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木造軸組工法の利点.....古民家は再生できる

 古民家の構造は、太い柱や梁(はり)といった軸材(細長い材料)を互いに堅固に組み上げた、全体としては家が大きな鳥籠のような、木造軸組工法で建てられており、 いまなお一戸建て住宅の建設では最も多く採用されている伝統的な工法です。

 角材を組み合わせて構成される木造軸組み構造の最大の利点のひとつが、部材の朽ちた部分だけを切り取り、そこに新しい部材を組み込むことで置き換えられること。

 木造軸組工法は柱や梁の長さを自由に調節できるため、敷地が狭く変形していても柔軟に対応でき、リフォームや補修などもしやすいのが特徴です。

 さらに、木材で作られている木造家屋は、建物重量が鉄骨造や鉄筋コンクリートに比べれば圧倒的に軽いので、簡易ジャッキで支えながら、 柱の一部を交換することも出来てしまいます。

しっかりした構造材の通っている古民家であれば、増改築で一部を直したり柱をとりかえたりの再施工が容易にできますから、 孫子の代まで伝えられるお宝でもあります。

 このように、たとえ100年以上前に建てられた古民家であろうが、古民家再生では劣化部分だけを交換することで建物全体が蘇り、貴重な財産を現代に復活させられるわけで、 この点が古民家リフォームの醍醐味ともいえます。(2022.6.12)


 

柱の太さについて

 建築基準法では、「座屈」を防止するため「柱の最小寸法(太さ)」が定められています。  「座屈」とは、「垂直方向の部材が圧縮力を受けるとき、 急に面外にはらみ出し、材料強度より遥かに小さい値で耐力低下を起こす現象」で、要はポッキリ折れてしまうこと。

 細長比(タテ・ヨコの比)が大きいほど、座屈応力度は小さく、細長比が小さいほど座屈応力度は大きくなります。 つまり、断面が大きくて、短い部材の方が座屈荷重は高くなるわけで、 太ければ太いほど丈夫、といえます。

 建築基準法では、建物を支える柱の太さ、つまり柱の最小寸法を定めており、これは「柱の小径」と呼ばれ、 『柱の寸法/横架材相互の垂直距離』で求められ、1/20~1/30の範囲が決められています。

 具体的には1階建てか、2階以上か、建物の用途、屋根や壁の重量など、様々な条件により変動しますが、一般住宅(2階建て)なら、1階の柱は「1/30」、 2階の柱は「1/33」です。

 横架材の垂直距離が3.0mのとき、柱の小径(最小寸法)は、1階の場合、3000/30=100mmとなります。   2階は、3000/33=90mmとなります。 木造の柱は、鉄骨や鉄筋コンクリート造に比べて材質が不安定な分、 より厳しい基準が必要で、柱の断面は最低でも100mm以上の大きさにしておくことが必要、というわけです。


大黒柱と木材の反り

   

【「大黒柱」とは】

「大黒柱」は、古民家のほぼ中心にある家を建てるとき一番最初に立てられる柱で、文字通り、大黒柱を中心に家全体が絶妙なバランスで建っている。

主に土間をはじめとした三方の交点か、田の字の間取りの中心にあり、梁や桁が差し込まれ、他の柱と繋がっている。

大黒柱の一般的な長さは6m。 また家の中で最も荷重や負荷がかかるため、180mm以上のケヤキのような固く太い樹種が使われる。     
【「長者柱」とは】

大黒柱と向き合って立っている、2番目に太い主要な柱が「長者柱」。  同じ太さの柱が2本ある場合より家の中心に近い方が「大黒柱」。

昔は8寸角(約240mm)ほどの太さの「大黒柱」と「長者柱」の1対で、家を支えていた。
【古民家でも「大黒柱」がない】

現在は壁や筋交いなどを入れることで大黒柱の必要がなくなったことで、最近の住宅でほぼ見られなくなったが、古民家でも180mm以上の太い柱がなかったり、 全て180ミリ以上あり、他より60ミリ以上差がある柱がない場合、古材鑑定では「大黒柱」なしとされる。

