恋の予感-高校の文化祭の帰り道

恋の予感は二人のどちらが感じていたのでしょう。 同級生の洋子とお姉さん

文化祭の帰り道

文化祭でにぎわう校内を一緒にまわったが、女の子ばかりだった。
みほの高校は女子校で、校門で一人で待っているのは恥ずかしかった。
1時間ぐらいして、みほが来た。二人の女性と一緒だった。

一人は高校生ではないようだった。
「私の幼なじみの雅夫君です。こちらは、同級生の洋子とお姉さん。
大学の仏文科の2年生で、いろんな事、教えてもらっているの。」
(こういう時は、最初に、年上の人に向かって紹介するのが礼儀である。)
みほの上品さは雅夫に欠けている点だった。
洋子さんのお姉さんも上品そうで、きれいな人だった。
赤いレンガをバックに、ひまわりの花がプリントされたワンピースがまぶしかった。
みほの高校は駅から遠いのでバスに乗らなくてはいけない。
洋子さんとお姉さんも同じバスに乗った。

電車の中で。東武線

東武線に乗り換えた後は二人だけになった。
電車は空いていたが、二人で並んで座るのも気恥ずかしく、立っていた。
「洋子のお姉さん、きれいでしょう。」
「うん、何といいましょうか、みとれちゃいました。」×××
「アノ、みほさんは、アノ、子どもの頃から見ているから。」
「いいのよ、別に。私から見てもきれいだもの。頭もいいし、あこがれちゃう。素敵な女性だわ。」
「本当に素敵な女性ってメッタにいないんだよな。」×××
「アノ、いや、そういう事ではなくて。」ウフフ。
「私も素敵な女性になるから、雅夫君も素敵な男性になってね。
マラソン大会、24番で残念だったわね。」
「今度は来年の5月だ。目標はメダル。」
「雅夫君はなんで、山とかマラソンとか好きなの。」
「よく分からないんだけど、マラソンのゴールって遠いじゃん。
山の頂上も遠いんだ。雪山だと3000mの山頂まで3日も4日もかかる。」
雅夫はそこからは見えない山を想像しながら言った。
(山の話になると、みほの事は忘れてしまう。女は私だけを見てと言う。
その気持ちも分かるけど、男の気持ちも分かってくれないかなぁ。)
「まだ見えない遠い所。だから、無理してでも行きたい。」
「無理は絶対ダメッ。まだ見えない遠い先。私は素敵な女性になっているかしら。
無理してでも、素敵な女性にならなくっちゃ。あっ、そういう無理はいいのよ。」
前に座って、二人の会話を聞いていたおばさんが笑った。
「いいわね。お二人さん。若いって。」
そう言って、おばさんはヘッドフォンをはずしながら、電車を降りて行った。
みほは舌を出しながら、言った。
「ヘッドフォンをしているから、聞こえていないと思っていたのに。
降りる駅が同じでなくて良かった。」
二人は顔を見合わせて、笑った。
そういう上品でない仕草もみほがすると、かわいかった。

二人は松原団地駅で降りた。
そんなことがあって、秋は深まり、二人の関係も徐々に深まっていくのでした。
11月初めの松原団地の遊歩道にはまだ、落ち葉は早く、
二人が恋におちいるにも、もう少し時間が必要だった。
恋の予感は二人のどちらが感じていたのでしょう。

次恋のキューピット10へ続く

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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