五十鈴川駅から伊勢神宮内宮

五十鈴川駅の駅前。「『いすずがわ』って、きれいな音の響きなのに。伊勢神宮の駅なのに。こんな所なの。」

五十鈴川駅から内宮までのバス乗車時間は、6分。五十鈴川駅から内宮へは、徒歩で30分(2km)ぐらい。二人は手をつないで、歩き始めた。

五十鈴川駅へ

新横浜をすぎる頃には、空が白み始めた。今日の日の出は6時50分だ。みほは、雅夫の肩に頭をのせ、眠り始めた。最近、体調が悪いみたいだから、このままにしておこう。人に頼られることが、小さな幸せを感じさせた。

ピラミダルな大山が見えてきた。丹沢山系の山である。山頂には阿夫利(あふり)神社という妙な名前の神社がある。大山のことを雨降山とも言うが、当て字だろう。雅夫は高校1年生の時のことを思い出していた。 《雅夫君の書いたもの読んだわ。危ない事はしないでね。》

「もうすぐ名古屋だよ」
「知らない間に寝てしまったわ」
雪景色 名古屋08:11発の特急ワイドビュー南紀1号はすいていた。小雪がちらつき始めた。季節風が強いから、ここまで、雪が飛んでくるのだろう。

松阪で近鉄に乗り換える。雅夫は車内の路線案内図を見ていた。五十鈴川駅の手前の駅は宇治山田駅である。
「なんで、伊勢に宇治なんて、地名があるのかな。」
みほも路線案内図を見始めた。
「五十鈴川駅の7つ先には加茂駅というのが、あるわよ。私の田舎のそばには上賀茂神社と下鴨神社があるわ。不思議ね。」
みほの田舎は京都だ。
「千葉には鴨川があるよな。」
「京都市内を流れる川は加茂川よ。鴨川とも書くけど。」
「五十鈴川駅までは、あと5分だ。」

五十鈴川駅から伊勢神宮内宮へ

五十鈴川駅09:36着 伊勢神宮 五十鈴川駅の駅前。
「『いすずがわ』って、きれいな音の響きなのに。あの有名な伊勢神宮の駅なのに。こんな所なの。」
みほが驚くのも無理はない。五十鈴川駅の駅前には何もない。店がない。コンビニもない。銀行もない。ここは、雅夫の田舎の近くだから、雅夫はその事を知っていた。みほは知らなかった。しかし、10分後のみほの驚きに比べれば、この時の驚きは驚きのうちに入らないだろう。

「ここから伊勢神宮までは2Kmぐらいだけど、歩いていくかい。」
「ええ、そうね。歩いていきましょう。」
二人は手をつないで、歩き始めた。ここには、二人を知る人は誰もいない。

♪誰も見ていない道を―寄りそい歩ける寒い日が―君は好きだった♪(オフコース さよなら)

五十鈴川駅から内宮への交通

  • 徒歩
    五十鈴川駅から内宮へは、徒歩で30分(2km)ぐらい。
  • バス
    バスは、30分に1本。五十鈴川駅から内宮までのバス乗車時間は、6分。

次伊勢神宮参道 911テロ22へ続く

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。