「大黒柱」に使える木は、幹から枝が分かれる下の部分しか使えない。 6mの大黒柱の上下に1㎜誤差が出ただけで、台形の家が生まれてしまう。    いろいろな条件で育った木々の中から厳選されたものだけが日本家屋の「大黒柱」として使われる。     
【柱の「背割り」】

木材は水分量が多く乾燥収縮すると、特に木の中心に近い部分を使った「心持ち材」は、芯と側の収縮率が違うため場合によっては4面がひび割れし耐力が低下するため、あらかじめ「背割り」しておく。

見た目は大きく欠損して不安になるが、背割りを入れておけば収縮しても割れ目が開くだけに留まる。 大きく割れていてもほとんど耐力は低下しない。

木材を縦に使う場合、タケノコ状の木目の開いている方(下側)を下にする。     
【「背割り」の入れ方】

丸鋸で数回に分け目的深さになるまで切り込みを入れていく。

「背割り」は基本的には木の背中部分に入れるが、木肌がキレイな面は避け、隠れる面に入れることが多い。

「背割り」を入れる深さは、基本的には中心より少し深くしたところ、120mmなら70mm程度。 深くし過ぎると割れる可能性がある。

    
【木材の「背」と「腹」の区別】

木は斜面に立っていたなど環境により樹芯が偏り、年輪巾が狭い(年輪密度が高い)ほうを「背」、広いほうを「腹」という。

また、板の表面のうち、樹芯に近い側は「木裏(きうら)」、樹皮に近い側を「木表(きおもて)」という。

『木は木表側に反る』 。  木は乾燥するにつれ水分量の多い樹皮側(木表)がより強く縮もうとする。

そのため乾燥していくと、図の↑↑方向に反っていこうとする。  この反りは乾燥に伴って大きくなる。

    
【樹皮側は縮み、樹芯側は盛り上がる】

木材を縦に使う場合も、二つに縦割りすると樹皮側は縮み、樹芯側は盛り上がろうとするため、左右ともそれぞれ花が開くように「くの字」に外側に反ろうとする。

樹皮側は乾燥するにつれ縮もうとする力が強く働くので、図では右は「くの字」、左は「逆くの字」にそれぞれ外側に湾曲する。

このため、「梁は背を上にして使う」と言われ、土台や大引きは、梁とは逆に材木のムクリが下向きになるように使う。

窓まわりは中央部がふくらむように使い、垂木は反り上がるようにし、通し柱は、反れる向きを見極めて、胴差を挟みつけるような向きに使う。

床板は板の中央部が盛り上がらないよう木表を上にする。 木裏を上にするといずれ中央部が盛り上がってしまう。

ウッドデッキのように屋外で使う場合は、木裏を上にし中央部を盛り上げ雨水の排出をスムーズにする。     




腐った柱を抜く

 傷んだ柱を全て交換するとか、基礎に新たにコンクリートを打設する場合、建物全体をジャッキで持ち上げる必要が出てくる。  古民家の瓦葺(かわらぶき)屋根は、 非常に重量があり、そのまま家を持ち上げようとしても、構造にジャッキがめり込んでしまい、なかなか持ち上げらない。

