延滞税(年7.3%〜14.6%)というペナルティも上乗せされ課せられてしまいますので 万が一相続税が発生しそうな遺産にありつけそうなカタは、 くれぐれもそのあたりの金銭的な見通しと申告期限に注意が必要です。

相続税対策(番外編).......相応分の遺産分配

いざ相続となるとやっかいなのが「遺産分配」という問題。

たとえ普段は仲の良い兄弟・姉妹でも、親に対する貢献度も違いますし、人間お金がからむとついつい欲が出てしまうもの........特に元凶となる(?)のが、 もと他人であった(相続人達の)配偶者の存在です。

例えば兄弟が二人いたとして、長男夫婦が母親と実家に同居し生活の面倒を見ていて、次男一家は独立して離れて暮らしておりほとんど実家とは行き来なし、 というよくありがちなパターン。(モチロン、これに次男のオニ嫁の性格が関係してきます)

性格が良くて物事の道理が分かり、出しゃばらないタイプの嫁さんなら、相続でモメるなどというミットモない事態の元凶になどなったりしませんが、 そんな出来た嫁さんと結婚できる甲斐性が息子たちにあったら、そもそも相続トラブルなど起こしたりしません.........

こういう場合間違いなく起こるのが、イザ相続になったときの遺産分配の方法で、円満な相続どころでない、 骨肉を争うマサに"争続"となっていくわけです。
以下はフィクションです.........


遺言で特に指定されていなかったら、二人兄弟の場合であれば1/2ずつ遺産を分配する、というのが法律上の決まりではありますが、釈然としないのは長男夫婦です。
なにせ母親の世話は全て自分たちがやってきており、次男夫婦は全くと言っていいほど母親の世話などしていませんでした。

普段何の手伝いもしてこなかったクセに、いざ相続の段になるとチャッカリと半分の財産分与権利を主張してくる 次男夫婦の態度にムカツク兄ですが、法律で決まっている限りどうすることも出来ません。

困った問題は、不動産の名義も母親になっていたため、「家も財産分与の対象」となってしまうこと。

弟が現金で財産分与の請求してくれば、自分たち一家が今生活している実家を処分してでも遺産分割しなくてはなりません。

かといって、いまさらローンを組んで住宅購入というのは資金の問題もありますし、なにより子供達もいますので出来れば広い実家にこのまま住み続けたいと考えています。

現金を残してくれていればお金で解決もできるのですが、なにせ財産らしいものといえばこの実家ぐらいしかありません.........

弟とはなんとか話し合いで互いに納得できる形に収めようとも考えているのですが、ネックとなるのがおとなしい弟を尻に敷いているアノ性格の悪い鬼嫁で、 すぐにでも自宅を処分して財産分与させろとウラで弟をけしかけているようです................


相続税対策(番外編-2)・・・・・生命保険

実はこうなることを予見していた母は、兄を受取人とした生命保険に入っていました。

保険金は「民法上遺産分割の対象とはならない」、ので保険金受取人は兄だけとなります。
ここから弟の相続分を現金で支払えば、晴れて実家を自分のものにすることができます。(ただし税法上は、保険金も相続税の対象...事項に計算式あり)

母親は次男のオニ嫁の性格を知っていて、こうなるであろうことを予測し手を打っていたから、この窮地を切り抜けられたわけです。

世のシジ・ババさんたちも、息子と結婚した嫁の性格(娘なら旦那になったヤツ)ぐらいは、とっくに見抜いてらっしゃるでしょうから、 相続でトラブルになっても可愛い子供が苦労しないよう、オニ嫁・バカ旦那たちに大事な財産を持っていかれないよう、万全を期しておくことをお忘れなく。


生命保険の相続税

「被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となる」 ので注意が必要です。

ただし、生命保険には「500万円×法定相続人の数」という非課税限度額の枠が設けられています。 (なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません)。

これを最初の相続税計算のケース(遺産15,000万円、法定相続人4人)で計算すると.......