 その場合、屋根瓦や土壁、ガラス入りの建具など、重量物は撤去するなど、少しでも家を軽量化する必要がある。    

【外壁一面分の土台材を全面交換・安全対策】

地震大国・日本では、柱の交換作業中に、いつ何時大きな地震が発生するかは運次第。

万が一を考え、交換する柱側の全面桁を、複数の支え柱で支え、倒壊事故を防ぐ手段を考えておく。

支え柱は、外れ防止のため建物側の柱と角材で連結させておく。

交換する箇所に当てた支え柱に、ジャッキを当てて持ち上げる。     
【コーナー部の土台を持ち上げる】

「土台上げ工法」で、角材を梁に45度に添え、ジャッキで真下から持ち上げる。

地面がめり込まないよう、ジャッキの下に耐圧板を設置してジャッキアップ作業を行う。

カージャッキを使う場合、キャスター付きは避けた方が無難。 使うときは転がり止めはしっかりと行う。     
【交換する材は、「相欠け継ぎ」で接続】

床束の一部腐食なら、腐った部分だけをカットし、檜材で作った木材を、「相欠け継ぎ」で元の材に繋ぐ。

「相欠け継ぎ」にすることにより、接合強度が上がる。

ジャッキは回して持ち上げるタイプは、柱も回転してしまい使いずらい。  油圧のポンピングで持ち上げる方式が使いやすい。 ただし、下げるとき一気に下がるので注意。

【古い柱を抜く】

古い柱を抜くには、その前に梁や桁を支える支柱を予め立てて、交換する柱にかかっている、上からの荷重を取り除いておく必要がある。

そのため、桁や梁に支え柱を当てて、ジャッキで持ち上げる方法が一般的。 管柱は上下ホゾで梁と接合しておりノコ刃の隙間があれば、ホゾをカットし外せる。

しかし、図のケースでは途中にまぐさがあるので、桁に直接当てられない。(一応端の出っ張りはないケースで考える)
【添桁を使ったジャッキアップ】

突っ張り上げるとき使うのが「建築用ジャッキ」。  まぐさを避けて、桁を持ち上げるやり方。

既存の丈夫な桁に、太いコーチスクリューで添桁を固定し、添桁に下からジャッキを当て、持ち上げて交換する柱を浮かせる。

少しずつ持ち上がるたび、ミシミシと音がする。

少し浮いたら、古い柱のホゾを適当な箇所でカットしてやれば、柱は取り外せる。
【既存の柱に角材を固定し持ち上げる】

交換する土台箇所の、既存の左右の柱に角材を添わせ、そこにジッャキを当てて一気に持ち上げていく方法もある。

ジャッキアップは、一気には持ち上げず、様子を見ながら少しずつ上げていくのが鉄則。

この方法で家の傾きが治る場合もある。

【ジャッキの仮柱の倒れ防止】

万が一の仮柱の転倒防止として、既存の柱と仮柱を木材で連結させておくと安心。

新たな柱はイモづけでも可。   引き抜き力に対応させるため補強金物を入れる。

既存の柱に、添え柱を抱かせることで耐震性をアップさせる。 ボルトで相止めよりも構造用合板とウレタンボンドで挟む方が強度が出る。  また防蟻処理はシッカリ行う。
【古いホゾ穴を再利用】

古い柱を撤去して、新たな柱を入れ込む場合、横から入れ込む方法しかない場合、通常は新しい柱にホゾを設けて梁のホゾ穴に入れ込むことは不可能。

新規柱にホゾ部分は設けず、大体は金物で固定するだけ。  これだと心理的にも不安だが、そもそも本来柱のホゾは構造に含まれていない。

ボソパーツはホゾ穴にキチキチに入る寸法に加工し、抜け落ちてこないようにしておく。

【ホゾパーツに柱を入れ込む】

梁に差し込んだホゾパーツに、横から柱を入れ込む。

このホゾ入れ方法は、柱の下の土台部にも使える。

入れ込んだ後は、接合部は補強金物か釘で固定する。

【新規に梁に支え柱を当てる】

新たに柱を追加したいとき、梁と柱を咬み合わせる加工を行う。

柱の先が、梁に当たるように梁に切り込みを入れる。

欠きこみは20mm程度。
【梁に新規の支え柱を入れる】

柱の天7分かた梁に当たるよう加工した柱を、梁の切り込みに合わせる。

接合部を、補強金物か釘で固定する。

【一般的な根継ぎ】

「根継ぎ」は、柱の下部が腐食した時、柱全体を入れ替えずにその部分だけ新しい材に交換すること。

腐った古い柱の一部をカットし、新しい柱を根継ぎして一体化させる。

本職なら金輪継ぎ(かなわつぎ)や、追掛大栓継ぎ(おっかけだいせんつぎ)などの継手を使うところだが、シロウトは一番簡単な「相欠き継ぎ」で接合。




力木

 載せる柱を欠いて、そこに力木を差し込む。

     

【力木を入れ込む加工】

既存の2間(3.6m)の胴差が少し下がっている。

柱を15mm欠き、そこに補強のため、力木を入れ込む。



    
【】

出来れば長さはピッタリにして入れ込みたいが、1mm長いと入らないので、1mm短くして入れ込む。

1mm長いだけでもう入らなくなってしまう。

接合部は周囲にビスを斜め打ちして固定。

    
【接合部の補強】

力木の上部分に耐震用として出来るだけビスの数の多い金物で補強しておく。



    
【上部の胴差と連結する】

束で上の胴差と新たに入れ込んだ力木を連結させる。

天井梁の高さを稼ぐため、既存の胴差とピッタリ合わせて取り付ける方法もあるが、この例はかなりの重量なので取付が楽な方法で行った。

    
【梁と柱を羽子板ボルトで緊結する】

羽子板ボルトで柱と梁をさせる。





    
【後施工金物1による柱と土台の緊結】

耐震補強に「カネシン後施工金物」を使用することにより容易に柱・梁の増設ができる。

ビス止め金物なので木材の欠損を抑えられる。

羽子板ボルトの施工ができない部分でも可能。

    




  

リフォームの際の、抜ける柱と抜いてはダメな柱

 柱が抜けるかどうかは、その柱が建物の構造に影響を与えているかどうかで決まり、『絶対抜いてはいけない柱』があります。   抜けない柱を活かして、 クローゼットを新設したり、化粧梁を取り付け収納棚を設けるなど柱を有効活用し、アイデア次第で住まいが生きる「抜けない柱を活用する方法」を考えたいものです。

■抜いてはいけない柱■

 抜けない柱は多くの場合建造物の四隅に存在しており、家の土台から屋根の軒までをつなぐ「通し柱」は、全体の構造にかかわる一番重要な柱なので、絶対に抜けません。

 「管柱(くだばしら)」は土台や床から梁までをつなぎ、下の階と上の階で分かれている柱で、これも上の階からかかる荷重を支える柱なので、基本的に抜くことはできません。

 ただし、構造計算をした上で、金物や梁補強で十分荷重に耐えられるようであれば、管柱をずらし間取りを広くする例もあります。

■筋交■

 家の構造を支える箇所にある「筋交」は、家の構造を支え耐震性を高める役割があり、抜いてしまうと家の構造に係る力のバランスが崩れ、地震などに弱くなってしまいますから、 これも撤去することはできません。

■抜いてもいい柱■

 抜ける柱は、基本的に建物の荷重を支えていない柱や、壁を支え固定するための「間柱」と呼ばれるもので、 壁を撤去したことで住まいの構造や強度に影響を与える可能性がそれほど高くないため、抜いてしまうことが可能です。




柱の基本構成

 地面から1m以内の外壁の軸組みと下地材(間柱)には、防腐剤を塗っておく。    

【壁を構成する柱の基本構成】

▼ 柱の種類と働き ▼
  • 通柱(とおしばしら)・屋根まで伸びる、構造の要となる柱。
  • 管柱(くだばしら)・荷重を受け止める柱。
  • 間柱(まばしら)・壁を支えるだけの柱で強度的には機能しない。
  • 横架材(おうかざい)・軸組構法の水平方向に架け渡される部材。
  • 筋交(すじか)い・建物の耐震性を高める斜め方向の部材。
柱に使う素材は、高価だが強度のある檜、また横材は杉が一般的。  各箇所はホゾ、もしくは金具で接合される。
【柱間隔とは】

和風住宅で基準にする柱間隔の単位を間(けん)といい、この基準の柱間隔(1間の長さ)は、住宅では地域によって異なる。  一般的な木造の在来工法で建築する場合、一辺の柱間隔限度は2間(3,640mm)が限界と言われる。

柱の中心から中心の寸法を柱の心々寸法(しんしんすんぽう)という。 柱の心々寸法を基準に建物の間取りを計画することを柱割(はしらわり)といい、柱割りの基本間隔は910mmだが、これでは家中柱だらけになってしまうので、 梁を太くしたり柱の太さを変えたりし柱の間隔を広く取ったりして、柱の少ない広々とした空間を造るようにしている。
【筋交いは必要?】