基礎控除額
5,400万円=3,000万円+(600万円×4人(法定相続人))。

生命保険の非課税枠
2,000万円=500万円×4人(法定相続人)。

遺産の15,000万円から(基礎控除額5,400万円)+(生命保険の非課税枠2,000万円)を差し引いた
7,600万円が課税対象となります。


遺留分

複数の相続人がいる場合、たとえば良く世話してくれた子どもには遺産の多くを相続させ、ほとんど音信不通になり不義理の子供の分は少なくしたいというケースがあります。

人情としては応分の分配と思われるこんなケースでも、法律ではどんな相続人でも遺留分(認められた最低限の相続分)は受け取れる権利があるとされていて、 これは遺言によっても侵害できません。

実際、普段なんの役にも立たなかった相続人が「遺留分」を主張し、ドロドロの相続争いになる場合が多いのだとか。

相続税対策(番外編-3)・・・・・不動産の相続税計算

不動産の相続税計算にあたって、不動産の価値基準に採用される値段は、土地と家屋で異なります。

たとえば土地の値段、と一口にいっても、土地は一物四価の商品といわれ、 実際には、「売買取引時価(実勢価格)」や「公示価格」、「路線価」、「固定資産税評価額」などといったいくつもの価格があります。

通常、売買取引時価1億円の土地の財産評価額は約7000〜8000万となります。
ですから、現金より土地で持っているほうが財産評価額は安くなり、相続税も安くなります。
(注意.....路線価は毎年1月1日を評価時点として改訂されるが、売買取引時価は常に変動しているため、売買取引時価より路線価のほうが高くなってしまうケースもありうる)


相続税・贈与税では土地の値段(相続税評価額)は路線価(公示地価の80%を目標)で評価することになっています。
公示地価とは国土交通省が地価公示法に基づいて、発表されるその年の1月1日の土地価格(更地としての価格)のことをいいます。

路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があり、相続税に関係するのが「相続税路線価」です。
「固定資産税路線価」は、一つひとつの土地の固定資産税評価額を決める際の基準となる価格です。

「相続税路線価」を調べるには、全国の路線価図(過去3年分)データを国税庁のページで確認してみます。
路線価図には1平方メートルあたりの単価が千円単位で表示されていますので、たとえば図中に「200」とあればその単価が20万円ということになります。 (*単価がわかっても実際の金額計算はやや面倒で、土地面積や調整率などが関係するのでHPの説明を熟読する必要があります)

相続税がどれくらいかかるのかザッと試算する程度なら、土地の相続税評価額は固定資産税評価額と大きくかけ離れた金額にはならないので、 概算で出す分には固定資産税評価額を土地の評価額と考えても問題はないと思います。

路線価
土地の相続税計算に用いられる価格。 国税庁が相続税計算のために利用している簡便法。国土交通省が年に1回定める不動産の公式価格、公示価格地価の80%ぐらいに計算されています。

ただし、路線価は全国の主要な市街地の道路にしか設定されていません。全国の全ての道路に値段をつけることは現実的に不可能です。
そのため、路線価のない土地を評価するときは、代替として固定資産税評価額を使います。

固定資産税評価額
国が定めた「固定資産評価基準」に基づいて市町村が、3年に1回、決定している価格。 固定資産税の計算に利用されている価格です。公示地価価格の70%ぐらいに計算されています。

路線価より低い水準となっており、そのまま相続税・贈与税の評価額として使用することは適切ではありません。

そのため、相続税・贈与税の評価の際には、これを何倍かにします。このことから、この評価方法を倍率方式というのです。

倍率を閲覧したいときは、国税庁が運営している路線価図等閲覧コーナーを利用するといいでしょう。

「路線価」、「倍率方式の倍率」、を閲覧したいときは、国税庁が運営している路線価図等閲覧コーナーを利用。


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