骨組みが四角となる軸組み構造では、横からの力に弱い。  これを補強するため、現代建築では大きな壁になる箇所に筋交いを入れる。

構造用合板を使えば理屈上は筋交いの代わりになるが、併用して筋交いでも十分な強度を得ておけば、合板が腐っても安心。 ただ、 いづれも柱頭柱脚に引抜きが起こるのでホールダウン金物等が必要。

筋交いがいれられない隅の部分には、斜め材(火打ち土台)を入れる。 筋交い、間柱ともNC65釘3本打ちで固定。




間柱

     

【間柱】

柱と柱の間にある小柱が「間柱」で、家の構造を支える柱ではなく、外壁や部屋を仕切る下地材を釘で留める役目がある。

壁に棚などを付ける際に、クギやネジを打ち込む必要があるが、もろい石膏ボードや合板だけに打ち込んでもクギやネジがすぐに抜けてしまう。   しかし間柱まで打ち込めばクギやネジが抜けにくくなる。 柱より太いのはダメ。

間柱のサイズは120×30mmが基本。  2×4材が使いやすい。

【最初の間柱を既存の柱に取り付け】

古民家リフォームでは、間柱を固定する柱は、数ミリは傾いているのがほとんど。

そこで、間仕切りの柱である間柱は垂直を出し取り付ける。

これで新しく作る壁は垂直になるハズ。



【間柱の完成】

幅910mmの石膏ボードを貼るので、間柱の間隔は強度を増すため端から芯々455mm開けて設置。

455mmの間隔をあけるので、長さを455mmにカットした材をスケール代わりにする。  固定は、下穴を開けてからビスを斜め打ち。

この後石膏ボードを貼り、必要なら断滅材を入れ壁紙で覆えば一部屋が完成。

【間柱の寸法】

間柱は地震力を負担しないので、間柱材の幅は主柱に比べて小さい寸法となる。

ただ外壁や下地材を釘で留める役目があり、幅が少なすぎると小さいと釘が打てない。

一般的な木造軸組構法の場合、間柱の幅寸法は30~50mm程度で、壁側の幅(=奥行き)は構造を支える柱に合わせる。

【「間柱」の設置間隔】

一般的に間柱を外壁の下地材として使う場合、構造材をしっかり打ち付けるには、間柱の幅は45mm以上が望ましい。

間隔は300~450mm程度だが、外壁が厚く変形しにくいのなら、間隔を広げることも可能。

床から天井までまっすぐに一定の間隔(基本は一尺・303mm)で配置されているので、1カ所見つければ間柱の配置が分かる。

【真壁の「間柱」間隔】

910mm幅の外壁下地材を使う場合、配置する間柱の芯々を全て910mm間隔でとると柱部にはスキマが生じる。

柱部のスキマを無くす場合は間柱90mm角なら、柱に密着させた間柱と次の間柱との間隔は910-90-45=775mm。

間柱60mm角なら、910-60-30=820mmの間隔に立てる。

2本目以降はどの太さの間柱でも芯々910mm間隔で配置する。

【間柱(まばしら)と筋交い】

筋交いは間柱(まばしら)と交差するが、 強度を保つため筋交いの欠込みは行わず、間柱側を加工する。

柱の外面と「間柱」奥は面一になるので、クギを打ち込むためには出来るだけ柱に近い奥行きが必要。



【ホールダウン金物】

柱の抜け防止に使うのが、「ホールダウン金物」。









古民家リフォームでは、ヘタな筋交い施工は危険

 現代の建築工法においては、一般的に耐震性から言えば、ダブル筋交いを使うと、壁倍率は4倍となり、構造用合板を使うより耐震性はアップするとされる。

 一方、筋交い使用の規定が定められたのは大正8年頃とされ、古民家にも筋交いを使ったものは存在するようだが、そもそも、古民家は土台と地面を固定しておらず、 地震の揺れを吸収する柔構造の伝統構法で建てられており、在来工法と違って建物を地震から守るとされる筋交いが、そもそも使われていないのが一般的。

 「地震の揺れを受け流す」古民家の耐震性については、いまだ国土交通省が研究している段階であり、諸説入り乱れ確定的なものはなさそうで、なかには、 「古民家リフォームでは筋交いを入れるな」、という説もある。

 昨今は古民家リフォームがブームになっているが、古民家リフォームで最もヤバそうなのが、それまで石に乗っていただけの足元を、コンクリートの基礎を作り土台を地面と固定してしまうやり方。     地面と固定されておらず、地震力を受け流す「免震」という性質を持っている古民家は、この時点で免震構造を失ってしまう

 一説では「たぶんこの形が一番やばい」とされていて、もしこういう工事を行う場合、建物もよほど補強しないとマズイことになりそう。  ただ、 そもそも筋交いを使っていなかった構造の古民家リフォームでは、土台、柱、桁との固定部に力が集中する筋交いの取付工事を行うのは、不完全になることが少なくないとされる。


筋交いの問題点と構造用合板の使用

 筋交いの最大の問題点は、断熱材が上手く収められないということ。  断熱効果は、断熱材の中に空気をいかに取り込むかで左右されるという。  特にダブル筋交いだと、 断熱材を無理やり狭い隙間に詰め込むことになり、断熱材が圧縮され、ほとんど断熱効果が得られないとされる。

 一方で、構造用合板を使えば理屈上は筋交いの代わりになるが、併用して筋交いでも十分な強度を得ておけば、合板が腐っても安心、という一見もっともな説もある。

   作業の手間を考えれば、筋交いを入れず、N50・釘で150mm間隔で打ち込む構造用合板だけ使った壁工法の方が楽。  古民家は壁がもろいというデメリットがあるとされるので、 柱と梁の間に耐力壁を設置して耐震力を高める、というのは有効かも。

 構造用合板工法は、打ち込みすぎてはいけないなど細かい規定があるが、釘うちを手抜きしない限り、 シロウト工事でも安心で合理的。   ただし、構造用合板の両サイドに、ガツチリ固定できる柱があることは絶対条件。

 基本的に筋交いは柱の少し内側を外面にしておく。  柱と面一にしていると、もし筋交いがねじれた材だと、外に張る石膏ボードを押し出してしまい、割れの原因になるのを防止する。


   

【筋交いの取付け】

筋交いは、建物の耐震性を高める役目をもち、斜め方向に取り付ける部材。

耐力壁を構成するため、スジカイと呼ばれる木材を設置する場合と、構造用合板と呼ばれる板材を貼り付ける2つの方法がある。

軸組が正確なら計算で求めた筋交い長さでカットすれば合うはず。  ただ現実はそこまでシビアに加工出来ないので、上端をカットした状態で下端を墨角部に押し当て、 現物合わせで下端を墨付けしカットするのが一般的。

完全に入ったら、 筋交いと柱を一体化する金物を上下端に取り付け固定することで、耐震性や耐風性の向上が期待できる。
【筋交いで耐力壁を構成】

柱間隔が3尺より狭いと、筋交いはタテ方向の角度が急になり、6尺より長くなると、ヨコ方向にのびてしまい、圧縮力・引張力ともに有効に働かない。

軸組工法では柱の間隔は、3尺(910mm)・4尺5寸(1365mm)・6尺(1820mm)が基準。(1尺=303㎜)
本来は6尺=6×303mm=1818mmとなるが、区切りよく1820mm。   3尺も正確には909mmだが、これも910mmというように最後は0か5の切りの良い数字でまとめる。

柱間隔とは、柱の中心から隣の柱中心の寸法で、これを柱の心々寸法(しんしんすんぽう)という。  この空間サイズに筋交いを入れ耐力壁を構成する。   耐力壁は家の四隅に必ず入れる。

図の柱間隔は4尺5寸(1365mm)、柱太さ105mm、柱高さ2700mmのケース。  これだと筋交いの長さは2980mmとなり、ギリギリ3000mm以下に収まる。
【筋交いの欠込みはしない】

筋交いは間柱(まばしら)と交差するが、 強度を保つため筋交いの欠込みは行わず、間柱側を加工する。

筋交い材には継手を使用できない。  また、筋かいは多ければ多いほど効果が高いという訳ではなく、 バランス良く入れることが重要。

筋交いは垂直部材の柱と横部材の梁の面(つら)に、数本の釘で直接打ち付けて留めたあと、2倍筋交い金具を使い固定する。
【筋交いはユルユルはダメ】

筋交いはユルユルではなく、少し叩いて入るぐらいが理想。  そのため、上端を最初から奥までキッチリはめ込んでしまうと、角度が大きすぎ下端がキツくて入らなくなる。

筋交い取付けでは、上端は少し引っかかる程度の位置にしておき、下端が少し入ったら、上下を何回かずつ交互に掛矢(木製の大型木槌)で叩きながら、完全にはめ込んでいく。

あらかじめ下端の入り面を、玄能で叩いて角を丸く(木殺し)するか、鉋で削って面取りしておくと入りやすい。   
【専用の筋交い金具で固定する】

揺れで柱頭柱脚に引抜きが起こるので、筋交いを固定するホールダウン金物等は絶対必要。

専用金物には、筋かいを柱の側面に固定する2面施工タイプと、筋交いと柱、 横架材の3点で接合する3面施工(ボックス型)タイプがある。  2倍筋交い金具は、ボルトヘッドが四角の形状。

ボックス型を使う場合、柱と横架材を固定していない状態で筋交いを入れるとズレてしまうので、必ず先に柱と横架材を固定しておく。  2倍筋交い金具とは、 強さではなく壁倍率2倍の筋交いに使う、という意味。  金具を留めるボルトヘッドは四角の形状。
【筋交い長さは三平方の定理で決まる】

柱の心々寸法4尺5寸(1365mm)、柱高さ2700mm、柱太さ105mmの空間に筋交いを斜めに入れる場合、筋交いの長さは以下の計算で求められる。   なお、 柱と柱の空間寸法は、1365(心々寸法)-105(柱太さ)=1260mmとなる。

筋交いの長さを求める式=√( 柱間の空間寸法の2乗+柱高さの2乗)。
筋交い長さ=√( 1260の2乗+2700の2乗)=√( 1587600+7290000)=√8877600=2979.5≒2980mmとなる。

【筋交いの加工と取り回し】

90mm筋交い端部のカット部おおよその寸法例。 スジカイの寸法は厚み45mmで幅90mmのものが、最も多く使用される。

芯墨を中央にした場合、筋交い端面は柱側に多く当たる。 筋交いは、キツく入る程度に正確に加工しておく。   上図の構造だと、筋交い角度は垂直方向に対し65度になる。

建築基準法施行令では、引っ張り筋交いの最低寸法は15×90mmだが、このサイズでは圧縮筋交いとして使うと簡単に座屈してしまう。

圧縮筋交いは厚い材を使うほど壁倍率が上がる。   最低でも厚み1寸5分(45mm)×幅3寸(90mm)の材を使うと壁倍率(横方向の力に耐える壁の強さ)は2.0になる。
【筋交いの向き、方向】

筋交いは対角線1本のシングルより、2本をクロスさせたダブルのほうが効果はある。  シングル筋交いの場合、筋交いの向きは二階建ての場合は内転び、平屋建ての場合は外転びが基本。    二階建で外転びとなっていると、通し柱の中央、胴差しの欠き込み部分に負担が掛かる。  屋根垂木を仮に筋交い代わりと仮定して考えた場合、互いが逆向きとなりバランスがよい。

筋交いを柱の外側、内側どちらに設置するかの明確な基準は無いが、基本的に同じ側に設置する。  筋交いは間柱(まばしら)と交差するが、 強度を保つため筋交いの欠込みは行わず、間柱側を加工する。




H形鋼を使い、広い空間を作りたい

 古民家リフォームで誰しも思い浮かべるのは、「リビングをもっと広く、天井も高くして使いたい」という願望。  そのためには「柱の撤去」が必要となるが、 抜いただけではイザ地震発生となれば到底強度的に持たないので、抜く場合「梁を太くする」のが鉄則。

 しかし、建物によっては梁を太く(床に近く)してしまうと、天井高が取れないという不都合が生じてしまう。  そこで、鉄骨のH形鋼を使い、既存の柱を抱き込んだら、 柱の不要な箇所を切断してしまい、梁成(梁の高さ)を低く抑える工法もある。

 ただ、H形鋼は木材よりもかなりの重量になるため、設置に人数も必要であり、さらに心配なのが、もともと古民家は建物が地面と固定されておらず、 柱が石の上に乗っているだけの玉石基礎(石場建て)となっており、 足元が動くことで建物に直接負荷がかかることを軽減し地震力を受け流す、 いわゆる「免震構造」になっている点。

 古民家に地震エネルギーが伝わると、まず重い瓦によって、建物が地面から浮き上がろうとする力を押さえ、さらに揺れが大きくなったら、瓦を落とすことで建物にかかる荷重を減らし、 柱や貫が曲がったり土壁が崩れることで、 地震力を吸収する「制震」機能が働き、最悪の倒壊という事態を防いでいる。

 それなのに、あまり頭でっかち(重量が上にある)にしてしまうと、いざ大地震が襲ってきたとき、その横揺れエネルギーを柱がモロに受けてしまい、曲がるだけでは留まらず、 破断して建物倒壊と言う大惨事につながりかねないので、この工法はパス。(2022.9.13)




古い柱の解体・再生

     
【現状の確認】

床板を剥がし、柱根元の腐食状態を確認。  必要なら柱の交換となる。  柱材は檜が定番。

事前に柱の腐食区部をある高さでカットし、シロアリ被害を確認し、全部交換か一部交換か決める。



【腐食している柱をジャッキで持ち上げる】

添え柱を梁に突き当て、ジャッキで持ち上げる。  ミシミシ音がしてゆっくり持ち上がる。

梁の上昇につれ、柱も一緒にあがっていく。

ジャッキは下げるとき一気に下がるので、サポートジャッキが必要。
【カットした後、コンクリートブロックで支える方法】


カットサイズがそれほど長くなかったら、コンクリートブロックで支える方法もある。

【木柱を接ぎ足す方法】

同じ太さの接ぎ木を足す。

クレオソートなどの防虫・防腐剤を塗る。

【高さをクサビで微調整】

高さを微調整するときは、両側からクサビを打ち込む。



【コンクリートで固めるため型枠を用意】


柱が載った束石周囲にコンクリートを流す。




【型枠にコンクリートを流し込む】


目いっぱいは入れない。




【コンクリート流し込み完了】


束の上面ギリギリまで流したら完了。

この時点までなら、クサビまでは固定していないので、ジャッキアップすれば柱の傾きはまだ修正可能。
【レベラーを流し込む】


修正が終わったら、この状態で固定するため、レベラーを流し込む。

レベラーは水と同じように流し込むと自然に平らになる。

これでクサビを打ち込んだ隙間にまで入り込ませ、柱を固定させる。
【】


束石と柱を少し浮かせるテクとして、束石との間に鉛板を挟む。 鉛は溶けて板状に加工しやすいので、ブロックで作った治具で任意の厚みの鉛板を成形するのが簡単。





画像の一部は「脱サラ古民家DIY」動画より


簡単な根継ぎのやり方・腐った柱の修復

     
ジャッキアップして柱を根継ぎする基本作業
【ジャッキアップ】







【根継ぎする柱を加工する】

柱と同じ太さの材を、相継ぎ加工する。



【柱の交換する部分をカット】

ジャッキアップし柱が地面から張られたら、丸鋸で交換する不要な部分をカットする。

相次ぎの準備で組み合わせる部分を加工する。

【相次ぎする】

太いボルトで根継ぎ部分を固定する。



【既存の柱に添え柱を抱かせる】

大黒柱(手前)は両側に、その他の柱は片側に添え柱を当てる。





【柱接ぎ足しと添え柱】

既存柱の太さに合わせて接ぎ足す。

さらに添え柱を当て耐震強化する。



【既存の柱と添え柱の固定】

既存の柱に添え柱を抱かせる場合、長いボルトを互いに貫通した穴に入れ固定する。  450mm程度の長いドリル必要。



【ボルト埋込穴にボルトを隠す】

ボルト固定分が壁に隠れるのはむき出しで。  表にむき出しになるときはボルト埋込穴を堀り、ボルトを隠す。

ボルトの座金には四角と丸の形状があり、埋込にするときは丸型座金を使う。
【】












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